ドックや市検診で行われている、便をとるだけの簡単な検査「大腸がん便検査」「便潜血検査」の効果についてお話です。
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大腸がん検便検査はどんな検査。便潜血検査を受ける意義
便を専用容器にとって提出するだけの簡単な検査です。
大腸がん検便検査、非常に簡便な検査ですが、便潜血検査には、大腸がん死亡率を低下させる十分な証拠がありあす。
ミネソタ大腸がん対照試験とよばれる30年間にもおよび大腸癌の死亡率を評価した研究があります。
Aasma Shaukat et al. Long-Term Mortality after Screening for Colorectal Cancer. N Engl J Med 2013; 369:1106-1114September 19
50~80才の46,551人 を対象として
コントロール
年1回便潜血検査受ける人
2年に1回便潜血検査を受ける人
にわけて
30年間、大腸がん死亡率を比べています。
2年に1回便潜血を受けるだけで
相対リスク 0.78
2割も大腸癌死亡率低下
毎年大腸がん検便検査(便潜血検査)を受けるだけで
相対リスク 0.68
なんと、3割も大腸癌死亡率低下したのです。
採便するだけの簡単な検査ですが、効果絶大です。
もちろん便潜血検査を受けただけで、大腸癌死亡率が減ったのではありません。
便潜血検査で陽性となった人が大腸カメラなどで精密検査を受け、早期に大腸癌を発見、早い段階で治療に取り組めた結果、大腸癌死亡率が3割も低下したのです。
ドックで便潜血検査の結果が(+)でした。どうするべき。
・便潜血検査陽性 要精密検査
・便潜血検査 1回目(+)2回目(-) 要精密検査 と
要精密検査と指摘されたときはどうしたらよいでしょうか。
便潜血検査(+)をドックで指摘されました、
と外来に来られる方で、便潜血検査の再検を希望されることがあります。
便潜血検査の再検は行わず、
大腸カメラでの精密検査を行います。
なぜならば、再検して便潜血結果が(-)でも、大腸は大丈夫と全くいえないからです。
便潜血検査は、大腸ポリープや腫瘍、肛門部などからの出血が、たまたま便に付着したものをとらえているだけです。
ドックでコレステロール値高値を指摘されたのであれば、食生活改善の後に「再検」もいいでしょう。
しかし、便潜血検査(+)であった時の「再検」は意義がないといえます。
大腸がん検便検査が「陽性」であった時には、大腸カメラ検査が理想です。
まとめ
大腸がん検便検査(便潜血検査)をうけることは大切。
大腸がん検便検査が「陽性」であった時には、大腸カメラで大腸精密検査が必要。大腸ポリープを切除することで、大腸がん予防につながる。