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胸部レントゲンのAI診断は人をついに越えるのか

人工知能(AI)は人越せないだろうと言われていた囲碁の世界で、人工知能のアルファーゴがプロ棋士を負かしたが2015年でした。わずか3年前の話です。

その後さらに人工知能は発達、医療の分野でも人工知能が実用化されつつあります。

特に人工知能が本領を発揮するのは画像診断の分野です。

多数の画像を読み込み、そこからのパターン認識です。

■2018年にはアメリカでAI(人工知能)による糖尿病性網膜症診断機器が実用化

2018年には眼底写真のAIによる診断機器がアメリカFDAにより認可されました。

参考記事

●骨折のAI診断|アメリカでは医療現場へのAI導入が加速

●アメリカでAI(人工知能)による糖尿病性網膜症診断機器が実用化|FDAが人工知能検査機器「IDx-DR」認可

糖尿病を患っていると、全身の血管がもろくなり出血することがあります。

特に出血が問題となるのは眼の血管です。眼の血管からの出血が続くと失明の原因ともなります。

早期発見早期治療が必要です。

当院でも糖尿病治療中の方は、眼科クリニックへ定期的に紹介受診していただき、眼底をチェックしてもらっています。

AI(人工知能)による糖尿病性網膜症診断機器がアメリカでは実用化されています。

日本に輸入され認可されるのも時間の問題です。

■胸部レントゲンの人工知能診断

胸のレントゲン、これを人工知能AI診断できないだろうか。

この分野の研究ものすごい勢いで進んでいます。

2018年11月に論文報告された結果があります。

(Citation: Rajpurkar P et al. Deep learning for chest radiograph diagnosis: A retrospective comparison of the CheXNeXt algorithm to practicing radiologists. PLoS Med. 2018 Nov 20;15(11))

画像診断を専門とする放射線科医師 vs 人工知能

ガチンコ勝負の結果は、14項目のうち11項目が引き分けでした。

2項目で放射線科医師が優位。その項目はヘルニアと心拡大の判断。

1項目は人工知能が優位。その項目は無気肺の判断です。

2018年の報告では、人と人工知能互角、やや人が優位のところまで人工知能追いついてきています。

そして2019年のJAMAに報告された論文では、人工知能が人を上回ってきている結果です。

(Citation: Hwang J et al. Development and Validation of a Deep Learning-Based Automated Detection Algorithm for Major Thoracic Diseases on Chest Radiographs. JAMA Netw Open. 2019 Mar 1;2(3))

ついに胸部レントゲンの診断において、人工知能は追いつきそして追い越すところまで来ています。

■人工知能と人の判断を相補しあえばよい

人工知能による胸部レントゲン読影は、人と遜色のないレベルにまで到達しています。

しかし、2018年の報告をみてわかるように、人がやや判断苦手な部分を人工知能が得意であったり、逆に人の判断の方が正確である部分もあります。

心電図計には人工知能ではありませんが、機械がリズム、形を読み取る機械診断が付いています。

ただ機械診断が常に正しい判断をするとは限らず、医師は必ず自分の目で判断を下します。

将来的には胸部レントゲンの読影は人工知能に取ってかわられるものではなく、人の診断を人工知能でダブルチェックする形になっていくのではないでしょうか。

■まとめ

胸部レントゲンの読影、人工知能は人に追いつき、追い越すところまで発達しています。

今後心電図の機械診断のように、胸部レントゲンにも機械診断がついてくる時代になりそうです。しかも、比較的近未来の話です。

腎機能障害 専門医紹介のタイミング

腎臓の病気を患っている方の数は年々に増加傾向にあります。

現在33万人が透析治療中、さらに毎年4万人が新規透析導入となっています。

透析導入予防のために、腎機能障害の早期発見、生活改善および治療が重要です。

中島クリニックのある西宮市でも、特定健診で腎機能障害を早期に発見、生活改善をするために「西宮市国民健康保険 慢性腎臓病(CKD)予防連携事業」がスタートしています。

■腎臓専門医のみならず、一般内科医も患者さんの腎機能を慎重にフォローする必要がある

腎障害進行予防のため、腎臓専門医のみならず、一般内科医、さらには消化器内科医、循環器内科医など各科に専門特化している医師もみな、腎機能に留意していく必要があります。

