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三重県津市での麻しん|空気感染する麻疹ウイルス基本再生産数(R0)18の感染力

三重県ホームページに昨年末に三重県津市の民間団体の施設で開催された研修会の参加者49人から26人の麻しん患者さんが集団発生していることが報告されています。

(三重県津市ホームページ追加報告あり、感染20人から22人へ記事リライト2019.1.16)

(三重県津市ホームページ追加報告あり感染22人から24人、20人がワクチン接種歴なしへ記事リライト2019.1.17)

(三重県津市ホームページ追加報告あり感染24人および2次感染の2人へ記事リライト2019.1.18)

海外からの麻しん持ち込み感染などの二次感染広がりは麻疹の定期ワクチンがなかった世代である30代が中心でした。今回は10代、20代の若い方が二次感染の中心となっていることが特徴的です。

ニュースによると重症化している方がいないとのことで何よりであります。今後の三次感染、四次感染と拡大しないことを願うばかりです。願うと言うよりも、麻しん風しんのワクチンを皆が2回接種して、十分な抗体を持っていることが感染拡大を防ぐために大切です。

(Citation: 三重県ホームページhttp://www.pref.mie.lg.jp)

■はしか(麻しん)の感染力、基本再生産数

病気の広がる力を数値化したものに基本再生産数(R0)という指標があります。

1人の患者さんが免疫をもっていない人何人に感染させうるかの指標です。

季節性インフルエンザのR0は2前後です。毎年流行するインフルエンザといえでも、たかだか2程度の数値です。

おたふくかぜ(ムンプス)は4-7 三日ばしか(風しん)6-7 水ぼうそう(水痘)は7-9とかなり強力です。

そして麻しんはR0は12-18と桁違いです。 一人の患者さんが12人から18人にも感染させる力をもっています。

なぜか、麻しんは空気感染しますので。飛沫感染するインフルエンザなどはとは広がり方が違います。

参考までに水ぼうそうも空気感染します。R0かなりの数値です。

■三重県津市での二次感染、ワクチン接種歴

患者さん26人のワクチン接種歴がホームページに記載されています。

研修会に参加した10代から30代49人のうち、24人が麻しん集団感染しています。

20人がワクチン接種歴なしです。4人が1回のみワクチン接種です。

麻しん基本再生産数の12-18をはるかに越えて、津市での事例では1人の麻しん持ち込みが、24人にも感染しています。

さらに研修会ではしかに感染した方と接触した、2人が新たにはしか感染しています(2次感染)。

ワクチン未接種で麻しん抗体をもっていなければ、容易感染してしまうこと、さらに1回だけのワクチン接種では不十分なことが津市の報告から読み取れます。

麻しん風しんの定期接種は2回接種です。1回目の接種率が95%前後、2回接種率が90%が日本の現況です。

麻しん予防にはワクチン接種率を高めて備えておくことが肝要です。

■なぜ麻しん予防にワクチンなのか その1 疾病リスク

麻しんが、軽い病気であれば罹って免疫をつけるのが一番。という考え方もありでしょう。しかし、麻しんは重症化リスクが高い、場合によっては麻しん脳炎、死亡に至ることもある病気です。

罹って免疫をつける発想はリスキー過ぎます。

今ほど栄養状態や衛生状態がよくなかった江戸時代はかなり死亡率が高く、麻しんは命定めともいわれていました。

栄養状態、衛生状態がよい現代でさえ

500人に1人麻しん脳炎 1000に1人死亡リスクがあります。

ワクチンによる予防がゴールデンスタンダードです。

■なぜ麻しん予防にワクチンなのか その2 二次三次感染リスク

高熱、発疹が出たらどうされますでしょうか?

