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カルプロテクチンによる、大腸カメラを極力しない試み|潰瘍性大腸炎と過敏性腸症候群の鑑別

潰瘍性大腸炎の病状を補助的に把握できるバイオマーカー「糞便中カルプロテクチン」が保険適用となりました。
今までは大学病院や研究施設でしか測定できませんでしたが、一般病院やクリニックでもカルプロテクチンを測定できるようになりました。

腹痛、便性状などの臨床症状に、カルプロテクチン値を併せて判断することにより、より総合的に病状を把握することができます。

(参考記事)
・カルプロテクチン、ちょっと気をつけた方がいい3つのこと|潰瘍性大腸炎とカルプロテクチン

・潰瘍性大腸炎の新たなバイオマーカー「便中カルプロテクチン」|客観的な数値で結果が得られる潰瘍性大腸炎の検査

カルプロテクチンは、「潰瘍性大腸炎病態把握の補助」の保険適用です。

日本では潰瘍性大腸の状態を把握するためにカルプロテクチンが活用されていますが、海外では別の活用法が検討されいます。

以下そのトピック紹介です。

潰瘍性大腸炎(UC)と、しばしば鑑別診断が難しい病気に過敏性腸症候群(IBS)があります。

数ヶ月にわたり、腹痛、下痢を繰り返し、症状が潰瘍性大腸炎(UC)と似ているためです。

潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)を鑑別するためには、大腸内視鏡(大腸カメラ)で腸を直接みることがゴールデンスタンダードです。
大腸内視鏡が理想かつ、最も正確な方法です。

日本のように医療環境が整っていれば、大腸内視鏡(大腸カメラ)による大腸精密検査が理想です。

大腸内視鏡で、潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)、その他の原因であるのかを判断できます。

すぐに精密検査である大腸内視鏡(大腸カメラ)ができない医療環境で、潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)をどのように鑑別したらよいでしょうか。

潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)の鑑別に、カルプロテクチンを活用できないだろうか、
という研究が海外でおこなわれています。

(Citation: Natalie Walsham et al. Fecal calprotectin in inflammatory bowel disease. Clin Exp Gastroenterol. 2016; 9: 21–29.)

潰瘍性大腸炎(UC)は大腸粘膜にキズができるためカルプロテクチンが上昇します。
一方、
過敏性腸症候群(IBS)は大腸の動きがコントロールを失う病気で、大腸粘膜にキズができないため、カルプロテクチンが上昇しない。

が原理です。

まだまだ、この分野研究段階ですが、

・カルプロテクチン 50μg/g未満 過敏性腸症候群(IBS)疑い

・カルプロテクチン 50-150μg/g 診断保留、再検

・カルプロテクチン 150μg/g以上 大腸内視鏡(大腸カメラ)で精密検査

という診断アルゴリズム(診断手順)も提唱されています。

フランスでも、同じような発想で診療にいかそうと、ホットな話題のようです。

(Citation: D’angelo F et al. Faecal calprotectin : a useful tool for the primary care physician ? Rev Med Suisse. 2016 Oct 19;12(535):1752-1756.)

カルプロテクチンを活用して、大腸内視鏡(大腸カメラ)をなんとか「施行せず」過敏性腸症候群の診断をつける研究、興味深いものがあり、今後の発展が期待されるところです。

まとめ

潰瘍性大腸炎(UC)と過敏性腸症候群(IBS)の区別に関しては、カルプロテクチン値が活用できる可能性あります。(注意:日本では保険適用外)

しかし、腹痛や便通異常をきたす病気は潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群の他に、さまざまな疾患、さらには大腸がんがあります。

大腸癌があるかどうかは、大腸を内視鏡で直接診ることでしか分かりません。
腸の疾患が疑われるときは、カルプロテクチン値だけで判断してしまわず、やはり大腸内視鏡(大腸カメラ)は必要です。

カルプロテクチン、ちょっと気をつけた方がいい3つのこと|潰瘍性大腸炎とカルプロテクチン

潰瘍性大腸炎の新たなバイオマーカーである「糞便中カルプロテクチン」が、2ヶ月前、2017年6月から保険適用となりました。
カルプロテクチン値測定は、大学病院や研究施設など特殊な施設でしか実施できませんでしたが、今後は一般病院でも検査することができます。

