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鶏肉の生は危険、カンピロバクター腸炎の原因|1000に1つのロシアンルーレット、恐い合併症ギランバレー症候群

「風邪ひいたぐらいで病院行ったことないのですが、お腹が痛くて、痛くて、我慢できず来ました」 ぐったりとして、発熱、腹痛、下痢で学生さんが来院。

普段元気にすごしている若い方の、発熱、腹痛、下痢、まず確認するべきことは、過去数日以内に何か生もの食べていないかどうかです。

数日前にさかのぼり、何か火の通っていないものを食べてたか聞くと、

「そういえば、焼き鳥屋で生の鶏モモを食べました」とのこと。

典型的な、カンピロバクター腸炎を疑う経過です。

■カンピロバクター食中毒

カンピロバクター食中毒の主な症状は、下痢、腹痛、および発熱です。38度を超える高熱もしばしばみられます。水みたいな下痢ですが、時として粘液や血便となることもあります。

潜伏期間は2-5日です。長くても潜伏期間は1週間ほどです。

カンピロバクターに限らず、食中毒が疑わしいときには、1週間前までさかのぼって食事内容を確認します。

火の通っていない牛肉、鶏肉、魚介類など疑わしい食材をチェックします。

■鮮度がよければ鶏肉を生でたべでも大丈夫でしょうか?

鮮度がよくても、鶏肉は必ず加熱しましょう。

カンピロバクターは食品の中で増えることはないことが確認されています。言い換えると、鮮度が良いからカンピロバクターが大丈夫だというわけではありません。

鶏肉のカンピロバクター汚染率は50%前後の報告もあるぐらいです。

鶏肉は生でたべるものでは「ない」と知っておいてください。、カンピロバクターは十分な加熱調理で防げますので、とにかく鶏肉は火を通すことです。

■カンピロバクターに汚染した食品は味や見た目がかわりますか?

味やにおいは変わりません。

魚やお肉が腐るのとは全く異なります。カンピロバクターに汚染している食品は、味やにおい、見た目も変化しません。

見た目では判断出来ませんので、とにかく鶏肉は十分な加熱調理です。

■カンピロバクターの恐い合併症、ギランバレー症候群

発熱、腹痛、症状は激しいのですが、カンピロバクター腸炎は自然に治ることが多く、下痢で失う水分補給が治療の中心です。

重症の場合はエリスロマイシン系抗生物質やニューキノロン系抗生物質を使うことがあります。

敗血症や重症化しなければ、カンピロバクター腸炎はそれほど恐ろしい病気ではありません。

(Citation: https://www.cdc.gov/campylobacter/guillain-barre.html)

しかし、恐ろしいのはカンピロバクター腸炎の合併症です。頻度は低いのですが、手足全身の力が入らなくなるギランバレー症候群を合併することがあります。

■カンピロバクター感染とギランバレー症候群の関係、1000に1つのロシアンルーレット

アメリカではギランバレー症候群の40%がカンピロバクター感染が原因といわています。

カンピロバクター腸炎の0.1%にギランバレー症候群が合併です。0.1%と聞くと低い印象をもたれるかもしれませんが1000人に1人です。結構高率です。

■鶏のたたきは料理としてお店のメニューにある

先日クリニックの食事会で行った、とあるお店でのことです。コース料理の一品として鶏のたたきがでてきました。それを見たスタッフ一同私の顔をみて、何か言いたげな表情を浮かべながら誰一人として生の鶏には手をつけませんでした。

多くの患者さんがカンピロバクター腸炎で苦しんでいる姿を見て、私が都度、鶏を生で食べないように患者さんに繰り返し指導している効果が、患者さんだけでなく当院スタッフに十分にでているようです。(笑)

とにかく、鶏は十分な加熱です。

鶏のたたき、鶏レバーが美味しいのはわかりますが、おいしさの誘惑にまけず、加熱調理です。

まとめ

カンピロバクター食中毒予防のために、鶏肉は十分に加熱しましょう。カンピロバクターの恐い合併症がギランバレー症候群です。

下剤ソムリエ第2弾、新しいタイプの下剤『モビコール』をテイスティング|効果は良好だが、味はまあまあ

ニフレック、マグコロールP、モビプレップ、大腸カメラ前処置下剤の味ついて熱く語っていると、友人からありがたくも、尊敬?呆れから「下剤ソムリエ」の称号をいただきました。

