患者さんから
「疲れやすいのでビタミンのんだ方がいいでしょうか」
「何か元気になるビタミンください」
よく相談されます。
この質問にきちんと答えるため、
ビタミンが体にいいことを示す客観的なデータがあるかどうか、関連論文を調べています。
ビタミンは残念ながら、心筋梗塞再発予防
に『無効』のようです。
参考記事「心筋梗塞再発予防に高用量マルチビタミンを5年間服用し続けた結果|ランダムコントロールスタディー(RCT)で明かされる高用量マルチビタミンの効果」
マルチビタミンは『認知症』の予防になるのか
では、ビタミンを飲んでいれば、『認知症』にならずに健やかに過ごせるのか。
マルチビタミンが認知症予防に効果があるかどうかを検討した報告を紹介いたします。
ビタミンには抗酸化作用など体にプラス作用があると期待されています。
認知症予防効果や如何に。
65才以上の男性医師5947人を対象にマルチビタミンの効果を調べています。
この研究がすばらしいのは、効果を厳密に評価するために、2群に分けています
1. マルチビタミンを服用群
2. マルチビタミンと思ってプラセボ(偽薬)を服用群
に分けて調べています。
しかも、ダブルブラインドです。
ダブルブラインドとは、この検討に参加したマルチビタミンを飲んでいる人は、本物のビタミンを飲んでいるかプラセボ(偽薬)を飲んでいるか知らない。
また、この検討をしている研究者自身も、誰が実薬(マルチビタミン)を飲んだのか、偽薬(プラセボ)を飲んだのか知りません。
これがダブルブラインドです。
効果を調べる時に、一番確かな検討方法は
・ダブルブラインド
・ランダムコントロールスタディー(RCT)無作為化比較試験
です。
ランダムコントロールスタディーとは、ある薬や治療を行ったもの行わなかったものの2群に無作為に分けて、どんな差がでるか時間をかけて調べる方法です。
ダブルブラインド・ランダムコントロールスタディーは、効果を調べるために最高の手法ではりますが、非常に時間と手間がかかるのが難点です。
さらには、2群に分けて効果を調べますので倫理的に出来ない場合もあります。
男性医師がマルチビタミンを12年間のみ続けた結果
マルチビタミンの効果を調べるために5947人の男性医師を2群に分けて(ダブルブラインド、ランダムコントロールスタディーRCT)
・マルチビタミン内服
・マルチビタミンと思って空の錠剤(プラセボ)
12年間、経過観察、認知機能を評価しています。
Citation: Francine Grodstein et al. Long-Term Multivitamin Supplementation and Cognitive Function in Men: A Randomized Trial. Ann Intern Med. 2013;159(12):806-814.
結果は、マルチビタミン服用群とプラセボに認知力の差はありませんでした。
まとめ
残念ながら、マルチビタミンには認知症予防効果ありませんでした。
参考記事
・心筋梗塞再発予防に高用量マルチビタミンを5年間服用し続けた結果|ランダムコントロールスタディー(RCT)で明かされる高用量マルチビタミンの効果