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腎機能障害 専門医紹介のタイミング

腎臓の病気を患っている方の数は年々に増加傾向にあります。

現在33万人が透析治療中、さらに毎年4万人が新規透析導入となっています。

透析導入予防のために、腎機能障害の早期発見、生活改善および治療が重要です。

中島クリニックのある西宮市でも、特定健診で腎機能障害を早期に発見、生活改善をするために「西宮市国民健康保険 慢性腎臓病(CKD)予防連携事業」がスタートしています。

■腎臓専門医のみならず、一般内科医も患者さんの腎機能を慎重にフォローする必要がある

腎障害進行予防のため、腎臓専門医のみならず、一般内科医、さらには消化器内科医、循環器内科医など各科に専門特化している医師もみな、腎機能に留意していく必要があります。

日本腎臓学会と日本糖尿病学会専門医間の紹介基準を作成した基準があります。糖尿病でフォロー中の患者さんが腎障害を併発したときにどのタイミングで腎臓専門医にコンサルトするかの基準です。

糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準は、糖尿病専門医だけでなく一般内科医の日々の診療でも意識しておく必要があります。

■日本腎臓学会と日本糖尿病学会が作成した紹介基準

日本腎臓学会と日本糖尿病学会は両学会の専門医間の紹介基準を作成し、学会のホームページに内容をアップしています。

内容は以下のリンクからPDFで提供されています。

日本糖尿病学会と日本腎臓学会 専門医間の紹介基準について

(Citation: 日本腎臓学会ホームページ https://www.jsn.or.jp/topics/notice/_3537.php)

■糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準  コンサルトのタイミング

紹介基準に具体的な数値が記載されていますが ・尿タンパク量 ・eGFR

を慎重にフォローしていくことがポイントです。

0.5 g/gCr 以上の尿蛋白 入院中の患者さんでは1日蓄尿が可能ですが、日常診療で1日蓄尿で蛋白量の確認は困難です。 随時尿のクレアチニン補正(UPCR)で1日尿蛋白量を推定できます。

eGFRは年齢で基準がかわります。

40歳未満は60ml/min/1.73m2 未満 40歳以上75 歳未満は45 ml/min/1.73m2 未満 75歳以上は45 ml/min/1.73m2 未満 となります。

糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準 (紹介後は診断結果に応じて併診あるいは糖尿病専門医での糖尿病治療の継続)

1.糖尿病網膜症を伴わない 0.5 g/gCr 以上の尿蛋白

2.集学的治療後も遷延する 0.5 g/gCr 以上の尿蛋白

3.円柱もしくは糸球体型赤血球を伴う顕微鏡的血尿かつ 0.5 g/gCr 以上の尿蛋白

4.顕性蛋白尿を伴わない腎機能低下(年齢別) 40歳未満:eGFR 60ml/min/1.73m2 未満 40歳以上75 歳未満::eGFR 45 ml/min/1.73m2 未満 75歳以上:eGFR 45 ml/min/1.73m2 未満で腎機能低下が進行する場合

5.3 か月以内にeGFR が30%以上低下する急速な腎機能低下

■糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準  治療管理依頼のタイミング

腎機能が悪化して、腎臓専門の継続治療管理が必要となる基準です。 ネフローゼや重度の腎機能障害(eGFR 30ml/min/1.73m2 未満)の状態です。

主に腎臓専門医による継続管理を目的とした紹介基準 (紹介後は腎臓専門医での継続管理あるいは糖尿病専門医との併診加療)

1.保存期腎不全(eGFR 30ml/min/1.73m2 未満)

2.ネフローゼ症候群(血清アルブミン値3.0g/dL 以下かつ尿蛋白3.5g/gCr 以上)

3.eGFR 10 ml/min/1.73m2/年以上の腎機能低下

4.薬物療法が必要な電解質異常 (高カリウム血症、高リン血症、低カルシウム血症)や代謝性アシドーシス

5.薬物療法が必要な腎性貧血あるいは ESA 低反応性貧血 (複数回の検査で Hb 値11g/dL 未満)

6.治療抵抗性の体液貯留(心不全・浮腫)や高血圧

■かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準

かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準が日本腎臓学会と日本糖尿病学会ホームページにアップされています。

内容は以下のリンクからPDFで提供されています。 かかりつけ医から専門医・専門医療機関への紹介基準

■まとめ

腎臓の病気を患っている方の数は年々に増加傾向にあり、腎臓専門医のみならず、一般内科医も患者さんの腎機能を慎重にフォローする必要がある時代です。

糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準が学会から提唱されています。紹介基準に具体的な数値が記載されています。