病院行きますよね。

経験したことのない重症感を伴う発疹をともなう高熱がでれば、医師の診察を受けるために病院に行くかと思います。

病院にはステロイド内服、免疫抑制剤内服、持病をもった高齢者などが通われています。

基本再生産数(R0)18の空気感染する麻しんとの接触は、避けるべきことです。

麻しん流行が拡大すると、麻しん患者さんと持病をもっている患者さんとの接触機会がどうしても避けられないものとなってしまいます。

社会全体がワクチン接種による麻しん抗体を保持することで集団免疫(Herd Immunity)をもってして、流行しないようにすることが、大切なのです。

■はしか(麻しん)に関する参考ブログ記事

海外からの持ち込みはしか。沖縄、埼玉、各地で起きています。2016年には中島クリニックのある西宮市でもインドネシアからの持ち込み麻しんが発生しています。

麻しんに関する参考ブログ記事です。

●はしか(麻疹)輸出国から輸入国になった日本のとるべき行動|はしか(麻疹)ワクチン2回接種率の向上

●はしか(麻疹)が流行ると受ける相談、はしかの抗体調べたほうがいいでしょうか?|麻疹FAQ

●埼玉県たて続けに4人がはしか発症|麻疹(はしか)はワクチンによる感染予防が基本

●「はしか」に関する誤解を解いておくよ|麻疹感染拡大の注意喚起も必要だが、ワクチンによる予防が基本中の基本

まとめ

麻しん感染予防のためにはワクチン接種が唯一の方法です。

ワクチン接種1回では十分に抗体価が得られなかったり、抗体が低かったりして予防効果が不十分なことがあります。

麻しん予防には、ワクチン2回接種が必要です。

長生きの秘訣、楽観的なひと、悲観的なひと

病院で、血圧が高いので塩分をひかえましょう、糖尿病予備軍なので甘いものをひかえましょう、など食生活に関するアドバイスをうけること多々あるかと思います。

糖尿病、高血圧、高脂血症、病気を治療するところが病院ですので、当然ですね。薬と食生活の改善は治療の両輪です。

でも、睡眠時間やものごとの考えかたについてアドバイスをうけることはほとんどないと思います。余りにも漠然とした内容ですので。

さまざまな研究から、楽観的なひと、悲観的なひと、睡眠時間が短いひと、長いひと、どのようなライフスタイルが長生につながるかわかってきています。

■いまさらながら、たばこ、コレステロール、肥満、糖尿病と病気の関連

たばこ、コレステロール、肥満、糖尿病に関して、みなさまがご存じの通りです。

タバコはやめるとストレスになるので、吸っている方が身体にいい、と言うかたもいらっしゃいます。まあ、そんなことないです。

メタ解析での喫煙総死亡率リスクは2.80(この数値はたばこを吸わない人を1としたものです)

(Cittaion: Rozanski A et al. Behavioral cardiology: current advances and future directions. J Am Coll Cardiol. 2014 Jul 8;64(1):100-10)

数値にして、たばこを吸わない人のリスク2.8倍です。

自身がタバコを吸わなくても、受動喫煙も身体に影響あり総死亡リスクは1.25です。

糖尿病のリスクは2.32です。

善玉コレステロール以外のコレステロール、要は悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が上がると、心血管関連病での死亡リスクは1.50と上昇します。

健やかに過ごすために

・悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を改善

・タバコをすわない

・受動喫煙をさける

・過度に太らない

・糖尿病のコントール

■楽観的なひと、悲観的なひと

楽観的なひと、悲観的なひと、どちらのライフスタイルがよいか、イメージ的には楽観的にいきる方がからだによさそうな気がしますが、医学的にはどうなのでしょう。

経済学的面から、楽観的な人よりもやや悲観的で堅実な人の方が、調子に乗ってどんでもない失敗をする確率が低くてよい。などの話はあるようですが、ここでは寿命、健康に関してです。

悲観的な人の総死亡リスク、1.42(CI1.13-1.77)

かなり高まります。糖尿病、高血圧、コレステロールなど内臓疾患が死亡リスクに直結するのは当然ですが、楽観的/悲観的、考え方がこれほどまでに、寿命に影響するのは驚きます。

楽観的な人の脳卒中リスク、0.52(この数値は低いほど脳卒中のリスクが低いことを示します)

健康のためには、楽観的に、ですね。

積極的に社会との接点をもっている人、もっていいない人を比べると、総死亡リスクが0.4と低下するこもわかっています。

(Citation: Holt-Lunstad et al.Social relationships and mortality risk: a meta-analytic review.PLoS Med. 2010 Jul 27;7(7))

楽観的な人の死亡リスクが下がるのは(交絡因子として)積極的に社会との接点をもっているかどうかの差ではないかと、私は考えています。

■睡眠

睡眠時間に関してはかなり個人差があるのですが、睡眠時間は6-7時間前後が理想です。

長すぎる睡眠、短すぎる睡眠、ともに死亡リスク高まります。

とくに5時間睡眠時間を切るとリスク急上昇します。忙しくてもなんか5時間、できれば6時間は確保したいところです。

講演の準備で、睡眠関連の論文検索を頻回していると、私のフェイスブックにこんな広告が表示されるようになってしまいました。ショートスリーパーに憧れていると判断されたのかも。短時間睡眠に憧れはなく、こよなく睡眠を愛する私は6時間は寝ています。苦笑。

広告 日本ショートスリーパー育成協会 憧れのショートスリーパーに! 成功率90%以上! 1日45分しか眠らない非常識な短眠法

こんなことがあり得ないことは自明の事実ですよね。

■まとめ

高血圧、高脂血症、糖尿病などの病気が死亡リスクをたかめることはよく知られていることです。

悲観的な考え方、社会との接点が少ない生活スタイル、短すぎる睡眠時間など、生活スタイルも大きく寿命に影響することがわかってきています。

心不全患者さんは毎年のインフルエンザワクチン接種が効果的|死亡率を改善する効果あり

■インフルエンザワクチンには重症化予防効果がある

天然痘が天然痘ワクチンにより地球上から撲滅できたように、ワクチンによる予防は感染症に絶大な効果があります。

麻疹(はしか)風しん(三日ばしか)もワクチン接種で、予防できます。日本で風しんが散発的に発生していますが、ワクチンを受けていない30代が感染の中心です。

麻しん風しん混合ワクチンを2回接種して、十分な抗体をもっている人が感染することはありません。

毎年冬になると流行するインフルエンザ、流行が予想されるタイプに合わせたインフルエンザワクチンがあります。

インフルエンザワクチンは「接種すればインフルエンザにかからない」というものではありませんが、重症化予防の効果があります。

インフルエンザワクチンは病気に罹らなくするワクチンではなく、万が一罹っても、軽くすんだり、肺炎などこじらせてしまうことの予防です。

■心不全患者さんはインフルエンザワクチン接種が効果的

心不全の治療方法を検討したPARADIGM-HF (Prospective Comparison of ARNI with ACEI to Determine Impact on Global Mortality and Morbidity in Heart Failure) にエントリーした患者さんのインフルエンザ予防接種と死亡率を検討した結果が2016年発表されました。

