診察で
「職場の健診でコレステロール高かったのですが、最近外食多くて」
「肝臓ひっかかったのは、お酒ですかね」
など話しながら持ってこられた健診結果を見せてもらうと、コレステロール値や肝機能の数値はさておき、
放置されている「便潜血の陽性」要精密検査の文字を偶然に見つけることがあります。
結果が
便潜血反応(+)(-)
や
便潜血-/+
と地味です。
目立たない表記なので読み飛ばされていることもしばしばです。
職場によっては、結果説明を受けず、検診結果が郵送でとどくため、結果をよく見ず放置されていることもあります。
便潜血検+は、便が通る大腸もしくはお尻からの出血があったことをあらわします。
痔から出血があっても陽性となります。
痔からの出血だろうとの自己判断で放置されていることもあるでしょう。
身近な話題であるコレステロールや肝機能への関心は高いのですが、便潜血検査の結果をスルーしているかたが多いのが気になるところです。
大腸がん検便検査は、容器に2回便を取ってだすだけの、実に簡単な検査です。
便に混入した、目に見えない微量の血液を検出します。
簡単な検査ですが、大腸がん便検査は、大腸がん死亡率を下げることが証明されています。
便潜血検査が『陽性』だった時に、どれぐらいの頻度で大腸がんが見つかるのかご存じでしょうか?
・5%です。
5%と聞くと少なく感じるかもしれませんが、
20人に1人大腸がんが見つかります。
便潜血検査陽性を放置することが、いかに危険なことかわかります。
以下、データからの計算です。
消化器がん検診全国集計の結果がインターネット上に公開されています。
Citation: 平成25年度消化器がん検診全国集計(日本消化器がん検診学会全国集計委員会
このデータから、便潜血検査陽性のうちどれぐらいの割合で大腸がんが見つかるか計算できます。
検診受診者数 2,925,315人
要精密検者数 200,280人
精密検査受診者数 113,241
大腸がん 5071人
精密検査を受けた人のうち大腸がんが見つかった人の割合
5071÷113241=4.47%
便潜血検査の陽性的中率 4.47%です。
便潜血陽性であった人のうち、精密検査を受けた人の割合
113,241÷200,280=56.54%
6割の人しか精密検査を受けていないようです。
40%の人は、放置していることが全国調査の結果からわかります。
まとめ
便潜血検査『陽性』のとき、
5%、20人に1人の高率で大腸がんが見つかります。
便潜血検査『陽性』は痔からの出血だろうと自己判断せず、大腸カメラによる精密検査を受けることが大切です。
参考記事