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座りっぱなし生活はがん、心筋梗塞をはじめとした病気のリスクを高める|仕事で座りっぱなしの人は仕事の合間に30分の軽い運動を取り入れよう


■長時間の座りっぱなし生活は、心臓や脳血管疾患のみならず、がんのリスクも高める

長時間の座りっぱなし生活は、さまざまな病気のリスクを高めることが知られています。

座りっぱなし生活でカロリーをあまり消費しない生活は、糖尿病、高血圧、高脂血症などのメタボリック症候群、昔でいうところの成人病になりやすいことは容易に想像できます。

糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満などから、血管が詰まりやすくなったり逆に出血しやすくなることから、心臓や脳の血管の病気が増えます。狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血など血管の病気です。

さらに、座りっぱなし生活ががんのリスクおよび死亡率を高めることも研究から分かってきています。特に、乳がん、大腸がんは生活習慣の影響を受けます。

●運動で大腸がん予防|運動と大腸がんの関係

■座りっぱなし生活の対策

仕事で座りっぱなしの人は、仕事の間に少しでも運動を取り入れるのが対策です。

医者の生活、特に開業医の生活は座りっぱなしの時間が多く不健康なライフスタイルの代表といえるかもしれません。終日外来をするとのべ6-7時間はすわりっぱなしです。

興味深いコホート研究の報告があるので紹介します。

(Citation: Diaz A et al. Potential Effects on Mortality of Replacing Sedentary Time With Short Sedentary Bouts or Physical Activity: A National Cohort Study. Am J Epidemiol. 2019 Mar 1;188(3):537-544.)

45歳以上の7,999人の仕事、仕事中の運動量(体を動かしている)量を測定、それと死亡率の関係を集計しています。

・座っている時間の30分を軽活動(LIPA light-intensity physical activity)にすると死亡リスクが17%減少

・座っている時間の30分を中から強度の活動(MVPA moderate to vigorous physical activity)にすると35%死亡リスクが減少

座りっぱなしの時間を何らかの運動に置き換えるのが理想です。細切れの数分体を動かすことでも効果があります。

デスクワークで座りっぱなしの人は、1時間に数分でも体を動かす時間を取り入れるのが理想ですね。

立ってパソコンに向かう作業を取り入れるのも方法です。私はこのブログ立ってPCに向かって書いています。クリニックの受付テーブルがちょうどよい高さなで、そこにPC置いてブログ書いています。

最近はこんな感じの高さをかえられるオフィス用の机取り入れる企業多いようです。

(www.askul.co.jp)

■デスクワーク中心の座りっぱなしの人ができる健康対策

出来る対策としては通勤です。通勤を車から電車、さらに可能であれば電車から自転車にかえるのは効果てきです。

●長生きしたければ運動|週1回でも効果あり

●自転車通勤は死亡率を下げる

■まとめ

座りっぱなしのデスクワークは死亡リスクを高めます。細切れの数分でも仕事の合間に体を動かすことでリスク軽減できます。

大腸憩室炎に抗菌薬を「投与しない」という選択枝はあるのか

大腸にポケット状に飛び出る憩室。

このポケット状にへっこんだところに細菌が付いて炎症を起こすのが大腸憩室炎です。

バイ菌が原因ですので、抗菌薬で治療するのが一般的です。

■憩室炎は繰り返す

憩室炎は抗生物質で治っても、たびたび繰り返すため、そのたびに抗生物質を投与することとなります。

一度憩室炎を起こした人の2割から4割がまた起こすともいわれています。

たびたび抗生物質を使っていると耐性菌が出現する懸念もあります。だからと言って、原因が細菌なので抗生物質を投与せざるをえないのがジレンマではあります。

■憩室炎に抗菌薬を投与しないとのきの予後

憩室炎を抗菌薬「投与」と抗生物質「投与しない」ランダムに振り分けた比較がオランダから報告されたので紹介いたします。

van Dijk ST et al. Long-Term Effects of Omitting Antibiotics in Uncomplicated Acute Diverticulitis. Am J Gastroenterol. 2018 Jul;113(7):1045-1052

