予防医学」カテゴリーアーカイブ

猛暑を乗り切る、知っておきたい3つのこと

夏には患者さんに、3つのことを伝えています。

1.がんばり過ぎない、やめる勇気
2.熱中症が多いのは7月
3.スポーツドリンクは砂糖水

■年々気候のダイナミックレンジが広がっている

小学校のときは30度を越すときは真夏でも数日だったのですが、今や7月でも軽く30℃を越す日が続いています。

7月23日には、埼玉県熊谷市では41.1度の国内観測史上最高気温を更新しています。

夏がどんどん暑くなっているだけでなく、冬もラニーニャ現象の影響か、昨年の冬は西日本32年ぶりの寒さなど厳しい冬となりました。

地球温暖化というより、年々気候が暑さ寒さ極端にダイナミックレンジが広がっています。

■熱中症が多いのは7月

最も暑くなるのは8月ですが、熱中症が多いのは7月です。もちろん8月も熱中症は多いのですが、7月は体が暑さに順応していないので熱中症になりやすいのでお気をつけください。

体がまだ暑さに慣れていない7月の、屋外での作業、スポーツなどはゆっくりのペースで取りくむようにしましょう。

どういいう人が熱中症になりやすか。意外性はまったくないのですが、太っていて、持久力がない方が熱中症になりやすい傾向があります。

参考記事
●熱中症が一番多いのは8月ではない、7月が最多

■がんばり過ぎない、やめる勇気

毎日のウオーキングや外での作業など、がんばり過ぎないことが大切です。特に体が暑さになれていない7月は、しんどかったり、異常に汗をかいたときには、無理せず、やめる勇気をもつことが大切です。

テニスやゴルフなどスポーツは何人かで楽しむので、途中で自分が抜けると他の人に迷惑がかかると気兼ねして、ついすい無理をしてしまう傾向があります。

異常に暑い日は無理をせず、途中でやめる勇気です。

■ネーミングの妙、スポーツドリンク

ネーミングのインパクトはすごいですね。スポーツドリンクなんだか体によさそうなイメージがあります。

脱水が恐いのので、夏はお茶をやめてスポーツドリンクをお茶代わりにしています。スポーツイドリングを水筒に入れて、のどが乾いていなくても飲むようにしています。こんな声を患者さんからたびたび聞かされます。

健康のために、脱水がこわいので

参考記事
●スポーツドリンクに含まれる糖分

スポーツドリンクは砂糖水です。もちろんミネラルも入っているのですが、それにしてもお砂糖が多すぎます。

スポーツドリンク500mlペットボトル1本に約30gの糖分です。

コーヒーに入れるスティックシュガー1本が3g、スティックシュガー10本分の糖分に相当します。

1.5Lのスポーツドリンクペットボトルを1本飲むと、お砂糖30本分の糖分です。

体が必要なのは、水分、ミネラル、そして「少量」の糖分です。

スポーツドリンクによる糖分過剰摂取が糖尿病悪化の要因になります。

■暑さ指数とは

気温だけでなく、「湿度」も熱中症の大きく影響します。 同じ30渡でも湿度50%と90%では不快さが全くことなります。

汗をかくことで体温を調節しますが、湿度が高いと思うように汗が気化(蒸発)せず、熱を逃がすことができません。日本の夏は高温、多湿です。

暑さ指数、WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)をご存じでしょうか。

人間の熱バランスに影響する、気温だけでなく、気温、湿度、輻射熱を取り入れた温度の指標です。

WBGTは乾球温度計(気温)、湿球温度計(湿度)、黒球温度計(輻射熱)を使って計算されています。

WBGT=0.1 × 乾球温度+0.7 × 湿球温度+0.2 × 黒球温度

気温 1  湿度 7 輻射熱 2 の割合です。

WBGTは湿度に重きをおいた指数です。

環境省からWBGT発表されています。

環境省熱中症予防情報サイト

■まとめ
・がんばり過ぎない
・やめる勇気・熱中症が多いのは7月、体が熱さに順応していない7月は要注意
・スポーツドリンクは砂糖水
・湿度が高いときは熱中症になりやすい

睡眠薬のリスクとベネフィット

■眠れないのはつらい

寝つけない、夜中になんども起きてしまう、ぐっすり眠れない、眠りに関する悩みは多いものです。

有名なシェイクスピアの戯曲「マクベス」にも眠りの描写があります。マクベスはダンカン王を暗殺して、王になります。

天から聞こえてくる声、Sleep no more(眠りはないぞ)Macbeth does murder sleep(マクベスは眠りを殺した)。 眠りを奪われたマクベスの運命は暗転します。