8,099人がPARADIGM-HF検討に参加、そのうち2割がインフルエンザワクチンを受けていました。1,769人 (21%)。

(Citation: Vardeny O et al. Influenza Vaccination in Patients With Chronic Heart Failure: The PARADIGM-HF Trial. ACC Heart Fail. 2016 Feb;4(2):152-158)

インフルエンザワクチンを受けている患者さん受けていない患者さん比較したとき、ハザード比で0.81( 95% confidence interval: 0.67 to 0.97)とワクチンを受けている方が遙かに死亡率が低い結果でした。

若くて普段健康であれば、インフルエンザしんどい病気ですが、発熱、咳などの症状で回復します。しかし、心不全状態であれば、インフルエンザに罹ることで心不全の悪化、さらには命に関わる事態になるのです。

■心不全患者さんはインフルエンザワクチンを毎年接種することで心不全による死亡率をさげることができる

先日、デンマークから13万人(n=134,048)の心不全患者さんにおける、インフルエンザワクチンの効果を検討した結果がCirculation誌に報告されました。

(Citation: Modin D et al. Influenza Vaccine in Heart Failure: Cumulative Number of Vaccinations, Frequency, Timing, and Survival: A Danish Nationwide Cohort Study. published10 Dec 2018 Circulation)

上記PARADIGM-HFの結果と同じく、インフルエンザワクチンを受けることで死亡率が格段に下がっています。

死亡の原因を細かく分けて見てみると、心不全による死亡もインフルエンザワクチンを受けることで減っています。

さらに注目するべきは、インフルエンザワクチンを時々受けている患者さんより、毎年受けている患者さんの方が、遙かに死亡リスクが低くなっています。

心不全患者さんは、毎年のインフルエンザワクチン接種が効果的です。

■西宮市中島クリニックのインフルエンザ予防接種対象者の方針

中島クリニックでは、持病をもっている方を中心に予防接種をするかどうか診察の時に相談しています。若い元気な人はワクチン接種不要というわけではなく、優先的に接種するべきは、持病を持っている方や65歳以上の高齢者と考えております。

具体的には、重症化や肺炎などの合併症を引き起こす可能性の高い方として

• 65歳以上の高齢者

• 肺の病気をもっている方(肺気腫、気管支喘息、非定型抗酸菌症)

• 心臓の病気をもっている方(心筋梗塞、狭心症、うっ血性心不全など)

• 腎臓の病気をもっている方(慢性腎不全、透析中の方)

• 代謝疾患をもっている方(糖尿病)

■まとめ

心臓の病気を持っているかた(特に心不全の患者さん)はインフルエンザ予防接種が効果的です。毎年のインフルエンザワクチン接種をおすすめします。

ゴルフは健康にいいのですか?|ドライバーショット、バターにご注意

ウオーキング、通勤、ショッピングどんな形でも歩くことが万病予防につながります。

座りっぱなしの生活はみんなが思っている以上に体に負担かかっていますよ、などと患者さんに話していたら、ではゴルフはどうですか?と聞かれます。

ゴルフと健康についてのお話です。

■40才から64才、スポーツによる死亡原因1位はゴルフ2位ランニング

40才から64才でのスポーツによる死亡原因1位はゴルフ、2位はランニングです。

死亡原因1位の人数としてはゴルフですが、全国内のゴフル人口が550万人といわれていますので、ゴルフ愛好家人数が多いため死亡数も結果と多くなっており、特にゴフルが危険なスポーツではありません。

2位のランニングについても同様です。ジョギング、マラソン含めランニング愛好家人数が多いため、結果としての死亡原因2位となっていますが、ジョギング、マラソンによる突然死が特に多いわけではありません。

参考記事
●マラソンでの心停止リスクと肥大型心筋症

■ゴルフは中高年の健康維持に有効

座りっぱなしの生活を避ける。ウオーキング、テニス、通勤、ショッピング、どんな形でも動くことが病気予防につながります。

参考ブログ
●歩くことを習慣にする方法|モールウオーキング

運動強度を示す指標にMETs(メッツ)があります。 METsとはMetabolic Equivalents の略語です。1METsは安静坐位を1として、その何倍酸素を消費するかを示します。

米国スポーツ医学会で推奨されている健康増進の運動量が3-6METsです。自分でゴルフバックを持ってプレーしたときの運動負荷が5.1METs相当でゴルフは中高年の健康増進に有効との海外のデータがあります。

ゴルフコースは18ホールで6km前後でしょうか。カートに乗らずあるけば7-8kmはゆっくりと歩くことになります。カートにのっても数キロは歩きますので、高齢者にとっても適度な運動となります。

こちらも海外のデータですが、ゴルフコースを歩くことでコレステロール値の改善、心肺機能の改善が報告されています。ただし、週3回ゴルフコースを歩いた場合の話で、あまり現実的ではありませんが。