参考記事
・潰瘍性大腸炎の新たなバイオマーカー「便中カルプロテクチン」|客観的な数値で結果が得られる潰瘍性大腸炎の検査

腸管に炎症が起きると、好中球が腸管粘膜に移動、カルプロテクチン値が上昇します。

腸に炎症が起きる→好中球粘膜に移動→カルプロテクチン上昇
潰瘍性大腸炎の病状とカルプロテクチン値が関連します。

新しいバイオマーカー「カルプロテクチン」の特徴として
・腸管の炎症に特異的なバイオマーカー
・便で簡単に測定できる
・潰瘍大腸炎の内視鏡所見とカルプロテクチン値が相関する
・潰瘍性大腸炎、再燃の予測マーカーとなる

非常に有用なバイオマーカーですが、カルプロテクチン値の解釈3つ注意する点があります。

【気をつけた方がいいこと1】

カルプロテクチンには正常値がない
正常値の代わりに基準値がある

カルプロテクチン
240μg/g未満が、基準値です。

この数値以下は正常、
この数値以上は異常

ズバッと2つにわけるための検査ではないからです。

大腸カメラ(内視鏡)で潰瘍性大腸炎が落ち着いているか、炎症が強いか判断できます。

潰瘍性大腸炎、落ち着いている(DAI内視鏡スコア0~1)
潰瘍性大腸炎、炎症強い(DAI内視鏡スコア2~3)
を比べて統計計算すると、カルプロテクチン240μg/g前後で、落ち着いている時、炎症強い時に差がでたので、めやすに(基準値)と定めています。

絶対的な正常値ではありませんので、仮にカルプロテクチン値が400μg/gや500μg/gでも、病状が落ち着いていることもあります。

(引用:カルプロテクチン 添付文書)

カルプロテクチンを測定して高値だったから病状悪いと即判断せず、

高かったカルプロテクチンの値が、
治療で下がってくるかどうか、

低く安定していた値が、急に上昇した

など変化をみることも大切です。

【気をつけた方がいいこと2】

カルプロテクチン値で真価を発揮するのは
240μg/g未満と「陰性」の時です。

カルプロテクチンが240μg/g未満「陰性」の時、潰瘍性大腸炎が落ち着いている可能性がきわめて高いと判断できます。

検査の特徴をあらわす指数に
感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、判定一致率などがあります。

注目するべきは96.0%『陰性的中率』の高さです。

陰性的中率は、検査が陰性(カルプロテクチン240μg/g未満)であったときその中に含まれる病気が安定している人の割合(的中率)です。

カルプロテクチン240μg/g未満 25例
その中で病状が安定している 24例 
活動性あり1例
24÷25=96.0%

逆に陽性的中率は69.0%と若干低いのが特徴です
陽性的中率はカルプロテクチン陽性(240μg/g以上)のとき、炎症がつよい人の割合(的中率)です。

カルプロテクチン240μg/g以上 42例
その中で活動性あり 29例
病状安定 13例
29÷42=69.0%

カルプロテクチン陽性(240μg/g以上)でも、炎症がつよいとは断定できません。病状が安定しているけれど陽性もあります。

【気をつけた方がいいこと3】

カルプロテクチンは腸の炎症マーカーですが、その他の要因でも値があがる。

カルプロテクチン高値、イコール腸の炎症とは限らないことに気をつけてください。

痛み止め(NASAIDs)でもカルプロテクチン値高くなります。
潰瘍性大腸炎以外にでも、腸の粘膜が傷つく、感染性腸炎でもカルプロテクチン高くなります。

さらには、大腸憩室炎でもカルプロテクチン上昇します。

カルプロテクチンは潰瘍性大腸炎の病状把握補助として非常に有用ですが、痛み止めをのんでいると値が高くなることがあることに気をつけてください。

まとめ
潰瘍性大腸炎の有用なバイオマーカーですが、その検査値の解釈には注意が必要です。

大腸がん検便検査(便潜血検査)『陽性』を放置するリスクを計算してみた

診察で
「職場の健診でコレステロール高かったのですが、最近外食多くて」
「肝臓ひっかかったのは、お酒ですかね」
など話しながら持ってこられた健診結果を見せてもらうと、コレステロール値や肝機能の数値はさておき、
放置されている「便潜血の陽性」要精密検査の文字を偶然に見つけることがあります。