第1弾、大腸カメラ前処置薬、ニフレック、マグコロールP、モビプレップの味比べ

好評の第2弾、新しいタイプの下剤『モビコール』のテイスティング結果をお届けいたします。

●下剤ソムリエ第1弾、大腸内視鏡検査前、下剤(腸管洗浄液)味比べ|マグコロール、モビプレップ、ニフレック

■新しいタイプの下剤モビコール

モビコールは従来の下剤と少しことなる位置づけの下剤です。大腸検査前に腸をきれいにするために1Lから2L程の下剤を服用します。

大腸検査前にのむ下剤は非常に効果が高く、飲むと10回ほどトイレに行きたくなり、便は完全に腸から洗いながされ、腸の中が空っぽになります。

参考記事 ●スピードの「モビプレップ」、味の「マグコロールP」

大腸カメラの前処置として服用する液の安全性と効果は既に確立しています。

大腸カメラの前処置を、下剤として少量服用できるようになったのが、モビコールです。

■モビコールとモビプレップ内容の比較

モビプレップ

上の写真、真ん中がモビプレップです。

大腸検査前処置として服用するモビプレップ 1袋を水で溶かして2Lとして服用

マクロゴール400  200g 塩化ナトリウム  5.382g 塩化カリウム  2.03g 無水硫酸ナトリウム  15g アスコルビン酸  9.4g Lアスコルビン酸ナトリウム  11.8g

モビコール

モビコール1袋を60mlの水で溶かして服用

マクロゴール400  6.5625g 塩化ナトリウム  0.1754g 塩化カリウム  0.0251g 炭酸水素ナトリウム  0.0893g

主要成分のマクロゴール400の量に注目してみます。 モビプレップの1/30量がモビコールと設定されています。

大人の服用量が1回2袋、最大6袋までです。

通常量は、大腸検査前処置として服用するモビプレップの1/30から1/15服用となります。

緩やかに、じわっと効く容量と設定されています。

■モビコールの服用方法

モビコールは6x12cmの袋に粉末として入っています。液剤でないので溶かす必要があります。

水もしくはジュースでもよいので、1袋を60mlに溶かします。お湯のみ1杯が120mlぐらいですので、その半分量です。

私もモビコールを60mlに溶かしてみました。お砂糖のように、さっと水に溶ける感じではないですね。水を加えてもコップの底に沈むので、スプーンでかき混ぜる必要があります。

かき混ぜると簡単に水に溶けてくれます。

お砂糖が水に溶けるような感じではなく、片栗粉が水に溶けるような感じでしょうか。自然に溶けるというよりは、かき混ぜて、何とか溶かすイメージです。

■モビコールのテイスティング

60mlの水に溶かしたモビコール、特に香りはしません。甘い香りもしなければ、苦そうなにおいもしなければ、粉っぽいにおいもありません。

味です。

味は、まあまあ、というところでしょうか。

具体的には、マクロゴール400特有の甘いような苦いような味が中心です。そこに塩化ナトリウムが加わっているので、塩っぽい後味ものこります。

それぞれの味はすごく弱いのですが、甘い+苦い+塩っぽい、やや奇妙な後味です。まずい訳ではありませんので、ご安心ください。

■まとめ

大腸前処置下剤モビプレップの容量を調節した下剤 モビコール)が使えるようになりました。

1回容量はモビプレップの1/30~1/15量。

味は、甘い+苦い+塩っぽい、やや奇妙な後味です。まずい訳ではありませんので、ご安心ください。

自分で大腸カメラを操作、自分自身に大腸内視鏡検査を施行、座った姿勢が一番痛くないことを発見|これこそまさにイグ・ノーベル賞受賞にふさわしい研究だよ

2018年のイグ・ノーベル賞が発表され、昭和伊南総合病院、堀内朗先生が受賞されたニュースの報道がありました。内視鏡を専門とする私には、衝撃的なニュースです。自分で自分に大腸カメラをするという発想への畏敬の念です。

■イグ・ノーベル賞とは

イグ・ノーベル賞ご存じでしょうか

人を笑わせ、考えさせる研究に贈られる賞です。文字通りノーベル賞のパロディーです。

「イグ」は英語のignobleから取っています。

ignobleはnoble(気高い、崇高な)の反対の意味をもつ形容詞です。考え・行為などが恥ずべき、不名誉なをあらわす言葉がignobleです。

過去にも多数の研究で日本人が受賞しています。犬の言葉を翻訳するおもちゃ「バウリンガル」の開発、わさびのにおいを使った火災報知器の開発などです。昨年は天橋立のまたのぞきの研究でした。

まさに、人を笑わせ、考えさせる研究に贈られる賞がイグ・ノーベル賞です。

■自分で大腸カメラを操作、自分自身の大腸内視鏡検査は可能なのか

そういえば、バナナを踏んでつるっと滑り人がこけそうになる、抵抗を測定した研究の受賞もありました。人を笑わせ、考えさせる研究に贈られる賞がイグ・ノーベル賞です。

今年のイグ・ノーベル賞はほんとスゴイです。内視鏡を専門とする私からするとイグ・ノーベル賞でなくノーベル賞の間違い?ではないかと感じるぐらいのインパクトです。

朝日新聞デジタルの見出し
座って大腸検査「苦痛少ない」自ら試しイグ・ノーベル賞

(citaton: https://www.asahi.com)

