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子どものピロリ菌除菌、いつやるか?今でしょ!後でもいいでしょ!議論|論点は「除菌するかしないかではなく」「いつ除菌するか」

(Citation: ameblo.jp/kurisotsuya)

新聞の一面にこんな記事がありました。

『ピロリ菌の除菌子どもに必要?効果めぐり割れる』

(Citation: 朝日新聞朝刊201811.13)

さすが新聞、いい言葉知っていますね。

必要? 効果めぐり 割れる学会

あおり気味のタイトル、どんな内容だろうと思わず読んでしまいます。

ピロリ菌除「必要か不要」相反する意見に、侃侃諤諤(かんかんがくがく)口角泡を飛ばしている、印象です。

タイトルだけを見ると、子どもにピロリ菌除菌はいらないとの印象をもつ人もいるかもしれません。

実際に記事を読んでみると、そんな派手な内容では残念ながらありません。

こどもがピロリ菌もっていることが分かったとき、いつ除菌するか学会により判断がことなるがメインテーマです。

子どものピロリ菌除菌

いつやるか?

今でしょ!  今じゃなくてもいいでしょ! どちら

の議論です。

■ピロリ菌と胃がんの関係

ピロリ菌は胃がんの原因であることは疑う余地のないことです。ピロリ菌が感染することにより、胃の粘膜が炎症を起こしてキズつきます。胃炎が続くと、腸上皮化生とよばれる、胃なのに腸に近い状態となります。

分かりやすく並べると 正常胃→ピロリ菌感染→慢性胃炎→腸上皮化生→胃がん

正常胃から始まり、慢性胃炎、腸上皮化生を経て胃癌となります。ピロリ菌を除菌すると、胃炎が治まり胃癌の予防になる。ここまでは研究で証明されているところです。

■大人、ピロリ菌除菌いつやるか?早いほうがいいでしょ!

正常胃→ピロリ菌感染→慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃がん の流れをストップさせるためには、ピロリ菌を除去すること「ピロリ菌除菌」です。

将来起こりうる胃癌を予防するための除菌です。

30才であれば、迷いなくピロリ菌除菌治療します。

60才でも、迷いなくピロリ菌除菌です。

90才なら、胃癌予防としてのピロリ菌除菌は不要です。

年齢が若ければ若いほど、胃癌予防効果が高いのは当然です。

大人に関しては、ピロリ菌陽性が分かった時、除菌です。

■子ども、ピロリ菌除菌いつやるか?今でしょ!とは現段階では断定できない、いつするべきか結論がでるのはこれから

新聞記事に内容もどると、「ピロリ菌の除菌は成人では胃がんのリスクを低下させるが、小児では科学的根拠はないと指摘」と書かれています。

「科学的根拠はない」否定的な印象をあたえる表現ですが、よく考えれば科学的根拠ないのはあたりまえです。

中学生、高校生がピロリ菌除菌することで将来胃癌の予防につながるかどうか、証明される(科学的根拠をもつ)のは20年後、30年後です。

子どもへのピロリ菌除菌、始まったのは数年前からのなので、時間的に結果がでていないだけです。

「科学的根拠はない」イコール、治療の効果がない、ではありません。小児期のピロリ菌治療効果あります。

正常胃→ピロリ菌感染→慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃がん

の流れを止めるのは、年齢が早い方がよいのは当然です。しかし、子どもに対するピロリ菌除菌は各自治体で始まったばかりです。中学生時代にするべきか、高校生時代にするべきか、大人までまってよいのか、その答えはこれからの研究結果を待つ必要があります。

■子ども、ピロリ菌除成功率

大人に関してはピロリ菌除菌、将来の胃癌予防に当然の治療です。年齢が若ければ若いほど効果がある予防です。そこで最近各種自治体が取り組んでいるのが、中学生、高校生時代、より早い段階でピロリ菌をみつけて除菌です。

参考記事

●こどものピロリ菌感染経路|小児の80%は家族内感染

●中学生のピロリ菌感染率は5%以下|ボノプラザン(タケキャブ)、アモキシシリン(サワシリン、アモリン)、クラリスロマイシン(クラリス)の3剤併用療法で一次除菌率成功率は83%

