主治医は40歳未満の若手医師がいいのか。担当医師の年齢が入院死亡率に影響|高齢医師より若手医師の方が入院死亡率が低い

「かかるなら若手医師に? 患者死亡率、高齢医より低く」
「ベテランの医師ほど腕がいい」医療のそんな“常識”を揺るがしそうな分析調査の結果が5月16日付の「英国医師会雑誌」(BMJ)に掲載された
「ハーバード大論文 主治医が高齢になるにつれ死亡率上昇」

インパクトのあるニュース見出しの数々。
British Medical Journalに掲載されている原著を読んで診ました。

大切な体をあずけるので、いい病院、いい医師にかかりたいと思うのは当然です。

この分析結果でセンセーショナルなのは、30日以内入院死亡率が40歳未満の若手医師の方が中高年の医師より低かったことです。
ここだけを切り取って解釈すれば、新聞の見出し
「かかるなら若手医師に? 患者死亡率、高齢医より低く」
の通りです。

この研究論文の意義を深く理解するためのキーワードは
「ホスピタリスト」
「high volume physician たくさんの患者さんをを診ている医師」
です。
そのあたり後ほどお書きします。

主治医が若い先生で大丈夫でしょうか、
と患者さんから相談されることはあっても
年配の先生が主治医で大丈夫でしょうか、
と聞かれることはなく

医療の世界では、無条件に年齢が「印象」としてプラスに働くことは確かです。

医療は経験含めた技術、知識の上に成り立っているので、年齢=臨床経験数とすれば、若い医師より年配の医師がよい、との構図になりえます。

そんな、イメージに一石を投じるのが、Physician age and outcomes in elderly patients in hospital in the US: observational studyの統計的研究です。

(Citation: Tsugawa Y et al. Physician age and outcomes in elderly patients in hospital in the US: observational study. BMJ. 2017 May 16;357)

736,537人の65歳以上の内科系疾患で緊急入院患者の予後(経過)調べ、
入院30日以内の死亡率を担当医の年齢で分けています

40歳未満の医師 10.8%
40歳~49歳の医師 11.1%
50歳~59歳の医師 11.3%
60歳以上の医師 12.1%

入院30日以内の死亡率が低いのは、若い担当医師となります。
そして、60歳以上の医師になると急に死亡率があがる結果でした。
この結果からセンセーショナルな
「ベテランの医師ほど腕がいい」医療のそんな“常識”を揺るがしそうな分析調査の結果が5月16日付の「英国医師会雑誌」(BMJ)に掲載された
の新聞見出しになっています。

担当医の年齢により、患者さんの予後に影響出た結果、正直なところ、特別に意外な感じはしません。

この差を、若い医師の方がガイドラインなど標準治療を遵守する傾向にある、高齢の医師ほど自分の経験則、悪く言えば我流の治療するからなどとの理由づけはできるかもしれません。本当の理由(交絡因子)は不明ですが。

情報化がすすみ、治療法が急速に進歩する現代は、年齢を重ねることで勝手に知識が蓄積されるとは限らないことを示しているのかもしれません。

冒頭に書いた話にもどります。
40歳未満の医師 10.8%
40歳~49歳の医師 11.1%
50歳~59歳の医師 11.3%
60歳以上の医師 12.1%
この入院30日以内の死亡率の差をみて、当然の質問があります。
それは
若い医者は、軽症の患者さんを担当
ベテランは、経験がある分若い医師より、重症の患者さんを担当
そしてこの差が、アウトカム(死亡率)の差に出ただけではないか
若い医師担当患者さんの死亡率が低いのは当然ではないか
という疑問です。

確かに担当する患者さんの重症度が異なれば、結果が異なるのは当然です。

そもそも、比較にならないのです。

この疑問を払拭するのが
「ホスピタリスト」
のキーワードです。

「ホスピタリスト」
日本にはないシステムです。
日本の医師は、外来診療、救急当直、入院患者の診察すべてを行います。
アメリカには、「ホスピタリスト」とよばれる、入院専門担当医師がいます。

分業化、スペシャリスト化がすすんだ、アメリカならではのシステムといえます。
アメリカンフットボールをイメージしていただければよいかもしれません。ポジションにより、ライン、クオーターバック、ランニングバック、ワイドレシーバーなど役割が完全に分担されています。

「ホスピタリスト」は入院担当のスペシャリストです。

入院治療を専門とする医師「ホスピタリスト」にしぼって、今回の検討はおこなわれています。

「ホスピタリスト」は勤務担当時の入院患者さんを担当します。
結果、若い「ホスピタリスト」には軽症患者を担当、ベテランの「ホスピタリスト」には重症患者さんを担当させるなどの、振り分けがおきません。

受け持ち患者さんの重症度が、ランダム化(無作為化)できているのです。

「ホスピタリスト」に対象を限定することで、
受け持ち患者さんの重症度によるバイアス(かたより)を排除できています。

この研究の価値(信憑性)をたかめているのは「ホスピタリスト」に限定して検討した点です。

担当医師年齢によるアウトカム(30日以内死亡率)の差も興味深いのですが、注目すべきは担当医の年間受け持ち患者数別に解析した結果です。

年間の担当患者数で、入院患者さんのアウトカムを検討しています。
・low volume physicians 90人未満
・medium volume physicians 90-200人
・high volume physicians 201人以上

年間担当患者数が少ない、low volume physicians 90人未満の医師では
40歳未満の医師 12.7%
40歳~49歳の医師 14.6%
50歳~59歳の医師 16.0%
60歳以上の医師 17.0%
と年齢層毎に大きな差があります。

一方
年間担当患者数が多い、high volume physicians 201人以上の医師では
40歳未満の医師 10.7%
40歳~49歳の医師 10.9%
50歳~59歳の医師 10.8%
60歳以上の医師 10.9%

年間担当患者数が多い医師では、死亡率が低い結果でした。
さらに、年齢層別で治療成績に差はありませんでした

高齢医師よりも若い医師の方が、入院患者のアウトカム(入院30日以内死亡率)がよい。
高齢でも若い医師でも、年間たくさんの患者さんを診ている医師は、治療成績がよい。

与える印象は年輩医師のほうが安心感あるかもしれませんが、
若い医者だからダメ、
年輩医師だから安心、
のような単純なものではないといえます。

この研究論文から、医師の年齢が入院患者さんの治療成績に大きな影響を与える印象ですが、
深く読むと、
重要なことは、
医師の年齢よりも
技量、知識を含めた総合的な経験値のような気がいたします。

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