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カルプロテクチンによる、大腸カメラを極力しない試み|潰瘍性大腸炎と過敏性腸症候群の鑑別

潰瘍性大腸炎の病状を補助的に把握できるバイオマーカー「糞便中カルプロテクチン」が保険適用となりました。
今までは大学病院や研究施設でしか測定できませんでしたが、一般病院やクリニックでもカルプロテクチンを測定できるようになりました。

腹痛、便性状などの臨床症状に、カルプロテクチン値を併せて判断することにより、より総合的に病状を把握することができます。

(参考記事)
・カルプロテクチン、ちょっと気をつけた方がいい3つのこと|潰瘍性大腸炎とカルプロテクチン

・潰瘍性大腸炎の新たなバイオマーカー「便中カルプロテクチン」|客観的な数値で結果が得られる潰瘍性大腸炎の検査

カルプロテクチンは、「潰瘍性大腸炎病態把握の補助」の保険適用です。

日本では潰瘍性大腸の状態を把握するためにカルプロテクチンが活用されていますが、海外では別の活用法が検討されいます。

以下そのトピック紹介です。

潰瘍性大腸炎(UC)と、しばしば鑑別診断が難しい病気に過敏性腸症候群(IBS)があります。

数ヶ月にわたり、腹痛、下痢を繰り返し、症状が潰瘍性大腸炎(UC)と似ているためです。

潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)を鑑別するためには、大腸内視鏡(大腸カメラ)で腸を直接みることがゴールデンスタンダードです。
大腸内視鏡が理想かつ、最も正確な方法です。

日本のように医療環境が整っていれば、大腸内視鏡(大腸カメラ)による大腸精密検査が理想です。

大腸内視鏡で、潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)、その他の原因であるのかを判断できます。

すぐに精密検査である大腸内視鏡(大腸カメラ)ができない医療環境で、潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)をどのように鑑別したらよいでしょうか。

潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)の鑑別に、カルプロテクチンを活用できないだろうか、
という研究が海外でおこなわれています。

(Citation: Natalie Walsham et al. Fecal calprotectin in inflammatory bowel disease. Clin Exp Gastroenterol. 2016; 9: 21–29.)

潰瘍性大腸炎(UC)は大腸粘膜にキズができるためカルプロテクチンが上昇します。
一方、
過敏性腸症候群(IBS)は大腸の動きがコントロールを失う病気で、大腸粘膜にキズができないため、カルプロテクチンが上昇しない。

が原理です。

まだまだ、この分野研究段階ですが、

・カルプロテクチン 50μg/g未満 過敏性腸症候群(IBS)疑い

・カルプロテクチン 50-150μg/g 診断保留、再検

・カルプロテクチン 150μg/g以上 大腸内視鏡(大腸カメラ)で精密検査

という診断アルゴリズム(診断手順)も提唱されています。

フランスでも、同じような発想で診療にいかそうと、ホットな話題のようです。

(Citation: D’angelo F et al. Faecal calprotectin : a useful tool for the primary care physician ? Rev Med Suisse. 2016 Oct 19;12(535):1752-1756.)

カルプロテクチンを活用して、大腸内視鏡(大腸カメラ)をなんとか「施行せず」過敏性腸症候群の診断をつける研究、興味深いものがあり、今後の発展が期待されるところです。

まとめ

潰瘍性大腸炎(UC)と過敏性腸症候群(IBS)の区別に関しては、カルプロテクチン値が活用できる可能性あります。(注意:日本では保険適用外)

しかし、腹痛や便通異常をきたす病気は潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群の他に、さまざまな疾患、さらには大腸がんがあります。

大腸癌があるかどうかは、大腸を内視鏡で直接診ることでしか分かりません。
腸の疾患が疑われるときは、カルプロテクチン値だけで判断してしまわず、やはり大腸内視鏡(大腸カメラ)は必要です。

カルプロテクチン、ちょっと気をつけた方がいい3つのこと|潰瘍性大腸炎とカルプロテクチン

潰瘍性大腸炎の新たなバイオマーカーである「糞便中カルプロテクチン」が、2ヶ月前、2017年6月から保険適用となりました。
カルプロテクチン値測定は、大学病院や研究施設など特殊な施設でしか実施できませんでしたが、今後は一般病院でも検査することができます。

