過剰な糖質制限。考えさせられる論文があったので紹介いたします。
子供が「糖質制限」をしたらどうなるか。
を調査した報告です。
Groesbeck DK et al. Long-term use of the ketogenic diet in the treatment of epilepsy. Dev Med Child Neurol. 2006 Dec;48(12):978-81.
先に結論書いておきます。
特殊な事情がある場合を除き、低身長や骨折など副作用があるので子供には「糖質制限」勧められないと言えるでしょう。
特殊な事情とは、てんかんの治療として、炭水化物を制限するケトン食療法を行う場合です。ケトン食療法は薬の効かないてんかんに有効な治療方で、この報告でも90%以上の改善効果が得られています。この場合は、てんかん治療の効果のメリットが食事制限のデメリットをうわまわると判断されれば取り組む価値あります。
ダイエットや糖尿病改善のため、炭水化物を一切食べない食事に取り組んでいる方、外来で結構お会いします。
確かに、糖尿病の患者さんが「糖質制限」をすると、糖尿病の治療効果を判定する指標であるHbA1c値は下がりますし、体重もへります。
糖質制限は、動脈硬化をすすめるという報告と、いや動脈硬化を抑えるという報告、両論あります。
長期予後(糖質を制限すれば寿命がのびるかどうか)に関しては結論がまだでていません。
6~12年間ケトン食療法(糖・炭水化物を減らし脂肪を増やした食事)りを続けた小児を調べたら、
コレステロール値、LDLコレステロール値、アポリポ蛋白A1などは上昇するようです。
これはいいとして。
注意するべきは、
低身長12/28人4=42.8%
腎臓結石7/28人=25%
骨折6/28人=21.4%
です。
ケトン食療法を続けると、低身長、腎臓結石、骨折などの副作用が一定率で起きることが分かったのです。
特殊な事情(てんかんの治療には有効)を除き、糖・炭水化物を減らし脂肪を増やした食事は子供にはすすめられない結果です。
大人がダイエット目的で糖質制限するのはよく聞く話なのですが、糖質制限するこどもがいるのかネットを検索すると
あまたの数検索にかかります。
糖質制限して「こどもの気性が穏やかになった」などの記載があることに驚きました。
小児の過剰な糖質制限には一定率の副作用がともなうので、やめましょう。
大人の場合は、ほどほどに、と言う感じでしょうか。