内視鏡をする医師たちの間でたびたび話題になるのが、胃カメラは自分で自分にできるのだろうか、大腸カメラは自分で自分にできるのだろうか、です。

胃カメラを自分で操作して、自分自身の検査をすることはそんなに難しいことではありません。

一方大腸カメラは、操作が複雑で自分自身の検査を行うのは無理だろうというのが、内視鏡をする医師のほぼ共通見解です。

自分自身のお尻からカメラを挿入して、左手で左右上下の内視鏡操作を行い、同時に右手で内視鏡を左右にトルクをかけて前進させる、とても出来そうにない動作です。

**内視鏡センターの**先生は大腸カメラを自身にしたらしい、などいううわさは聞いたりしたことはありましたが。都市伝説レベルのうわさ話でした。

■自分で大腸カメラを操作、自分自身の大腸内視鏡検査を施行することは可能

大腸カメラ検査を自身で行うことは、ほぼ無理だろうと専門家のあいだで考えられていたのですが、この常識を覆すニュースが飛び込んできました。、

朝日新聞デジタルにイグ・ノーベル賞受賞ニュースの詳細にこのように書かれています。

『米消化器内視鏡学会誌に体験談を発表。腸内をきれいにする前処置をした上で、右手で内視鏡の端をつまんで肛門に挿入しながら、左手でカメラを動かすつまみを操作。モニターに映し出された自分の腸内を見つめる姿をイラスト付きで紹介した』

衝撃的なニュースです。大腸カメラ自身に施行することは可能だったのです。しかも体験談を学会誌に発表するスゴさ。

人を笑わせ、考えさせらえるイグ・ノーベル賞にふさわし過ぎる研究です。内視鏡を専門とする医師の永遠の命題?、自身に大腸内視鏡検査ができるかどうかに終止符が打たれました。どうやら自身で大腸内視鏡検査できるようです。

3割の女性は大腸カメラ、女性医師を希望

■大腸カメラ検査、精神的なハードル高い理由

食生活の欧米化、高脂肪、高カロリー食で、大腸がんが急増しています。高脂肪、高カロリー食で増えるのは大腸癌と乳がんです。

死亡率では女性の1位が大腸癌、男性では3位が大腸癌です。大腸カメラでの、大腸癌、早期発見、早期治療が今後ますます重要になってきます。

頭では大腸検査大切と分かっていても、なんとなく精神的なハードルが高い検査です。

大腸検査は痛い検査の代表のように思われているようですが、そんなことありませんのでご安心ください。

丁寧に前処置(大腸検査食、腸をきれいにする洗腸液)をして、丁寧に熟練した内視鏡医が担当すれば、けっしてしんどい検査ではありません。

参考記事
●大腸カメラを丸ごとを知っていれば怖くない!|中島クリニックの大腸検査

●炭酸ガスを用いる検査後も楽な大腸カメラ検査

内視鏡機器、内視鏡技術はものすごいスピードで進歩しており、しんどかったり痛かったりすることのない大腸検査ですが、精神的なハードルはやはり高いのは確かです。

精神的なハードルの一つとなっているのが、担当する医師の性別にあるのか調べてみました。

■26%の女性が、大腸検査、女性医師を希望

医師の立場からすると、医師の性別は全く関係なく、経験を積んだ内視鏡医が大腸検査を担当することが大切です。

が、お尻からカメラを入れて大腸を調べる検査、恥ずかしい気持ちがともなうのは当然です。

海外のデータとなるのですが、 30.8%の女性が大腸内視鏡検査施行医師の性別希望です。

ヒスパニックの女性は35%と高い傾向があります。

男性は特に検査施行医師の性別には好みがなさそうなのですが、20.4%の人が担当性別に希望がある結果です。

3割強の女性が内視鏡担当の性別に好みがあり、そのうち84.8%が女性担当医師希望です。

女性の26.1%が、女性医師をこのむ傾向ということです。

(Citation: Zapatier JA et al. Preferences for ethnicity and sex of endoscopists in a Hispanic population in the United States. Gastrointest Endosc. 2011 Jan;73(1):89-97)

別の平均51才のヒスパニックを対象とした調査でも、ほぼ同様の結果で30%の女性が、内視鏡医の性別に好みがある結果でした。

(Citation: Varia A et al. Gender preference for the endoscopist among Hispanics: the results of a prospective study. J Immigr Minor Health. 2014 Oct;16(5):990-3)

