精密な大腸検査のためには、大便を取り除く必要があります。
腸の中に便が残っていると、ポリープや病変が便で埋もれて見えなくなってしまうからです。
大腸カメラの前処置
検査の前に、モビプレップ、ニフレック、マグコロールなどの下剤を2リットル程のみます。
これらの液は体に吸収しないように調節されており、
飲んだら、
そのまま大腸にまでいって、腸の中を洗い流してくれます。
ニフレックなど前処置の液を2リットルも飲めば、多くの人はトイレに10回以上行って、腸の中は空っぽできれいになります。
空っぽになった大腸はこんな感じです。
https://www.nakajima-clinic.com/medical/coloncamera/
しかし、便秘が強い人でなかなか腸がきれいにならないことがあります。
ガムを噛むことと大腸の動きの関連
いかに腸の中をきれいにするかが大切な大腸カメラの前処置ですが、なかなかおもしろい試みを実際に研究した報告を見つけました。
大腸前処置の下剤を飲むときに
「ガムを噛む」
とより腸がきれいになるかどうかを検討しています。
大腸検査の前処置とガムを噛むことは一見全く関係がなさそうですが、実は関係があります。
ガムを噛むことで迷走神経を刺激する
迷走神経が刺激されると、腸の動きが活発になるのです
内視鏡検査から話はすこしはなれますが、
手術の後にがむを噛むと、
腸蠕動が活発になり、手術後のイレウス(腸閉塞)の予防になる、
入院期間の短縮につながると
いった報告もあるぐらいです。
単純なことですが、ガムを噛むだけで腸の動きが活発になるのです。
大腸前処置の下剤を飲むときに、ガムを噛む効果
この報告では
大腸前処置時にガムを噛んだ人の前処置スコア
6.2±1.4
大腸前処置時にガムを噛まなかった人のスコア
6.1±1.2
とガムを噛むことで、前処置の効果に残念ながら差がありませんでした。
差がありませんでしたが、
これは研究デザインの問題で、
前処置として2Lのポリエチレングリコールを飲んでいるので、すでに2Lのポリエチレングリコールで腸が十分きれいになっており、ガムを噛む、噛まないの差がでなかったと考えられます。
ポリエチレングリコールを1Lや1.5Lに減量して、前処置が不十分な状態でガムを噛む、噛まないを比較したら
差がでたかもしれません。
中島クリニックでの大腸カメラ前処置
当院では、当日の下剤に加えて、検査前日の食事を工夫しています。
前日の低残渣食が効いて、
ほとんどの方がマグコロールやモビプレップの1.5L~2.0Lで、十分に腸が空っぽになります。
ただ、数十人に1人程度ですが、
普段非常に便秘が強い方から、
下剤を2L飲んだけれど、トイレに2-3回しか行っていないです、と電話が入ることがあります。
その時に、今までは、
もう少し水を飲み足してください
部屋をうろうろと歩き回って、軽い運動してみてください
などと伝えていたのですが、
今後は、
水分摂取、軽い運動に加え、ガムを噛んでみてくださいと、
ガムを推奨してみることにします。