不眠の治療は生活習慣の改善が基本です。昼間の運動、寝る前にスマホを避ける、規則正しい生活習慣、特に起きる時間を一定にする、などの取り組みが有効です。

とは言え、さまざまな理由での不眠、睡眠剤を使わざるをえない時は多々あります。

睡眠薬には、ベンゾジアセピン系(ハルシオン、デパス、レンドルミン)、メラトニン受容体作動薬(ロゼレム)、オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ)などがあります。

ベンゾジアセピン系睡眠薬についてのお話です

■ベンゾジアセピン系睡眠薬の効果(ベネフィット)

ベンゾジアセピン系睡眠薬のリスクとベネットを検討した医学雑誌British Medical Journalに報告されたメタアナリシスを紹介いたします。(Citation: Jennifer G et al. Sedative hypnotics in older people with insomnia: meta-analysis of risks and benefits. BMJ. 2005 Nov 19; 331(7526): 1169.)

メタアナリシスとは多数の研究報告を統合した研究報告のことです。複数の研究を統合しているので結果にバイアス(かたより)がすくないのが特徴です。

ベンゾジアセピン系睡眠薬が、そもそも睡眠薬として効くかどうかについてです。

睡眠薬をのんだ人、のまない人を比べたところ、平均で25.2分睡眠薬をのんだ方が長時間睡眠が確保できています。当たり前のことならが、睡眠薬としてベンゾジアセピン系睡眠薬は効きます。

夜中になんども起きて寝つけない。これも睡眠にかんする多い悩みのひとつです。

中途覚醒回数もベンゾジアセピン系睡眠薬は減らしてくれます。夜中に途中でおきてしまう回数は-0.6回減ります。

睡眠の質についても検討されており、標準化平均値差にして0.14と有意差をもって睡眠の質も改善しています。

ベンゾジアセピン系睡眠薬は、客観的な指数である睡眠時間が増え、途中覚醒が減り、睡眠の質も高まる、ベネフィットがあります。

■ベンゾジアセピン系睡眠薬のリスク

リスクにはどのようなものがあるか、そしてリスクの程度、非常に大切です。

ベンゾジアセピン系睡眠薬のリスクとしては「転倒」です。睡眠薬でからだがふらつき転倒。高齢者でこの傾向はつよくでます。

転倒のリスクはオッズ比2.6

睡眠薬として避けがたい副反応転倒リスクは2倍以上あります。

日中の倦怠感のオッズ比3.8

睡眠薬が夜だけ効くわけでなく、昼間にも少し効果がもちこしてしまうことで日中の倦怠感がでてしまいます。日中の倦怠感と随伴するリスクとして認知機能の低下、要は判断力の低下です。

どのような薬でも、効果とリスク、両方を知っておくことが大切です。

睡眠は、生活習慣をかえることでかなり改善できます。夜10時以降パソコンで仕事しない、寝室でスマホを見ない、アルコールを睡眠薬代わりにしない、起きる時間を一定にするなどできることから取り組んでみましょう。

と書いている私自身、夜にブログ書くことが多いのですが、これはよくないですね。反省です。

■まとめ
・ベンゾジアセピン系睡眠薬のリスクは転倒と日中の倦怠感
・高齢者では転倒に留意

ピロリ菌と胃内常在細菌叢|ピロリ菌最新研究の潮流、キーワードはDysbiosis細菌叢の多様性低下

オーストラリアの病理学者Warren博士と内科医Marshall博士が発見した胃にすみつくばい菌、ヘリコバクター・ピロリがLancet医学誌に報告されたのが1983年です。

ヘリコバクター・ピロリ菌が慢性胃炎をひきおこし、胃がんの発生と密に関連することが明らかになりました。

胃内は強酸性のため雑菌がすめないと思われた常識を覆し、ヘリコバクター・ピロリ菌を発見したしたWarren博士とMarshall博士に2005年にノーベル生理学医学賞が授与されました。