参考記事
・潰瘍性大腸炎の新たなバイオマーカー「便中カルプロテクチン」|客観的な数値で結果が得られる潰瘍性大腸炎の検査

腸管に炎症が起きると、好中球が腸管粘膜に移動、カルプロテクチン値が上昇します。

腸に炎症が起きる→好中球粘膜に移動→カルプロテクチン上昇
潰瘍性大腸炎の病状とカルプロテクチン値が関連します。

新しいバイオマーカー「カルプロテクチン」の特徴として
・腸管の炎症に特異的なバイオマーカー
・便で簡単に測定できる
・潰瘍大腸炎の内視鏡所見とカルプロテクチン値が相関する
・潰瘍性大腸炎、再燃の予測マーカーとなる

非常に有用なバイオマーカーですが、カルプロテクチン値の解釈3つ注意する点があります。

【気をつけた方がいいこと1】

カルプロテクチンには正常値がない
正常値の代わりに基準値がある

カルプロテクチン
240μg/g未満が、基準値です。

この数値以下は正常、
この数値以上は異常

ズバッと2つにわけるための検査ではないからです。

大腸カメラ(内視鏡)で潰瘍性大腸炎が落ち着いているか、炎症が強いか判断できます。

潰瘍性大腸炎、落ち着いている(DAI内視鏡スコア0~1)
潰瘍性大腸炎、炎症強い(DAI内視鏡スコア2~3)
を比べて統計計算すると、カルプロテクチン240μg/g前後で、落ち着いている時、炎症強い時に差がでたので、めやすに(基準値)と定めています。

絶対的な正常値ではありませんので、仮にカルプロテクチン値が400μg/gや500μg/gでも、病状が落ち着いていることもあります。

(引用:カルプロテクチン 添付文書)

カルプロテクチンを測定して高値だったから病状悪いと即判断せず、

高かったカルプロテクチンの値が、
治療で下がってくるかどうか、

低く安定していた値が、急に上昇した

など変化をみることも大切です。

【気をつけた方がいいこと2】

カルプロテクチン値で真価を発揮するのは
240μg/g未満と「陰性」の時です。

カルプロテクチンが240μg/g未満「陰性」の時、潰瘍性大腸炎が落ち着いている可能性がきわめて高いと判断できます。

検査の特徴をあらわす指数に
感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、判定一致率などがあります。

注目するべきは96.0%『陰性的中率』の高さです。

陰性的中率は、検査が陰性(カルプロテクチン240μg/g未満)であったときその中に含まれる病気が安定している人の割合(的中率)です。

カルプロテクチン240μg/g未満 25例
その中で病状が安定している 24例 
活動性あり1例
24÷25=96.0%

逆に陽性的中率は69.0%と若干低いのが特徴です
陽性的中率はカルプロテクチン陽性(240μg/g以上)のとき、炎症がつよい人の割合(的中率)です。

カルプロテクチン240μg/g以上 42例
その中で活動性あり 29例
病状安定 13例
29÷42=69.0%

カルプロテクチン陽性(240μg/g以上)でも、炎症がつよいとは断定できません。病状が安定しているけれど陽性もあります。

【気をつけた方がいいこと3】

カルプロテクチンは腸の炎症マーカーですが、その他の要因でも値があがる。

カルプロテクチン高値、イコール腸の炎症とは限らないことに気をつけてください。

痛み止め(NASAIDs)でもカルプロテクチン値高くなります。
潰瘍性大腸炎以外にでも、腸の粘膜が傷つく、感染性腸炎でもカルプロテクチン高くなります。

さらには、大腸憩室炎でもカルプロテクチン上昇します。

カルプロテクチンは潰瘍性大腸炎の病状把握補助として非常に有用ですが、痛み止めをのんでいると値が高くなることがあることに気をつけてください。

まとめ
潰瘍性大腸炎の有用なバイオマーカーですが、その検査値の解釈には注意が必要です。

子供が6ヶ月間毎日、ビフィズス菌と乳酸菌をとった結果|感染症予防効果はあったのか

最近よく耳にする「プロバイオティクス」
体によい効果をもたらす生きた微生物のことです。

ビフィズス菌
乳酸菌
などです。

菌を殺す、antibioticsアンチバイオティクス(抗生物質)と
対比する言葉として提唱されたのが、
probioticsプロバイオティクスです。

ロタ腸炎などのウイルス性腸炎は、プロバイオティクスをのむと、下痢の期間が短くなり、はやく病気が治ることがわかってきています。

病気になってからではなく、元気な時からプロバイオティクスをとっておくと腸炎、風邪などを予防できるかを検討した報告があります。

(Citation: Laursen RP et al. Probiotics and Child Care Absence Due to Infections: A Randomized Controlled Trial. Pediatrics. 2017 Jul 3. pii: e20170735. doi: 10.1542/peds.2017-0735. )

