C型肝炎治療薬マヴィレット配合錠、腎障害や耐性遺伝子変異があっても効果の高い、いわば優等生タイプの治療薬が先日製造認可を受け、早ければ年内にも処方できるようになります。
C型慢性肝炎は、インターフェロンフリー治療(インターフェロンを使わない治療)の登場により、100%近く治る病気となりました。
つい2年ほど前まで治療の中心だったインターフェロン治療に代わり
・ハーボニー(ソフォスブビル、レディパスビル)
・ヴィキラックス(オムビタスビル、パリタプレビル、リトナビル)
・エレルサ/グラジナ(エルバスビル/グラゾプレビル)
などが現在治療の中心となっています。
今月新たな、インターフェロンフリー治療薬が製造承認を受けました。
マヴィレット配合錠(グレカプレビル、ピブレンタスビル)です。
(Citation: https://www.healio.com/)
アメリカでは1ヶ月先行して8月にFDAの承認を受けています。
ひとことで、新しいインターフェロンフリー治療薬、マヴィレット配合錠をあらわすとすれば、
「優等生タイプ」
です。
参考記事
・2015年以降のC型肝炎治療はインターフェロンフリー治療(DAA)が主流
https://www.nakajima-clinic.com/2015/09/279/
・いよいよ最終コーナーにさしかかったC型肝炎治療
http://www.nakajima-clinic.com/2015/09/276/
従来のインターフェロンフリー治療薬、
効果は十分に高くすばらしい治療薬です。
しかし、
腎機能障害があるときには使えない
ウイルスジェノタイプが1b以外使えない
L31Y93耐性変異があるときには避けた方がよい
などなど、
薬によりそれぞれ細かい注意点があり、
患者さんの腎機能、C型肝炎ウイルスの耐性変異など全てを総合的に判断して、治療方法を決定する必要がありました。
しかし、マヴィレット配合錠は、これら全ての問題をクリアしています。
・腎障害があっても治療できる
・耐性変異をもっていても、効果がある
・ウイルスジェノタイプは1b含め、どのタイプでも効く(これをパンジェノタイプといいます)
さらには
・従来インターフェロンフリー治療が12週間だったのが8週間で終了する(注意:他治療で消えず再治療症例は12週まで延長可)
・過去に他の治療で消えなかった患者さんにも効果がある
と、どような背景、基礎疾患をもったケースでも効く、まさに優等生タイプの治療薬です。
(Citation: マヴィレット配合錠添付文書)
国内第III相試験のデータでは
初回治療では
ジェノタイプ1(日本人に最も多いタイプのウイルス)では、
腎機能が悪くても良くても、
耐性変異が有っても無くても、
慢性肝炎でも肝硬変でも、
8週間の内服で
99.1~100%の高い治療効果です。
(Citation: Mensa FJ et al. Glecaprevir and pibrentasvir for 12 weeks for hepatitis C virus genotype 1 infection and prior direct-acting antiviral treatment. Hepatology. 2017 Aug;66(2):389-397)
こちらは、海外のデータですが、
過去に別の治療で消えなかった方へのマヴィレット配合錠投与で
95%がウイルス消えています。
まとめ
・マヴィレット配合錠(グレカプレビル、ピブレンタスビル)は優等生タイプの治療薬
・腎機能が悪くても良くても、Y93耐性変異が有っても無くても、慢性肝炎でも肝硬変でも、8週間の内服で99.1~100%の高い治療効果
中島クリニックでは
C型慢性肝炎(ジェノタイプ1b:日本人に最も多いタイプ)
の治療を
・ハーボニー
・ヴィキラックス
・エレルサ・グラジナ
から選択して、患者さんの状態、治療中薬剤、L31Y93耐性遺伝子変異など総合的に判断しておこなっています。
今後は
・マヴィレット
も含め総合的に判断して治療法を選択することになります。
補足)ダクルインザ/スンベプラは治療効果、副作用の面から現在は使っておりません。
ジメンシーは特殊なケースで適応あると考えております。