カルプロテクチンによる、大腸カメラを極力しない試み|潰瘍性大腸炎と過敏性腸症候群の鑑別

潰瘍性大腸炎の病状を補助的に把握できるバイオマーカー「糞便中カルプロテクチン」が保険適用となりました。
今までは大学病院や研究施設でしか測定できませんでしたが、一般病院やクリニックでもカルプロテクチンを測定できるようになりました。

腹痛、便性状などの臨床症状に、カルプロテクチン値を併せて判断することにより、より総合的に病状を把握することができます。

(参考記事)
・カルプロテクチン、ちょっと気をつけた方がいい3つのこと|潰瘍性大腸炎とカルプロテクチン

・潰瘍性大腸炎の新たなバイオマーカー「便中カルプロテクチン」|客観的な数値で結果が得られる潰瘍性大腸炎の検査

カルプロテクチンは、「潰瘍性大腸炎病態把握の補助」の保険適用です。

日本では潰瘍性大腸の状態を把握するためにカルプロテクチンが活用されていますが、海外では別の活用法が検討されいます。

以下そのトピック紹介です。

潰瘍性大腸炎(UC)と、しばしば鑑別診断が難しい病気に過敏性腸症候群(IBS)があります。

数ヶ月にわたり、腹痛、下痢を繰り返し、症状が潰瘍性大腸炎(UC)と似ているためです。

潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)を鑑別するためには、大腸内視鏡(大腸カメラ)で腸を直接みることがゴールデンスタンダードです。
大腸内視鏡が理想かつ、最も正確な方法です。

日本のように医療環境が整っていれば、大腸内視鏡(大腸カメラ)による大腸精密検査が理想です。

大腸内視鏡で、潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)、その他の原因であるのかを判断できます。

すぐに精密検査である大腸内視鏡(大腸カメラ)ができない医療環境で、潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)をどのように鑑別したらよいでしょうか。

潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)の鑑別に、カルプロテクチンを活用できないだろうか、
という研究が海外でおこなわれています。

(Citation: Natalie Walsham et al. Fecal calprotectin in inflammatory bowel disease. Clin Exp Gastroenterol. 2016; 9: 21–29.)

潰瘍性大腸炎(UC)は大腸粘膜にキズができるためカルプロテクチンが上昇します。
一方、
過敏性腸症候群(IBS)は大腸の動きがコントロールを失う病気で、大腸粘膜にキズができないため、カルプロテクチンが上昇しない。

が原理です。

まだまだ、この分野研究段階ですが、

・カルプロテクチン 50μg/g未満 過敏性腸症候群(IBS)疑い

・カルプロテクチン 50-150μg/g 診断保留、再検

・カルプロテクチン 150μg/g以上 大腸内視鏡(大腸カメラ)で精密検査

という診断アルゴリズム(診断手順)も提唱されています。

フランスでも、同じような発想で診療にいかそうと、ホットな話題のようです。

(Citation: D’angelo F et al. Faecal calprotectin : a useful tool for the primary care physician ? Rev Med Suisse. 2016 Oct 19;12(535):1752-1756.)

カルプロテクチンを活用して、大腸内視鏡(大腸カメラ)をなんとか「施行せず」過敏性腸症候群の診断をつける研究、興味深いものがあり、今後の発展が期待されるところです。

まとめ

潰瘍性大腸炎(UC)と過敏性腸症候群(IBS)の区別に関しては、カルプロテクチン値が活用できる可能性あります。(注意:日本では保険適用外)

しかし、腹痛や便通異常をきたす病気は潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群の他に、さまざまな疾患、さらには大腸がんがあります。

大腸癌があるかどうかは、大腸を内視鏡で直接診ることでしか分かりません。
腸の疾患が疑われるときは、カルプロテクチン値だけで判断してしまわず、やはり大腸内視鏡(大腸カメラ)は必要です。

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