290人の乳幼児(平均10ヶ月)を2つのグループに分け
・ビフィズス菌と乳酸菌を毎日6ヶ月間内服
・プラセボを6ヶ月間内服
を比較しています。

下痢の回数、期間
肺炎、気管支炎
中耳炎
医療機関を受診した回数

その他20項目以上を比較検討しています

結果は、プロバイオティクスをとっている子供、とプラセボ(偽薬)をとっていた子供と、どの項目でも差がありませんでした。

残念ながらこの研究ではプロバイオティクスを毎日とっても、期待する効果はありませんでした。

プロバイオティクスに効果がないと結論づけるのは尚早で

6ヶ月間という限られた期間の問題か、
投与されたプロバイオティクスの種類の問題か、
プロバイオティクスの量が少なかったのか、
さまざまな要因があります。
今後の研究成果に期待したいところです。

 

(参考記事)

潰瘍性大腸炎、抗生剤内服療法。抗生剤内服で病状が改善。

幼少期の抗生物質投与、こんなにも影響するものなのか。炎症性腸疾患発症率との関連

潰瘍性大腸炎にプロバイオティクス(善玉菌)は効くのか|プロバイオティクス VSL#3が有望

まとめ
ビフィズス菌や乳酸菌などのプロバイオティクスを日常的にとっても、ウイルス性腸炎や熱のかぜを予防するほどの効果は得られませんでした

大腸がん検便検査(便潜血検査)『陽性』を放置するリスクを計算してみた

診察で
「職場の健診でコレステロール高かったのですが、最近外食多くて」
「肝臓ひっかかったのは、お酒ですかね」
など話しながら持ってこられた健診結果を見せてもらうと、コレステロール値や肝機能の数値はさておき、
放置されている「便潜血の陽性」要精密検査の文字を偶然に見つけることがあります。

結果が
便潜血反応(+)(-)

便潜血-/+
と地味です。

目立たない表記なので読み飛ばされていることもしばしばです。

職場によっては、結果説明を受けず、検診結果が郵送でとどくため、結果をよく見ず放置されていることもあります。

便潜血検+は、便が通る大腸もしくはお尻からの出血があったことをあらわします。
痔から出血があっても陽性となります。
痔からの出血だろうとの自己判断で放置されていることもあるでしょう。

身近な話題であるコレステロールや肝機能への関心は高いのですが、便潜血検査の結果をスルーしているかたが多いのが気になるところです。

大腸がん検便検査は、容器に2回便を取ってだすだけの、実に簡単な検査です。
便に混入した、目に見えない微量の血液を検出します。

簡単な検査ですが、大腸がん便検査は、大腸がん死亡率を下げることが証明されています。

便潜血検査が『陽性』だった時に、どれぐらいの頻度で大腸がんが見つかるのかご存じでしょうか?

・5%です。

5%と聞くと少なく感じるかもしれませんが、
20人に1人大腸がんが見つかります。
便潜血検査陽性を放置することが、いかに危険なことかわかります。

以下、データからの計算です。
消化器がん検診全国集計の結果がインターネット上に公開されています。
Citation: 平成25年度消化器がん検診全国集計(日本消化器がん検診学会全国集計委員会

このデータから、便潜血検査陽性のうちどれぐらいの割合で大腸がんが見つかるか計算できます。

検診受診者数 2,925,315人
要精密検者数 200,280人
精密検査受診者数 113,241
大腸がん 5071人

精密検査を受けた人のうち大腸がんが見つかった人の割合
5071÷113241=4.47%
便潜血検査の陽性的中率 4.47%です。

便潜血陽性であった人のうち、精密検査を受けた人の割合
113,241÷200,280=56.54%
6割の人しか精密検査を受けていないようです。
40%の人は、放置していることが全国調査の結果からわかります。