■ゴルフ中どのような場面が突然死が多いのか

ゴルフ中にどのような場面で突然死起きやすいのでしょうか。心拍数と血圧の急激な上下が起きる状況がリスキーな瞬間です。

心拍数と血圧の急激な上下が起きる状況が3つあります。

1つめは、ドライバーショットです。ゴフルでの最初の一打です。ボールを遠くに飛ばすために、おもいっきりゴルフクラブを振り回します。この瞬間が危険です。

2つめは、意外や意外、パターです。軽くボールを打つだけなのですが、息をこらえたり、緊張することで心拍数と血圧の急激な上下が起きてしまうのが原因です。

3つめは、他の誰かがナイスショットをして、場を盛り上げるためにはしゃいで走り回った瞬間です。場を盛りあげるために、声を出したり走り回るのが心拍数と血圧の急激な上下を起こしてしまうようです。

力を入れて打つドライバーショットはもちろんのこと、パッティングの時にもリスクが伴うのです。

絶対に外せない、息をこらえたり、緊張するのが、心拍数と血圧の急上昇を招き、心臓に負荷を与えていると考えられます。

ゴルフは中高年の健康増進に適したスポーツですが、余り根を詰めてしないのがポイントですね。特にパッティングは息をこらえず、気軽に打つのが健康のためですね。

■ゴルフカートを使うより歩こう

ゴルフ中の不整脈、特に心室性不整脈の発生頻度を、ゴルフカートを使う場合と、歩いた場合を比較した報告があります。

ゴルフカートを使う方が体が楽なので、不整脈が少ないのかと思えば、逆です。

ゴルフカートを使う場合の方が不整脈が多かったのです。

カートを使うと、休んでいるところから急に打つことになり、打球前後の心拍変化が大きくなります。

逆に歩いてプレーしていると、すでに歩いてウオームアップできているところから球を打つので、心拍変化が小さいのがよい方に働いているようです。

カートを使わず、ゴルフ。おすすめです。

■まとめ
・ゴルフは中高年の健康増進に良好な運動量
・ドライバーショット、パターは過度に緊張したり息をこらえたりしないようにしましょう

子どものピロリ菌除菌、いつやるか?今でしょ!後でもいいでしょ!議論|論点は「除菌するかしないかではなく」「いつ除菌するか」

(Citation: ameblo.jp/kurisotsuya)

新聞の一面にこんな記事がありました。

『ピロリ菌の除菌子どもに必要?効果めぐり割れる』

(Citation: 朝日新聞朝刊201811.13)

さすが新聞、いい言葉知っていますね。

必要? 効果めぐり 割れる学会

あおり気味のタイトル、どんな内容だろうと思わず読んでしまいます。

ピロリ菌除「必要か不要」相反する意見に、侃侃諤諤(かんかんがくがく)口角泡を飛ばしている、印象です。

タイトルだけを見ると、子どもにピロリ菌除菌はいらないとの印象をもつ人もいるかもしれません。

実際に記事を読んでみると、そんな派手な内容では残念ながらありません。

こどもがピロリ菌もっていることが分かったとき、いつ除菌するか学会により判断がことなるがメインテーマです。

子どものピロリ菌除菌

いつやるか?

今でしょ!  今じゃなくてもいいでしょ! どちら

の議論です。

■ピロリ菌と胃がんの関係

ピロリ菌は胃がんの原因であることは疑う余地のないことです。ピロリ菌が感染することにより、胃の粘膜が炎症を起こしてキズつきます。胃炎が続くと、腸上皮化生とよばれる、胃なのに腸に近い状態となります。

分かりやすく並べると 正常胃→ピロリ菌感染→慢性胃炎→腸上皮化生→胃がん

正常胃から始まり、慢性胃炎、腸上皮化生を経て胃癌となります。ピロリ菌を除菌すると、胃炎が治まり胃癌の予防になる。ここまでは研究で証明されているところです。

■大人、ピロリ菌除菌いつやるか?早いほうがいいでしょ!

正常胃→ピロリ菌感染→慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃がん の流れをストップさせるためには、ピロリ菌を除去すること「ピロリ菌除菌」です。

将来起こりうる胃癌を予防するための除菌です。

30才であれば、迷いなくピロリ菌除菌治療します。

60才でも、迷いなくピロリ菌除菌です。

90才なら、胃癌予防としてのピロリ菌除菌は不要です。

年齢が若ければ若いほど、胃癌予防効果が高いのは当然です。

大人に関しては、ピロリ菌陽性が分かった時、除菌です。

■子ども、ピロリ菌除菌いつやるか?今でしょ!とは現段階では断定できない、いつするべきか結論がでるのはこれから

新聞記事に内容もどると、「ピロリ菌の除菌は成人では胃がんのリスクを低下させるが、小児では科学的根拠はないと指摘」と書かれています。

「科学的根拠はない」否定的な印象をあたえる表現ですが、よく考えれば科学的根拠ないのはあたりまえです。

中学生、高校生がピロリ菌除菌することで将来胃癌の予防につながるかどうか、証明される(科学的根拠をもつ)のは20年後、30年後です。

子どもへのピロリ菌除菌、始まったのは数年前からのなので、時間的に結果がでていないだけです。

「科学的根拠はない」イコール、治療の効果がない、ではありません。小児期のピロリ菌治療効果あります。

正常胃→ピロリ菌感染→慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃がん

の流れを止めるのは、年齢が早い方がよいのは当然です。しかし、子どもに対するピロリ菌除菌は各自治体で始まったばかりです。中学生時代にするべきか、高校生時代にするべきか、大人までまってよいのか、その答えはこれからの研究結果を待つ必要があります。