胃において、ヘリコバクタ・ピロリ菌の発見とともに医学がしてきた30年でしたが、ここにきて新たな展開です。

■ヘリコバクター・ピロリ菌感染と胃がん

ヘリコバクター・ピロリ菌がいない胃は、慢性胃炎がなく、非常にきれいです。一方ピロリ菌がいる胃は、胃粘膜全体的に赤く、ただれ、慢性の炎症が続きます。

慢性胃炎が続くと、胃の粘膜は胃よりも腸に近い形にかわってきます。これが腸上皮化生で、腸上皮化生は胃がんの前がん状態ともいえます。

正常胃粘膜→慢性胃炎→腸上皮化生→胃がん

ヘリコバクター・ピロリ菌が慢性胃炎をひきおこし、腸上皮化生に至り、さらには胃がんの発生につながることは明らかです。

逆にヘリコバクター・ピロリ菌を除菌することで、慢性炎症が治まり、胃がんの発生がへります。

■ヘリコバクター・ピロリ菌による胃がん発生率は国によってことなる

日本を含む東南アジアはヘリコバクターピロリ感染率も高く、胃がんが多い傾向にあります。一方、アメリカやヨーロッパはヘリコバクターピロリ感染率が低く、胃がんは比較的まれな病気です。

国により胃がん罹患率に多い少ないがあるのは、単にヘリコバクターピロリ感染率の多い少ないと思われていましたが、それだけではないのです。

もちろん、ヘリコバクターピロリ感染率が低ければ、胃がんも少ないので罹患率と胃がん発がん率は大いに関係あります。

ヘリコバクターピロリ感染している欧米人と東南アジア人を比べてみても、欧米人は発がんが少なく、東南アジア人は高率に胃がんがみつかります。

この差はヘリコバクターでも地域によって種類に差があり、その発がん性に違いがあると、説明されていました。

ヘリコバクターピロリ発見から30年余り、ここにきて新たな展開があります。

■キーワードはDysbiosis(細菌叢の多様性低下)

何百年もの間、胃の中は強酸のため、細菌がすめないと思われた常識を覆し、30年前に発見されたのがヘリコバクター・ピロリ菌です。

次世代シーケンサーによる16S rRNA メタゲノム解析でどのような細菌がいるかを調べることができるようになりました。

次世代シーケンサーによる16S rRNA メタゲノム解析を胃粘膜で行うと、おどろいたことに、胃にも常在細菌叢があることがわかったのです。

少し前までは胃は、ピロリ菌感染か未感染のどちからしかないと考えられていました。私も、そのように思っていました。

次世代シーケンサーで調べると、強酸下の胃内に多数の常在細菌が棲みついていることがわかりました。

(Citation: Noto J, Peek RM Jr. The gastric microbiome, its interaction with Helicobacter pylori, and its potential role in the progression to stomach cancer. PLoS Pathog. 2017 Oct 5;13(10))

30年前には無菌と思われた強酸下の胃にピロリ菌がいることで驚き、近年、ピロリ菌以外の菌が胃に棲みついていることを知りさらに驚いています。

胃の細菌叢にも多様性があります。実社会と同じで細菌の世界でも多様性が重要です。さまざまな細菌がひしめきあって、多様性を保っているので病気にならず安定しているのです。

この多様性が胃細菌叢にもあり、ピロリ菌に感染すると多様性が低下するのです。

Dysbiosis(多様性の低下)が、胃がんの発生とかかわっているという説が浮上しています。

正常胃粘膜→慢性胃炎→腸上皮化生→胃がん

この流れは正しいのですが、ピロリ菌に感染していても、胃がんになる人、ならない人がいます。

胃がんになるならないの違いが、Dysbiosis(多様性の低下)の違いによるのではないか、が最新研究の新たな潮流です。

今後研究が進展すれば、胃がんになりやすい人の細菌叢パターン、胃がんになりにく人の細菌叢パターンが明らかにできそうです。

ピロリ菌に感染すると胃内Haemophilus属、Campylobacter conicisusが減少する報告もあり、細菌叢の変化が同定されてきています。

胃がん患者でLactobacillus coleohominis、Lachonospiraceが増え、逆にPorphyromonas、Neisseria属が減ることも分かってきています。

さらに、胃がんを抑制する胃内細菌の存在が特定できれば、胃がん予防のプロバイオテクス(良性細菌)の開発につながる夢のある話です。

胃がんを完全に予防できる時代は遠くなさそうです。

■まとめ
・ヘリコバクター・ピロリ菌感による胃内常在細菌叢の多様性低下(Dysbiosis)が胃がんの発生母地となる

ダイエットは最初の1ヶ月がポイント|一気に体重を落とすべきか、ゆっくりと体重を落とすべきか

糖尿病や高血圧、食事や運動による体重コントロールが効果的です。

病気の治療でなく、少しでもやせて、きれいになりたい、かっこよくなりたい、今年こそは夏に向けてダイエットすると心に決めたかたも多いでしょう。

ダイエットに関する、興味深い報告を紹介します。

ダイエットゆっくり体重を落とすのと、一気に体重を落とすのか、どちらが効果的か。

■ゆるやかなダイエットと一気に体重を落とすダイエット比較

ダイエット、ゆっくり体重を落とす、一気に落とす、どちらが効果的でしょうか?

