がん検診で陽性でも癌でない場合がある?|がんのホントの話

がん検診で陽性でも、がんでないことがある
この現象を理屈っぽく説明してみる
キーワードは感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率

 

 

先日のニュースで
「血液1滴から2時間で“がん13種を99%検出”できる検出技術」
マイクロRNA検出技術によるリキッドバイオプシーすごいです!
近い将来、診療、ドックなどで広く活用されることになりそうです

一つ留意しておきたいのは
「がん検診で陽性でも、がんでないことがある」
こんな不思議なことがおこりうることです。

これを理解するためには
感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率
これに加えて有病率の5つの関係を知っておく必要があります。

がん検診で陽性でも、がんでないことがある
この現象を理屈っぽく説明してみることにします。

感度、特異度、という単語が出てくるだけで、退屈な学生時代の授業がフラッシュバックしてきそうですが、検査結果を正確に理解するたに役立つ知識です。
もうすこしお付き合いください。

感度とは

感度、特異度ということがあります。

言葉のイメージ通りで、感度が高い。
感度ということばはカメラのフイルムなどでも使われていいた言葉です。
デジタル化がすすんで、もう写真をとるのにフィルムはつかわないですが。

フィルムの感度が高いというのは、光に対する反応がよく、暗いところでも写すことができるフィルムです。

これと同じように検査でいう感度は、病気に対する反応がよく(病気を見つける力が強い)ということです。

インフルエンザ検査で例えるとすれば
発熱して病院に行く
インフルエンザの検査をするときに
感度が低いA検査キットでは、検査結果(-)
でも、感度が高いBキットでは検査結果(+)になることがあります。
当然検査キットは感度が高い方がよいのです。

感度は、病気を病気とする力のことです。

感度90%の検査は、病気の人が100人いるときに検査をすると
100×0.90(90%)=90人が陽性となります

感度99%の検査は、病気の人が100人いるときに検査をすると
100×0.99(99%)=99人が陽性となります

感度90%の検査より99%の検査の方がよい結果です。

感度は高い方がよい指標
感度が高いと、病気の「見落とし」が少ない
ということになります。

特異度とは

感度はなんとなく普段使う言葉のイメージ通りです。
特異度は日常で使うことばではなく、イメージがつかめないと思います。

感度が、病気を病気と判定する力です。

その逆が特異度です。

正常を正常と判定する力です。

特異度が高いということは、正常なのに陽性と判断される「偽陽性」が少ないことをあらわします。

当然検査としては、特異度が高いほうがよい検査です。

よい検査方法とは

病気の見落としが少ない→感度が高い
偽陽性が少ない→特異度が高い

よい検査方法とは
感度が高くて、特異度が高い検査ということになります。

感度99%特異度99%の素晴らしい検査法を、陽性的中率、陰性的中率をキーワードに紐解いていく

先に大切なことを書いておきます。
感度、特異度は有病率(検診を受けた集団がある病気をもっている割合)の影響をうけません。
一方、陽性的中率、陰性的中率は有病率の影響を大きくうけます。

特に有病率の低い健康な人を対象とした検診の場合は、陽性的中率が下がります
がん検診で陽性でも、がんでないことがあるのです。

言葉にするとわかりづらいので表で説明していきます。

ある病気がすごく流行していて2人に1人が病気にかかっている。
10000人中5000人が病気をもっていると仮定したとき。

スクリーニング検査
感度99%
特異度99%
のすばらしい検査法とします

陽性的中率有病率50%

  病気あり 病気なし 合計
検査陽性 4950 50 5000
検査陰性  50 4950 5000
  5000 5000 10000

 

検査陽性と判断される人の数が5000人、そのうち4950人が本当に病気をもっていますので

陽性的中率4950/5000=99%
となります。

一方、病気をもっていない5000人のうち、検査結果陰性が4950人

陰性的中率4950/5000=99%
となります。

陽性的中率99%、陰性的中率99%と非常に良好な結果です。

次に、病気をもっているのが10人に1人のとき

有病率10%

  病気あり 病気なし 合計
検査陽性 990 90 1080
検査陰性 10 8910 8920
  1000 9000 10000

陽性的中率990/1080=92%
陰性的中率8910/8920=99%

陽性的中率92%と少し下がります。

さらに100人に1人しか病気をもっている方がいないとき

有病率1%

  病気あり 病気なし 合計
検査陽性 99 99 198
検査陰性 1 9801 9802
  100 9900 10000

陽性的中率99/198=50%
陰性的中率9801/9802=99%

陽性的中率が50%と急激にさがります。

この現象が
「がん検診で陽性でも、がんでないことがある」
起きる理由です。

あるスクリーニング検査で陽性と判断されたときに、それだけで判断せず
より精密検査での判定が必要となります。

逆に陰性的中率(検査結果が陰性だったときに、病気がない確率)は有病率が高くても低くても99%以上と常に良好です。検査陰性なら、少し安心と理解していいでしょう。もちろん100%ではないので絶対ではありませんが。

同じ検査でスクリーニングしても、検査結果がどれぐらい当てになるか(陽性的中率)が大きく変化するのです。

図に書いて数値化すると、理解できると思いますが、直観的には理解しづらいことですよね。

まとめ

「感度99%特異度99%のすいご検査です」と聞くと99%の確率でがんが見つかり、しかも結果は絶対的に正しい印象をもつのではないでしょうか。
この印象は半分正しく、半分ちがいます。

同じ検査をしても、スクリーニング検査を受ける集団の「有病率(病気をもっている割合が高いか低いか」により結果の判断がかわってくるという、不思議な現象がおきます。

検査結果がどれぐらい当てになるか(陽性的中率)は変化するのです。

羊水検査、がん検診、インフルエンザ検査などどんな検査でも、検査結果の解釈のしかたが重要です。
なじみのない言葉ですが、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率
という言葉を知っておくと検査に対する理解を深めることができます。

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