日本腎臓学会と日本糖尿病学会専門医間の紹介基準を作成した基準があります。糖尿病でフォロー中の患者さんが腎障害を併発したときにどのタイミングで腎臓専門医にコンサルトするかの基準です。

糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準は、糖尿病専門医だけでなく一般内科医の日々の診療でも意識しておく必要があります。

■日本腎臓学会と日本糖尿病学会が作成した紹介基準

日本腎臓学会と日本糖尿病学会は両学会の専門医間の紹介基準を作成し、学会のホームページに内容をアップしています。

内容は以下のリンクからPDFで提供されています。

日本糖尿病学会と日本腎臓学会 専門医間の紹介基準について

(Citation: 日本腎臓学会ホームページ https://www.jsn.or.jp/topics/notice/_3537.php)

■糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準  コンサルトのタイミング

紹介基準に具体的な数値が記載されていますが ・尿タンパク量 ・eGFR

を慎重にフォローしていくことがポイントです。

0.5 g/gCr 以上の尿蛋白 入院中の患者さんでは1日蓄尿が可能ですが、日常診療で1日蓄尿で蛋白量の確認は困難です。 随時尿のクレアチニン補正(UPCR)で1日尿蛋白量を推定できます。

eGFRは年齢で基準がかわります。

40歳未満は60ml/min/1.73m2 未満 40歳以上75 歳未満は45 ml/min/1.73m2 未満 75歳以上は45 ml/min/1.73m2 未満 となります。

糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準 (紹介後は診断結果に応じて併診あるいは糖尿病専門医での糖尿病治療の継続)

1.糖尿病網膜症を伴わない 0.5 g/gCr 以上の尿蛋白

2.集学的治療後も遷延する 0.5 g/gCr 以上の尿蛋白

3.円柱もしくは糸球体型赤血球を伴う顕微鏡的血尿かつ 0.5 g/gCr 以上の尿蛋白

4.顕性蛋白尿を伴わない腎機能低下(年齢別) 40歳未満:eGFR 60ml/min/1.73m2 未満 40歳以上75 歳未満::eGFR 45 ml/min/1.73m2 未満 75歳以上:eGFR 45 ml/min/1.73m2 未満で腎機能低下が進行する場合

5.3 か月以内にeGFR が30%以上低下する急速な腎機能低下

■糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準  治療管理依頼のタイミング

腎機能が悪化して、腎臓専門の継続治療管理が必要となる基準です。 ネフローゼや重度の腎機能障害(eGFR 30ml/min/1.73m2 未満)の状態です。

主に腎臓専門医による継続管理を目的とした紹介基準 (紹介後は腎臓専門医での継続管理あるいは糖尿病専門医との併診加療)

1.保存期腎不全(eGFR 30ml/min/1.73m2 未満)

2.ネフローゼ症候群(血清アルブミン値3.0g/dL 以下かつ尿蛋白3.5g/gCr 以上)

3.eGFR 10 ml/min/1.73m2/年以上の腎機能低下

4.薬物療法が必要な電解質異常 (高カリウム血症、高リン血症、低カルシウム血症)や代謝性アシドーシス

5.薬物療法が必要な腎性貧血あるいは ESA 低反応性貧血 (複数回の検査で Hb 値11g/dL 未満)

6.治療抵抗性の体液貯留(心不全・浮腫)や高血圧

■かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準

かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準が日本腎臓学会と日本糖尿病学会ホームページにアップされています。

内容は以下のリンクからPDFで提供されています。 かかりつけ医から専門医・専門医療機関への紹介基準

■まとめ

腎臓の病気を患っている方の数は年々に増加傾向にあり、腎臓専門医のみならず、一般内科医も患者さんの腎機能を慎重にフォローする必要がある時代です。

糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準が学会から提唱されています。紹介基準に具体的な数値が記載されています。

・尿タンパク量

・eGFR

を慎重にフォローしていくことが大切です。

座りっぱなし生活はがん、心筋梗塞をはじめとした病気のリスクを高める|仕事で座りっぱなしの人は仕事の合間に30分の軽い運動を取り入れよう


■長時間の座りっぱなし生活は、心臓や脳血管疾患のみならず、がんのリスクも高める

長時間の座りっぱなし生活は、さまざまな病気のリスクを高めることが知られています。

座りっぱなし生活でカロリーをあまり消費しない生活は、糖尿病、高血圧、高脂血症などのメタボリック症候群、昔でいうところの成人病になりやすいことは容易に想像できます。

糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満などから、血管が詰まりやすくなったり逆に出血しやすくなることから、心臓や脳の血管の病気が増えます。狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血など血管の病気です。

さらに、座りっぱなし生活ががんのリスクおよび死亡率を高めることも研究から分かってきています。特に、乳がん、大腸がんは生活習慣の影響を受けます。

●運動で大腸がん予防|運動と大腸がんの関係

■座りっぱなし生活の対策

仕事で座りっぱなしの人は、仕事の間に少しでも運動を取り入れるのが対策です。

医者の生活、特に開業医の生活は座りっぱなしの時間が多く不健康なライフスタイルの代表といえるかもしれません。終日外来をするとのべ6-7時間はすわりっぱなしです。

興味深いコホート研究の報告があるので紹介します。

(Citation: Diaz A et al. Potential Effects on Mortality of Replacing Sedentary Time With Short Sedentary Bouts or Physical Activity: A National Cohort Study. Am J Epidemiol. 2019 Mar 1;188(3):537-544.)

45歳以上の7,999人の仕事、仕事中の運動量(体を動かしている)量を測定、それと死亡率の関係を集計しています。

・座っている時間の30分を軽活動(LIPA light-intensity physical activity)にすると死亡リスクが17%減少

・座っている時間の30分を中から強度の活動(MVPA moderate to vigorous physical activity)にすると35%死亡リスクが減少

座りっぱなしの時間を何らかの運動に置き換えるのが理想です。細切れの数分体を動かすことでも効果があります。

デスクワークで座りっぱなしの人は、1時間に数分でも体を動かす時間を取り入れるのが理想ですね。

立ってパソコンに向かう作業を取り入れるのも方法です。私はこのブログ立ってPCに向かって書いています。クリニックの受付テーブルがちょうどよい高さなで、そこにPC置いてブログ書いています。

最近はこんな感じの高さをかえられるオフィス用の机取り入れる企業多いようです。

(www.askul.co.jp)

■デスクワーク中心の座りっぱなしの人ができる健康対策

出来る対策としては通勤です。通勤を車から電車、さらに可能であれば電車から自転車にかえるのは効果てきです。

●長生きしたければ運動|週1回でも効果あり

●自転車通勤は死亡率を下げる

■まとめ

座りっぱなしのデスクワークは死亡リスクを高めます。細切れの数分でも仕事の合間に体を動かすことでリスク軽減できます。

2019/2020年度(令和元年/令和2年)冬シーズンのイフルエンザワクチン株|A型株が昨年からの変更あり、B型株は変更なし

2019/2020年度(令和元年/令和2年)のイフルエンザワクチンの情報です。 毎年4月に施行される、長い長い名前の委員会で検討されワクチン株が決定します。 60文字の長い長い委員会の名前は「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会・季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会」です。

例年通り、今シーズンのインフルエンザワクチンも、A型株2種類、B型株2種類、合わせて4種類のワクチン株からなります。

A型株はH1N1とH3N2の組み合わせですが、ワクチン株が変更となっています。 B型株は昨年同様です。

2019/2020年度(令和元年/令和2年)冬シーズンのイフルエンザワクチン株

A型 ・ブリスベン(H1N1) 02/2018(IVR-190)pdm09 ・カンザス(H3N2) 14/2017(X-327) B型 ・プーケット(山形系統) 3073/2013 ・メリーランド(ビクトリア系統) 15/2016(NYMC BX-69A)

■ワクチン株の決定過程

南半球のインフルエンザ流行動態、昨年の流行動態をふまえWHO推奨株が発表されます。推奨株は毎年2月頃にWHOから発表されます。参考にしながら4月に施行される委員会(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会・季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会)を経て今シーズンのワクチン株が決定します。

■2019/2020年度(令和元年/令和2年)冬シーズンのイフルエンザワクチン株

2019/2020年度(令和元年/令和2年)冬シーズンのイフルエンザワクチン株 は以下のA型2種類、B型2種類、合計4種類からなる4価ワクチンです。

A型 ・ブリスベン(H1N1) 02/2018(IVR-190)pdm09 ・カンザス(H3N2) 14/2017(X-327) B型 ・プーケット(山形系統) 3073/2013 ・メリーランド(ビクトリア系統) 15/2016(NYMC BX-69A)