・尿タンパク量

・eGFR

を慎重にフォローしていくことが大切です。

座りっぱなし生活はがん、心筋梗塞をはじめとした病気のリスクを高める|仕事で座りっぱなしの人は仕事の合間に30分の軽い運動を取り入れよう


■長時間の座りっぱなし生活は、心臓や脳血管疾患のみならず、がんのリスクも高める

長時間の座りっぱなし生活は、さまざまな病気のリスクを高めることが知られています。

座りっぱなし生活でカロリーをあまり消費しない生活は、糖尿病、高血圧、高脂血症などのメタボリック症候群、昔でいうところの成人病になりやすいことは容易に想像できます。

糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満などから、血管が詰まりやすくなったり逆に出血しやすくなることから、心臓や脳の血管の病気が増えます。狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血など血管の病気です。

さらに、座りっぱなし生活ががんのリスクおよび死亡率を高めることも研究から分かってきています。特に、乳がん、大腸がんは生活習慣の影響を受けます。

●運動で大腸がん予防|運動と大腸がんの関係

■座りっぱなし生活の対策

仕事で座りっぱなしの人は、仕事の間に少しでも運動を取り入れるのが対策です。

医者の生活、特に開業医の生活は座りっぱなしの時間が多く不健康なライフスタイルの代表といえるかもしれません。終日外来をするとのべ6-7時間はすわりっぱなしです。

興味深いコホート研究の報告があるので紹介します。

(Citation: Diaz A et al. Potential Effects on Mortality of Replacing Sedentary Time With Short Sedentary Bouts or Physical Activity: A National Cohort Study. Am J Epidemiol. 2019 Mar 1;188(3):537-544.)

45歳以上の7,999人の仕事、仕事中の運動量(体を動かしている)量を測定、それと死亡率の関係を集計しています。

・座っている時間の30分を軽活動(LIPA light-intensity physical activity)にすると死亡リスクが17%減少

・座っている時間の30分を中から強度の活動(MVPA moderate to vigorous physical activity)にすると35%死亡リスクが減少

座りっぱなしの時間を何らかの運動に置き換えるのが理想です。細切れの数分体を動かすことでも効果があります。

デスクワークで座りっぱなしの人は、1時間に数分でも体を動かす時間を取り入れるのが理想ですね。

立ってパソコンに向かう作業を取り入れるのも方法です。私はこのブログ立ってPCに向かって書いています。クリニックの受付テーブルがちょうどよい高さなで、そこにPC置いてブログ書いています。

最近はこんな感じの高さをかえられるオフィス用の机取り入れる企業多いようです。

(www.askul.co.jp)

■デスクワーク中心の座りっぱなしの人ができる健康対策

出来る対策としては通勤です。通勤を車から電車、さらに可能であれば電車から自転車にかえるのは効果てきです。

●長生きしたければ運動|週1回でも効果あり

●自転車通勤は死亡率を下げる

■まとめ

座りっぱなしのデスクワークは死亡リスクを高めます。細切れの数分でも仕事の合間に体を動かすことでリスク軽減できます。

2019/2020年度(令和元年/令和2年)冬シーズンのイフルエンザワクチン株|A型株が昨年からの変更あり、B型株は変更なし

2019/2020年度(令和元年/令和2年)のイフルエンザワクチンの情報です。 毎年4月に施行される、長い長い名前の委員会で検討されワクチン株が決定します。 60文字の長い長い委員会の名前は「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会・季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会」です。

例年通り、今シーズンのインフルエンザワクチンも、A型株2種類、B型株2種類、合わせて4種類のワクチン株からなります。

A型株はH1N1とH3N2の組み合わせですが、ワクチン株が変更となっています。 B型株は昨年同様です。

2019/2020年度(令和元年/令和2年)冬シーズンのイフルエンザワクチン株

A型 ・ブリスベン(H1N1) 02/2018(IVR-190)pdm09 ・カンザス(H3N2) 14/2017(X-327) B型 ・プーケット(山形系統) 3073/2013 ・メリーランド(ビクトリア系統) 15/2016(NYMC BX-69A)

■ワクチン株の決定過程

南半球のインフルエンザ流行動態、昨年の流行動態をふまえWHO推奨株が発表されます。推奨株は毎年2月頃にWHOから発表されます。参考にしながら4月に施行される委員会(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会・季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会)を経て今シーズンのワクチン株が決定します。

■2019/2020年度(令和元年/令和2年)冬シーズンのイフルエンザワクチン株

2019/2020年度(令和元年/令和2年)冬シーズンのイフルエンザワクチン株 は以下のA型2種類、B型2種類、合計4種類からなる4価ワクチンです。

A型 ・ブリスベン(H1N1) 02/2018(IVR-190)pdm09 ・カンザス(H3N2) 14/2017(X-327) B型 ・プーケット(山形系統) 3073/2013 ・メリーランド(ビクトリア系統) 15/2016(NYMC BX-69A)