ゆっくりと体重を落とした方が、リバウンドしづらくダイエットに成功する。

一気に体重を落とすと、リバウンドして、すぐにもとの体重にもどってします。

上記が私もふくめ、みんながもっているダイエットに対するイメージではないでしょうか。

診察の時も食事療法を頑張ります!と宣言する患者さんに、頑張り過ぎず、半年で体重3kgほど落とすのを目標に続けましょう、などと伝えていました。

この常識というかイメージを180度ひっくり返す報告があります。

一気に体重を落とした方が、ゆるやかに落とすより、ダイエットの効果が高いのです。

(Citation: Nackers LM et al. The association between rate of initial weight loss and long-term success in obesity treatment: does slow and steady win the race? Int J Behav Med. 2010 Sep;17(3):161-7)

■ゆっくりダイエット、中ぐらいダイエット、一気にダイエット比較

肥満女性(平均59.3才、BMI36.8)250人を減量スピードで、ゆっくり、中ぐらい、一気にの3群に分けて比較しています

・ゆっくりは0.23kg/週以下、月0.92kg以下・中ぐらい0.23~0.68kg/週・はやくは0.68kg/週以上、月2.72kg以上

最初の1ヶ月間の体重減で3グループに分けています。

最初の6ヶ月間、食事を中心にダイエット指導、その後12ヶ月間はケアプログラムのみで様子見。

はやくダイエットした人は、よういにリバウンドして体重は元の木阿弥。ゆっくりダイエットした人は、リバウンドせず、体重減維持。の結果とおもいきや。

結果は全く逆でした。

最初の1ヶ月にはやいペースで体重落としたグループが、6ヶ月後に一番体重減っていて、さらに1年半後もほとんどリバウンドせず体重が一番へっていました。

ゆっくり体重を落とした方が、リバウンドせずダイエットに成功するわけでもないようです。

最初の1ヶ月にグッと体重が落ちると、ダイエット頑張った効果が体感でき、その後の生活スタイルがよい方向にかわるのがダイエット成功のひけつなのでしょうか。

この報告で注目するべきは、6ヶ月のダイエット後の過ごし方です。面談、電話、手紙など何らかの方法で月2回、ダイエットをした方に連絡をとり続けています(ケアプログラム)。月2回の連絡が、ほとんどリバウンドせずにすごせた影の立役者だと思われます。

ごくごくシンプルにまとめるとすると、

ダイエットは最初1ヶ月とくに頑張る、

目に見えて体重減、

とにかく6ヶ月間ダイエット続ける、

その後は誰からでもでもいいので時々励まされながら、リバウンドしないように意識して生活ですね。

■まとめ
・ダイエットは最初に1ヶ月がポイント
・最初の一ヶ月はやいペースで体重を落としたほうが、ダイエットに成功する

こどもの頃(乳幼児早期)の抗生剤使用はアレルギー疾患を増やす

■アレクサンダー・フレミングによる抗生物質の発見

1929年のアレクサンダー・フレミングによる抗生物質(ペニシリン)の発見以降、 感染症の脅威から人類は多大な恩恵を受けてきました。

抗生物質の発見と公衆衛生的環境の改善が、寿命をのばしたことに大きく寄与しています。特に乳幼児死亡率の低下に貢献してきたことは間違いありません。

■抗生物質とアレルギー疾患の関連

人類に多大な恩恵をあたえてきた抗生物質ですが、抗生物質とアレルギー疾患の関連が話題になることがあります。
抗生物質使用がアレルギー疾患を増やす、報告が相次いでいます。

中島クリニックが専門とする消化器疾患領域では、炎症性腸疾患の発症率と幼少期の抗生物質使用頻度の関連に関する報告があります。

(関連記事)
●幼少期の抗生物質投与、こんなにも影響するものなのか。炎症性腸疾患発症率との関連

■乳幼児期(2才まで)の抗生物質使用とアレルギー疾患発症リスク

乳幼児期(2才まで)の抗生物質使用とアレルギー疾患発症リスクのメタアナリシス(多数の論文を解析した結果)の報告がありました。

(Citation: Ahmadizar F et al. Early-life antibiotic exposure increases the risk of developing allergic symptoms later in life: A meta-analysis. Allergy. 2018 May;73(5):971-986. )

花粉症
湿疹
食物アレルギー
特異的IgE抗体価
などについて調べています。

1966年から2015年の論文を探索しています。

■乳幼児期(2才)までの抗生剤使用は、花粉症、湿疹などのアレルギー疾患リスクを増やす

図(フォレストプロット)の数値が1より大きければ(右)は、アレルギー疾患と関連あり、1より小さければアレルギー疾患と関連が乏しいことを示します。

図をみて分かるように、花粉症、湿疹、いずれも1より大きい数値、アレルギー疾患と抗生剤使用の関連を示しています。

花粉症のリスクは 1.23 95% confidence interval (CI):1.13-1.34;
I2: 77.0%.