■子ども、ピロリ菌除成功率

大人に関してはピロリ菌除菌、将来の胃癌予防に当然の治療です。年齢が若ければ若いほど効果がある予防です。そこで最近各種自治体が取り組んでいるのが、中学生、高校生時代、より早い段階でピロリ菌をみつけて除菌です。

参考記事

●こどものピロリ菌感染経路|小児の80%は家族内感染

●中学生のピロリ菌感染率は5%以下|ボノプラザン(タケキャブ)、アモキシシリン(サワシリン、アモリン)、クラリスロマイシン(クラリス)の3剤併用療法で一次除菌率成功率は83%

中学生に対する除菌で成功率83%と佐賀県での取り組み、すばらしい効果をだしています。中学、高校時代、幼少期にピロリ菌除菌をしても、何ら問題はありません。

■子どものピロリ菌除菌時期、いつやるか?私見

ピロリ菌除菌は早ければ早いほどよいのは当然です。Point of no return(もはや後に引けない段階)が胃炎にもあって、そこを過ぎてしまうと除菌をしても効果が限局的です。

20代のピロリ菌陽性の人の内視鏡所見は、胃炎はあるものの萎縮性胃炎にはまだ至っていないことがほとんどです。 20代ではまだPoint of no return(もはや後に引けない段階)を越えていないとも考えられます。

お母さんなどから子どものピロリ菌検査、除菌を相談されたときには、このように答えています。

・お子さんが何才でもピロリ菌検査できます。当院では便中ヘリコバクターピロリ抗原や抗体検査で判定しています。

・ピロリ菌除菌に関しては、大人と同じ抗生剤、胃酸を抑えるPPIが使えるようになる体重40kgを越してからでどうでしょうか。

・二十歳になってから考えてもいいですね。

個人的意見ですが、子どもに関してはピロリ菌を持っていることが分かった時に除菌。体重が40kgを越す大人と同じ体格であればいつでも除菌Ok、幼少期にしらべてもいいが、20才になってから調べても遅くはない。とのスタンスで治療にとりくんでいます。

■まとめ

ピロリ菌に感染するとこで、慢性胃炎、腸上皮化生が起きて、胃がんにつながります。ピロリ菌除菌をすることで胃癌の予防となります。除菌は早い時期がよいのですが、子どもの場合、中学生時代にするか,高校生時代がよいのか、結論が出るのはこれからです。

歩くことを習慣にする方法|モールウオーキング

医者は診察の時に健康のために毎日歩きなさいと気軽に患者さんに言います。

もちろんこれはその通りです。糖尿病、高血圧全ての病気に歩く事は非常に有効です。座りっぱなしの生活が、さまざまな病気、さらには癌までも増えることが分かっています。

しかしただ歩くと言っても、なかなか習慣付かないのが現状です。

患者さんに週3~4回、1回40分から50分ゆっくりとした運動で歩くように指導しているものの、私自身は毎日の運動は全くできていません。合気道をほそぼそと、続けているのが私の運動です。

毎日の運動、そして単に歩くのはなかなか難しいものです

■モールウォーキング

ただ歩くのは難しいので何か用事と運動を組み合わせるのがつづくコツです。

モールウォーキングがお勧めです。

西宮市中島クリニックの近くからは、阪急ガーデンズ、少し離れたところにイオンモールがあります。

買い物を家の近くからショッピングモールに移すだけで、モールまでの往復のウオーキングに加えて、モール内でウオーキング、かなりの時間ウオーキングを無理なくすることができます。

さらにショッピングモールは雨が降っていても買い物、兼ウォーキングが出することができます。

通われている患者さんで、晴れたら歩いて阪急ガーデンズまでウオーキング、さらにガーデンズ内をショッピングしながらウオーキング。

雨が降ったら車でガーデンズまで、阪急ガーデンズでウオーキング兼ショッピング。

この患者さん糖尿病どんどん改善して、薬を減らすことに成功しています。

安全

雨でもできる

簡単

これらを満たしてくれているのがモールウオーキングで、続くコツです。

アメリカではモールウオーキングのツアーまで開催されています。日本ではまだほとんどそういった活動ありませんが、モールウオーキングの健康作りプログラムが西宮発で発信できれば夢がありますね。