■昨年とのワクチン株変更点

A型 A型はH1N1型とH3N2型の2種類からなります。「型」の変更はりませんが使用「株」の変更があります。 今シーズンは H1N1はブリスベン02/2018(IVR-190)株 H3N2はカンザス 14/2017(X-327)株 となっています。

H1N1型に関して 最近の流行株である 183P 置換を持つ株への効果を高めるために、183Pを持つ流行株であるブリスベン株を選定しています。

H3N2に関して 欧米では3C、3aに属するインフルエンザウイルスの報告が増えています。日本では3C.3aに属するウイルスはまったく検出されていないものの、今後流行の可能性がありこれらに対する免疫が低いため3C、3a に属する流行株から選定、カンザスとなっています。

■まとめ

2019/2020年度イフルエンザワクチンはA型2種、B型2種からなる4価混合ワクチンとなっています。インフルエンザの流行動態をふまえ、A型株が変更となっています。B型株は昨年から変更なしです。

大腸がん予防|大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師の特徴

大腸癌の予防に、大腸カメラを受けポリープがあれば切除することが効果的です。

参考ブログ

●主治医は40歳未満の若手医師がいいのか。担当医師の年齢が入院死亡率に影響|高齢医師より若手医師の方が入院死亡率が低い

●入院患者さんの予後(死亡率、再入院率)が担当医師の性別で差|女性医師の方が男性医師よりも入院患者さんの予後がよい

■大腸癌予防には大腸ポリープ(腺腫)の切除

大腸は「腺腫」とよばれるポリープの状態を経て、大腸癌となります。

この前癌状態である「ポリープ(腺腫)」を内視鏡で切除することが、大腸癌予防につながります。

大腸腺腫を徹底的に切除してポリープがない状態(クリーンコロン)にすることが大腸カメラを受ける意義です。

■大腸腺腫検出率(ADR)が高いほどよい

大腸ポリープを的確に発見する内視鏡医の力量が高ければ高いほど、ポリープを徹底的に摘除してポリープがない状態(クリーンコロン)にすることができるのは自明の事実です。

中島クリニックでも大腸ポリープ(腺腫)を徹底的に摘除してポリープがない状態(クリーンコロン)を治療のゴールとしています。

■どのような医師が大腸腺腫検出率(ADR)が高いのか

どのような医師が大腸腺腫検出率(ADR)が高いのかを調べた報告を紹介いたします。

(Citation: Mehrotra A et al. Physician characteristics associated with higher adenoma detection rate. Gastrointest Endosc. 2018 Mar;87(3):778-786)

レトロスペクティブコホート研究です。 201人の検査医師による104,618 症例で検討しています。

平均の大腸腺腫検出率(ADR)は33.2%でした。

ADRが高かったのは、女性医師、消化器専門医でした。 女性医師は男性医師に比べて4.2%高く、消化器専門医はそれ以外の医師より9.4%高い結果でした。

ちょっと意外だったのは、レジデント終了9年以内の医師は、27年から51年の医師よりもADRが6%も高いことでした。

消化器専門医が、それ以外の医師よりADRが約10%も高い結果は、スクリーニング検査では、トレーニングと経験がともに必要であることをこの報告が実証しています。

年齢の影響をスポーツと同じように扱ってよいのかどうかは異論あるところですが、内視鏡など経験と手技ともに要する検査では、ある年齢からは(この報告ではレジデント終了27年から51年の医師)パフォーマンスが落ちるという結果がでています。

■まとめ

大腸癌予防には、大腸腺腫を大腸カメラで切除することが大切です。

大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師の特徴検討した結果は、消化器専門医がその他の医師より10%もADRが高いという歴然とした差があることがわかりました。

大腸カメラ検査は、内視鏡専門施設でうけるのがおすすめです。

腕立て伏せが40回以上できると心血管病気リスクが低い|腕立て伏せ回数が健康チェックの項目となりうるのか

だれもで簡便に何回できるか数えることができる腕立て伏せ。

こんな単純な評価が、心血管疾患と逆相関があったというお話。

男性消防士のみに限定の結果なので、一般論としてとらえるのは拙速すぎますのでご了解を。

何十年ぶりに腕立て伏せしてみました。思い返せば真剣に腕立て伏せしたのは学生時代の体育の授業以来です。

ちなみに17回、実に平凡な回数でした。10回未満群ではなくてよかった。

■病気リスクと健康診断指標

健康の指標としては、単純であればあるほど良いのは当然です。

体脂肪率と心血管系疾患との相関がありますが、では健康診断として体脂肪率を測定するにはどうすればよいか。腹部CTで体脂肪率を算出するのが精密かつ正確ですが、健康診断で腹部CTを撮影するかといえば、非現実的ですよね。