まとめ
便潜血検査『陽性』のとき、
20人に1人の高率で大腸がんが見つかります。

便潜血検査『陽性』は痔からの出血だろうと自己判断せず、大腸カメラによる精密検査を受けることが大切です。

参考記事

・便潜血検査の効果|大腸がん検便検査で3割も大腸癌死亡率が下げられる

熱中症が一番多いのは8月ではない

まだ7月なのに、過ごしづらい日が続いています。
西宮市、昨日の最高気温は29度、
今日の最高気温は31度、真夏日の予測です。

熱中症が一番多いのは8月ではなく7月です。

(引用:総務省消防庁平成27年の熱中症による救急搬送状況)

夏から連想するのは
蝉の声
夏の甲子園
うだるような暑さ

日本の、うだるような8月です。

熱中症は8月は非常に多いのですが、真夏よりも多いのが実は7月なのです。

急激に上がる温度に体が順応していないのが一因です。
急に気温があがるものの、体が暑さに不慣れで順応できていないのが7月です。

どんな人が熱中症になりやすかを調べた研究があります。
(Citation: Gardner J et al. Risk factors predicting exertional heat illness in male Marine Corps recruits. Med Sci Sports Exerc. 1996 Aug;28(8):939-44.)

軍隊に入隊した新入隊員訓練と熱中症の検討です。

熱中症になりやすいのは
・太っていて
・持久力がない人
です。想像通りの結果ではありますが。

特に肥満度BMI(Body mass index)が26を越すと要注意です。
BMI22になる体重が標準体重です。

暑さに弱い、太っていて、持久力がない方でも対策はあります。

この新入隊員訓練の最初には、熱中症のリスクが高かった、太っていて、持久力がない人も3ヶ月の訓練後には見違えるように暑さにつよくなります。

3ヶ月の訓練後には、たとえ太っていても、持久力がなくても、熱中症にかかりにくくなります。

トレーニングすれば、からだが暑さに慣れるのです。

(Wallace R et al. Risk factors for recruit exertional heat illness by gender and training period. Aviat Space Environ Med. 2006 Apr;77(4):415-21.)

話もどります、
暑さに体が慣れていない7月は熱中症になりやすいので、十分な睡眠、十分な水分補給をして過ごしましょう。

熱中症予防にスポーツドリンクがよいと思い込んでいる人いるようですが、スポーツドリンクには多量の糖分が入っていますのでご注意ください。

参考記事
・スポーツドリンクに含まれる糖分

・スポーツドリンクの取りすぎにご注意

熱中症予防に必要なのは、水分、ミネラルです。
そして、少量の糖分です。
ジュースのような多量の糖分は不要です。

 

B型肝炎ワクチン、2種類の違い| ヘプタバックスとビームゲン

昨年秋(2016年10月)からB型肝炎ワクチンが定期接種化されました。

参考記事
・なぜ必要なのか。B型肝炎ワクチン、ユニバーサルワクチネーション

・予防接種、ユニバーサルかセレクティブか、それが問題だ

・B型肝炎ワクチン、サクセスストーリー

B型肝炎の主な感染経路はお母さんから子どもへの、母子感染でした。

母子感染の予防のため、
お母さんがB型肝炎キャリアーの時、
出生と同時に赤ちゃんにB型肝炎ワクチンとガンマーグロブリンを接種しています。
1986年からはじまったB型肝炎母子感染防止事業で、
B型肝炎の母子感染は激減、
ほぼゼロとなっております。

しかし、
B型肝炎は、垂直感染である母子感染以外に、
父子感染、性感染としての精液体液を介した感染経路があります。
さらには、どこから感染したか不明な水平感染もあります。

感染力の強いB型肝炎にたいする、
最良の感染予防がワクチンです。

B型肝炎ワクチンには
ビームゲン
ヘプタバックス
2種類あります。

B型肝炎には、AからH、8種類のジェノタイプがあります。
同じB型肝炎ウイルスでも少しずつ形が違い、これがジェノタイプとよばれる分類です。

どのジェノタイプをもとにワクチンを作成したかの違いが、
ビームゲンとヘプタバックスの差です。

ビームゲンはジェノタイプC株をもとにつくられています。
ヘプタバックスはジェノタイプA株をもとにつくれています。

どちらのB型肝炎ワクチンでも普遍性があり、
どちらを受けても全てのタイプのB型肝炎に効果があります。

ビームゲン、ヘプタバックス
どちらのワクチンを選んでも、
同じ効果が得られます。

B型肝炎ワクチンは3回接種します。
大原則として、1回目をビームゲンを受けたら、2回目、3回目もビームゲン。
1回目ヘプタバックスを受けたら、その後もヘプタバックスです。

以下例外的な話です。

さまざまな状況でワクチン流通が滞ることがあります。
去年ビームゲンが欠品となり手に入らない時期がありました。

そのようなやむを得ない場合1回目と異なるので2回目、3回目受けても抗体価はちゃんとあがるのでしょうか?