湿疹のリスクは 1.26  95% CI:1.15-1.37; I2: 74.2%,

食物アレルギーのリスクは1.42  95% CI: 1.08-1.87; I2: 80.8%

花粉症、湿疹、食物アレルギー、いずれにも幼少期の抗生剤接触と関連を示す結果でした。

抗生剤とアレルギー疾患、全く関係なさそうですが、多数の論文報告を総合的に判断すると、関係がありそうです。

なぜ、幼少期の抗生剤使用がアレルギー疾患を増やすのか、これからの研究課題です。

想像するに、抗生剤使用が腸内細菌叢形成に影響を与え、腸管免疫を介した免疫システムが修飾をうけることが理由ではないかと、私は考えています。

とくに腸内細菌叢形成に重要な幼少期には、抗生剤の影響が強くでるのかもしれません。

人類に多大な恩恵を与える抗生剤です。
肺炎、腹膜炎など抗生剤が必要な病態にはきっちりと使う。
いわゆる風邪など抗生剤不要なときには、抗生剤飲んだ方が安心だから、などの理由で安易に使わない。
適切な判断が重要ですね。

■まとめ
・乳幼児期の抗生剤使用がアレルギー疾患のリスクを増やす可能性がある

ピロリ菌3次除菌はグレースビット(シタフロキサシン)が有効|西宮市中島クリニックはタケキャブ、グレースビット、サワシリンを用いた3次除菌プロトコール

■ピロリ菌の除菌治療、1次除菌、2次除菌、3次除菌

ピロリ菌除菌治療は、胃酸を抑える薬と抗生物質を1週間服します。 ほとんどの方は1回目の治療(1次除菌)で消えます。1回目の治療で消えなければ抗生物質を変更して2回目の治療(2次除菌)を行います。 1次除菌は酸分泌を抑える薬PPI+抗生剤(アモキシシリン、クラリスロマイシン)の3剤を1週間服用です 2次除菌は酸分泌を抑える薬PPI+抗生剤(アモキシシリン、フラジール)の3剤を1週間服用です

上記1次除菌、2次除菌で100人中98-99人、ほとんどの方で消えます。抗生剤の耐性(抗生剤が効かなくなる)をもったピロリ菌の場合どうしても1次除菌、2次除菌で消えないことがあります。その場合3次除菌を考慮することになります。(注:1次除菌、2次除菌は保険診療ですが、3次除菌は保険適応外です)

■3次除菌のプロトコール

1回目、2回目の治療で消えない場合の治療どうするべきか。ピロリ菌はその名の通り「菌」です。「菌」なので抗生物質が治療の中心です。1回目、2回目で効かなければ、別の効く抗生物質を選択することになります。

3次除菌の抗生物質の候補として当初レボフロキサシン(クラビット)が用いられていましたが、シタフロキサシン(グレースビット)がピロリ菌によく効くことがわかりました。

当院でも以前から3次除菌はシタフロキサシン(グレースビット)を用いています。

・酸分泌抑制剤PPI ・抗生物質アモキシシリン(サワシリン) ・抗生物質シタフロキサシン(グレースビット)

上記3種類を1週間、朝夕、2回服用で70%以上の3次除菌成功率です。

■3次除菌除菌率レビュー

日本ヘリコバクター学会誌に3次除菌の成功率のレビューが掲載されていました。

3次除菌のキードラックはシタフロキサシン(グレースビット)です。ガチフロキサシン(ガチフロ)を用いている施設もありますが、主流はグレースビットを用いたプロトコールです。

3次除菌の成功率、幅があるものの70%から90.9%とグレースビットを用いたプロトコールで高い成功率です。

(浅岡他. 3次除菌治療の現状. 日本ヘリコバクター学会誌 Vol.20 N0.1 28-33)