腹部CTによる体脂肪率測定の代わりになる、簡便でよい指標ないかと探した結果が腹囲測定だったりします。

そんな経緯で特定健診では腹囲測定しています。

腹囲に関しては体格でかなりばらつきがあるので、腹部CTによる体脂肪率測定の代わりになるかどうかは、議論が残るところではありますが。

本題にもどると、腕立て伏せの回数と疾患リスクが逆相関するとすれば、健康診断の良い指標になるのではないかということです。

(Citation: Yang J et al. Association Between Push-up Exercise Capacity and Future Cardiovascular Events Among Active Adult Men. JAMA Netw Open. 2019 Feb 1;2(2))

■腕立て伏せの回数と心血管疾患リスク

腕立て伏せの回数と心血管疾患リスクが逆相関するという報告です。

腕立て伏せの回数が少ない、特に10回未満は心血管疾患が多かった。

腕立て伏せの回数が多い、特に40回以上は心血管疾患が有意に少ない結果でした。

■腕立て伏せできる回数がトレーニングで増えれば心血管イベント抑制につながるのか

Male firefighters(男性消防士)に限定して検討しているので、母集団としては非常に特殊です。

前向き研究ではなく2000年から10年間、1562人を評価した後ろ向きの検討です。

特殊な母集団、後ろ向き検討ですので、腕立て伏せできる回数がトレーニングで増えれば心血管イベント抑制につながるのかそれに関しての答えはありません。

特殊な母集団(男性消防士)から導きだされた結果ですので、腕立て伏せの回数40回以上という、40回以上の数値そのものには一般性はありません。

何もトレーニングしていない男性で腕立て伏せ40回以上できる人、ほぼいないでしょうから。

しかし、簡便に誰でも数えることができる腕立て伏せの回数のような単純な数値が、心血管イベントの差につながったとうことは実に興味深い点です。

■生活指導の項目としての腕立て伏せの可能性

逆流性食道炎や糖尿病は肥満の改善が生活指導で欠かせません。その際に分かりやすい数値目標として体重を目標にします。

それと同じように、分かりやすい体力や健康維持の指標として、腕立て伏せやスクワットなど、簡便に数値を目標として示すことができるので活用してもよいかもしれませんね。

糖尿病HbA1cは季節変動する。一番血糖が上がるのは2月3月|寒い冬こそ健康のために家にこもらず出かけよう

病気には季節の影響をうけるものがあります。血圧値はその最たるものです。

暑い夏は、脱水傾向もあり血圧は冬に比べて低めになる傾向があります。一年中同じ量の薬を飲むわけでなく、夏に血圧の薬が減量出来る方もあります。

血圧値ほど知られていないのですが、糖尿病の治療指標であるHbA1cも季節により変動することが分かってきました。

■糖尿病の治療指標であるHbA1cには季節変動あり

東京女子医大病院からの報告が有名で2511人のHbA1cを月ごとに平均したら、非常にきれいなS字カーブを描いています。 (Sakura H et al. Seasonal fluctuations of glycated hemoglobin levels in Japanese diabetic patients. Diabetes Res Clin Pract. 2010 Apr;88(1):65-70)

1年の内でHbA1cが高くなるのは2月3月の寒い時期、良くなる(低下する)のは7月8月9月の暑い時期です。

HbA1cが高くなる冬と下がる夏を比べると、0.2%から0.3%程上下しています。

寒くなると、外出する機会が極端に減り糖尿病コントロールが悪くなる。如実に季節の影響を受けています。

お正月明け糖尿病が悪くなる方多く、

「いやあ今年はおもち食べ過ぎたので、血糖あがっちゃいました」という会話をすることが多いのですが、これよく考えてみると食事内容の影響だけではなさそうです。

普段と違う食生活の変化が糖尿病悪化の原因であれば、お正月明けだけでなく、お盆明けの8月9月の採血でもHbA1cが上がるはずです。お盆明けの8月9月は上がるどころか、逆に下がっています。

と考えると、夏と冬でことなるのは、寒さによる活動量の違いでしょうか。

■日本のみならず、海外でもHbA1cに季節変動あり

ポルトガルから糖尿病治療指標であるHbA1cの季節変動の報告がありました。

ポルトガル行ったことないのですが、いやポルトガルだけでなくヨーロッパ行ったことないので気候想像つかないのですが。

地球の歩き方によると、東京+5度ぐらいのイメージですね。

(Citation: https://www.arukikata.co.jp/weather/)

なんと季節変動は日本と同じ、2月が一番悪く(高く)、8月9月が良く(低く)なります。

(Citation: Pereira MT et al. Seasonal variation of haemoglobin A1c in a Portuguese adult population.Arch Endocrinol Metab. 2015 Jun;59(3):231-5.)