これに対する答えが厚生科学審議会で議論すでにされ、結論がでています。

答えは、ワクチン種類が途中で替わっても抗体価十分にあがります。

(引用:第16回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会)

ヘプタバックスとビームゲンは互換性がある(interchangeable)ので、2回以降の接種ワクチンが変わっても大丈夫です。

研究ではさまざまな接種で抗体価があがるか確認しています。
・ビームゲン→ヘプタバックス→ビームゲン
・ヘプタバックス→ビームゲン→ビームゲン
・ヘプタバックス→ヘプタバックス→ビームゲン

いずれの順で接種しても抗体十分に抗体があがり効果があることが、研究で明らかにはなっています。

当院ではビームゲンを使っておりましたが、
現在はヘプタバックスを使っております。
効果に差がないのでどちらを使ってもよいのですが、流通が安定しているヘプタバックスを採用しています。

B型肝炎はウイルスは血液だけでなく、涙、唾液、尿からも検出されます。

母親からの垂直感染だけでなく、どこから感染したかわからない水平感染もあり、ワクチンで予防が大切です。

自転車通勤は死亡率を下げる

座りっぱなしの生活が病気を増やしてしまうのは明らかです。
大腸がんも運動が予防になります
参考記事
運動で大腸がん予防|運動と大腸がんの関係

私は3ヶ月前から、
西宮市ドック読影など外勤のときは、
車での移動をやめ、
自転車で移動しています。
最近は車を使わない生活励行中です。

運動が体に良いのは分かっている。
でも、仕事で疲れて家に帰ってきてから、毎日ウオーキングに出かけるのは続かないものです。

糖尿病や高血圧を治療中の方には、通勤に二駅手前で降りてウオーキングを取り入れることを勧めています。

阪急甲東園駅が最寄りであれば、二駅前の西宮北口駅で降りて、二駅分の30分弱歩いて帰るだけで、週2時間以上ウオーキングができます。

通勤手段と健康に関することは海外でも関心が高いようです。

車通勤、徒歩通勤、自転車通勤
どれが、心血管疾患やがんを予防して、長生きできるか調べた研究があります。

英国での前向きコホート研究(prospective cohort study)です。
コホート研究ですので結果は客観性があります。
(Citation: Carlos A et al. Association between active commuting and incident cardiovascular disease, cancer, and mortality: prospective cohort study. BMJ. 2017 Apr 19;357)

26万3450人の参加者を
車や公共の移動機関(non-active)
徒歩通勤
自転車通勤
に分けています。

車や公共の移動機関で通勤する人と比べ、
自転車通勤は死亡率を相対危険度で59%
心筋梗塞などの心血管系の病気は48%に低下します。

自転車での通勤で、死亡率、心筋梗塞などの心血管系疾患の病気が半減するのです。

徒歩での通勤も、かなり効果あります。
死亡率はさがらないながらも、心筋梗塞などの心血管系の病気が36%減ります。

自転車での通勤効果絶大
徒歩での通勤もよし
という結果です。

さまざまな交絡因子を含め、国によって通勤事情はかなり異なるので、英国の話をそのまま日本に当てはめることとはできませんが、『Active commuting』体を動かすことが良いのは間違いありません。

むりのない範囲で、通勤手段を徒歩や自転車にかえてみてはどうでしょうか。

アスピリンに大腸がん予防効果あり

食生活の欧米化やライフスタイルの変化で大腸が増えています。
大腸カメラによる早期発見、早期治療が大原則ですが、病気になる前の予防ができれば理想です。

誰もが知っている薬『アスピリン』が大腸がん予防になるのです

アメリカにはアスピリン愛好家が多いそうです。
何か困ったことがあれば『アスピリン』

頭痛に『アスピリン』
肩こりに『アスピリン』
二日酔いに『アスピリン』
さらには
なんかしんどいので『アスピリン』
天気がわるいので『アスピリン』これは冗談
ぐらいの軽い感じで