内服日数は7日間の施設から14日間の施設まで幅がありますが、何れの施設も70%以上の良好な成功率です。内服期間7日間を14日間と長くしても除菌率がよくなるわけでもありません。内服期間よりも薬の選択、グレースビットを用いることが重要です。

■西宮市中島クリニックでの3次除菌除菌プロトコール

今後も3次除菌はシタフロキサシン(グレースビット)を用いて治療いたします。

以前は酸分泌抑制剤はPPIを用いていましたが、現在はより強力な酸分泌抑制効果があるP-CABボノプラザン(タケキャブ)をもちいています。

現在の中島クリニックでの3次除菌プロトコール
・酸分泌抑制P-CAB ボノプラザン(タケキャブ)
・抗生物質アモキシシリン(サワシリン)
・抗生物質シタフロキサシン(グレースビット)
上記3種類を7日間(1週間)服用です。

■まとめ
・ピロリ菌3次除菌はシタフロキサシン(グレースビット)を用いることで70%以上の高い治療効果がえられます。

ピロリ菌除菌後も内視鏡(胃カメラ)での定期フォローアップ|除菌後内視鏡所見、小陥凹(少しへこんだ)斑状発赤がポイント

ピロリ菌除菌で胃がん予防

ピロリ菌が胃がんの原因であり、
ピロリ菌を除菌することで胃がん予防につながります。

発がん予防効果も、年齢が若ければ若いほどあることも当然です。
70才で除菌するより50才、40才で除菌です。

1週間の飲み薬だけで(3種類の薬、胃薬1種類と抗菌薬2種類)で90%以上の方が除菌できる治療が確立されています。中島クリニックではピロリ菌除菌は1回の治療で93%治療成功しています。

除菌すると発がん率は約2/3へ減ります。
発がんは減るものの残念ながらゼロにはなりません。
そこで、除菌に積極的に取り組むことと、同時に大切なので、
除菌後胃カメラでの定期検診です。

ピロリ菌除菌後にみられる内視鏡(胃カメラ)所見

ピロリ菌を除菌すると、あれていた胃粘膜がどんどんきれいになってきます。

胃粘膜全体のはれぼったい感じ、
粘液がべたっとこびりついた感じがとれ、
スッキリとしてきます。

ピロリ菌をすると胃の粘膜に見られる、特徴的な所見として、赤い小さなへこみ(陥凹)があります。

境界明瞭で地図状に発赤が広がることもあり
mottled patchy erythema 、
reddish depressed lesions
ともよばれます。
日本語でしっくりくる表現ないのですが「斑状発赤」に分類されている所見です。日本語にするとすれば、小陥凹を伴う斑状発赤です。

これらの少しへこんだ(陥凹)境界明瞭な発赤があると内視鏡をする医師は、ピロリ菌除菌後の胃と判断します。

この斑状発赤は除菌後にみられる所見との認識です。

斑状発赤部からの発がん

ピロリ菌後にみられる斑状発赤をフォローしていくとかなりの高率で癌が見つかると、興味深い報告がありました。

(Citation: Kotachi T et al. Clinical Significance of Reddish Depressed Lesions Observed in the Gastric Mucosa after Helicobacter pylori Eradication. Digestion. 2018 Apr 19;98(1):48-55.)

報告では斑状発赤、reddish depressed lesionsは39%、除菌後胃の4割に見つかっています。さらに、この4割の患者さんの斑状発赤に注意して内視鏡フォロー、約9%に胃がんがみつかっています。

除菌後にみられる小さな陥凹を伴う発赤reddish depressed lesions、単に除菌後の所見として認識するのではなく、発がんのハイリスク所見との認識をもつ必要がありそうです。

まとめ

・ピロリ菌除菌にて胃がん発癌リスクは低下
・除菌後定期胃カメラフォローアップも大切

「日本テレビ世界一受けたい授業」の電話取材を受けました|はしか流行について、2年前インドネシアから日本へ麻しん持ち込み感染

■日本テレビ「世界一受けたい授業」制作者から電話

(Citation: https://ja.wikipedia.org/wiki/)

中島クリニックに日本テレビ世界一受けたい授業制作者から電話がありました。
麻しんについて教えてもらいたいことがあります。との事です。

(Citation: 世界一受けたい授業http://www.ntv.co.jp/sekaju/)

電話があったのが、診察中で時間がとれないので折り返し電話で制作者の方とお話しました。

折り返し電話するまでは怪しい電話かと思いましたが、テレビ番組を語る詐欺電話でなく、ホンモノでした。

「日本テレビ世界一受けたい授業」は2004年から放送されている教育バラエティ番組のようです。
しかも19.3%の最高視聴率を記録したこともある人気番組のようです。