国、気候が異なっても気温の影響を非常にうけるということですね。

■まとめ

お正月明けに糖尿病の患者さんのHbA1cが上がるのは年末年始の食生活の変化が原因と思っておりましたが、季節変動のグラフをじっくりと眺めてみると食生活の変化よりも運動量の変化を受けている印象です。

寒くなる冬は外出がおっくうになり、家で過ごす時間が増えてしまいます。寒い時期こそ運動ですね。

三重県津市での麻しん|空気感染する麻疹ウイルス基本再生産数(R0)18の感染力

三重県ホームページに昨年末に三重県津市の民間団体の施設で開催された研修会の参加者49人から26人の麻しん患者さんが集団発生していることが報告されています。

(三重県津市ホームページ追加報告あり、感染20人から22人へ記事リライト2019.1.16)

(三重県津市ホームページ追加報告あり感染22人から24人、20人がワクチン接種歴なしへ記事リライト2019.1.17)

(三重県津市ホームページ追加報告あり感染24人および2次感染の2人へ記事リライト2019.1.18)

海外からの麻しん持ち込み感染などの二次感染広がりは麻疹の定期ワクチンがなかった世代である30代が中心でした。今回は10代、20代の若い方が二次感染の中心となっていることが特徴的です。

ニュースによると重症化している方がいないとのことで何よりであります。今後の三次感染、四次感染と拡大しないことを願うばかりです。願うと言うよりも、麻しん風しんのワクチンを皆が2回接種して、十分な抗体を持っていることが感染拡大を防ぐために大切です。

(Citation: 三重県ホームページhttp://www.pref.mie.lg.jp)

■はしか(麻しん)の感染力、基本再生産数

病気の広がる力を数値化したものに基本再生産数(R0)という指標があります。

1人の患者さんが免疫をもっていない人何人に感染させうるかの指標です。

季節性インフルエンザのR0は2前後です。毎年流行するインフルエンザといえでも、たかだか2程度の数値です。

おたふくかぜ(ムンプス)は4-7 三日ばしか(風しん)6-7 水ぼうそう(水痘)は7-9とかなり強力です。

そして麻しんはR0は12-18と桁違いです。 一人の患者さんが12人から18人にも感染させる力をもっています。

なぜか、麻しんは空気感染しますので。飛沫感染するインフルエンザなどはとは広がり方が違います。

参考までに水ぼうそうも空気感染します。R0かなりの数値です。

■三重県津市での二次感染、ワクチン接種歴

患者さん26人のワクチン接種歴がホームページに記載されています。

研修会に参加した10代から30代49人のうち、24人が麻しん集団感染しています。

20人がワクチン接種歴なしです。4人が1回のみワクチン接種です。

麻しん基本再生産数の12-18をはるかに越えて、津市での事例では1人の麻しん持ち込みが、24人にも感染しています。

さらに研修会ではしかに感染した方と接触した、2人が新たにはしか感染しています(2次感染)。

ワクチン未接種で麻しん抗体をもっていなければ、容易感染してしまうこと、さらに1回だけのワクチン接種では不十分なことが津市の報告から読み取れます。

麻しん風しんの定期接種は2回接種です。1回目の接種率が95%前後、2回接種率が90%が日本の現況です。

麻しん予防にはワクチン接種率を高めて備えておくことが肝要です。

■なぜ麻しん予防にワクチンなのか その1 疾病リスク

麻しんが、軽い病気であれば罹って免疫をつけるのが一番。という考え方もありでしょう。しかし、麻しんは重症化リスクが高い、場合によっては麻しん脳炎、死亡に至ることもある病気です。

罹って免疫をつける発想はリスキー過ぎます。

今ほど栄養状態や衛生状態がよくなかった江戸時代はかなり死亡率が高く、麻しんは命定めともいわれていました。

栄養状態、衛生状態がよい現代でさえ

500人に1人麻しん脳炎 1000に1人死亡リスクがあります。

ワクチンによる予防がゴールデンスタンダードです。

■なぜ麻しん予防にワクチンなのか その2 二次三次感染リスク

高熱、発疹が出たらどうされますでしょうか?