大腸検査をうける精神的なハードルが高く、担当医師が女性であれば安心できるという面が多分にあることが分かります。

■産婦人科を受診するときに、男性医師/女性医師、どちらか選ぶ傾向があるのか

女性の3割が、大腸カメラの時に女性医師を希望する傾向があるのであれば、産婦人科受診のとき同様の傾向があるのか調べてみました。

(Tobler Kyle et al. Gender Preference of the Obstetrician Gynecologist Provider: A Systematic Review and Meta-Analysis Obstetrics & Gynecology: May 2016doi: 10.1097/01.AOG.0000483829.97196.8f)

産婦人科受診14,736人にアンケート調査したところ

50.2% 女性医師希望

8.3% 男性医師希望

41.3% 医師の性別はとくに気にしない

(Chandler PJ et al. Provider gender preference in obstetrics and gynecology: a military population. Mil Med. 2000 Dec;165(12):938-40.)

別の報告では 産婦人科を受診するとき

52% 担当医師の性別を気にする

44% 女性医師希望

4% 男性医師希望

44%男性/女性医師とくに気にしない

最初の報告とおぼ同じ結果です。半分ほどは女性医師希望あり、半分の人は医師の性別はとくに気にせずの結果でした。

産婦人科の領域では、大腸カメラよりはるかに、女性医師がこのまれる傾向にあるようですね。

この報告には続きがあり、医師が男性か女性であるかが、最も大切なファクターであると答えた人は10%程度でした。

医師の経験、医師の専門分野区などの方がはるかに大切なのは当然です。

医師の経験、専門知識がもっとも重要であるけれど、できれば同性医師がいいかな。というところでしょうか。

■40才過ぎたら大腸カメラ検診が大切。大腸カメラをうけることで大腸癌死亡リスクを下がることができる。

肺がんの予防には、禁煙。胃がんの予防にはピロリ菌検査、もしピロリ菌がいたら除菌です。

大腸の場合は、大腸カメラで検診、もし大腸ポリープがあれば内視鏡で切除。これで大腸癌リスクが下がります。ほとんどの場合、突然大腸癌になるわけでなく、大腸ポリープが大きくなって癌化します。癌化する前、ポリープの段階で切除しておくことで予防につながります。

40才過ぎたら、大腸カメラで検診が大切です。

参考記事
●大腸がん死亡率、大腸カメラをうけることで1/3にリスク低下|大腸カメラで大腸癌早期発見、大腸ポリープを切除することで大腸がんが予防できる

■西宮市中島クリニックでは大腸カメラ、男性医師/女性医師ともに検査担当しています

西宮市中島クリニックでは大腸カメラ担当、男性医師/女性医師ともに担当しています。

医師の立場からすると、内視鏡担当医師の性別は関係なく、経験を積んだ内視鏡医が大腸検査を担当することこそが大切であると強調したいのですが、お尻からカメラを入れて大腸を調べる検査、恥ずかしい気持ちがともなうのは当然なのも十分に理解できます。

女性医師、逆に男性医師、希望あれば診察のさいに遠慮なくご相談ください。

■まとめ
・3割の女性は大腸検査、女性医師を希望
・40才過ぎれば大腸カメラ検査
・中島クリニックでは女性医師による内視鏡検査も実施しています

便秘で脳卒中、心筋梗塞が増える|ひどい便秘で心血管疾患リスクは1.4倍

たかが便秘されど便秘。便秘慢性の便秘で困っている方は人口の16%、6人に1人が便秘で悩まれています。

■便秘の治療

トイレでいきんでも出ない。便がででもすっきりしない。便秘は不快でOQL(生活の質)を著しく低下させます。

刺激性下剤(ラキソベロン)や緩下剤(酸化マグネシウム)などの便秘治療が中心でしたが、数年前から新しい作用機序の便秘治療薬が開発されています。

従来の便秘治療は大腸で効く薬が中心でしたが、新しいタイプの便秘治療薬は小腸ではたらいて効果がでます。

薬が効くところ、作用点が違うので、従来の下剤で効果ない時にも効果が期待できます。刺激性下剤(コーラック)は腸を無理矢理動かして便を出すので、腹痛やお腹のしぶりを伴うことが多いのですが、新しいタイプの下剤は腹痛やしぶりが少ないのが特徴です。

