添付文書と現実のはざま、臨床現場の悩み。潰瘍性大腸炎治療中の授乳

授乳中の薬についてのお話です。

胃薬やアレルギーの薬であれば、同じような作用を持つ薬が多数あります。多種ある中から母乳に移行しない薬を選んで処方することができます。

では、薬の種類が限られている時はどうでしょう。
消化器内科を専門としていますので、潰瘍性大腸炎(難病指定)の患者さんも通院されています。
治療の中心となる薬はペンタサやアサコールなどの5-ASA製剤です。

潰瘍性大腸でペンタサ内服中、授乳はどうしましょう?

ペンタサの添付文書にはこう書かれています。

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(写真:ペンタサ添付文書)

「授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむ
を得ず投与する場合は授乳を避けること。
ヒト母乳中へ移行することが報告されている。」

母乳中へペンタサが移行することが報告されている
だから、授乳を避けること
と判断しているのが、添付文書です。

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(引用Christensen LA et al. Disposition of 5-aminosalicylic acid and N-acetyl-5-aminosalicylic acid in fetal and maternal body fluids during treatment with different 5-aminosalicylic acid preparations. Acta Obstet Gynecol Scand. 1994 May;73(5):399-402.)

添付文書で授乳を避けることになった根拠の論文を読むと、
確かに5ASA製剤は母乳に移行するようです。
しかし、その量となると、
ペンタサなど5ASA製剤を服用中お母さんから、赤ちゃんが母乳を1L飲んでも15mg以下の摂取量にしかならない、と記載されています。

お母さんの服用量のわずか1%程しか母乳に移行しないことになります。
添付文書で授乳を避けることと記載される根拠の論文の最後に
「pure 5-ASA preparations in conventional doses is without risk to the fetus and the newborn.」
通常量の5ASA製剤を服用では、新生児にリスクがない、
と結論づけています。

添付文書では「授乳を避けること」
その根拠となった論文では「授乳は新生児にリスクがない」
と真逆です。

 

添付文書を遵守すると、授乳を避ける、となります。
臨床的判断すると、授乳は問題ないと、なります。
診察の場で、添付文書と臨床的判断の狭間に立たされること、多いものです。
添付文書通り「授乳はダメ」とだけ言い放つのは、お母さんの気持ちを考えると、できることではないですよね。
こんなとき、ボクは、添付文書もちろん重視しますが、臨床的判断も含めて患者さんに伝えるよう、心がけています。

授乳するかどうか最終的には個人の判断になりますが、5-ASA製剤内服中の授乳、リスクは極めて低いと考えています。

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