■電車、一駅離れた駅通勤

モールウオーキング、そりゃ理想だけど、私にはそんな時間はないよ、という声が働き盛りのビジネスマンから聞こえてきそうです。

毎日電車通勤しているビジネスマンの方であれば一駅離れた駅から電車に乗るのがおすすめです。

朝は忙しいので一駅離れたところから電車に通勤電車通勤するのは難しいかもしれませんが、帰り一駅手前で降りて帰ってくる事はそんなに難しくはありません。

駅の距離は一駅1km前後ですので、十分とまではいきませんが、歩く習慣づけには十分な距離です。

ダイエットと同じで、歩こうと思っても三日坊主になることはめにみえています。

買い物、通勤、何かと運動をくっつけるのが続くポイントです。

■さらに時間が取れない人は、週1日だけの運動でも効果あり

通勤電車、一駅手前で降りて歩く余裕ないと、と言う声も聞こえてきそうです。

でも、安心してください。運動は毎日する必要はありません。もちろん緩やかな運動を毎日するのは理想ですが、週1回の運動でも、1回以上の効果あります。

昔は週一回だけの激しい運動は体に逆に悪いと思い込まれていましたが最近の研究で週一回の運動でも充分効果があることがわかってきました。

参考ブログ
●長生きしたければ運動|週1回でも効果あり

●週末だけ運動する『Weekend Warrior週末戦士』でも効果あり。死亡率低下|忙しくて毎日運動できない方に朗報。週1-2回だけの運動でも有効

週末だけ運動する『Weekend Warrior週末戦士』でも週3回運動する人と同等の効果です。

■まとめ・モールウオーキングで座りっぱなし生活(sedentary lifestyle)からの脱却をめざそう

長生きしたければ運動|週1回でも効果あり

健康で長生き、万人の望むところです。長寿薬あればよいのですが、そのような物は残念ながら存在しません。

簡単に出来て効果が確実なこと「運動」です。なんだ、そんなこと分かっているよ、と思うかもしれませんが、みんが思う以上に運動は効果的です。

■運動するだけで死亡リスクが40%も低下

運動の効果調べるにはどうすればよいでしょうか。実に単純なことです。運動を全くしない人、運動を習慣的にする人を10年15年と長い時間経過を追って、発病率、死亡率を比べる。どちらが長生きするかの比較です。

もちろん喫煙率、持病などの影響をうけますので、それらを補正して計算します。

多くの報告がありますが代表的な研究を紹介いたします。 2000年Arch Intern Medの報告です。

運動しない人、運動する人、女性13,375人、男性17,265、計3万人をランダムに選んで14.5年間フォローしています。

血圧、コレステロール値、中性脂肪値、肥満指数(BMI)、喫煙などを加味して検討しています。

(Citation: Andersen L et al. All-cause mortality associated with physical activity during leisure time, work, sports, and cycling to work.Arch Intern Med. 2000 Jun 12;160(11):1621-8.)

結果、相対危険度0.68 (95% confidence interval, 0.64-0.71)、 運動するだけで、死亡リスクは2/3に低下しています。

たかが運動、されど運動、効果絶大です。

■運動の回数、強度は問わない

週4回以上の運動が体によいと言われていましたが、最近の研究で週1回でも効果があることが分かってきています。

参考記事
●週末だけ運動する『Weekend Warrior週末戦士』でも効果あり。死亡率低下|忙しくて毎日運動できない方に朗報。週1-2回だけの運動でも有効

忙しくて毎日運動できない人、週1回でもいいので運動をおすすめします。

■運動や重力不可が骨を強くするのに不可欠

運動は骨にも効果てきです。座りっぱなしで運動せず、ビタミンDやカルシウムを摂っても骨は硬くなりません。

骨を強くするためには、ビタミンDカルシウムも必要ですが、重力不可が不可欠です。

参考記事
●運動や重力負荷が体に大切|宇宙飛行士の骨密度減少

■スポーツは長寿薬、テニス、バトミントンが効果大、スポーツジムの効果は限定的

The Copenhagen City Heart Study (CCHS) はデンマークのコペンハーゲン行われた(そして今も継続中)のコホート研究です。心血管疾患、特に急性心筋梗塞(AMI)の危険因子、喫煙、アルコール、肥満、糖尿病など詳細な問診で検討しています。

The Copenhagen City Heart Study の一環として、スポーツの種類と生命予後を検討しています。

8577人を25年間、1991年からフォローしています。

以外な結果となりました。

全く運動しない人と比べた寿命が、運動することで伸びます。その効果はスポーツの種類で異なります。

テニス 9.7年

バドミントン 6.2年

サッカー 4.7年

サイクリング 3.7年

水泳 3.4年

ジョギング 3.2年

体操(calisthenics) 3.1年

ジムでの運動 1.5年

ジョギングや水泳などの緩やかな有酸素運動が良くて、サッカーやテニスなど激しい運動はあまり寿命に寄与しなさそうですが、現実は、全くもって予想外の結果です。

テニス、バドミントン、サッカーなどの比較的激しいスポーツが効果大

残念ながら効果が乏しいのは、スポーツジムでの運動でした。

人とコミュニケーションをとりながらする、スポーツが寿命を延ばす効果絶大です。

まとめ
・運動は百薬の長、寿命を延ばす
・週1回の運動でも効果あり
・スポーツの種類により寿命を延ばす効果が異なる、テニス、バドミントンが効果的

過剰な糖質制限で死亡リスクが高まる|炭水化物論争に終止符となりうるコホート研究、実に意外性のない結論に

白ご飯おいしいですよね。 あつあつの白ご飯なしの生活考えられない人がいる一方、 糖質制限、ローカーボンダイエットなど、糖質を一切食べない、極端に制限している人もいます。