従来型の便秘薬に加え、アミティーザ、リンゼス、グーフィス錠など新しいタイプの便通を改善する薬、症状に応じて、自分にあう薬を選択できる時代になりました。

参考記事 ●グーフィス(胆汁酸トランスポーター阻害薬)新しい作用機序の便秘薬がもうすぐ処方できるようになります。

●便秘に悩む人必見!便秘解消には角度と時間が重要なワケ

■便秘と脳卒中、心筋梗塞との関係

不快で生活の質を落とす(QOL低下)する便秘ですが、不快なだけでなく便秘は脳卒中、心筋梗塞など血管が詰まる病気を増やすことがわかってきました。

(Citation: Honkura K et al. Defecation frequency and cardiovascular disease mortality in Japan: The Ohsaki cohort study. Atherosclerosis. 2016 Mar;246:251-6)

宮城県大崎地域に住む「大崎国保コホート研究」40才~79才の男女45,112人を対象に13.3年間の心血管系死亡との関連を解析した結果です。

排便回数で「1日1回以上」「2~3日に1回」「4日に1回以下」のに分けて調べています。

13.3年のフォロー期間中2,028人が心血管疾患で亡くなり、排便頻度との関連を解析しています。

毎日便がでている人とくらべ、「2~3日に1回」、「4日に1回以下」の心血管死亡リスクは1.21(95%CI:1.08-1.35)、1.39(95%CI:1.06-1.81)

排便頻度「2~3日に1回」 リスク1.21倍

排便頻度「4日に1回以下」 リスク1.39倍

4日に1回も便がでない方は、脳卒中や心筋梗塞など血管系の死亡危険度が1.4倍にもあがります。

一般的にトイレでいきむと40mmHgぐらいはあがります。

たかが便秘、されど便秘、あなどれません。

■まとめ
・便秘で脳卒中や心筋梗塞など血管系の死亡リスクがあがる
・たかが便秘されど便秘、生活習慣改善、薬で適切な治療

大腸がん検診は何才までつづけたらよいのでしょうか|75才までは推奨、76才からは健康状態で判断

■がん検診は何才からはじめる

がん検診

胃がん検診、
大腸がん検診、
肺がん検診、
子宮がん検診、
乳がん検診さまざまな検診があります。

検診を始める年齢は、がんがぽつぽつと出てくる
40才前後がめやすです。

40才は目安で、一律ではありません。
子宮頸がん検診は20代30代の
かなり早い段階からの検診が有用です。
逆に肺がん検診は50代から推奨のデータもあります。

肺がん検診に関しては年齢以外も議論つきません。

タバコを吸う人、吸わない人一律に行うのか。
タバコを吸う人のみ対象とするのか。
さらには胸部レントゲンで行うのか、胸部CTで行うのか。

■何才までがん検診をうけるか

いつからがん検診を始めるか、がん検診の方法には過去実績の蓄積があります。

肺がん検診であれば
50才以上の
喫煙者(1日喫煙本数x年数が600以上)を対象とした
低線量CTでの検診
は明らかに死亡率を下がる効果があります。

いつから始める、どのような方法で行う、
に関してはデータが蓄積され明確な推奨recommendationがあります。

逆に検診をいつやめるか関してはあいまいです。
90才でがん検診、もちろ不要でしょう。
80才ならどうでしょう。

■大腸がん検診は何才までするのか

大腸がん検診をすることで、早期発見、死亡率が下がります。
便による大腸癌検診(便潜血検査)だけでなく、
大腸がん検診を大腸カメラ(内視鏡)で行い、
大腸ポリープを切除することで、
さらに大腸がんリスクが下がります。

大腸がん亡率リスクを下げることが明らかな大腸癌検診、
40才から50才以降、積極的に取り組むことは当然です。

効果が明らかな大腸がん検診ですが、
何才までつづけるとよいのでしょうか?

90才で大腸がん検診、もちろん不要です。
生命予後を考えると検診するメリットは皆無です。

60才ならどうでしょう。
もちろん生命予後を考えると
検診メリット十分にあります。

70才ならどうでしょう。

この質問に対する予防医学の先進国である米国のUSPSTF(US Preventive Services Task Force)米国予防医療専門委員会の答えを紹介いたします。

最新のデータに基づいて、根拠ある予防医学の情報を提供しています。

(Citation: https://www.uspreventiveservicestaskforce.org

大腸がん検診は75才までは、推奨度Aです。
推奨度Aは明らかな生命予後を改善、
大腸がんによる死亡率を低下させることが明らかであることを示しています。
75才までは迷うことなく、
積極的に大腸がん検診取り組むべき世代です。

76才以上はどうでしょうか。
76才から85才は推奨度Cです。
推奨度Cは、生命予後を改善するメリットは少ないながらもある区分です。
健康状態で個別に判断です。
今まで大腸がん検診を受けたことがない人、
健康状態が良好な人は大腸がん検診受ける価値あります。