■昨年とのワクチン株変更点

A型 A型はH1N1型とH3N2型の2種類からなります。「型」の変更はりませんが使用「株」の変更があります。 今シーズンは H1N1はブリスベン02/2018(IVR-190)株 H3N2はカンザス 14/2017(X-327)株 となっています。

H1N1型に関して 最近の流行株である 183P 置換を持つ株への効果を高めるために、183Pを持つ流行株であるブリスベン株を選定しています。

H3N2に関して 欧米では3C、3aに属するインフルエンザウイルスの報告が増えています。日本では3C.3aに属するウイルスはまったく検出されていないものの、今後流行の可能性がありこれらに対する免疫が低いため3C、3a に属する流行株から選定、カンザスとなっています。

■まとめ

2019/2020年度イフルエンザワクチンはA型2種、B型2種からなる4価混合ワクチンとなっています。インフルエンザの流行動態をふまえ、A型株が変更となっています。B型株は昨年から変更なしです。

大腸憩室炎に抗菌薬を「投与しない」という選択枝はあるのか

大腸にポケット状に飛び出る憩室。

このポケット状にへっこんだところに細菌が付いて炎症を起こすのが大腸憩室炎です。

バイ菌が原因ですので、抗菌薬で治療するのが一般的です。

■憩室炎は繰り返す

憩室炎は抗生物質で治っても、たびたび繰り返すため、そのたびに抗生物質を投与することとなります。

一度憩室炎を起こした人の2割から4割がまた起こすともいわれています。

たびたび抗生物質を使っていると耐性菌が出現する懸念もあります。だからと言って、原因が細菌なので抗生物質を投与せざるをえないのがジレンマではあります。

■憩室炎に抗菌薬を投与しないとのきの予後

憩室炎を抗菌薬「投与」と抗生物質「投与しない」ランダムに振り分けた比較がオランダから報告されたので紹介いたします。

van Dijk ST et al. Long-Term Effects of Omitting Antibiotics in Uncomplicated Acute Diverticulitis. Am J Gastroenterol. 2018 Jul;113(7):1045-1052

対象は528例の、初発の憩室炎です。

CTで確定診断して、左側結腸の症例のみに限定しています。

治療後2年間フォローしています。

再発率は抗菌薬投与で14.9%、非投与で15.4%と有意差なし

合併症は抗菌薬投与で3.3%、非投与で4.8%と有意差なし

S状結腸切除が必要となったのは抗菌薬投与で5.0%、非投与で9.0%と有意差なし

統計データ上は、初発の憩室炎の2年間フォローでは、抗菌薬「投与」と抗菌薬「投与しない」治療で差がありませんでした。

■憩室炎に抗菌薬を投与しない選択枝はあるのか

統計学上は抗菌薬投与と非投与で合併症やS状結腸切除率に差はないと出ているのですが、

合併症は抗菌薬投与で3.3%、非投与で4.8%

S状結腸切除が必要となったのは抗菌薬投与で5.0%、非投与で9.0%

統計学的に有意差はないものの抗菌薬投与でいずれも低い率で、この報告をもって、抗菌薬投与不要とは言いがたい印象です。

現状では抗菌薬投与が妥当な治療でしょうか。

大腸がん予防|大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師の特徴

大腸癌の予防に、大腸カメラを受けポリープがあれば切除することが効果的です。

参考ブログ

●主治医は40歳未満の若手医師がいいのか。担当医師の年齢が入院死亡率に影響|高齢医師より若手医師の方が入院死亡率が低い

●入院患者さんの予後(死亡率、再入院率)が担当医師の性別で差|女性医師の方が男性医師よりも入院患者さんの予後がよい

■大腸癌予防には大腸ポリープ(腺腫)の切除

大腸は「腺腫」とよばれるポリープの状態を経て、大腸癌となります。

この前癌状態である「ポリープ(腺腫)」を内視鏡で切除することが、大腸癌予防につながります。

大腸腺腫を徹底的に切除してポリープがない状態(クリーンコロン)にすることが大腸カメラを受ける意義です。

■大腸腺腫検出率(ADR)が高いほどよい

大腸ポリープを的確に発見する内視鏡医の力量が高ければ高いほど、ポリープを徹底的に摘除してポリープがない状態(クリーンコロン)にすることができるのは自明の事実です。