対象は528例の、初発の憩室炎です。

CTで確定診断して、左側結腸の症例のみに限定しています。

治療後2年間フォローしています。

再発率は抗菌薬投与で14.9%、非投与で15.4%と有意差なし

合併症は抗菌薬投与で3.3%、非投与で4.8%と有意差なし

S状結腸切除が必要となったのは抗菌薬投与で5.0%、非投与で9.0%と有意差なし

統計データ上は、初発の憩室炎の2年間フォローでは、抗菌薬「投与」と抗菌薬「投与しない」治療で差がありませんでした。

■憩室炎に抗菌薬を投与しない選択枝はあるのか

統計学上は抗菌薬投与と非投与で合併症やS状結腸切除率に差はないと出ているのですが、

合併症は抗菌薬投与で3.3%、非投与で4.8%

S状結腸切除が必要となったのは抗菌薬投与で5.0%、非投与で9.0%

統計学的に有意差はないものの抗菌薬投与でいずれも低い率で、この報告をもって、抗菌薬投与不要とは言いがたい印象です。

現状では抗菌薬投与が妥当な治療でしょうか。

大腸がん予防|大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師の特徴

大腸癌の予防に、大腸カメラを受けポリープがあれば切除することが効果的です。

参考ブログ

●主治医は40歳未満の若手医師がいいのか。担当医師の年齢が入院死亡率に影響|高齢医師より若手医師の方が入院死亡率が低い

●入院患者さんの予後(死亡率、再入院率)が担当医師の性別で差|女性医師の方が男性医師よりも入院患者さんの予後がよい

■大腸癌予防には大腸ポリープ(腺腫)の切除

大腸は「腺腫」とよばれるポリープの状態を経て、大腸癌となります。

この前癌状態である「ポリープ(腺腫)」を内視鏡で切除することが、大腸癌予防につながります。

大腸腺腫を徹底的に切除してポリープがない状態(クリーンコロン)にすることが大腸カメラを受ける意義です。

■大腸腺腫検出率(ADR)が高いほどよい

大腸ポリープを的確に発見する内視鏡医の力量が高ければ高いほど、ポリープを徹底的に摘除してポリープがない状態(クリーンコロン)にすることができるのは自明の事実です。

中島クリニックでも大腸ポリープ(腺腫)を徹底的に摘除してポリープがない状態(クリーンコロン)を治療のゴールとしています。

■どのような医師が大腸腺腫検出率(ADR)が高いのか

どのような医師が大腸腺腫検出率(ADR)が高いのかを調べた報告を紹介いたします。

(Citation: Mehrotra A et al. Physician characteristics associated with higher adenoma detection rate. Gastrointest Endosc. 2018 Mar;87(3):778-786)

レトロスペクティブコホート研究です。 201人の検査医師による104,618 症例で検討しています。

平均の大腸腺腫検出率(ADR)は33.2%でした。

ADRが高かったのは、女性医師、消化器専門医でした。 女性医師は男性医師に比べて4.2%高く、消化器専門医はそれ以外の医師より9.4%高い結果でした。

ちょっと意外だったのは、レジデント終了9年以内の医師は、27年から51年の医師よりもADRが6%も高いことでした。

消化器専門医が、それ以外の医師よりADRが約10%も高い結果は、スクリーニング検査では、トレーニングと経験がともに必要であることをこの報告が実証しています。

年齢の影響をスポーツと同じように扱ってよいのかどうかは異論あるところですが、内視鏡など経験と手技ともに要する検査では、ある年齢からは(この報告ではレジデント終了27年から51年の医師)パフォーマンスが落ちるという結果がでています。

■まとめ

大腸癌予防には、大腸腺腫を大腸カメラで切除することが大切です。

大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師の特徴検討した結果は、消化器専門医がその他の医師より10%もADRが高いという歴然とした差があることがわかりました。

