テレビやラジオCMで健康食品のコマーシャルがあふれ、巷では糖質制限食をはじめ、さまざまな食事法が流行しています。さらに最近は、高濃度水素水が美容と健康に良いとネット上で話題になっているそうですが、これはいかにもあやしい感じです。
糖質制限に関しては糖尿病の患者さんが取り組むと劇的に血糖値が改善するのは確かです。しかし炭水化物を一切取らない過剰な糖質制限が長い目でみた時に体にどのような影響をおよぼすかまだ結論がでていませんので、マイルドな糖質制限ぐらいにとどめておいたほうがよいかもしれません。
どのような食事、どのような生活習慣が、がんや病気を予防できるか諸説あり結論は出ないのですが、2015年にThe American Journal of Clinical Nutrition雑誌に発表された興味深いデータがありますので紹介いたします。
Geoffrey C Kabat et al. Adherence to cancer prevention guidelines and cancer incidence, cancer mortality, and total mortality: a prospective cohort study. Am J Clin Nutr. 2015 Mar;101(3):558-69.
健康調査に参加した56万人を平均13年間におよび、発がん率、がん死亡率を詳細に検討した報告です。アメリカがん予防学会の提唱する、がん予防のための食事、運動ガイドラインに従った生活をしているか、逆にいかにガイドラインから逸脱した生活をしているかを調べ、どのような生活ががんを予防して、死亡率を下げるか報告されています。
アメリカがん予防学会の提唱する、がん予防のための食事、運動ガイドライン(ACS Guidelines on Nutrition and Physical Activity for Cancer Prevention)は、かなり細かい内容なのですが、抜粋すると
太りすぎない
アルコールは一定量以下
運動は1週間トータルで150分以上の中等度の運動もしくは75分以上の少し運動強度を高めた運動
横になってテレビを見過ぎない
フルーツと野菜をとる
牛肉をひかえる
その他、日本ではあまり強調されていない点ですがprocessed meat加工されたお肉、すなわちハムやソーセージをひかえる
などの内容です
アメリカがん予防学会の提唱する理想の食事、ライフスタイルを過ごした人、かけはなれた人を比べると、予想通り死亡率が男性0.74 女性0.67へ低下しました。
すなわち、誰もが想像する、太りすぎない、適度な運動、野菜をとり、お肉をひかえる食事は間違っていなかったのです。
さらに話は続きがあり、食事、運動、タバコ、飲酒それぞれの因子について評価してあります。
やはり一番病気に大きく関わる因子はタバコでした。しかし、タバコの影響を取り除いた上で評価しても、運動、食事内容など生活習慣が、発がん、寿命に大きく影響していることがわかります。
運動に関しては、全くしないより、週1-2回でもする方がよい。
週1-2回より3-4回する方がよい。
でも、毎日運動するのと、週3-4回の比べてもその差はないところが興味深いところです。
運動はどうしたらいいですかと聞かれたら
運動はした方が良いのは明らかです。
週何回ぐらいが良いのですかと聞かれたら
週3回以上運動できれば理想ですね。
というところでしょうか。
最大の健康リスクはタバコであることは明らかですが、
喫煙者に一つよい話としてはタバコをやめて5年経つと病気のリスクは相当下がるので、やめる価値はあると言うことです。
極端な制限食に取り組まなくても、適度な運動、お肉をひかえるなど簡単に取り組める生活習慣の改善で病気のリスクを下げることができるものです。
ハムやソーセージなど加工されたお肉を食べ過ぎないことも覚えておいてもいいでしょう。