中島クリニックでも大腸ポリープ(腺腫)を徹底的に摘除してポリープがない状態(クリーンコロン)を治療のゴールとしています。

■どのような医師が大腸腺腫検出率(ADR)が高いのか

どのような医師が大腸腺腫検出率(ADR)が高いのかを調べた報告を紹介いたします。

(Citation: Mehrotra A et al. Physician characteristics associated with higher adenoma detection rate. Gastrointest Endosc. 2018 Mar;87(3):778-786)

レトロスペクティブコホート研究です。 201人の検査医師による104,618 症例で検討しています。

平均の大腸腺腫検出率(ADR)は33.2%でした。

ADRが高かったのは、女性医師、消化器専門医でした。 女性医師は男性医師に比べて4.2%高く、消化器専門医はそれ以外の医師より9.4%高い結果でした。

ちょっと意外だったのは、レジデント終了9年以内の医師は、27年から51年の医師よりもADRが6%も高いことでした。

消化器専門医が、それ以外の医師よりADRが約10%も高い結果は、スクリーニング検査では、トレーニングと経験がともに必要であることをこの報告が実証しています。

年齢の影響をスポーツと同じように扱ってよいのかどうかは異論あるところですが、内視鏡など経験と手技ともに要する検査では、ある年齢からは(この報告ではレジデント終了27年から51年の医師)パフォーマンスが落ちるという結果がでています。

■まとめ

大腸癌予防には、大腸腺腫を大腸カメラで切除することが大切です。

大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師の特徴検討した結果は、消化器専門医がその他の医師より10%もADRが高いという歴然とした差があることがわかりました。

大腸カメラ検査は、内視鏡専門施設でうけるのがおすすめです。

アルコールを愉しまれる方々へ残念なお知らせです。飲酒に適量はないとの報告|健康リスクはアルコール摂取量にしたがって上昇

百薬の長ともいわれるアルコール。一日の疲れを癒やすお酒。

私はお酒を毎日飲むわけではないですが、仕事が終わった後のアルコール最高ですね。

今までは、アルコールには安全域値(ここまでは飲んでもOKの量)があると言われていたのですが、最近の報告からはどうも安全域値はないようです。

■適度なアルコール量

1日1単位アルコールグラムにして10g、ビール1本、ワイン1杯程度なら肝臓で十分分解出来る量なので問題ない、むしろフレンチパラドッククスの言葉があるように、少量のアルコールは飲まないよりも健康によいとも言われていました。

しかし、Lancetの報告によると、少量のアルコールは百薬の長ではなく、飲んだ量に比例して健康に影響するようです。

アルコール好きの人へは、実に耳が痛い話です。

■ここまで飲んでもOKな、安全閾値とは

閾値という概念があります。これはこの量までは飲んでも大丈夫、それ以降は体に影響でますと線引きされる点のことです。

タバコをイメージしてみてください、タバコは安全域値がありません。

1本吸えば、1本分体に影響、20本吸えばさらに体に影響します。

アルコールは1合ぐらいまでなら適量、害はなし。2合3合となると体に影響するとの考えられてきました。表現をかえると、アルコールには閾値があると考えられていました。

しかし83報にもおよぶ前向き検討研究を解析したところ、どうもアルコールもタバコと同じく閾値が「ない」との報告です。

(Citation: Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599 912 current drinkers in 83 prospective studies. Lancet. 2018 Apr 14;391(10129):1513-1523.)

■少量のアルコールは心血管イベントを減らす、しかし

心筋梗塞のところで、グラフが直線的に右上がりになっているのではなく、V字型になっているのがわかります。

少量のアルコールは心血管イベント、特に心筋梗塞を減らすというのは事実のようです。

ところが、脳卒中はじめ、癌のリスク含め他の病気は、グラフが直線的に右上がりになっています。

飲めば飲むほど、リスクがあがることを示しています。いいかえると、少量飲んでも健康に影響するのです。

■長年アルコールを飲む影響

1-15年どれだけの年数アルコールを飲み続けているかで健康リスクを評価しています。

Lancet. 2018 Sep 22;392(10152):1015-1035. doi: 10.1016/S0140-6736(18)31310-2. Epub 2018 Aug 23. Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. GBD 2016 Alcohol Collaborators.