大腸カメラ検査は、内視鏡専門施設でうけるのがおすすめです。

メタ解析から、残念ながら過敏性腸症候群IBSへのロバイオティクス(善玉菌)の効果は示せず|リファキシミンは有効だが日本では保険適応外

下痢、便秘、下痢便秘を繰り返す、過敏性腸症候群、腹部違和感から生活の質(QOL)が低下する病気です。

ビオフェルミン、乳酸菌などのプロバイオティクス(善玉菌)が整腸剤として使われています。

プロバイオティクスは有効であるとの報告、逆に効果がないとの報告、諸説あります。

プロバイオティクスの効果をメタ解析したシステミックレビューの紹介をいたします。

■潰瘍性大腸炎とプロバイオティクス

腸に過剰な免疫反応から潰瘍ができる潰瘍性大腸炎。治療の中心は5ASA製剤です。ビオフェルミンなどのプロバイオティクスが併用されています。

海外ではさまざな種類のプロバイオティクスが使われているのですが、これは有効と証明されたプロバイオティクスがほとんどないのが現状です。

腸内細菌をプロバイオティクスで整えると、潰瘍性大腸炎が良くなる。仮説は正しいそうなのですが、実臨床ではなかなか効果が得られていません。

●潰瘍性大腸炎にプロバイオティクス(善玉菌)は効くのか|プロバイオティクス VSL#3が有望

ほとんどのプロバイオティクス が効果乏しいなか、VSL#3は潰瘍性大腸炎に有望なデータ報告があります。

(注:VSL#3は日本では売られていません。)

■過敏性腸症候群IBSへのロバイオティクス(善玉菌)の過敏性腸症候群への効果、メタ解析から

メタ解析では、4017件の論文を検索して抽出、その中で53のプロバイオティクス論文を検討しています。

(Citatrion: Ford AC et al. Systematic review with meta-analysis: the efficacy of prebiotics, probiotics, synbiotics and antibiotics in irritable bowel syndrome. Aliment Pharmacol Ther. 2018 Nov;48(10):1044-1060)

結果はフォレストプロットのように、左にプロット(効果がある)されている論文はほとんどありませんでした。

プロバイオティクス、副反応もない代わりに効果も証明できない、結果となりました。

プロバイオティクス、腸によさそうな印象あるのですが、科学的に証明するのはなかなか難しいものです。これが有効というプロバイオティクスがないのが、現状です。

■過敏性腸症候群IBSへのリファキシミンの効果

海外ではリファキシミン、ネオマイシン、ノルフロキサシンなどの抗菌薬が過敏性腸症候群の治療に使われています。

(注:難吸収性リファマイシン系抗菌薬リファキシミン製剤であるリフキシマ錠に過敏性腸症候群の適応はありません。肝性脳症における高アンモニア血症の改善にリファキシミンが適応となっています)

抗菌薬は、便秘型の過敏性腸症候群以外には中等度の効果が示されています。

■まとめ

メタ解析から、残念ながら過敏性腸症候群IBSへのプロバイオティクス(善玉菌)の効果は示されませんでした。

リファキシミンは便秘型を除く過敏性腸症候群に有効です。(注:日本でリファキシミンは過敏性腸症候群は適応外です)

鶏肉の生は危険、カンピロバクター腸炎の原因|1000に1つのロシアンルーレット、恐い合併症ギランバレー症候群

「風邪ひいたぐらいで病院行ったことないのですが、お腹が痛くて、痛くて、我慢できず来ました」 ぐったりとして、発熱、腹痛、下痢で学生さんが来院。

普段元気にすごしている若い方の、発熱、腹痛、下痢、まず確認するべきことは、過去数日以内に何か生もの食べていないかどうかです。

数日前にさかのぼり、何か火の通っていないものを食べてたか聞くと、

「そういえば、焼き鳥屋で生の鶏モモを食べました」とのこと。

典型的な、カンピロバクター腸炎を疑う経過です。

■カンピロバクター食中毒

カンピロバクター食中毒の主な症状は、下痢、腹痛、および発熱です。38度を超える高熱もしばしばみられます。水みたいな下痢ですが、時として粘液や血便となることもあります。

潜伏期間は2-5日です。長くても潜伏期間は1週間ほどです。

カンピロバクターに限らず、食中毒が疑わしいときには、1週間前までさかのぼって食事内容を確認します。

火の通っていない牛肉、鶏肉、魚介類など疑わしい食材をチェックします。

■鮮度がよければ鶏肉を生でたべでも大丈夫でしょうか?

鮮度がよくても、鶏肉は必ず加熱しましょう。

カンピロバクターは食品の中で増えることはないことが確認されています。言い換えると、鮮度が良いからカンピロバクターが大丈夫だというわけではありません。

鶏肉のカンピロバクター汚染率は50%前後の報告もあるぐらいです。

鶏肉は生でたべるものでは「ない」と知っておいてください。、カンピロバクターは十分な加熱調理で防げますので、とにかく鶏肉は火を通すことです。

■カンピロバクターに汚染した食品は味や見た目がかわりますか?