のようです、と語尾が伝聞なのは、
ボクほとんどテレビのチャンネル付けることない生活を過ごしています。5年ぐらい前からでしょうか。
「日本テレビ世界一受けたい授業」もちろん知っていますが、
実はほとんどテレビ見ないので、テレビ番組に疎いのです。

■麻しんの感染ルートについて

6/23(土曜日)放送の日本テレビ世界一受けたい授業テーマは「感染症」関連。

その中ではしかについても取り上げるようで、麻しんの感染ルートについて教えてくださいとの依頼です。
放送の内容裏取り作業の電話です。

過去に健康番組を見た患者さんから、とんでもな内容の相談を受けることが多々あり、健康関連のテレビ番組は眉唾な印象をもっていました。

今回「日本テレビ世界一受けたい授業」制作者から電話いただいてお話をして、放送内容に間違いがないか、きちんと確認していることを知りました。
失礼ながら、きちんと番組作りをしていることに驚きました。

■2年前に西宮市で確認された麻しん感染が、関空での感染か海外からの持ち込み感染かどうかの確認

制作者からの主な確認事項は、
以前西宮市で確認された麻しん感染が、
関空での感染か海外からの持ち込み感染かどうかでした。

2年前にインドネシアバリ島旅行から帰国した19才の方がはしかを発症したことがありました。その感染経路が、海外からの持ち込みなのか、関西国際空港での接触(日本)での感染かです。

参考記事 ●「はしか」に関する誤解を解いておくよ|麻疹感染拡大の注意喚起も必要だが、ワクチンによる予防が基本中の基本

質問:2016年西宮市で確認された麻しんが、関空での接触感染かインドネシア旅行中に感染したか?

答えとして:インドネシアで感染、日本に持ち込みと感染と考えると伝えました。
理由として、
麻しんには発症まで潜伏期間がある。
麻しんの潜伏期間は約10日~14日である。
このケースは発症の10日以内にインドネシアバリ島を訪れていた経緯があある。
発症時期から判断すると、インドネシアから帰国した際の関空での接触感染ではなく、インドネシアで感染、持ち込みである。
と根拠を説明しました。

今月6/23(土曜日)放送の「テレビ世界一受けたい授業」どのようなストーリーになっているか楽しみです。

■まとめ 健康関連テレビ番組は放送内容に間違いがないか裏取りをしている

肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は皮下注射と筋肉注射どちらがよいのか

■ワクチンの投与方法

ワクチンの投与方法にはさまざまななルートがあります。
ほとんどのワクチンは注射です。

注射は(麻しん風しんワクチン、肺炎球菌ワクチンなど多くのワクチン)
その他、口から飲むもの(ポリオ生ワクチン)
鼻から吸入(新しいタイプのインフルエンザワクチン)するワクチンなどもあります。

注射するワクチンは
・皮下注射
・筋肉注射
・どちらの投与でもよいものがあります

■皮下注射と筋肉注射の違い

皮下注射するか筋肉注射するかは、ワクチンごとに決まっています。

海外では筋肉注射が主流で、
日本では皮下注射で投与されることが多いのが現状です。

ワクチンの効果としては、
皮下注射、筋肉注射で単純に比較はできないのですが、
筋肉注射>皮下注射の傾向があります。

日本で筋肉注射されることが少ないのには、理由があります。

その昔、昭和40年代前後、
解熱剤や抗生剤を筋肉注射することで、
時として起きる大腿四頭筋拘縮が社会問題となったことがありました。
私もこどもの頃、風邪で病院に行ったらお尻に注射された思い出があります。
当時子供だったので何を注射されたのか分かりませんが、
抗生物質の注射だったのだろうかと想像します。

解熱剤や抗生物質の筋肉注射による大腿四頭筋拘縮のネガティブなイメージをいまも引きずっており、筋肉注射は避けられる傾向があります。

強調しておきますが、大腿四頭筋拘縮はワクチンの筋肉注射で起きた副反応ではありません。

■肺炎球菌ワクチンは皮下注射、筋肉注射どちらか効果が高いのか

65才以上の方を対象に公費助成で接種されている肺炎球菌ワクチン。
肺炎を起こす原因の1/3から1/4を占めるのが「肺炎球菌」とよばれるばい菌です。
この肺炎球菌感染を予防するのが「肺炎球菌ワクチン」です。