アスピリンを定期的に服用するアメリカ人女性、82,911人
アスピリンの服用量
アスピリンの服用期間
大腸癌の予防効果
を調べた結果

アスピリンが大腸癌予防に効果があることが明らかになりました。

すばらしいこの結果には、話の続きがあります。

(Citation: Andrew T et al. Long-term Use of Aspirin and Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs and Risk of Colorectal Cancer. JAMA. 2005 Aug 24; 294(8): 914–923)

10年以上の期間アスピリンを1日2錠錠(用量にして325mg)以上のみつづけた女性は、のまない女性に比べ、大腸癌は約半分(49%)にまで減りました(相対リスク0.51)

しかし1日1-2錠程度の服用だと、大腸がん予防効果は激減、わずか19%減るだけでした(相対リスク0.81)。

参考までに、脳梗塞や心筋梗塞予防で服用するバイアスピリンの1日量は81-100mg程度です。
その用量と比べると、癌予防効が最もえられた、バイアスピリン1日325mgは結構な量です。

アスピリンを服用している期間も大切で、10年以上服用して効果がでてきます。

アスピリンを時々のむ程度では効果がなく、ある程度以上の投与量、投与期間が必要でした。

アスピリンを服用する負の効果として、消化管出血があります。アスピリン服用量が増えると、消化管出血のリスクも増えてしまいます。

まとめ

・アスピリンには大腸がんを予防する効果あり
・10年以上、1日アスピリン325mgと結構な服用量、服用期間が必要
・アスピリンで消化管出血の副反応が増える

副反応、服用期間、服用量を総合的に判断すると、副反応が癌予防のメリットよりも大きくなることがあり、気軽にアスピリンを大腸がん予防のために服用するのは、現段階では推奨できない印象です。

今後の展望および期待

低~中リスクである、大腸腺腫保有者や大腸ポリープを切除したことがある方へのアスピリンの大腸がん予防効果を調べるJ-CAPP2研究
さらには、
高リスクである、家族性大腸腺腫症の方へのアスピリンの大腸がん予防効果を判断するJ-FAPP4研究やCAPP3研究が進行中です。

現在進行中の研究で予防効果が明らかになれば、大腸腺腫や大腸ポリープを切除したことがある人は癌予防にアスピリンするべきなど、
アスピリンの位置づけが大きくかわることもありえます。
これらの研究結果は2020年前後に判明します。期待がかかるところです。

大腸がん、大腸カメラで死亡率1/3に低下

食生活、生活習慣の変化にともない、大腸がんが増えています。
死亡率が女性で1番多いがんが大腸がんとなっています。
男性では肺がん、胃がんについで3番目です。

高脂肪食、喫煙、アルコールなどが大腸がんのリスクを高めることが分かっています。
欧米型の高カロリー高脂肪食から、和食に近い食生活にかえる、
禁煙、アルコールをひかえることが、がんの予防につながります。

生活スタイルの改善とともに重要なのが大腸内視鏡での大腸チェックです。

大腸内視鏡検査を受けることで、どれぐらい大腸癌を予防できるかを、
22年間という長期にわたり調べた結果があります。

(Citation: Nishihara R et al. Long-term colorectal-cancer incidence and mortality after lower endoscopy.N Engl J Med. 2013 Sep 19;369(12):1095-105)

22 年にわたり追跡した88,902人を、
大腸カメラを受けたか、受けていないか含め精緻に調査、
大腸癌の死亡率を比較しています。

内視鏡検査をうけることで、大腸癌の早期発見により予防につながります。
その効果がすばらしい。

スクリーニング大腸内視鏡検を受けている人のハザード比は0.32(95% CI 0.24~0.45)
、受けていない人を1とすると内視鏡検査を受けている人が0.32と大腸癌死亡が減少しています。

大腸カメラをうけることで、7割も大腸がん死亡率が下がるのです。

さらに細かく結果をながめみると、
内視鏡検査受けて大腸ポリープを切除した人、検査をうけていない人と比較すると、
大腸がんの多変量ハザード比0.57(95%CI 0.45~0.72。

大腸ポリープを切除することで大腸がん予防になる。
大腸ポリープを切除することで、死亡率が半分に下がるのです。

参考記事
・大腸内視鏡検査が大切な2つの理由|大腸がんの早期発見、大腸がんの予防
・予防医学的観点からの大腸内視鏡検査|大腸ポリープを内視鏡で切除することで大腸がんが予防できる