味やにおいは変わりません。

魚やお肉が腐るのとは全く異なります。カンピロバクターに汚染している食品は、味やにおい、見た目も変化しません。

見た目では判断出来ませんので、とにかく鶏肉は十分な加熱調理です。

■カンピロバクターの恐い合併症、ギランバレー症候群

発熱、腹痛、症状は激しいのですが、カンピロバクター腸炎は自然に治ることが多く、下痢で失う水分補給が治療の中心です。

重症の場合はエリスロマイシン系抗生物質やニューキノロン系抗生物質を使うことがあります。

敗血症や重症化しなければ、カンピロバクター腸炎はそれほど恐ろしい病気ではありません。

(Citation: https://www.cdc.gov/campylobacter/guillain-barre.html)

しかし、恐ろしいのはカンピロバクター腸炎の合併症です。頻度は低いのですが、手足全身の力が入らなくなるギランバレー症候群を合併することがあります。

■カンピロバクター感染とギランバレー症候群の関係、1000に1つのロシアンルーレット

アメリカではギランバレー症候群の40%がカンピロバクター感染が原因といわています。

カンピロバクター腸炎の0.1%にギランバレー症候群が合併です。0.1%と聞くと低い印象をもたれるかもしれませんが1000人に1人です。結構高率です。

■鶏のたたきは料理としてお店のメニューにある

先日クリニックの食事会で行った、とあるお店でのことです。コース料理の一品として鶏のたたきがでてきました。それを見たスタッフ一同私の顔をみて、何か言いたげな表情を浮かべながら誰一人として生の鶏には手をつけませんでした。

多くの患者さんがカンピロバクター腸炎で苦しんでいる姿を見て、私が都度、鶏を生で食べないように患者さんに繰り返し指導している効果が、患者さんだけでなく当院スタッフに十分にでているようです。(笑)

とにかく、鶏は十分な加熱です。

鶏のたたき、鶏レバーが美味しいのはわかりますが、おいしさの誘惑にまけず、加熱調理です。

まとめ

カンピロバクター食中毒予防のために、鶏肉は十分に加熱しましょう。カンピロバクターの恐い合併症がギランバレー症候群です。

下剤ソムリエ第2弾、新しいタイプの下剤『モビコール』をテイスティング|効果は良好だが、味はまあまあ

ニフレック、マグコロールP、モビプレップ、大腸カメラ前処置下剤の味ついて熱く語っていると、友人からありがたくも、尊敬?呆れから「下剤ソムリエ」の称号をいただきました。

第1弾、大腸カメラ前処置薬、ニフレック、マグコロールP、モビプレップの味比べ

好評の第2弾、新しいタイプの下剤『モビコール』のテイスティング結果をお届けいたします。

●下剤ソムリエ第1弾、大腸内視鏡検査前、下剤(腸管洗浄液)味比べ|マグコロール、モビプレップ、ニフレック

■新しいタイプの下剤モビコール

モビコールは従来の下剤と少しことなる位置づけの下剤です。大腸検査前に腸をきれいにするために1Lから2L程の下剤を服用します。

大腸検査前にのむ下剤は非常に効果が高く、飲むと10回ほどトイレに行きたくなり、便は完全に腸から洗いながされ、腸の中が空っぽになります。

参考記事 ●スピードの「モビプレップ」、味の「マグコロールP」

大腸カメラの前処置として服用する液の安全性と効果は既に確立しています。

大腸カメラの前処置を、下剤として少量服用できるようになったのが、モビコールです。

■モビコールとモビプレップ内容の比較

モビプレップ

上の写真、真ん中がモビプレップです。

大腸検査前処置として服用するモビプレップ 1袋を水で溶かして2Lとして服用

マクロゴール400  200g 塩化ナトリウム  5.382g 塩化カリウム  2.03g 無水硫酸ナトリウム  15g アスコルビン酸  9.4g Lアスコルビン酸ナトリウム  11.8g

