好評のアルコールシリーズ続編です。
アルコールは、百薬の長「ほどほどのお酒は、ストレス解消にも、体にもいい」と言われているがどうなのだろう。
僕も患者さんに聞かれ「タバコは1本吸ったら1本分害があるからダメ、アルコールは適量なら肝臓で十分に分解できるのでOKですよ」と言っていました。
でも、この後半部分を今後は改める必要あるかもしれません。
アルコールが百薬の長であれば、Jカーブを呈することになる。
Jカーブとは、Jの形が示すように、
Jの左端すこし上がったところが「飲まない人」 「中」
Jの下の一番下がったUの部分が「適量のアルコールをのむ人」 「低」
Jの右I字型に上がる部分が「大酒する人」 「高」
もし、アルコールと健康の関係を調べて
「飲まない人」病気は少ない、
「適量飲む人」は「飲まない人」よりもさらに病気が減る
「大酒する人」は病気が増える
となれば、
少量のアルコールは寿命を延ばし、飲み過ぎると当然のことながら短くなる、Jカーブを形成することとなる。
運動と健康の関係はJカーブを描きます。
「全く運動しない」よりも、「適度な運動」は寿命を延ばします。しかし過ぎたるは及ばざるがごとしで「過剰な運動は」逆に病気のリスクを高めてしまいます。
お酒は飲み過ぎると、血圧を高くして、脳梗塞のリスクが高くなることが知られています。これは厳然とした事実ですが、もし適度なお酒が百薬の長とすれば、少量のお酒は脳梗塞を減らし、Jカーブを描くことになります。
これを調べた結果がStrokeという脳卒中専門医学誌に報告されています。
45~64才、12,433人を平均22年間、脳梗塞の発症率とアルコール飲酒量の関係を調べています。
グラフの左端が「飲まない人」
真ん中が「適量のむ人」
右側が「大酒する人」
愛酒家の期待する結果は、真ん中「適量のむ人」のリスクが下がるJ字型のグラフなのですが、右上に直線的に上がっていく曲線を描いています。
少量のアルコールは百薬の長ではなく、飲まないのが一番体によいと、
身も蓋もない結果でした。