当院は消化器内科を専門としているので
患者さんからの相談で
「ピロリ菌調べた方がいいですか」
「大腸カメラ何歳から受けたらいいですか」
など胃腸に関わる相談は多いのですが
それとならんで、多いのが
「サプリメント飲んだ方がいいでしょうか」
とサプリメントやビタミンに関する相談です。
健やかに過ごしたいのは万人の望みです。
何かよいものがあれば、と思うのは当然です。
往年の名優が、サプリメントを愛用していると聞けば、期待する対象がサプリメントやビタミンに向かうのは当然です。
『サプリメント』
必要かどうか、判断する一助となる客観的に効果を判断したメタアナリシスの結果を紹介いたします。
情報があふれている時代、どのような情報を信用すればいいのでしょうか。
グーグルで「サプリメント」と検索すると
75,900,000 件
ヒットします。
その検索のトップページ、11記事のうち10記事はサプリメント通販サイトです。
サプリメントが必要かどうかgoogleの検索結果では判断つきません。
では、サプリメントを飲んでいる人に、感想を聞くといいでしょうか?
極めて主観的な答えが返ってくるだけです。
参考にするべきは、ランダム化比較試験(ランダムコントロールスタディ)、RCTです。
ランダム化比較試験とは、サプリメントを飲んだ人、飲まなかった人の2群に分けて、その効果を調べた検討結果です。
参考記事
マルチビタミンの心筋梗塞再発予防効果
医者が認知症予防のため12年間マルチビタミンを飲み続けた結果
ランダム化比較試験の結果だけでも十分です。
が、念には念をいれるため、ランダム化比較試験を複数集めてさらに吟味したのがメタアナリシス(meta-analysis)です。
サプリメントの効果をメタアナリシスしたものがあります。
Citation: Bjelakovic Goran et al. Mortality in randomized trials of antioxidant supplements for primary and secondary prevention: systematic review and meta-analysis. JAMA. 2007 Feb 28;297(8):842-57.
16,111本の抗酸化作用を有するサプリメントと消化器系がんに関連に関する研究報告から、68本のランダム化比較試験を抽出して詳細に検討しています。
ランダム化比較試験1本だけでも、ものすごい情報量なのですが、なんと68本ものランダム化比較試験を検討しています。
サプリメント群の死亡率への効果は
1.02; 95%CI, 0.98-1.06)
ランダム化比較試験全体のデータを合わせて効果を検討した結果は、サプリメント服用群と服用していない群で死亡率に差はありませんでした。
サプリメントで寿命のびない、という結論です。
話はここで終わらず、
βカロテン RR1.07
ビタミンA RR1.16
ビタミンE RR1.04
βカロテン、ビタミンA、ビタミンE服用では死亡率がアップした。
脂溶性ビタミンの長期服用には注意が必要です。
まとめ
抗酸化作用を有するサプリメント服用することで、寿命がのびることはなかった。
逆に、βカロテン、ビタミンA、ビタミンE服用では死亡率がアップしたので、ビタミンAやEなどの脂溶性ビタミンの長期服用には注意が必要です。