結果が
便潜血反応(+)(-)

便潜血-/+
と地味です。

目立たない表記なので読み飛ばされていることもしばしばです。

職場によっては、結果説明を受けず、検診結果が郵送でとどくため、結果をよく見ず放置されていることもあります。

便潜血検+は、便が通る大腸もしくはお尻からの出血があったことをあらわします。
痔から出血があっても陽性となります。
痔からの出血だろうとの自己判断で放置されていることもあるでしょう。

身近な話題であるコレステロールや肝機能への関心は高いのですが、便潜血検査の結果をスルーしているかたが多いのが気になるところです。

大腸がん検便検査は、容器に2回便を取ってだすだけの、実に簡単な検査です。
便に混入した、目に見えない微量の血液を検出します。

簡単な検査ですが、大腸がん便検査は、大腸がん死亡率を下げることが証明されています。

便潜血検査が『陽性』だった時に、どれぐらいの頻度で大腸がんが見つかるのかご存じでしょうか?

・5%です。

5%と聞くと少なく感じるかもしれませんが、
20人に1人大腸がんが見つかります。
便潜血検査陽性を放置することが、いかに危険なことかわかります。

以下、データからの計算です。
消化器がん検診全国集計の結果がインターネット上に公開されています。
Citation: 平成25年度消化器がん検診全国集計(日本消化器がん検診学会全国集計委員会

このデータから、便潜血検査陽性のうちどれぐらいの割合で大腸がんが見つかるか計算できます。

検診受診者数 2,925,315人
要精密検者数 200,280人
精密検査受診者数 113,241
大腸がん 5071人

精密検査を受けた人のうち大腸がんが見つかった人の割合
5071÷113241=4.47%
便潜血検査の陽性的中率 4.47%です。

便潜血陽性であった人のうち、精密検査を受けた人の割合
113,241÷200,280=56.54%
6割の人しか精密検査を受けていないようです。
40%の人は、放置していることが全国調査の結果からわかります。

まとめ
便潜血検査『陽性』のとき、
20人に1人の高率で大腸がんが見つかります。

便潜血検査『陽性』は痔からの出血だろうと自己判断せず、大腸カメラによる精密検査を受けることが大切です。

参考記事

・便潜血検査の効果|大腸がん検便検査で3割も大腸癌死亡率が下げられる

大腸がん、大腸カメラで死亡率1/3に低下

食生活、生活習慣の変化にともない、大腸がんが増えています。
死亡率が女性で1番多いがんが大腸がんとなっています。
男性では肺がん、胃がんについで3番目です。

高脂肪食、喫煙、アルコールなどが大腸がんのリスクを高めることが分かっています。
欧米型の高カロリー高脂肪食から、和食に近い食生活にかえる、
禁煙、アルコールをひかえることが、がんの予防につながります。

生活スタイルの改善とともに重要なのが大腸内視鏡での大腸チェックです。

大腸内視鏡検査を受けることで、どれぐらい大腸癌を予防できるかを、
22年間という長期にわたり調べた結果があります。

(Citation: Nishihara R et al. Long-term colorectal-cancer incidence and mortality after lower endoscopy.N Engl J Med. 2013 Sep 19;369(12):1095-105)

22 年にわたり追跡した88,902人を、
大腸カメラを受けたか、受けていないか含め精緻に調査、
大腸癌の死亡率を比較しています。

内視鏡検査をうけることで、大腸癌の早期発見により予防につながります。
その効果がすばらしい。

スクリーニング大腸内視鏡検を受けている人のハザード比は0.32(95% CI 0.24~0.45)
、受けていない人を1とすると内視鏡検査を受けている人が0.32と大腸癌死亡が減少しています。

大腸カメラをうけることで、7割も大腸がん死亡率が下がるのです。

さらに細かく結果をながめみると、
内視鏡検査受けて大腸ポリープを切除した人、検査をうけていない人と比較すると、
大腸がんの多変量ハザード比0.57(95%CI 0.45~0.72。

