Lancet Public Health医学誌にこんな研究報告が発表されました
シングルファーザー
シングルマザー
同居の父親
同居の母親
4万490人の健康状態を調べた報告です。
シングルファーザー 871人
シングルマザー4590人
同居の父親16341人
同居の母親18688人
多くの方が予想される通り、
男性には、厳しい研究結果でした。
目次
■配偶者と死別した方の健康状態を検討した過去の報告
過去にも男性、女性の健康状態を検討した報告は
多数あります。
シニアで配偶者が亡くなった後の男性、女性の寿命をしらべると、
奥さまが亡くなったら残された男性の死亡リスクが高まる
旦那さんが亡くなっても残された女性の死亡リスクはかわらず
の結果です。
男性にはなんとも辛い現実です。
奥さまが亡くなり、残された男性で高まる病気は
心筋梗塞などの、心血管系の病気のようです。
■シングルファーザー、シングルマザーのリスクを調べたコホート研究
グラフをみると結果は一目瞭然です。
これまた、男性にはなんとも辛い現実です。
4本の折れ線のうち
3年 6年 9年 12年と年月が経つ毎に死亡リスクが高まっている折れ線(茶色)がシングルファーザーです
(Citation: Chiu M et al. Mortality in single fathers compared with single mothers and partnered parents: a population-based cohort study. Lancet Public Health. 2018 Feb 14. pii: S2468-2667(18)30003-3)
その下の少しずつリスクが高まっているのが、シングルマザー。一番下の2本が同居の父、母です。
同居の父母と比べ
シングルファーザーはリスク明らかにアップ
シングルマザーは少しアップ
です。
シングルファーザーと
シングルマザーの比較では
シングルファーザー(男性)がシングルマザー(女性)
でリスクは3.34倍です。
男性にはなんとも辛い現実です。
■シングルファーザーの死亡リスクが特に高い理由
シングルファーザーの死亡リスクが高まる理由については、残念ながらこのカナダのコホート研究では明らかになっていません。
生活環境の変化
食生活の変化
様々な複合因子で特定は難しいのでしょう。
■生活習慣歴(Social History)としての結婚状態
論文のなかで著者は興味深い提言をしています。
今回の検討で、シングルファーザーが健康のリスクとして明らかになりました。
診察の時に
タバコを吸うかどうか
お酒をのむかどうか
などの生活習慣歴
に加えて、結婚状態も考慮してはどうかと。
プライバシーの問題あり、
現実に、診察の時に聞くのは
難しいことではあります。
シングルファーザーが健康リスクの一つとして
明らかになっています。
プライベートな内容ではありますが、
今後診察時には
生活習慣歴(Social History)としての結婚状態
必要時には確認していきたいと思います。
そして、若い時、元気な時から、
血圧や食生活に関して、アドバイスしていくのが
地域医療にたずさわる医師の大切な役割だと感じています。