「肺炎球菌ワクチン」ニューモバックスは、皮下注射、筋肉注射療法が認可されています。

肺炎球菌ワクチンを皮下注射、筋肉注射どちらが効果が高いかを比較した報告がありあす。

肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は
皮下注射、筋肉注射効果を比較した結果、
効果は同等です。

副反応の割合も皮下注射と筋肉注射で同じでした。

ただ注射したところの発赤、腫脹(腫れ)に関しては皮下注射の方が筋肉注射より多い傾向があります。

(Cook IF et al. Comparative reactogenicity and immunogenicity of 23 valent pneumococcal vaccine administered by intramuscular or subcutaneous injection in elderly adults. Vaccine. 2007 Jun 15;25(25):4767-74)

■西宮市中島クリニックでは、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)皮下注射、筋肉注射どちらで接種しているか

中島クリニックでは、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を主に皮下注射しています。

理由は以下です。

局所の発赤、腫脹が少ないのは筋肉注射です。では筋肉注射がよいのかといえば、そう単純なことでもありません。
針を立てて注射(筋肉注射)することに抵抗感をもっている患者さん
かなりの割合でいらっしゃいます。

肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は皮下注射、筋肉注射で効果は同じです。効果が同じであるので、患者さんに無用な精神的負担がかからないよう配慮、皮下注射としています。

接種部の腫脹や発赤など局所反応が皮下注するとやや多いのは確かですが自然に消失します。

参考記事

■まとめ
・ワクチンの種類により投与方法(皮下注射、筋肉注射)が決まっている
・肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は皮下注射、筋肉注射療法できる

大腸がん検診は何才までつづけたらよいのでしょうか|75才までは推奨、76才からは健康状態で判断

■がん検診は何才からはじめる

がん検診

胃がん検診、
大腸がん検診、
肺がん検診、
子宮がん検診、
乳がん検診さまざまな検診があります。

検診を始める年齢は、がんがぽつぽつと出てくる
40才前後がめやすです。

40才は目安で、一律ではありません。
子宮頸がん検診は20代30代の
かなり早い段階からの検診が有用です。
逆に肺がん検診は50代から推奨のデータもあります。

肺がん検診に関しては年齢以外も議論つきません。

タバコを吸う人、吸わない人一律に行うのか。
タバコを吸う人のみ対象とするのか。
さらには胸部レントゲンで行うのか、胸部CTで行うのか。

■何才までがん検診をうけるか

いつからがん検診を始めるか、がん検診の方法には過去実績の蓄積があります。

肺がん検診であれば
50才以上の
喫煙者(1日喫煙本数x年数が600以上)を対象とした
低線量CTでの検診
は明らかに死亡率を下がる効果があります。

いつから始める、どのような方法で行う、
に関してはデータが蓄積され明確な推奨recommendationがあります。

逆に検診をいつやめるか関してはあいまいです。
90才でがん検診、もちろ不要でしょう。
80才ならどうでしょう。

■大腸がん検診は何才までするのか

大腸がん検診をすることで、早期発見、死亡率が下がります。
便による大腸癌検診(便潜血検査)だけでなく、
大腸がん検診を大腸カメラ(内視鏡)で行い、
大腸ポリープを切除することで、
さらに大腸がんリスクが下がります。

大腸がん亡率リスクを下げることが明らかな大腸癌検診、
40才から50才以降、積極的に取り組むことは当然です。

効果が明らかな大腸がん検診ですが、
何才までつづけるとよいのでしょうか?

90才で大腸がん検診、もちろん不要です。
生命予後を考えると検診するメリットは皆無です。

60才ならどうでしょう。
もちろん生命予後を考えると
検診メリット十分にあります。

70才ならどうでしょう。

この質問に対する予防医学の先進国である米国のUSPSTF(US Preventive Services Task Force)米国予防医療専門委員会の答えを紹介いたします。

最新のデータに基づいて、根拠ある予防医学の情報を提供しています。

(Citation: https://www.uspreventiveservicestaskforce.org

大腸がん検診は75才までは、推奨度Aです。
推奨度Aは明らかな生命予後を改善、
大腸がんによる死亡率を低下させることが明らかであることを示しています。
75才までは迷うことなく、
積極的に大腸がん検診取り組むべき世代です。

76才以上はどうでしょうか。
76才から85才は推奨度Cです。
推奨度Cは、生命予後を改善するメリットは少ないながらもある区分です。
健康状態で個別に判断です。
今まで大腸がん検診を受けたことがない人、
健康状態が良好な人は大腸がん検診受ける価値あります。

■まとめ
・大腸がん検診は75才まで推奨
・76才から85才は健康状態による。健康であれば考慮。