大腸ポリープを切除することで大腸がん予防になる。
大腸ポリープを切除することで、死亡率が半分に下がるのです。

参考記事
・大腸内視鏡検査が大切な2つの理由|大腸がんの早期発見、大腸がんの予防
・予防医学的観点からの大腸内視鏡検査|大腸ポリープを内視鏡で切除することで大腸がんが予防できる

大腸内視鏡検査で大腸全て(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸)を検査するのは大切です。
しかし、大腸内視鏡は技術的に難易度が高く、検査を施行する医師の熟練を要する検査です。
そのため、全大腸内視鏡検査は難しので、簡易検査としてS状結腸までを検査するS 状結腸鏡検査(直腸、S状結腸)を検診として活用していた時代があります。
現在あまりS状結腸鏡検査は行われませんが。

全大腸を調べる検査
S状結腸までだけを調べる検査

この効果も調べています。
全大腸内視鏡検査は、近位大腸(おしりからみて奥の大腸)、遠位大腸(おしりから近い大腸、直腸、S状結腸)ともに、癌は低下
一方、
S 状結腸鏡検査、近位大腸(おしりからみて奥の大腸)の癌は減らず、
遠位大腸(おしりから近い大腸、直腸、S状結腸)の癌は低下

内視鏡でチェックしたところは、癌の予防につながるのです。

S状結腸鏡検査では不十分、大腸検査は、全大腸内視鏡検査であることが大切です。

食生活含めた生活習慣の改善、大腸内視鏡で予防できるのが『大腸がん』です。

まとめ
大腸カメラを受けることは、大腸における究極の予防医学
大腸カメラで大腸ポリープを切除することで大腸がん減る

大腸がんと家族歴の関係|第一度近親者(両親・子供・兄弟・姉妹)が大腸癌にかかっていると大腸がんリスクは一般人口の2倍。家族歴があれば若い年齢からスクリーニング検査

癌の予防的観点からは、
家族歴、生活習慣歴などが重要となります。

肺がんでは、家族歴はあまり重要ではありません。
例えば、父が肺がんに罹患しても、家系的に子供の肺がんリスクが高まるわけではありません。

肺がんであれば、タバコを吸うかどうかの生活習慣歴の方が大切となります。

 肺がん検診であれば、生活習慣歴の喫煙に着目します。
喫煙が最大のリスクファクターです。
ヘビースモーカーである30pack-year以上の喫煙者(1日20本なら30年、1日40本なら15年以上喫煙している人)に対して低線量胸部CTでの検診が有用です。

一方、肺がんと違い大腸癌で重要なのは、家族歴です。
祖父、祖母、叔父、叔母などやや遠い血縁者は余り関係ありません。少しはあるのですが。

近い近親者、第一度近親者である、両親・子供・兄弟・姉妹に大腸癌罹患者がいると、大腸癌リスクは高まります。

大腸がんで家族歴があるとリスクがたかまるのは、遺伝的要因を引き継いでいたり、幼少時から同じ食生活をしたりしていることが理由です。

西宮市中島クリニックでも、家族歴の有無を重んじています。
もし親、兄弟などに大腸がんの既往がある時は、その発症年齢まで確認するようにしています。

55歳未満で第一度近親者(両親・子供・兄弟・姉妹)が大腸癌にかかっているとリスクは一般人口の2倍になります。

話それますが、肺がん同様、大腸がんも喫煙で増えます。
その影響は肺がんほど強くは影響しませんが、肺だけでなく、大腸にも喫煙はNGです。
その他、生活習慣では肥満、高脂肪食、アルコールも大腸がんのリスクファクターです。

話をもどります。
大腸癌に関しては、近親者に大腸がん罹患者がいるかどうか極めて大切です。
血縁的に非常に近い、第一度近親者である、両親・子供・兄弟・姉妹に大腸癌罹患者がいるかどうかです。

USPSTF(US Preventive Services Task Force)米国予防医学専門委員会は以下のように家族歴のあるひとの大腸検査を推奨しています。

(Citation: US Preventive Services Task Force. Archived Recommendation Summary)