大腸内視鏡検査で大腸全て(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸)を検査するのは大切です。
しかし、大腸内視鏡は技術的に難易度が高く、検査を施行する医師の熟練を要する検査です。
そのため、全大腸内視鏡検査は難しので、簡易検査としてS状結腸までを検査するS 状結腸鏡検査(直腸、S状結腸)を検診として活用していた時代があります。
現在あまりS状結腸鏡検査は行われませんが。

全大腸を調べる検査
S状結腸までだけを調べる検査

この効果も調べています。
全大腸内視鏡検査は、近位大腸(おしりからみて奥の大腸)、遠位大腸(おしりから近い大腸、直腸、S状結腸)ともに、癌は低下
一方、
S 状結腸鏡検査、近位大腸(おしりからみて奥の大腸)の癌は減らず、
遠位大腸(おしりから近い大腸、直腸、S状結腸)の癌は低下

内視鏡でチェックしたところは、癌の予防につながるのです。

S状結腸鏡検査では不十分、大腸検査は、全大腸内視鏡検査であることが大切です。

食生活含めた生活習慣の改善、大腸内視鏡で予防できるのが『大腸がん』です。

まとめ
大腸カメラを受けることは、大腸における究極の予防医学
大腸カメラで大腸ポリープを切除することで大腸がん減る

サプリメントで寿命はのびるのか

当院は消化器内科を専門としているので
患者さんからの相談で

「ピロリ菌調べた方がいいですか」
「大腸カメラ何歳から受けたらいいですか」
など胃腸に関わる相談は多いのですが

それとならんで、多いのが

「サプリメント飲んだ方がいいでしょうか」
とサプリメントやビタミンに関する相談です。

健やかに過ごしたいのは万人の望みです。
何かよいものがあれば、と思うのは当然です。

往年の名優が、サプリメントを愛用していると聞けば、期待する対象がサプリメントやビタミンに向かうのは当然です。

『サプリメント』
必要かどうか、判断する一助となる客観的に効果を判断したメタアナリシスの結果を紹介いたします。

情報があふれている時代、どのような情報を信用すればいいのでしょうか。

グーグルで「サプリメント」と検索すると
75,900,000 件
ヒットします。
その検索のトップページ、11記事のうち10記事はサプリメント通販サイトです。

サプリメントが必要かどうかgoogleの検索結果では判断つきません。

では、サプリメントを飲んでいる人に、感想を聞くといいでしょうか?

極めて主観的な答えが返ってくるだけです。

参考にするべきは、ランダム化比較試験(ランダムコントロールスタディ)、RCTです。

ランダム化比較試験とは、サプリメントを飲んだ人、飲まなかった人の2群に分けて、その効果を調べた検討結果です。

参考記事
マルチビタミンの心筋梗塞再発予防効果

医者が認知症予防のため12年間マルチビタミンを飲み続けた結果

ランダム化比較試験の結果だけでも十分です。

が、念には念をいれるため、ランダム化比較試験を複数集めてさらに吟味したのがメタアナリシス(meta-analysis)です。

サプリメントの効果をメタアナリシスしたものがあります。

Citation: Bjelakovic Goran et al. Mortality in randomized trials of antioxidant supplements for primary and secondary prevention: systematic review and meta-analysis. JAMA. 2007 Feb 28;297(8):842-57.

16,111本の抗酸化作用を有するサプリメントと消化器系がんに関連に関する研究報告から、68本のランダム化比較試験を抽出して詳細に検討しています。

ランダム化比較試験1本だけでも、ものすごい情報量なのですが、なんと68本ものランダム化比較試験を検討しています。

サプリメント群の死亡率への効果は
1.02; 95%CI, 0.98-1.06)

ランダム化比較試験全体のデータを合わせて効果を検討した結果は、サプリメント服用群と服用していない群で死亡率に差はありませんでした。

サプリメントで寿命のびない、という結論です。

話はここで終わらず、

βカロテン RR1.07
ビタミンA RR1.16
ビタミンE RR1.04

βカロテン、ビタミンA、ビタミンE服用では死亡率がアップした。
脂溶性ビタミンの長期服用には注意が必要です。

まとめ
抗酸化作用を有するサプリメント服用することで、寿命がのびることはなかった。

逆に、βカロテン、ビタミンA、ビタミンE服用では死亡率がアップしたので、ビタミンAやEなどの脂溶性ビタミンの長期服用には注意が必要です。

参考記事
・心筋梗塞再発が、ビタミンで予防できたか
・医者が認知症予防のため12年間マルチビタミンを飲み続けた結果