■まとめ
・大腸がん検診は75才まで推奨
・76才から85才は健康状態による。健康であれば考慮。

大腸がん、代替医療/治療(Alternative Medicine)を相談されたら

便潜血陽性
貧血
大腸内視鏡(大腸カメラ)をうけるきっかけは
さまざまですが

大腸がんが内視鏡で見つかることがあります。

患者さんと、今後どこの施設で精密検査
そして治療に取り組んでいくか
話し合いの中で、

免疫療法やハーブなどの
標準標準治療以外の相談をうけることが
多々あります。

判断の一助となる報告がありますので、紹介いたします。

参考記事
●検便でわかる?20人に1人は大腸がんが便潜血で見つかる事実

●大腸がん検便検査(便潜血検査)『陽性』を放置するリスクを計算してみた

■代替医療/治療(Alternative Medicine)とは

ことばの定義としては、通常医療の代わりに用いられるすべての治療をさすのですが、通常医療の範囲が曖昧です。
通常医療としての標準治療は、手術、抗がん剤(ホルモン療法も含む)、放射線を単独もしくは組み合わせた治療とかんがえてよいでしょう。

それ以外の、免疫療法、温熱療法など、現在は標準治療として確立はされていないものの、効果を期待される治療は代替医療の範疇です。

温熱療法は、標準治療と併用して有効性を
示した報告などありますが、
併用した時に効果があったとの報告です。
単独治療として生命予後を改善しているわけではありません。

■標準治療と代替治療(Alternative Medicine)の生命予後を比較した報告

J Natl Cancer Inst医学誌に今年の1月報告された報告です。

(Citaton: Johnson S et al. Use of Alternative Medicine for Cancer and Its Impact on Survival. J Natl Cancer Inst. 2018 Jan 1;110)

代替治療(Alternative Medicine)を選択した280人
標準治療を選択した560人
生命予後を
をさまざまな部位のがんで検討しています。

代替治療
標準治療
死亡リスクが代替治療の法が2.5倍
の結果でした。

乳がんは5.68倍
肺がんは2.17倍

治療の第一選択は
標準治療です。

この報告は、
stageII、stageIII
の転移のないがん患者さんを対象として検討してるところに意義があります。

余命数ヶ月と、癌が広がってしまった状態
であれば、
がんの治療よりも
痛みをとる、
病院より家で過ごす、
など他のことが重要になってきます。

この報告では、
がん根治をめざし。治療に取り組んでいく
stageII、stageIII段階を対象としており、
stageIVは含まれていません。

stageII、stageIII
の段階で
標準治療と代替治療の比較です。

■大腸がん、標準治療と代替治療(Alternative Medicine)の生命予後を比較した報告

全てのがんで比較すると、代替治療の方が2.5倍死亡リスクが高い結果でした。

大腸がんの死亡リスクは
代替治療は、標準治療の
4.57倍

肺がん
乳がん
と同じく

大腸がんでも
代替治療の方が、標準治療に比べ
死亡リスクが明らかに高いのです。

今後代替治療の研究がすすめば、
状況はかわる可能性ありますが、
現段階では、第一選択は標準治療です。

■まとめ
大腸がん、第一選択は標準治療です。
代替医療(Alternative Medicine)を第一選択とするのは、勧めがたい。とくにstageII、stageIII。

過敏性腸症候群(IBS)に有効な食事療法低FODMAP、ビフィドバクテリウム入りのプロバイオティクス併用を考慮

オーストラリア発の食事療法
過敏性腸症候群に有効な
低FODMAP食

参考記事
●過敏性腸症候群(IBS)に有効な食事療法低FODMAP、ビフィドバクテリウム入りのプロバイオティクス併用を考慮

■低FODMAP食とは

オーストラリアの
ピーター・ギブソン医師が中心となり提唱している食事療法です。

お腹のはり、腸の過敏は
腸内で発酵する物質を制限、
主に糖質を制限する食事です。

FODMAP(フォドマップ)は

Fermentable(発酵性の)
Oligo-saccharides(オリゴ糖)
Disaccharides(二糖類)
Mono-saccharide(単糖類)
and
Polyols(ポリオール類)
の略です。

■低FODMAP食の腸内細菌叢への影響

SF36やIBS-QOLなどのスコアで評価すると
過敏性腸症候群の症状を低FODMAP食は
有意に改善しています。

低FODMAP食は、過敏性腸症候群で生活困っている方にとって福音となりそうです。


(Citation: Whelan K et al. A Diet Low in FODMAPs Reduces Symptoms in Patients With Irritable Bowel Syndrome and A Probiotic Restores Bifidobacterium Species: A Randomized Controlled Trial.Gastroenterology. 2017 Oct;153(4):936-947)