・60歳未満で第一度近親者である、両親・子供・兄弟・姉妹に大腸癌罹患者がいる場合

・年齢にかかわらず、第一度近親者(両親・子供・兄弟・姉妹)に2人以上の大腸癌もしくは高度異型性腺腫患者がいる場合

40歳もしくは近親者の大腸癌診断10年前のどちらか早いほうでスクリーニングを開始

まとめ

近い血縁である、両親・子供・兄弟・姉妹に60歳未満で大腸がんに罹った方がいると、大腸がんリスクが高まる

大腸がん家族歴があれば、早い年齢からのスクリーニング内視鏡検査が推奨される

米国での大腸がん検診|USPSTF(US Preventive Services Task Force)米国予防医学専門委員会は50歳から75歳の内視鏡、便潜血検査によるスクリーニングを推奨

アメリカには、予防医学の専門委員会があり、どの年齢の人に、どのような検診がすすめられるかデーターに基づき推奨度を提示しています。

US Preventive Services Task Force国予防医学専門委員会、略してUSPSTFとよばれる専門委員会です。

かなり具体的な内容を提示しています。

肺がん検診であれば、USPSTFは以下を推奨しています。

55歳から80歳の30pack-year(1日20本なら30年、1日40本なら15年喫煙している人)
かつ
15年以内に喫煙歴のある人
に対して低線量胸部CTでの検診が推奨されると
定めています。

毎年胸部レントゲンをとりましょう、
などのシンプルな提案ではないのが特徴です。

USPSTF(US Preventive Services Task Force)米国予防医学専門委員会はどのような大腸癌検診を推奨しているか紹介いたします。

(Citation: US Preventive Services Task Force. Archived Recommendation Summary)

・50歳から75歳に対し、便潜血検査、S状結腸内視鏡、全大腸内視鏡によるスクリーニング推奨されるとなっています。
推奨度A、つよい根拠にもとづいた推奨となっています。

・85歳以上は大腸スクリーニング検査推奨「しない」
推奨度D、has no net benefit、メリットがないので「やめましょう」となっています。

スクリーニング検査の推奨だけでなく、推奨「しない」年齢にまで言及しているところが、USPSTFのすばらしいところです。

がんの発生頻度は、人種、食事を含めた生活習慣の違いから、国によって異なります。
そのため、USPSTFの推奨をそのまま日本に適用することはできませんが、大変参考になります。

日本での大腸がん発癌率を年齢毎に示したグラフです。
(Citation: 国立がん研究センターがん情報サービス)
これをみると40歳をさかいに、発がん率が高まっているのが分かります。

早期発見することで大腸ガンによる死亡率が下がります。
また、大腸内視鏡検査を受けることで、より早いステージでがんが見つけられることも分かっています。

関連記事
大腸内視鏡検査が大切な2つの理由|大腸がんの早期発見、大腸がんの予防

中島クリニックでは40歳からの大腸検査スクリーニングをおすすめしています。

便潜血検査の効果|大腸がん検便検査で3割も大腸癌死亡率が下げられる

ドックや市検診で行われている、便をとるだけの簡単な検査「便潜血検査」の効果についてお話します。

関連記事
大腸ポリープを切除しました。次何年後に大腸カメラ受けたらよいでしょうか?|ポリープがあれば1年後、なければ3年後

予防医学的観点からの大腸内視鏡検査|大腸ポリープを内視鏡で切除することで大腸がんが予防できる

大腸がん検便検査
便を専用容器にとって提出するだけの簡単な検査です。

大腸がん検便検査、非常に簡便な検査ですが、便潜血検査には、大腸がん死亡率を低下させる十分な証拠がありあす。

ミネソタ大腸がん対照試験とよばれる30年間にもおよび大腸癌の死亡率を評価した研究があります。
Aasma Shaukat et al. Long-Term Mortality after Screening for Colorectal Cancer. N Engl J Med 2013; 369:1106-1114September 19

50~80才の46,551人 を対象として
コントロール
年1回便潜血検査受ける人
2年に1回便潜血検査を受ける人
にわけて
30年間、大腸がん死亡率を比べています。

