高熱、治らない咳などで病院に行って、
胸のレントゲンを撮ると
医者が「肺炎です、入院して治療しましょう」
肺炎で入院治療となるまでの経過はだいたい、こんな感じでしょう。
レントゲンで肺炎が分からないことあるのですか?
答えは「はい」です。
先日もレントゲンに写らない、肺炎を経験しています。
その方は高熱、治らない咳で中島クリニックを受診しました。
聴診器で胸の音を聞くと、片方の肺でゴロゴロという雑音(ラ音)が聞こえます。
聴診で肺炎と診断いたしました。
肺炎の程度を確認するため、胸部レントゲンを撮ると
「きれいな肺」です。
聴診では明らかに肺炎の音がするので、確認のために採血いたしました。
採血では白血球増多、好中球の増多あり、明らかに細菌性肺炎です。
胸部CTを撮れば、もちろん肺炎の影は見つかります。
レントゲンに写らない、
正確には肺炎の影が淡いため
胸のレントゲンでとらえられない肺炎、あります。
だからこそ、丁寧に聴診を行って、異常な呼吸音がないか耳で確認して、異常に気づくことが大切なのです。
市中肺炎(健康な人もしくは軽い基礎疾患をもっている程度の人がなる肺炎)の原因菌で多いのは
肺炎球菌
インフルエンザ桿菌
マイコプラズマ
です。
特にマイコプラズマ肺炎は、レントゲンで分かりにくいこともあるのが特徴です。
入院せずに治療出来る程度の病状であれば、
胸部レントゲン正常でも肺炎、
ありうることは、何となく想像できるでしょう。
では、入院が必要なほど重い肺炎で
胸部CTで影が分かるけれど、胸部レントゲンで分からない肺炎
あるのでしょうか?
答えは
「ある」
のです。
こんな報告が先日ありました。
Self WH et al. Community-Acquired Pneumonia Visualized on CT Scans but Not Chest Radiographs: Pathogens, Severity, and Clinical Outcomes. Chest. 2017 Aug 9. pii:S0012-3692(17)31392-2.
アメリカ合衆国テネシー州ナッシュビル、
ヴァンダービルト大学病院が中心となって、
市中肺炎で入院した大人2251人の胸部レントゲン、CT、入院経過などを詳細に検討しました。
入院が必要な肺炎、イコール比較的重症度の高い肺炎です。
ほとんどの症例は胸部レントゲンで肺炎を認めています。
しかし、
3%は胸部レントゲン正常、だけど、肺炎でした。
入院が必要な程の重症度でも、胸部レントゲンに肺炎が写らない事があるとは驚きです。
胸部レントゲンに写る、写らないの差はあっても、
入院期間、敗血症、その他重症度に差はありませんでした。
まとめ
肺炎診断に、胸部レントゲンは欠かせない
まれに、胸部レントゲンに写らない肺炎もある