飲む年齢に比例して右肩上がりに健康リスクあがってしまっています。

■アルコール飲酒が寿命を縮めるのか

週100gのアルコール量以下では、ほぼ寿命影響なさそうです。逆に200g(ビール2本、ワイングラス2杯)以上からは影響出始めます。

週350gアルコール以上のむ人(毎日ビール5本、ワイングラスにして5杯以上は目に見えて影響でますので、さすがに控える必要あります。

■まとめ

今までは、安全閾値があると考えられていたアルコールですが、最近の研究で安全閾値が「ない」とのことが分かってきました。

アルコール好きの方には耳の痛い話ですが、アルコールは飲んだ量に比例して健康リスクとなります。

朗報としては、週100g以下のアルコール量、毎日ビール1本やワイングラス1本程度では、ほぼ影響なさそうです。 しかし、200g(ビール2本、ワイングラス2杯)以上からは目に見えて影響でますので、飲むとすれば適量に、です。

腕立て伏せが40回以上できると心血管病気リスクが低い|腕立て伏せ回数が健康チェックの項目となりうるのか

だれもで簡便に何回できるか数えることができる腕立て伏せ。

こんな単純な評価が、心血管疾患と逆相関があったというお話。

男性消防士のみに限定の結果なので、一般論としてとらえるのは拙速すぎますのでご了解を。

何十年ぶりに腕立て伏せしてみました。思い返せば真剣に腕立て伏せしたのは学生時代の体育の授業以来です。

ちなみに17回、実に平凡な回数でした。10回未満群ではなくてよかった。

■病気リスクと健康診断指標

健康の指標としては、単純であればあるほど良いのは当然です。

体脂肪率と心血管系疾患との相関がありますが、では健康診断として体脂肪率を測定するにはどうすればよいか。腹部CTで体脂肪率を算出するのが精密かつ正確ですが、健康診断で腹部CTを撮影するかといえば、非現実的ですよね。

腹部CTによる体脂肪率測定の代わりになる、簡便でよい指標ないかと探した結果が腹囲測定だったりします。

そんな経緯で特定健診では腹囲測定しています。

腹囲に関しては体格でかなりばらつきがあるので、腹部CTによる体脂肪率測定の代わりになるかどうかは、議論が残るところではありますが。

本題にもどると、腕立て伏せの回数と疾患リスクが逆相関するとすれば、健康診断の良い指標になるのではないかということです。

(Citation: Yang J et al. Association Between Push-up Exercise Capacity and Future Cardiovascular Events Among Active Adult Men. JAMA Netw Open. 2019 Feb 1;2(2))