2年に1回便潜血を受けるだけで
相対リスク 0.78
2割も大腸癌死亡率低下

毎年大腸がん検便検査(便潜血検査)を受けるだけで
相対リスク 0.68
なんと、3割も大腸癌死亡率低下したのです。

採便するだけの簡単な検査ですが、効果絶大です。

もちろん便潜血検査を受けただけで、大腸癌死亡率が減ったのではありません。
便潜血検査で陽性となった人が大腸カメラなどで精密検査を受け、早期に大腸癌を発見、早い段階で治療に取り組めた結果、大腸癌死亡率が3割も低下したのです。

ドックで
・便潜血検査陽性 要精密検査
・便潜血検査 1回目(+)2回目(-) 要精密検査 と
要精密検査と指摘されたときはどうしたらよいでしょうか。

便潜血検査(+)をドックで指摘されました、
と外来に来られる方で、便潜血検査の再検を希望されることがあります。

便潜血検査の再検は行わず、
大腸カメラでの精密検査を行います。

なぜならば、再検して便潜血結果が(-)でも、大腸は大丈夫と全くいえないからです。
便潜血検査は、大腸ポリープや腫瘍、肛門部などからの出血が、たまたま便に付着したものをとらえているだけです。

ドックでコレステロール値高値を指摘されたのであれば、食生活改善の後に「再検」もいいでしょう。

しかし、便潜血検査(+)であった時の「再検」は意義がないといえます。

大腸がん検便検査が「陽性」であった時には、大腸カメラ検査が理想です。

参考記事
大腸内視鏡検査が大切な2つの理由|大腸がんの早期発見、大腸がんの予防

潰瘍性大腸炎の新たなバイオマーカー「便中カルプロテクチン」|客観的な数値で結果が得られる潰瘍性大腸炎の検査

潰瘍性大腸炎の新たなバイオマーカーである「便中カルプロテクチン」が、保険収載される予定です。
時期はまだ決まっていませんが、今年の夏頃だと思われます。

(参考記事)
カルプロテクチン、ちょっと気をつけた方がいい3つのこと|潰瘍性大腸炎とカルプロテクチン

潰瘍性大腸の病状を判断するためには、内視鏡で大腸を直接観察することが理想です。

大腸粘膜のキズの状態を、易出血性、血管透見、潰瘍、びらん、発赤、粘液付着など総合的に判断します。

大腸粘膜の状態をみて、治療法の選択、薬の増量逆に減量します。

大腸カメラで大腸を直接みて診断、治療を行うのが理想ではあるのですが、大腸カメラを受けるためには下剤をかけて前処置が必要であり、たびたび受けるのは時間的にも難しいものです。

大腸内視鏡のかわりに、病状を推察するものが「バイオマーカー」とよばれるものです。

採血値では、WBC(白血球数)、CRPやESR(赤沈)などが「バイオマーカー」として有用ですが、WBC、CRPやESRは炎症を反映している数値であり腸管以外の炎症でも上昇する点が悩ましいところです。関節炎、肺炎などでもCRPやESRは上昇します。

腸管の炎症だけの影響を受けるバイオマーカーとして発見されたのが、「便中カルプロテクチン」です。

カルプロテクチンは、おもに好中球から分泌されるカルシウム結合タンパク質で、好中球の腸管への移行に比例してカルプロテクチン値が上昇します。

腸管に炎症が起きると、好中球が腸管粘膜に移動、カルプロテクチン値が上昇します。

新たなバイオマーカーである「便中カルプロテクチン」は、潰瘍性大腸炎の内視鏡評価(大腸カメラでみた大腸の状態)と相関することがわかっています。

さらに、潰瘍性大腸炎の病状が安定していても、カルプロテクチン値が高値を呈する方で病気が再燃しやすいことも明らかになってきています。

(Citation: Manceau H et al. Fecal calprotectin in inflammatory bowel diseases: update and perspectives. Clin Chem Lab Med. 2017 Mar 1;55(4):474-483. )

新しいバイオマーカー「カルプロテクチン」の特徴
・腸管の炎症に特異的なバイオマーカー
・便で簡単に測定できる
・潰瘍大腸炎の内視鏡所見とカルプロテクチン値が相関する
・潰瘍性大腸炎、再燃の予測マーカーとなる

非常に有用なバイオマーカーである「カルプロテクチン」ですが、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患以外でも上昇することがあります。