病院行きますよね。

経験したことのない重症感を伴う発疹をともなう高熱がでれば、医師の診察を受けるために病院に行くかと思います。

病院にはステロイド内服、免疫抑制剤内服、持病をもった高齢者などが通われています。

基本再生産数(R0)18の空気感染する麻しんとの接触は、避けるべきことです。

麻しん流行が拡大すると、麻しん患者さんと持病をもっている患者さんとの接触機会がどうしても避けられないものとなってしまいます。

社会全体がワクチン接種による麻しん抗体を保持することで集団免疫(Herd Immunity)をもってして、流行しないようにすることが、大切なのです。

■はしか(麻しん)に関する参考ブログ記事

海外からの持ち込みはしか。沖縄、埼玉、各地で起きています。2016年には中島クリニックのある西宮市でもインドネシアからの持ち込み麻しんが発生しています。

麻しんに関する参考ブログ記事です。

●はしか(麻疹)輸出国から輸入国になった日本のとるべき行動|はしか(麻疹)ワクチン2回接種率の向上

●はしか(麻疹)が流行ると受ける相談、はしかの抗体調べたほうがいいでしょうか?|麻疹FAQ

●埼玉県たて続けに4人がはしか発症|麻疹(はしか)はワクチンによる感染予防が基本

●「はしか」に関する誤解を解いておくよ|麻疹感染拡大の注意喚起も必要だが、ワクチンによる予防が基本中の基本

まとめ

麻しん感染予防のためにはワクチン接種が唯一の方法です。

ワクチン接種1回では十分に抗体価が得られなかったり、抗体が低かったりして予防効果が不十分なことがあります。

麻しん予防には、ワクチン2回接種が必要です。

長生きの秘訣、楽観的なひと、悲観的なひと

病院で、血圧が高いので塩分をひかえましょう、糖尿病予備軍なので甘いものをひかえましょう、など食生活に関するアドバイスをうけること多々あるかと思います。

糖尿病、高血圧、高脂血症、病気を治療するところが病院ですので、当然ですね。薬と食生活の改善は治療の両輪です。

でも、睡眠時間やものごとの考えかたについてアドバイスをうけることはほとんどないと思います。余りにも漠然とした内容ですので。

さまざまな研究から、楽観的なひと、悲観的なひと、睡眠時間が短いひと、長いひと、どのようなライフスタイルが長生につながるかわかってきています。

■いまさらながら、たばこ、コレステロール、肥満、糖尿病と病気の関連

たばこ、コレステロール、肥満、糖尿病に関して、みなさまがご存じの通りです。

タバコはやめるとストレスになるので、吸っている方が身体にいい、と言うかたもいらっしゃいます。まあ、そんなことないです。

メタ解析での喫煙総死亡率リスクは2.80(この数値はたばこを吸わない人を1としたものです)

(Cittaion: Rozanski A et al. Behavioral cardiology: current advances and future directions. J Am Coll Cardiol. 2014 Jul 8;64(1):100-10)

数値にして、たばこを吸わない人のリスク2.8倍です。

自身がタバコを吸わなくても、受動喫煙も身体に影響あり総死亡リスクは1.25です。

糖尿病のリスクは2.32です。

善玉コレステロール以外のコレステロール、要は悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が上がると、心血管関連病での死亡リスクは1.50と上昇します。

健やかに過ごすために

・悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を改善

・タバコをすわない

・受動喫煙をさける

・過度に太らない

・糖尿病のコントール

■楽観的なひと、悲観的なひと

楽観的なひと、悲観的なひと、どちらのライフスタイルがよいか、イメージ的には楽観的にいきる方がからだによさそうな気がしますが、医学的にはどうなのでしょう。

経済学的面から、楽観的な人よりもやや悲観的で堅実な人の方が、調子に乗ってどんでもない失敗をする確率が低くてよい。などの話はあるようですが、ここでは寿命、健康に関してです。

悲観的な人の総死亡リスク、1.42(CI1.13-1.77)

かなり高まります。糖尿病、高血圧、コレステロールなど内臓疾患が死亡リスクに直結するのは当然ですが、楽観的/悲観的、考え方がこれほどまでに、寿命に影響するのは驚きます。

楽観的な人の脳卒中リスク、0.52(この数値は低いほど脳卒中のリスクが低いことを示します)

健康のためには、楽観的に、ですね。

積極的に社会との接点をもっている人、もっていいない人を比べると、総死亡リスクが0.4と低下するこもわかっています。

(Citation: Holt-Lunstad et al.Social relationships and mortality risk: a meta-analytic review.PLoS Med. 2010 Jul 27;7(7))