■腕立て伏せの回数と心血管疾患リスク

腕立て伏せの回数と心血管疾患リスクが逆相関するという報告です。

腕立て伏せの回数が少ない、特に10回未満は心血管疾患が多かった。

腕立て伏せの回数が多い、特に40回以上は心血管疾患が有意に少ない結果でした。

■腕立て伏せできる回数がトレーニングで増えれば心血管イベント抑制につながるのか

Male firefighters(男性消防士)に限定して検討しているので、母集団としては非常に特殊です。

前向き研究ではなく2000年から10年間、1562人を評価した後ろ向きの検討です。

特殊な母集団、後ろ向き検討ですので、腕立て伏せできる回数がトレーニングで増えれば心血管イベント抑制につながるのかそれに関しての答えはありません。

特殊な母集団(男性消防士)から導きだされた結果ですので、腕立て伏せの回数40回以上という、40回以上の数値そのものには一般性はありません。

何もトレーニングしていない男性で腕立て伏せ40回以上できる人、ほぼいないでしょうから。

しかし、簡便に誰でも数えることができる腕立て伏せの回数のような単純な数値が、心血管イベントの差につながったとうことは実に興味深い点です。

■生活指導の項目としての腕立て伏せの可能性

逆流性食道炎や糖尿病は肥満の改善が生活指導で欠かせません。その際に分かりやすい数値目標として体重を目標にします。

それと同じように、分かりやすい体力や健康維持の指標として、腕立て伏せやスクワットなど、簡便に数値を目標として示すことができるので活用してもよいかもしれませんね。

講演「GERDの診断治療、睡眠と疾病関連」参加医師からいただいた感想

先日、西宮市精神科医会内科医会合同学術講演会で講演させていただいた時の感想をいただきました。

■講演内容

テーマは「GERDの診断治療、睡眠と疾病関連」

GERD(胃食道逆流症)は、医療者が想像する以上に患者さんはQOL低下しています。

日本人は睡眠を削って頑張ることを美徳とするところがあり、こんなに睡眠時間が少ないのです。

睡眠障害の一因としてGERDがあり、PPIが有効です。

GERDと睡眠を絡めての内容でした。

■参加医師からの感想

・睡眠に関する様々な興味深いデータについて触れられていてとても勉強になりました

・1時間では足りない、充実した内容でとても面白い講演内容でした

・消化器疾患が専門ということで、逆流性食道炎の治療と診断についての具体的な流れが勉強になりました

・Fスケールというものを初めて知りました。自身でも胸焼けを訴える患者さんに質問表をつかってみます

・患者さんに対してもですが、自分自身の睡眠を見直すきっかけになりました

一番うれしかったのは、最後のコメントです。自身の睡眠を見直すきっかけになったとのこと、励みになります。

■これから

胃カメラ大腸カメラにでの画像診断。潰瘍、がん、ポリープなどの診断治療とともに、睡眠やGERD(胃食道逆流症)などのQOLに関わる疾患の治療診断にもこらからもとりくんでいきます。

糖尿病HbA1cは季節変動する。一番血糖が上がるのは2月3月|寒い冬こそ健康のために家にこもらず出かけよう

病気には季節の影響をうけるものがあります。血圧値はその最たるものです。

暑い夏は、脱水傾向もあり血圧は冬に比べて低めになる傾向があります。一年中同じ量の薬を飲むわけでなく、夏に血圧の薬が減量出来る方もあります。

血圧値ほど知られていないのですが、糖尿病の治療指標であるHbA1cも季節により変動することが分かってきました。

■糖尿病の治療指標であるHbA1cには季節変動あり

東京女子医大病院からの報告が有名で2511人のHbA1cを月ごとに平均したら、非常にきれいなS字カーブを描いています。 (Sakura H et al. Seasonal fluctuations of glycated hemoglobin levels in Japanese diabetic patients. Diabetes Res Clin Pract. 2010 Apr;88(1):65-70)

1年の内でHbA1cが高くなるのは2月3月の寒い時期、良くなる(低下する)のは7月8月9月の暑い時期です。

HbA1cが高くなる冬と下がる夏を比べると、0.2%から0.3%程上下しています。

寒くなると、外出する機会が極端に減り糖尿病コントロールが悪くなる。如実に季節の影響を受けています。

お正月明け糖尿病が悪くなる方多く、

「いやあ今年はおもち食べ過ぎたので、血糖あがっちゃいました」という会話をすることが多いのですが、これよく考えてみると食事内容の影響だけではなさそうです。

普段と違う食生活の変化が糖尿病悪化の原因であれば、お正月明けだけでなく、お盆明けの8月9月の採血でもHbA1cが上がるはずです。お盆明けの8月9月は上がるどころか、逆に下がっています。

と考えると、夏と冬でことなるのは、寒さによる活動量の違いでしょうか。

■日本のみならず、海外でもHbA1cに季節変動あり

ポルトガルから糖尿病治療指標であるHbA1cの季節変動の報告がありました。

ポルトガル行ったことないのですが、いやポルトガルだけでなくヨーロッパ行ったことないので気候想像つかないのですが。

地球の歩き方によると、東京+5度ぐらいのイメージですね。

(Citation: https://www.arukikata.co.jp/weather/)

なんと季節変動は日本と同じ、2月が一番悪く(高く)、8月9月が良く(低く)なります。

(Citation: Pereira MT et al. Seasonal variation of haemoglobin A1c in a Portuguese adult population.Arch Endocrinol Metab. 2015 Jun;59(3):231-5.)

国、気候が異なっても気温の影響を非常にうけるということですね。

■まとめ

お正月明けに糖尿病の患者さんのHbA1cが上がるのは年末年始の食生活の変化が原因と思っておりましたが、季節変動のグラフをじっくりと眺めてみると食生活の変化よりも運動量の変化を受けている印象です。

寒くなる冬は外出がおっくうになり、家で過ごす時間が増えてしまいます。寒い時期こそ運動ですね。