モビコール

モビコール1袋を60mlの水で溶かして服用

マクロゴール400  6.5625g 塩化ナトリウム  0.1754g 塩化カリウム  0.0251g 炭酸水素ナトリウム  0.0893g

主要成分のマクロゴール400の量に注目してみます。 モビプレップの1/30量がモビコールと設定されています。

大人の服用量が1回2袋、最大6袋までです。

通常量は、大腸検査前処置として服用するモビプレップの1/30から1/15服用となります。

緩やかに、じわっと効く容量と設定されています。

■モビコールの服用方法

モビコールは6x12cmの袋に粉末として入っています。液剤でないので溶かす必要があります。

水もしくはジュースでもよいので、1袋を60mlに溶かします。お湯のみ1杯が120mlぐらいですので、その半分量です。

私もモビコールを60mlに溶かしてみました。お砂糖のように、さっと水に溶ける感じではないですね。水を加えてもコップの底に沈むので、スプーンでかき混ぜる必要があります。

かき混ぜると簡単に水に溶けてくれます。

お砂糖が水に溶けるような感じではなく、片栗粉が水に溶けるような感じでしょうか。自然に溶けるというよりは、かき混ぜて、何とか溶かすイメージです。

■モビコールのテイスティング

60mlの水に溶かしたモビコール、特に香りはしません。甘い香りもしなければ、苦そうなにおいもしなければ、粉っぽいにおいもありません。

味です。

味は、まあまあ、というところでしょうか。

具体的には、マクロゴール400特有の甘いような苦いような味が中心です。そこに塩化ナトリウムが加わっているので、塩っぽい後味ものこります。

それぞれの味はすごく弱いのですが、甘い+苦い+塩っぽい、やや奇妙な後味です。まずい訳ではありませんので、ご安心ください。

■まとめ

大腸前処置下剤モビプレップの容量を調節した下剤 モビコール)が使えるようになりました。

1回容量はモビプレップの1/30~1/15量。

味は、甘い+苦い+塩っぽい、やや奇妙な後味です。まずい訳ではありませんので、ご安心ください。

自分で大腸カメラを操作、自分自身に大腸内視鏡検査を施行、座った姿勢が一番痛くないことを発見|これこそまさにイグ・ノーベル賞受賞にふさわしい研究だよ

2018年のイグ・ノーベル賞が発表され、昭和伊南総合病院、堀内朗先生が受賞されたニュースの報道がありました。内視鏡を専門とする私には、衝撃的なニュースです。自分で自分に大腸カメラをするという発想への畏敬の念です。

■イグ・ノーベル賞とは

イグ・ノーベル賞ご存じでしょうか

人を笑わせ、考えさせる研究に贈られる賞です。文字通りノーベル賞のパロディーです。

「イグ」は英語のignobleから取っています。

ignobleはnoble(気高い、崇高な)の反対の意味をもつ形容詞です。考え・行為などが恥ずべき、不名誉なをあらわす言葉がignobleです。

過去にも多数の研究で日本人が受賞しています。犬の言葉を翻訳するおもちゃ「バウリンガル」の開発、わさびのにおいを使った火災報知器の開発などです。昨年は天橋立のまたのぞきの研究でした。

まさに、人を笑わせ、考えさせる研究に贈られる賞がイグ・ノーベル賞です。

■自分で大腸カメラを操作、自分自身の大腸内視鏡検査は可能なのか

そういえば、バナナを踏んでつるっと滑り人がこけそうになる、抵抗を測定した研究の受賞もありました。人を笑わせ、考えさせる研究に贈られる賞がイグ・ノーベル賞です。

今年のイグ・ノーベル賞はほんとスゴイです。内視鏡を専門とする私からするとイグ・ノーベル賞でなくノーベル賞の間違い?ではないかと感じるぐらいのインパクトです。

朝日新聞デジタルの見出し
座って大腸検査「苦痛少ない」自ら試しイグ・ノーベル賞

(citaton: https://www.asahi.com)