糖尿病の方がローカーボンダイエットすると、するすると体重が減って、糖尿病の治療指標であるHbA1cがどんどんよくなること、多々経験します。

炭水化物(糖質)どれぐらいが適量なのか、さらには炭水化物はそもそも不要なのか、明確な答えはでていません。

炭水化物論争に終止符となりうるコホート研究論文が発表されたので紹介いたします。

■どれぐらい、炭水化物をとるのが理想か

平成14年の健康増進法に基づき策定されている基準があります。国民の健康の保持、増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギーおよび栄養素の量の基準です。

厚生労働省からは発表されている「日本人の食事摂取基準の概要2015年版」では炭水化物は50-65%とされています。

炭水化物の取り過ぎは肥満、糖尿病の原因となるり、過剰にとる必要がないのは当然です。

糖質制限やローカーボンダイエットなどにみられるような、そもそも炭水化物や糖質は不要もしくはごく少量で十分、制限食を励行している方もあります。

炭水化物通常量 vs 制限 vs 一切不要 この結論はでていません。

炭水化物は取り過ぎなければよいものか、意識して制限するべきか、この答えはコホート研究の結果でしか語れないものです。

この疑問の答えとなる規模コホート研究は残念ながら少し前まで存在しませんでした。ゆえに誰もこの疑問の正解をもっていませんでした。

待ちに待った、大規模コホート研究報告がついに出ました。

■炭水化物取り過ぎと死亡リスクの関係

2017年11月ランセットに報告された論文はインパクトがありました。

世界18カ国の食生活と疾病リスク調査です。

高所得国(カナダ、スウェーデン、UAEアラブ首長国連邦)、中所得国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、イラン、マレーシア、パレスチナ、ポーランド、南アフリカ、トルコ)、低所得国(バングラデシュ、インド、パキスタン、ジンバブエ)

2003年から2013年の10年間、35-70才、13万5335例を登録し中央値で7.4年間の追跡調査しています。

・炭水化物摂取量が増えると死亡リスクが上がる

・脂質摂取量が減ると死亡リスクが上がる

やっぱり、炭水化物は「悪」的な結果でした。

全摂取カロリーの60%以上の炭水化物は明らかに取り過ぎと考えてよいでしょう。

(Citation: Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) study investigators. Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017 Nov 4;390(10107):2050-2062. )

この結果をもって、炭水化物はやっぱり制限するべきと思い込みそうなところですが、そうではありません。この報告で分かったのは、炭水化物の過剰摂取は「死亡リスク高まる」過剰摂取はよくない、ということです。

この結果をもって、炭水化物制限や糖質制限を推進するのは拙速です。ひとつ言えるのは、白飯食べ過ぎはダメ。炭水化物制限や糖質制限の善し悪しはこの結果からは判断できません。

そして先日、炭水化物適量 vs 制限 どちらかがよいのか明確な結論となりうるコホート研究が発表されました。

■炭水化物制限と死亡リスクの関係

45-64才、1万5428人を25年間にわたり追跡調査しています。炭水化物の量、死亡率を検討しています。

全カロリーの20%以下の人から80%以上の人までいることに驚きます。炭水化物80%以上の生活となると、白ご飯ばかりの食事、逆に20%以下となると相当ストイックに炭水化物を制限しないと達成できません。

私は高血圧、糖尿病など持病がないので計算したことはありませんが、炭水化物大好きなので60%位でしょうか?

結果は実に意外性のないところに収まっています。

50%前後が死亡リスクが低く、炭水化物割合高すぎても低すぎても死亡リスク高まっています。

炭水化物30%以下が最もリスク高くなっており、過剰な制限はすすめられない印象です。

炭水化物、取り過ぎも制限し過ぎともによくない。特に制限しすぎはリスク高める。炭水化物制限/糖質制限やり過ぎはダメ。

(Citation: Solomon S. et al. Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis. Lancet Public Health. 2018 Sep;3(9):e419-e428.)

炭水化物はそもそも、栄養として不要説を支持、完全炭水化物/糖質ゼロ生活をしている患者さん多々お会いするのですが、今回の結果をみる限り、完全炭水化物/糖質ゼロ生活はやめた方がいいといえます。

話題性としては、糖質制限、ローカーボンダイエットなどの方が興味深いのですが、コホート研究結果からは、過剰な炭水化物制限はすすめられ『ない』と判断できます。

実に意外性なく凡庸な食事指導となりますが、炭水化物は普通でよい、取り過ぎダメ、制限不要です。

■まとめ
・炭水化物取り過ぎ、制限し過ぎ、どちらも死亡率リスク高まる
・炭水化物は全カロリーの50%前後がおすすめ

胃カメラ検診、胃がん死亡率を低下させる効果明らかに|胃がん健診にはバリウムと胃カメラどちらがおすすめ

胃がん検診で真っ先に頭に思い浮かぶのは、バリウム検査です。台の上にのって、右を向いたり、左を向いたり、ぐるっと回って胃を撮影する検査です。ドラマ白い巨塔で財前教授が自身の胃がんの診断をうけるのもバリウム検査でした。

胃がん検診といえば、バリウム検査(胃透視検査)でした。胃バリウム検査は胃がん検診として有効性が認められています。最近ではより精密な検診を行うため、バリウムではなく胃がん検診を胃カメラ(内視鏡)で行う施設も増えてきています。