楽観的な人の死亡リスクが下がるのは(交絡因子として)積極的に社会との接点をもっているかどうかの差ではないかと、私は考えています。

■睡眠

睡眠時間に関してはかなり個人差があるのですが、睡眠時間は6-7時間前後が理想です。

長すぎる睡眠、短すぎる睡眠、ともに死亡リスク高まります。

とくに5時間睡眠時間を切るとリスク急上昇します。忙しくてもなんか5時間、できれば6時間は確保したいところです。

講演の準備で、睡眠関連の論文検索を頻回していると、私のフェイスブックにこんな広告が表示されるようになってしまいました。ショートスリーパーに憧れていると判断されたのかも。短時間睡眠に憧れはなく、こよなく睡眠を愛する私は6時間は寝ています。苦笑。

広告 日本ショートスリーパー育成協会 憧れのショートスリーパーに! 成功率90%以上! 1日45分しか眠らない非常識な短眠法

こんなことがあり得ないことは自明の事実ですよね。

■まとめ

高血圧、高脂血症、糖尿病などの病気が死亡リスクをたかめることはよく知られていることです。

悲観的な考え方、社会との接点が少ない生活スタイル、短すぎる睡眠時間など、生活スタイルも大きく寿命に影響することがわかってきています。

心不全患者さんは毎年のインフルエンザワクチン接種が効果的|死亡率を改善する効果あり

■インフルエンザワクチンには重症化予防効果がある

天然痘が天然痘ワクチンにより地球上から撲滅できたように、ワクチンによる予防は感染症に絶大な効果があります。

麻疹(はしか)風しん(三日ばしか)もワクチン接種で、予防できます。日本で風しんが散発的に発生していますが、ワクチンを受けていない30代が感染の中心です。

麻しん風しん混合ワクチンを2回接種して、十分な抗体をもっている人が感染することはありません。

毎年冬になると流行するインフルエンザ、流行が予想されるタイプに合わせたインフルエンザワクチンがあります。

インフルエンザワクチンは「接種すればインフルエンザにかからない」というものではありませんが、重症化予防の効果があります。

インフルエンザワクチンは病気に罹らなくするワクチンではなく、万が一罹っても、軽くすんだり、肺炎などこじらせてしまうことの予防です。

■心不全患者さんはインフルエンザワクチン接種が効果的

心不全の治療方法を検討したPARADIGM-HF (Prospective Comparison of ARNI with ACEI to Determine Impact on Global Mortality and Morbidity in Heart Failure) にエントリーした患者さんのインフルエンザ予防接種と死亡率を検討した結果が2016年発表されました。

8,099人がPARADIGM-HF検討に参加、そのうち2割がインフルエンザワクチンを受けていました。1,769人 (21%)。

(Citation: Vardeny O et al. Influenza Vaccination in Patients With Chronic Heart Failure: The PARADIGM-HF Trial. ACC Heart Fail. 2016 Feb;4(2):152-158)

インフルエンザワクチンを受けている患者さん受けていない患者さん比較したとき、ハザード比で0.81( 95% confidence interval: 0.67 to 0.97)とワクチンを受けている方が遙かに死亡率が低い結果でした。

若くて普段健康であれば、インフルエンザしんどい病気ですが、発熱、咳などの症状で回復します。しかし、心不全状態であれば、インフルエンザに罹ることで心不全の悪化、さらには命に関わる事態になるのです。

■心不全患者さんはインフルエンザワクチンを毎年接種することで心不全による死亡率をさげることができる

先日、デンマークから13万人(n=134,048)の心不全患者さんにおける、インフルエンザワクチンの効果を検討した結果がCirculation誌に報告されました。

(Citation: Modin D et al. Influenza Vaccine in Heart Failure: Cumulative Number of Vaccinations, Frequency, Timing, and Survival: A Danish Nationwide Cohort Study. published10 Dec 2018 Circulation)

上記PARADIGM-HFの結果と同じく、インフルエンザワクチンを受けることで死亡率が格段に下がっています。

死亡の原因を細かく分けて見てみると、心不全による死亡もインフルエンザワクチンを受けることで減っています。

さらに注目するべきは、インフルエンザワクチンを時々受けている患者さんより、毎年受けている患者さんの方が、遙かに死亡リスクが低くなっています。

心不全患者さんは、毎年のインフルエンザワクチン接種が効果的です。

■西宮市中島クリニックのインフルエンザ予防接種対象者の方針

中島クリニックでは、持病をもっている方を中心に予防接種をするかどうか診察の時に相談しています。若い元気な人はワクチン接種不要というわけではなく、優先的に接種するべきは、持病を持っている方や65歳以上の高齢者と考えております。

具体的には、重症化や肺炎などの合併症を引き起こす可能性の高い方として

• 65歳以上の高齢者

• 肺の病気をもっている方(肺気腫、気管支喘息、非定型抗酸菌症)