内視鏡をする医師たちの間でたびたび話題になるのが、胃カメラは自分で自分にできるのだろうか、大腸カメラは自分で自分にできるのだろうか、です。

胃カメラを自分で操作して、自分自身の検査をすることはそんなに難しいことではありません。

一方大腸カメラは、操作が複雑で自分自身の検査を行うのは無理だろうというのが、内視鏡をする医師のほぼ共通見解です。

自分自身のお尻からカメラを挿入して、左手で左右上下の内視鏡操作を行い、同時に右手で内視鏡を左右にトルクをかけて前進させる、とても出来そうにない動作です。

**内視鏡センターの**先生は大腸カメラを自身にしたらしい、などいううわさは聞いたりしたことはありましたが。都市伝説レベルのうわさ話でした。

■自分で大腸カメラを操作、自分自身の大腸内視鏡検査を施行することは可能

大腸カメラ検査を自身で行うことは、ほぼ無理だろうと専門家のあいだで考えられていたのですが、この常識を覆すニュースが飛び込んできました。、

朝日新聞デジタルにイグ・ノーベル賞受賞ニュースの詳細にこのように書かれています。

『米消化器内視鏡学会誌に体験談を発表。腸内をきれいにする前処置をした上で、右手で内視鏡の端をつまんで肛門に挿入しながら、左手でカメラを動かすつまみを操作。モニターに映し出された自分の腸内を見つめる姿をイラスト付きで紹介した』

衝撃的なニュースです。大腸カメラ自身に施行することは可能だったのです。しかも体験談を学会誌に発表するスゴさ。

人を笑わせ、考えさせらえるイグ・ノーベル賞にふさわし過ぎる研究です。内視鏡を専門とする医師の永遠の命題?、自身に大腸内視鏡検査ができるかどうかに終止符が打たれました。どうやら自身で大腸内視鏡検査できるようです。

3割の女性は大腸カメラ、女性医師を希望

■大腸カメラ検査、精神的なハードル高い理由

食生活の欧米化、高脂肪、高カロリー食で、大腸がんが急増しています。高脂肪、高カロリー食で増えるのは大腸癌と乳がんです。

死亡率では女性の1位が大腸癌、男性では3位が大腸癌です。大腸カメラでの、大腸癌、早期発見、早期治療が今後ますます重要になってきます。

頭では大腸検査大切と分かっていても、なんとなく精神的なハードルが高い検査です。

大腸検査は痛い検査の代表のように思われているようですが、そんなことありませんのでご安心ください。

丁寧に前処置(大腸検査食、腸をきれいにする洗腸液)をして、丁寧に熟練した内視鏡医が担当すれば、けっしてしんどい検査ではありません。

参考記事
●大腸カメラを丸ごとを知っていれば怖くない!|中島クリニックの大腸検査

●炭酸ガスを用いる検査後も楽な大腸カメラ検査

内視鏡機器、内視鏡技術はものすごいスピードで進歩しており、しんどかったり痛かったりすることのない大腸検査ですが、精神的なハードルはやはり高いのは確かです。

精神的なハードルの一つとなっているのが、担当する医師の性別にあるのか調べてみました。

■26%の女性が、大腸検査、女性医師を希望

医師の立場からすると、医師の性別は全く関係なく、経験を積んだ内視鏡医が大腸検査を担当することが大切です。

が、お尻からカメラを入れて大腸を調べる検査、恥ずかしい気持ちがともなうのは当然です。

海外のデータとなるのですが、 30.8%の女性が大腸内視鏡検査施行医師の性別希望です。

ヒスパニックの女性は35%と高い傾向があります。

男性は特に検査施行医師の性別には好みがなさそうなのですが、20.4%の人が担当性別に希望がある結果です。

3割強の女性が内視鏡担当の性別に好みがあり、そのうち84.8%が女性担当医師希望です。

女性の26.1%が、女性医師をこのむ傾向ということです。

(Citation: Zapatier JA et al. Preferences for ethnicity and sex of endoscopists in a Hispanic population in the United States. Gastrointest Endosc. 2011 Jan;73(1):89-97)

別の平均51才のヒスパニックを対象とした調査でも、ほぼ同様の結果で30%の女性が、内視鏡医の性別に好みがある結果でした。

(Citation: Varia A et al. Gender preference for the endoscopist among Hispanics: the results of a prospective study. J Immigr Minor Health. 2014 Oct;16(5):990-3)

大腸検査をうける精神的なハードルが高く、担当医師が女性であれば安心できるという面が多分にあることが分かります。

■産婦人科を受診するときに、男性医師/女性医師、どちらか選ぶ傾向があるのか

女性の3割が、大腸カメラの時に女性医師を希望する傾向があるのであれば、産婦人科受診のとき同様の傾向があるのか調べてみました。

(Tobler Kyle et al. Gender Preference of the Obstetrician Gynecologist Provider: A Systematic Review and Meta-Analysis Obstetrics & Gynecology: May 2016doi: 10.1097/01.AOG.0000483829.97196.8f)

産婦人科受診14,736人にアンケート調査したところ

50.2% 女性医師希望

8.3% 男性医師希望

41.3% 医師の性別はとくに気にしない

(Chandler PJ et al. Provider gender preference in obstetrics and gynecology: a military population. Mil Med. 2000 Dec;165(12):938-40.)