低FODMAP食を4週間食べた人を調べると、
どうもビフィドバクテリウムが減ってしまうようです。


ビフィドバクテリウム、聞き慣れないことばですが
分かりやすくいえば、ビフィズス菌と思ってください。
善玉菌です。

ビフィドバクテリウムは、糖質
とくに、オリゴ糖を材料として
酢酸や乳酸などの
体によい物質を作ります。

低FODMAP食のOはOligo-saccharides、オリゴ糖のOです。
低FODMAP食では、オリゴ糖を制限します。
結果、善玉菌である、ビフィドバクテリウムが減ってしまうようです。

■低FODMAP食に、ビフィドバクテリウム入りのプロバイオティクスを併用したらどうなる

低FODMAP食に、ビフィドバクテリウム入りのプロバイオティクスを併用したら
ビフィドバクテリウムが減りませんでした。

低FODMAP食には、プロバイオティクスの併用を
考慮してもよいかもしれません。

低FODMAP食に関する、研究はスタートしたばかります。
今後の動向注視していきたいところです。

この研究で使われているプロバイオティクス
こんな成分です。
Streptococcus thermophilus DSM 24731
Bifidobacterium breve DSM 24732
B. longum DSM 24736
B. infantis DSM 24737
Lactobacillus acidophilus DSM 24735
L. plantarum DSM 24730
L. paracasei DSM 24733
L. delbrueckii subsp. bulgaricus DSM 24734

8種類ものプロバイオティクスが含まれています。

日本では売っていないのですが、
ヨーロッパではVivomixx
アメリカではVisbiome
の登録商標で売られています。

ネットで調べてみると
Visbiome High Potency Probiotic
60 Caps
$54.89

Visbiome 60錠 6000円ぐらいみたいですね。

まとめ
低FODMAP食は過敏性腸症候群(IBS)に有効な食事療法
低FODMAP食に関する研究は始まったばかり
低FODMAP食にはビフィドバクテリウム入りのプロバイオティクス併用を考慮

こんな記事も書いています

●潰瘍性大腸炎にプロバイオティクス(善玉菌)は効くのか|プロバイオティクス VSL#3が有望

タデ科の植物から抽出される生薬、青黛(せいたい)は潰瘍性大腸炎に効果があるのか

潰瘍性大腸炎の治療
青黛(せいたい)の話
始めて聞いたのが10年以上前患者さんからです

青黛(せいたい)を飲んでいるのですが、
通院先が遠いので
治っているかどうか、内視鏡を先生のところで確認
お願いできないでしょうか

せいたい?
何の話か全く想像つきませんでした。

漢方の一種なんですと、
患者さんが

5ASAを中心とした
潰瘍性大腸炎の
寛解導入治療
寛解維持治療
があるのに、

成分がよく分からない
得たいの知れない治療はどうだろう
正直な感想でした。

そんな思いとうらはらに、
青黛をのんでいて、当院で大腸検査
よくなっている方、何人かお会いしています。
自然経過なのか
青黛の効果か

■青黛とは

青は藍より出でて藍より青し
の藍
青黛は、藍染めなどの染料である、藍に由来します。
藍はタデ科の植物から抽出される生薬です。

中国で古くから青黛が、
抗炎症作用がある漢方として
つかわれていた歴史があります。

■青黛を服用している患者さんの内視鏡

青黛を扱っているクリニックで
診察を受けたあとに青黛を処方され、

治療経過の判断に必要な内視検査は、
当院のような内視鏡を専門としている施設で
受けている患者さんが多いようです。

青黛をのんでいる患者さんの内視鏡をした時に
大腸にびらん(浅い傷)や潰瘍が残っていて、全く効いていない方もいるのですが、

一方、ほぼ治っている状態の方。
さらには、大腸粘膜面が完全に正常の状態にまで治っている(寛解)方もあります。

そのような寛解になっている方に聞くと、

潰瘍性大腸炎の標準薬である、
ペンタサなどの5ASA製剤は全くのんでいない
青黛だけのんでいるとのことです。

自然経過で治っている可能性もありますが、
何人もの患者さんが、寛解になっている事実から
青黛、一定の効果ありそうです。

■免疫や粘膜修復に、青黛が関わる可能性

得たいの知れない青い粉の青黛ですが、
最近になり、作用機序が徐々に解明されてきています。

さまざまな細胞にある、芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor)とよばれる受容体の存在が昔から知られていました。

ただ、芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor)に何がくっくか(リガンドが何か)長らく不明でした。
最近の研究で、
インディゴやインディルビン
などの物質がリガンドといわれています。

青黛がこの芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor)のリガンドとして働く可能性が提唱されています。

芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor)を介して
免疫修飾や粘膜修復にかかわっている可能性。

芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor)に作用する物質を腸内細菌がつくるとの説もあります。
食事からとるトリプトファンを原料として腸内細菌がつくるようです。

(Citation: Quintana FJ et al. Aryl hydrocarbon receptor control of adaptive immunity.Pharmacol Rev. 2013 Aug 1;65(4):1148-61.)

