旅行とロングフライト症候群(深部静脈血栓症)
いわゆるエコノミークラス症候群についてのお話です。
エコノミークラスだけでなく、
ビジネスクラスの利用でも起こりえますので、
エコノミークラス症候群と呼ぶのは間違いですが、
閉鎖空間で長時間過ごすときに起こる病気というイメージは惹起されますよね。
正式病名は「深部静脈血栓症」です。
飛行機の中だけでなく、
長期間の車中泊などでも起きます。
被災後の車中泊でも起こることが話題になったのは
記憶に新しいところです。
連載第2回
ロングフライト症候群を予防する方法
今や、日本から年間1600万人が海外旅行に行く時代。
ヨーロッパやアメリカなど、
6時間以上の空の旅にでかける人に気をつきえてほしい
「ロングフライト症候群」についてお話します。
Q ロングフライト症候群とは何ですか?
A 医学的には「深部静脈血栓症/肺塞栓症」といいい、
足(下肢)にできた血の塊(血栓)が静脈に乗って肺へ運ばれ、
肺の血管が詰まる状態です。
長時間、狭い場所で同じ姿勢を続けることや、
脱水が主な原因となります。
足の痛み、足がつる、胸の痛み、息苦しさなどがある他、ショックや突然死の原因にもなります。
自覚無く数日経ってから発症することもあり、
注意が必要です。
かってはエコにミークラス症候群とも呼ばれましたが、
ビジネスクラス、
ファーストクラスの利用者はもとより、
男女を問わず、
若者から高齢者まで、
すべての人におこり得ます。
飛行機だけでなく、悪条件下の車中泊でも起きます。
Q 病気療養中で心配です。
A 40歳以上、肥満、糖尿病、経口避妊薬(ピル)を含むホルモン療法中、妊娠・出産後、6週間以内に大手術(脳外科、心臓外科、整形外科、婦人科、泌尿器科手術等)をした人、がんなどの人は、症状が出やすいので配慮を。念のために主治医に確認を。
Q ロングフライト症候群にならないためには?
A 機内での過ごし方に予防の予防のコツがあります。
4つの方法を紹介します。
1.長時間、同じ姿勢で座らない
狭い空間で座り続けると静脈内で血流が停滞し、血液の粘度が上昇して「血栓」ができます。それを防ぐため、
・1-2時間ごとトイレなどへ席をたつ。
・つま先の上げ下げ、足首回し、屈伸運動をする。
・足を組まない、
といったことを心がけてください。
2.水分補給
一般的な飛行機の機内湿度は10-20%。
サハラ砂漠並みに乾燥しています。
座っているだけでも、1時間に80mlの水分が体内から自然に蒸発するので脱水の予防を。
・ミネラルウオーターを飲む。
ハワイ行き約8時間で640ml(500mlペットボトル1本強)、
ヨーロッパ行き12時間で900ml(同約2本分)が失われます。
・アルコールやコーヒーを飲み過ぎない。
利尿作用があり脱水の原因に。
無料サービスでも飲み過ぎないで。
3.睡眠薬を使わない。
自然な眠りで身体のサインに気づけるように。
4.ゆったりとした服装。
ベルトを緩めるなど。
私は関西国際空港からスエット上下姿で搭乗します(笑)。