別の報告では 産婦人科を受診するとき

52% 担当医師の性別を気にする

44% 女性医師希望

4% 男性医師希望

44%男性/女性医師とくに気にしない

最初の報告とおぼ同じ結果です。半分ほどは女性医師希望あり、半分の人は医師の性別はとくに気にせずの結果でした。

産婦人科の領域では、大腸カメラよりはるかに、女性医師がこのまれる傾向にあるようですね。

この報告には続きがあり、医師が男性か女性であるかが、最も大切なファクターであると答えた人は10%程度でした。

医師の経験、医師の専門分野区などの方がはるかに大切なのは当然です。

医師の経験、専門知識がもっとも重要であるけれど、できれば同性医師がいいかな。というところでしょうか。

■40才過ぎたら大腸カメラ検診が大切。大腸カメラをうけることで大腸癌死亡リスクを下がることができる。

肺がんの予防には、禁煙。胃がんの予防にはピロリ菌検査、もしピロリ菌がいたら除菌です。

大腸の場合は、大腸カメラで検診、もし大腸ポリープがあれば内視鏡で切除。これで大腸癌リスクが下がります。ほとんどの場合、突然大腸癌になるわけでなく、大腸ポリープが大きくなって癌化します。癌化する前、ポリープの段階で切除しておくことで予防につながります。

40才過ぎたら、大腸カメラで検診が大切です。

参考記事
●大腸がん死亡率、大腸カメラをうけることで1/3にリスク低下|大腸カメラで大腸癌早期発見、大腸ポリープを切除することで大腸がんが予防できる

■西宮市中島クリニックでは大腸カメラ、男性医師/女性医師ともに検査担当しています

西宮市中島クリニックでは大腸カメラ担当、男性医師/女性医師ともに担当しています。

医師の立場からすると、内視鏡担当医師の性別は関係なく、経験を積んだ内視鏡医が大腸検査を担当することこそが大切であると強調したいのですが、お尻からカメラを入れて大腸を調べる検査、恥ずかしい気持ちがともなうのは当然なのも十分に理解できます。

女性医師、逆に男性医師、希望あれば診察のさいに遠慮なくご相談ください。

■まとめ
・3割の女性は大腸検査、女性医師を希望
・40才過ぎれば大腸カメラ検査
・中島クリニックでは女性医師による内視鏡検査も実施しています

便秘で脳卒中、心筋梗塞が増える|ひどい便秘で心血管疾患リスクは1.4倍

たかが便秘されど便秘。便秘慢性の便秘で困っている方は人口の16%、6人に1人が便秘で悩まれています。

■便秘の治療

トイレでいきんでも出ない。便がででもすっきりしない。便秘は不快でOQL(生活の質)を著しく低下させます。

刺激性下剤(ラキソベロン)や緩下剤(酸化マグネシウム)などの便秘治療が中心でしたが、数年前から新しい作用機序の便秘治療薬が開発されています。

従来の便秘治療は大腸で効く薬が中心でしたが、新しいタイプの便秘治療薬は小腸ではたらいて効果がでます。

薬が効くところ、作用点が違うので、従来の下剤で効果ない時にも効果が期待できます。刺激性下剤(コーラック)は腸を無理矢理動かして便を出すので、腹痛やお腹のしぶりを伴うことが多いのですが、新しいタイプの下剤は腹痛やしぶりが少ないのが特徴です。

従来型の便秘薬に加え、アミティーザ、リンゼス、グーフィス錠など新しいタイプの便通を改善する薬、症状に応じて、自分にあう薬を選択できる時代になりました。

参考記事 ●グーフィス(胆汁酸トランスポーター阻害薬)新しい作用機序の便秘薬がもうすぐ処方できるようになります。

●便秘に悩む人必見!便秘解消には角度と時間が重要なワケ

■便秘と脳卒中、心筋梗塞との関係

不快で生活の質を落とす(QOL低下)する便秘ですが、不快なだけでなく便秘は脳卒中、心筋梗塞など血管が詰まる病気を増やすことがわかってきました。

(Citation: Honkura K et al. Defecation frequency and cardiovascular disease mortality in Japan: The Ohsaki cohort study. Atherosclerosis. 2016 Mar;246:251-6)

