月単位で知識、常識が変わっていく。
医学の進歩めざましいののがありますが、これほどまで劇的に治療法が進歩している分野すくないのではないでしょうか。
25年前にインターフェロンで始まったC型肝炎の治療、当時はとんど治らなかったのが、飲み薬だけで100%近く治る時代になってきています(C型慢性肝炎ジェノタイプ1b高ウイルス群の話です)。
C型肝炎には7つのジェノタイプがあります。ジェノタイプとは、同じC型肝炎ウイルスでも少しずつ型がことなり、それを分類したものです。
日本に多いのはジェノタイプ1bで80%を占めます。ジェノタイプ2aが10-15%、ジェノタイプ2bが5%と続きます。
困った事に日本で多いジェノタイプ1bがインターフェロン治療が効きにくい療抵抗性です。
ジェノタイプ1bの中でもウイルス量が多いタイプがさらに、治療困難です。
1b、高ウイルス撲滅を目標に治療が進歩してきたともいえます。
ジェノタイプ1b、高ウイルスのC型肝炎の歴史的な経過
1992年
C型肝炎にインターフェロンが効くことが分かり、懸命に治療取り組みました。2型にはある程度効くのですが、治療効果2-5%と1b高ウイルスのC型肝炎にはほとんど効かない状況でした。
2001年
抗ウイルス薬であるリバビリンとインターフェロンを併用することにより、20%、5人に1人効く時代になりました。
インターフェロン単剤ではほとんど効果が得られなかった時代に比べると格段に治療方が進歩しました。
2004年
インターフェロンは効果が持続しないので、毎日注射する必要がありました。インターフェロンにPEG(ポリエチレングリコール)を付けることで非常にインターフェロンの効果が長続きする製剤が使えるようになりました。
PEGインターフェロンを週1回注射と高ウイルス薬リバビリンを併用で治療効果50%、2人に1人治る時代に突入です。
2012年
C型肝炎ウイルスのNS3/4Aプロテアーゼというウイルスが増えるために必要な部位に効く特効薬の登場です。
PEGインターフェロン、リバビリン、NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、3剤併用で80-90%と多くの方が治る時代になりました。
2014年~2015年
インターフェロンを使わない、経口治療薬(DAAs Direct Acting Antivirals)が使えるようになりました。
飲み薬だけで治療できる上に、インターフェロンを使った従来の治療方よりも効果が高いのです。いい話ばかりではなく、薬の耐性などこれから検討されるべき点はあります。
昨年秋保険適用となったダクラタスビル、アスナプレビルの経口2剤内服で治療効果95%以上。(商品名、ダクルインザ、スンベプラ)覚えにくいですね。
ソフォスブビル、レディパスビルの経口2剤が、つい先日保険適用となりました。治療効果95-99%と驚異的です。(商品名、ソフォスブビル、レディパスビルの合剤がハーボニー)
もうすぐ保険適用予定の
バリタブレビル、リトナビル、オムビタスビル経口3剤(商品名ビーキレックス)薬全てが○○ビルで、薬の名前覚えるのだけでもたいへんです。
海外ですでにすばらしい治療効果が確立されている、待ちに待った治療薬が使えるようになり、いよいよC型肝炎治療は最終コーナーにさしかかっています。
補 足)文中で分かりやすく表現するために「効果」「効く」と表現しているのはSVRのことです。SVRとはsustained virological responseの略で治療後6ヶ月経過しても、血中HCV-RNAが検出されない(血中にC型肝炎ウイルスが検出できない)状態のことです。