胃がん、大腸がん、感染性腸炎、肝硬変、PPI(proton pump inhibitor)服用、アスピリンやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)服用でも、数値ががあることがありますので注意する必要があります。

「カルプロテクチン」極めて有用なバイオマーカーですが、これだけに頼ることなく、血便、排便回数、腹痛、一般状態など含め総合的に判断することが大切です。

兵庫県西宮市 中島クリニック
内科・消化器内科

予防医学的観点からの大腸内視鏡検査|大腸ポリープを内視鏡で切除することで大腸がんが予防できる

大腸内視鏡検査がなぜ必要であるかは

大腸内視鏡検査が大切な2つの理由|大腸がんの早期発見、大腸がんの予防
を参考にどうぞ

大腸カメラでポリープがあると、内視鏡で切除します。
なぜ、ポリープを切除するかご存知でしょうか?

ポリープがあるから、取っておこう、そんななんとなくの理由ではありません。
大腸ポリープ切除には明確な理由があります。

「大腸がんの予防」です。

大腸の細胞は、いきなり正常細胞から大腸がんになるわけでなく(そのような経過を取るガンもありますが)、多くの大腸ガンは、大腸ポリープを経てから癌化します。

正常細胞→大腸ポリープ(腺腫)→大腸がん

だから、大腸ポリープ(良性)の時期にポリープを切除してしまえば、ガンの予防になるのです。

この事を証明した有名なアメリカの研究報告があります。

(Citation: Ann Zauber et al. Colonoscopic Polypectomy and Long-Term Prevention of Colorectal-Cancer Deaths. N Engl J Med 2012; 366:687-696)

1980年から登録を開始、患者さんを約15年の長期(中央値15.8年)にわたり、内視鏡で大腸ポリープを切除した方の大腸がんが減るかどうかを検討しています。
その結果が2012年発表されています。

腺腫性ポリープを全て切除した人は
大腸癌による死亡率が53%抑制されていました。

まとめ
内視鏡で大腸ポリープを切除することで、大腸がんのリスクを1/2に減らすことができるのです。

参考記事
・大腸がん、大腸カメラで死亡率1/3に低下

大腸内視鏡検査が大切な2つの理由|大腸がんの早期発見、大腸がんの予防

大腸内視鏡検査、気がすすまない検査の代表かもしれませんが、一度受けておくことは大切です。

大腸内視鏡検査を何才から受けるのがよいか結論はありませんが、40才から病気が少しづつ増えてくることを考慮すれば、40才をめどに大腸カメラ一度検査を受けるのをおすすめします。

大腸がんは、家族歴(兄弟、親など近い血縁の方が大腸がんに罹患しているかどうか)や生活習慣歴の影響が強いガンです。

家族歴がある方、アルコールをよく飲む、お肉をよく食べる方などは-5才の35才から検査を考えてもよいでしょう。

何年毎に大腸カメラ受けるのがよいかについては
以前書いた記事をご参考にどうぞ

大腸ポリープを切除しました。次何年後に大腸カメラ受けたらよいでしょうか?|ポリープがあれば1年後、なければ3年後

どのような病気でも早期発見、早期治療が大原則です。
大腸がんは早期発見、早期治療が極めて有効なことが学術的に証明されています。

大腸がんの早期発見。大腸内視鏡検査を受ける1つめの理由です。

早期発見することで大腸ガンによる死亡率が下がります。


内視鏡検査を受けることで、より早いステージでがんが見つけられることも分かっています。

(Citation: Mandel JS et al. Reducing mortality from colorectal cancer by screening for fecal occult blood. N Engl J Med 1993;328:1365-1371)

そして、大腸カメラを受ける理由の2つめが、
「大腸がん」の予防です。
がんを早期発見するのではなく、大腸ガンになる前の段階、大腸ポリープの時に内視鏡で切除しておくのです。
大腸がんの「芽」であるポリープを「摘む(切除する)」ことで大腸がんが減ることもわかっています。

大腸内視鏡検査を受ける利点、2つ
・大腸がんの早期発見
・大腸がんの予防

この2つの理由で大腸内視鏡検査が大切なのです。

大腸がんの早期発見、大腸がん予防のため、40才になったら大腸内視鏡検査、
家族歴がある方は、もう少し若い年齢で大腸カメラ検査が理想です。