宮城県大崎地域に住む「大崎国保コホート研究」40才~79才の男女45,112人を対象に13.3年間の心血管系死亡との関連を解析した結果です。

排便回数で「1日1回以上」「2~3日に1回」「4日に1回以下」のに分けて調べています。

13.3年のフォロー期間中2,028人が心血管疾患で亡くなり、排便頻度との関連を解析しています。

毎日便がでている人とくらべ、「2~3日に1回」、「4日に1回以下」の心血管死亡リスクは1.21(95%CI:1.08-1.35)、1.39(95%CI:1.06-1.81)

排便頻度「2~3日に1回」 リスク1.21倍

排便頻度「4日に1回以下」 リスク1.39倍

4日に1回も便がでない方は、脳卒中や心筋梗塞など血管系の死亡危険度が1.4倍にもあがります。

一般的にトイレでいきむと40mmHgぐらいはあがります。

たかが便秘、されど便秘、あなどれません。

■まとめ
・便秘で脳卒中や心筋梗塞など血管系の死亡リスクがあがる
・たかが便秘されど便秘、生活習慣改善、薬で適切な治療

大腸がん検診は何才までつづけたらよいのでしょうか|75才までは推奨、76才からは健康状態で判断

■がん検診は何才からはじめる

がん検診

胃がん検診、
大腸がん検診、
肺がん検診、
子宮がん検診、
乳がん検診さまざまな検診があります。

検診を始める年齢は、がんがぽつぽつと出てくる
40才前後がめやすです。

40才は目安で、一律ではありません。
子宮頸がん検診は20代30代の
かなり早い段階からの検診が有用です。
逆に肺がん検診は50代から推奨のデータもあります。

肺がん検診に関しては年齢以外も議論つきません。

タバコを吸う人、吸わない人一律に行うのか。
タバコを吸う人のみ対象とするのか。
さらには胸部レントゲンで行うのか、胸部CTで行うのか。

■何才までがん検診をうけるか

いつからがん検診を始めるか、がん検診の方法には過去実績の蓄積があります。

肺がん検診であれば
50才以上の
喫煙者(1日喫煙本数x年数が600以上)を対象とした
低線量CTでの検診
は明らかに死亡率を下がる効果があります。

いつから始める、どのような方法で行う、
に関してはデータが蓄積され明確な推奨recommendationがあります。

逆に検診をいつやめるか関してはあいまいです。
90才でがん検診、もちろ不要でしょう。
80才ならどうでしょう。

■大腸がん検診は何才までするのか

大腸がん検診をすることで、早期発見、死亡率が下がります。
便による大腸癌検診(便潜血検査)だけでなく、
大腸がん検診を大腸カメラ(内視鏡)で行い、
大腸ポリープを切除することで、
さらに大腸がんリスクが下がります。

大腸がん亡率リスクを下げることが明らかな大腸癌検診、
40才から50才以降、積極的に取り組むことは当然です。

効果が明らかな大腸がん検診ですが、
何才までつづけるとよいのでしょうか?

90才で大腸がん検診、もちろん不要です。
生命予後を考えると検診するメリットは皆無です。

60才ならどうでしょう。
もちろん生命予後を考えると
検診メリット十分にあります。

70才ならどうでしょう。

この質問に対する予防医学の先進国である米国のUSPSTF(US Preventive Services Task Force)米国予防医療専門委員会の答えを紹介いたします。

最新のデータに基づいて、根拠ある予防医学の情報を提供しています。

(Citation: https://www.uspreventiveservicestaskforce.org

大腸がん検診は75才までは、推奨度Aです。
推奨度Aは明らかな生命予後を改善、
大腸がんによる死亡率を低下させることが明らかであることを示しています。
75才までは迷うことなく、
積極的に大腸がん検診取り組むべき世代です。

76才以上はどうでしょうか。
76才から85才は推奨度Cです。
推奨度Cは、生命予後を改善するメリットは少ないながらもある区分です。
健康状態で個別に判断です。
今まで大腸がん検診を受けたことがない人、
健康状態が良好な人は大腸がん検診受ける価値あります。

■まとめ
・大腸がん検診は75才まで推奨
・76才から85才は健康状態による。健康であれば考慮。