• 心臓の病気をもっている方(心筋梗塞、狭心症、うっ血性心不全など)

• 腎臓の病気をもっている方(慢性腎不全、透析中の方)

• 代謝疾患をもっている方(糖尿病)

■まとめ

心臓の病気を持っているかた(特に心不全の患者さん)はインフルエンザ予防接種が効果的です。毎年のインフルエンザワクチン接種をおすすめします。

ゴルフは健康にいいのですか?|ドライバーショット、バターにご注意

ウオーキング、通勤、ショッピングどんな形でも歩くことが万病予防につながります。

座りっぱなしの生活はみんなが思っている以上に体に負担かかっていますよ、などと患者さんに話していたら、ではゴルフはどうですか?と聞かれます。

ゴルフと健康についてのお話です。

■40才から64才、スポーツによる死亡原因1位はゴルフ2位ランニング

40才から64才でのスポーツによる死亡原因1位はゴルフ、2位はランニングです。

死亡原因1位の人数としてはゴルフですが、全国内のゴフル人口が550万人といわれていますので、ゴルフ愛好家人数が多いため死亡数も結果と多くなっており、特にゴフルが危険なスポーツではありません。

2位のランニングについても同様です。ジョギング、マラソン含めランニング愛好家人数が多いため、結果としての死亡原因2位となっていますが、ジョギング、マラソンによる突然死が特に多いわけではありません。

参考記事
●マラソンでの心停止リスクと肥大型心筋症

■ゴルフは中高年の健康維持に有効

座りっぱなしの生活を避ける。ウオーキング、テニス、通勤、ショッピング、どんな形でも動くことが病気予防につながります。

参考ブログ
●歩くことを習慣にする方法|モールウオーキング

運動強度を示す指標にMETs(メッツ)があります。 METsとはMetabolic Equivalents の略語です。1METsは安静坐位を1として、その何倍酸素を消費するかを示します。

米国スポーツ医学会で推奨されている健康増進の運動量が3-6METsです。自分でゴルフバックを持ってプレーしたときの運動負荷が5.1METs相当でゴルフは中高年の健康増進に有効との海外のデータがあります。

ゴルフコースは18ホールで6km前後でしょうか。カートに乗らずあるけば7-8kmはゆっくりと歩くことになります。カートにのっても数キロは歩きますので、高齢者にとっても適度な運動となります。

こちらも海外のデータですが、ゴルフコースを歩くことでコレステロール値の改善、心肺機能の改善が報告されています。ただし、週3回ゴルフコースを歩いた場合の話で、あまり現実的ではありませんが。

■ゴルフ中どのような場面が突然死が多いのか

ゴルフ中にどのような場面で突然死起きやすいのでしょうか。心拍数と血圧の急激な上下が起きる状況がリスキーな瞬間です。

心拍数と血圧の急激な上下が起きる状況が3つあります。

1つめは、ドライバーショットです。ゴフルでの最初の一打です。ボールを遠くに飛ばすために、おもいっきりゴルフクラブを振り回します。この瞬間が危険です。

2つめは、意外や意外、パターです。軽くボールを打つだけなのですが、息をこらえたり、緊張することで心拍数と血圧の急激な上下が起きてしまうのが原因です。

3つめは、他の誰かがナイスショットをして、場を盛り上げるためにはしゃいで走り回った瞬間です。場を盛りあげるために、声を出したり走り回るのが心拍数と血圧の急激な上下を起こしてしまうようです。

力を入れて打つドライバーショットはもちろんのこと、パッティングの時にもリスクが伴うのです。

絶対に外せない、息をこらえたり、緊張するのが、心拍数と血圧の急上昇を招き、心臓に負荷を与えていると考えられます。

ゴルフは中高年の健康増進に適したスポーツですが、余り根を詰めてしないのがポイントですね。特にパッティングは息をこらえず、気軽に打つのが健康のためですね。

■ゴルフカートを使うより歩こう

ゴルフ中の不整脈、特に心室性不整脈の発生頻度を、ゴルフカートを使う場合と、歩いた場合を比較した報告があります。

ゴルフカートを使う方が体が楽なので、不整脈が少ないのかと思えば、逆です。

ゴルフカートを使う場合の方が不整脈が多かったのです。

カートを使うと、休んでいるところから急に打つことになり、打球前後の心拍変化が大きくなります。

逆に歩いてプレーしていると、すでに歩いてウオームアップできているところから球を打つので、心拍変化が小さいのがよい方に働いているようです。

カートを使わず、ゴルフ。おすすめです。

■まとめ
・ゴルフは中高年の健康増進に良好な運動量
・ドライバーショット、パターは過度に緊張したり息をこらえたりしないようにしましょう