■胃カメラと胃バリウム検査、検診はどちらがよいのでしょうか

胃バリウム検査はバリウムをのんで胃の形を撮影して、病気を見つける検査です。一方、胃カメラ検査は直接胃の中をカメラで観察して病変を調べます。白黒の画像である胃バリウム検査とカラーの映像で確認する胃カメラ、もちろん胃カメラの方が精密なことは明かです。

ドックで胃カメラと胃バリウム、選択できれば胃カメラをおすすめいたします。

■胃カメラ検診、胃がん死亡率を低下させる効果明らかに

胃カメラと胃バリウム検査、もちろん胃カメラの方が精密検査なのは直感的にだれもが理解できるところです。医学は直感だけではなく、きちんと効果が証明されることが大切です。実は、胃カメラと胃バリウム検査どちらがよいか比較した検討はありそうでほとんどなかったのです。

1600万人という大人数を対象とした韓国でのコホート研究、胃がん検診として胃カメラの方がバリウムに比べはるかに役に立つことがあきらかになりました。

(Cittaion: Jun JK et al. Effectiveness of the Korean National Cancer Screening Program in Reducing Gastric Cancer Mortality.Gastroenterology. 2017 May;152(6):1319-1328)

全く検診を受けていない人を1とすると胃カメラでもバリウムでも検診を受けている人の胃がんによる死亡率は0.79 (95% CI, 0.77-0.81)に低下します。検診を受けるだけで胃がん死亡率が20%もさがります。胃カメラでもバリウムでも何らかの検診は有効です。

胃カメラ検診でオッズ比0.53 (95% CI, 0.51-0.56) 、胃カメラを受けることで胃がんによる死亡率は半分に減ります。

バリウム検診のオッズ比0.98 (95% CI, 0.95-1.01) 、バリウムの胃がん死亡率抑制効果あるのの、わずかでした。

■胃カメラ検診の効果、1回受けた人、2回受けた人、3回以上受けた人の比較

興味深いのが胃カメラ検診を受けた回数と、胃がん死亡率の関係です。

検診を1回受けただけでもオッズ比0.60 (95% CI, 0.57-0.63)、40%胃がん死亡率低下。

検診を2回受けると、オッズ比0.32 (95% CI, 0.28-0.37)、70%死亡率低下。

検診を3回以上受けた人は、オッズ比0.19 (95% CI, 0.14-0.26) 、80%も胃がん死亡率低下、1/5に胃がん死亡率を減らす効果がありました。

胃がん検診における、胃カメラの効果明かです。単回(1回だけ)よりも、2回、3回と定期的に胃カメラを受けることで、胃がん死亡率をさらに下げる効果が高まります。

■まとめ
・胃カメラ検診、胃がん死亡率を低下させる効果あり
・ドックで、胃バリウムと胃カメラ検診迷ったら胃カメラを選択

胃カメラ検診で胃がん死亡率低下|胃がん死亡リスク30も%さげる効果あり、胃がん検診はバリウムより胃カメラが効果的

ドックでバリウムと胃カメラがあれば、どちらを受けられるでしょうか?

是非、胃カメラを選んでください。胃カメラで胃癌による死亡率が下がることがわかっています。

■胃がん検診

胃がんの9割以上はピロリ菌が原因です。ピロリ菌をもっていれば、ピロリ菌除菌が胃がんの予防に効果的です。ピロリ菌除菌は胃薬と、抗生物質2種類、合わせて3種類の薬を1週間内服することで除去できます。

ピロリ菌検査、ピロリ菌除菌治療とともに大切なのが『胃がん検診』です。胃がんは早期で発見すれば内視鏡で治療できます。進行胃がんで見つかっても、手術、抗がん剤治療で治癒を期待できます。とにかく、早期発見、早期治療が胃がんです。

胃がん検診として思い浮かべるのはバリウム検査でしょうか。バリウムをのんで胃を撮影する、胃透視検査です。最近では胃がん検診をバリウムでなく胃カメラで検査するドックや自治体も増えてきました。

胃カメラで行う検診の歴史はまだ浅く、効果を証明する論文が少なかったのですが、この数年胃カメラ検診効果を示す論文が次々と報告されています。

■胃カメラ、バリウム検診による胃がん死亡低下効果

胃がんと診断される3年前までさかのぼり、胃カメラで検診を受けた人、バリウム検診を受けた人、受けていない人を比べています。

胃がん死亡率で全く受けたことがない人を1として、胃カメラ検診を受けた人 0.695 (95% CI: 0.489-0.986) 、バリウム検診を受けた人0.865 (95% CI : 0.631-1.185) でした。

(Citation: Hamashima C et al. A community-based, case-control study evaluating mortality reduction from gastric cancer by endoscopic screening in Japan.PLoS One. 2013 Nov 13;8(11))

バリウムでは胃がん死亡率抑制効果14%程度でしたが、胃カメラ検診効果は31%と、胃カメラで胃癌死亡率を2倍以上下げる果が得られています。

バリウム、胃カメラ検診ともにすばらしい検診ですが、ドックでどちらか一方を選べるとすれば胃カメラをおすすめいたします。

■まとめ
・胃バリウム、胃カメラ検診ともに胃がん死亡率をさげる効果あり
・胃カメラはバリウムの倍以上有効、バリウムと胃カメラどちらを受けるか迷ったら胃カメラを選ぶ