青黛が潰瘍性大腸に効く可能性
青黛の成分はインディゴ
芳香族炭化水素受容体のリガンドはインディゴの可能性
芳香族炭化水素受容体は免疫や粘膜修復に作用する可能性

それぞれの点が線で
つながってきています

青黛が、
潰瘍性大腸炎の治療薬としてホントに効果があるのか
効果があるのであれば、どれぐらいの服用量が至適か
安全性の確認
さまざまな課題ありますが
今後の展開に注目していきたいと思います。

■まとめ
タデ科の植物から抽出される生薬、青黛(せいたい)
は抗炎症作用があるとして中国では古くから使われていた。
潰瘍性大腸炎への青黛の効果、今後の研究に期待

過敏性腸症候群(IBS)に有効な食事療法、低FODMAP|オーストラリア発の低FODMAP食(低フォドマップ食)が効果あり

腹痛や違和感に下痢、便秘、もしくは下痢と便秘を交互に繰り返す病気を「過敏性腸症候群」といいます。

大腸カメラで調べても、大腸に異常がなく、
大腸の動きに異常をきたす病気です。
ストレスやアルコール、香辛料などで症状が悪化、
自律神経を整える薬や、腸の動きを整える薬が
治療の中心となります。

■過敏性腸症候群(IBS)の薬

過敏性腸症候群は、便の性状で大きく3つに分かれます

便秘型
下痢型
下痢、便秘を繰り返す、混合型

治療薬
コロネル(ポリカルボフィルカルシウム)は便の水分を整える作用があり、下痢型、便秘型両方に効果があります
リンゼス(リナクロチド)は、便秘型
セレキノン(トリメブチン)は下痢型
イリボー(ラモセトロン)は下痢型に効果があります。

薬だけでなく、進学、就職、転勤など環境変化で過敏性腸症候群が悪化することがありますので、生活の指導も併せておこないます。

■過敏性腸症候群(IBS)の食事療法、低FODMAP食

最近、オーストラリア発の過敏性腸症候群に効果がある
食事療法が注目されています。
ピーター・ギブソン医師が中心となり提唱している食事療法、低FODMAP食です。

FODMAP(フォドマップ)は

Fermentable(発酵性の)
Oligo-saccharides(オリゴ糖)
Disaccharides(二糖類)
Mono-saccharide(単糖類)
and
Polyols(ポリオール類)
の略です。

腸内で発酵する、4種類の物質、主に糖類を制限する食事です。

1960年代からの研究で、腸内で発酵して、腸を刺激する各種の物質を減らした食事です。

(Citation: Gibson P et al. History of the low FODMAP diet. J Gastroenterol Hepatol. 2017 Mar;32 Suppl 1:5-7)

■過敏性腸症候群(IBS)の食事療法、低FODMAP食の効果

ピーター・ギブソン医師は
過敏性腸症候群の食事療法として
低FODMAP食を提唱しているだけでなく、
有効性を証明しています。
その結果をGastroenterology医学誌に報告しています。

過敏性腸症候群の患者さんに
・低FODMAP食
・普通のオーストラリア食
2種類の食事による腹部症状を比較しています。

この検討のスゴイところは、
ある人には、低FODMAP食、その後普通の食事
別の人には、普通の食事、その後低FODMAP食
また別の人には、低FODMAP食、その後普通の食事
と、片方の食事だけでなく、両方の食事を食べて比較しています。
クロスオーバー試験とよばれる方法です。

しかも、その食事を食べている過敏性腸症候群の患者さんは、最初にどちらの食事を食べたのかを知らずに比較しています(シングルブラインド)。

もしどちらの食を食べているか知っていたら、
低FODMAP食を食べているので、症状がよくなっていると感じたりする主観的な偏り(バイアス)が加わってしまいます。
この偏り(バイアス)をなくすために、どちらの食事を食べているか知らずに、お腹の症状をチェックしています。

クロスオーバー、
シングルブライド、
検査にて

過敏性腸症候群(IBS)に
低FODMAP食が有効であることが
明らかとされています。

(Cittaion: Halmos E et al. A diet low in FODMAPs reduces symptoms of irritable bowel syndrome. Gastroenterology. 2014 Jan;146(1):67-75)

低FODMAP食(低フォドマップ食)
この聞き慣れない食事療法
過敏性腸症候群による下痢、便秘で困っている方に朗報です。

■まとめ
過敏性腸症候群に、オーストラリア発の食事療法、低FODMAP食(低フォドマップ食)が有効