中学生に対する除菌で成功率83%と佐賀県での取り組み、すばらしい効果をだしています。中学、高校時代、幼少期にピロリ菌除菌をしても、何ら問題はありません。

■子どものピロリ菌除菌時期、いつやるか?私見

ピロリ菌除菌は早ければ早いほどよいのは当然です。Point of no return(もはや後に引けない段階)が胃炎にもあって、そこを過ぎてしまうと除菌をしても効果が限局的です。

20代のピロリ菌陽性の人の内視鏡所見は、胃炎はあるものの萎縮性胃炎にはまだ至っていないことがほとんどです。 20代ではまだPoint of no return(もはや後に引けない段階)を越えていないとも考えられます。

お母さんなどから子どものピロリ菌検査、除菌を相談されたときには、このように答えています。

・お子さんが何才でもピロリ菌検査できます。当院では便中ヘリコバクターピロリ抗原や抗体検査で判定しています。

・ピロリ菌除菌に関しては、大人と同じ抗生剤、胃酸を抑えるPPIが使えるようになる体重40kgを越してからでどうでしょうか。

・二十歳になってから考えてもいいですね。

個人的意見ですが、子どもに関してはピロリ菌を持っていることが分かった時に除菌。体重が40kgを越す大人と同じ体格であればいつでも除菌Ok、幼少期にしらべてもいいが、20才になってから調べても遅くはない。とのスタンスで治療にとりくんでいます。

■まとめ

ピロリ菌に感染するとこで、慢性胃炎、腸上皮化生が起きて、胃がんにつながります。ピロリ菌除菌をすることで胃癌の予防となります。除菌は早い時期がよいのですが、子どもの場合、中学生時代にするか,高校生時代がよいのか、結論が出るのはこれからです。

こどものピロリ菌感染経路|小児の80%は家族内感染

■ピロリ菌と胃がんの関係

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、さらには胃がんと関連ピロリ菌は関連があります。最近ではピロリ菌が直接の胃がんの原因ではなく、ピロリ菌が感染することにより胃内の細菌叢の多様性が低下、結果として胃がんになるとの研究報告もあります。

正常胃粘膜→ピロリ菌感染→慢性萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃がん

上記経過を経て胃がんが発生するのですが、直接の原因はピロリ菌ではなく、胃内細菌叢の低下が原因との説です。

正常胃粘膜→ピロリ菌感染→胃内細菌叢多様性低下→胃がん

参考記事
ピロリ菌と胃内常在細菌叢|ピロリ菌最新研究の潮流、キーワードはDysbiosis細菌叢の多様性低下

ピロリ菌感染による胃がんの直接の原因は、・ピロリ菌が胃に感染することによる、慢性胃炎の「炎症」・ピロリ菌が胃に感染することによる「細菌叢の変化」など諸説ありますが、いずれにしてもピロリ菌感染と胃がんは密接な関係があります。

参考記事
●ピロリ菌除菌による胃がん予防効果|治療効果を数値で比較してみる

■こどものピロリ菌感染率

胃がんとの関連があるピロリ菌ですが、よろこばしい事に、若年者の感染率が激減してきています。

高齢者は80%以上の方がピロリ菌をもっていますが、40才代前後を境に急激に感染率が低下しています。

こどものピロリ菌感染率は20才以下で10%以下、さらに中学生以下では5%以下とさがってきています。

ピロリ菌の感染はこどもの頃に感染します。こどもの頃、特に小学校に入学する前ぐらいの年齢で感染します。

衛生状況が非常によくなり、こどもの感染率が低下しているのです。

参考記事
●中学生のピロリ菌感染率は5%以下|ボノプラザン(タケキャブ)、アモキシシリン(サワシリン、アモリン)、クラリスロマイシン(クラリス)の3剤併用療法で一次除菌率成功率は83%

 

■こどものピロリ菌感染経路

患者さんから、「どこからピロリ菌に感染したのでしょうか」よく相談をうけます。

高齢の方であれば、上下水が発達していない、衛生環境が整っていない時代背景による、経口糞便感染です。井戸水など汚染した水からの感染が主なルートでした。

一方、上下水が完備され、衛生環境が整っている現代、どこからピロリ菌は感染するのでしょうか。

現在の感染経路は、口から口の感染が主なルートとなっています。

小児で80%は家族内感染と推定されています。80%のうち70%はお母さんからこども、10%はお父さんからこどもです。

(Citation:今野武津子 et al. 日本ヘリコバクター学会雑誌.4.20-24.2003)

80%は家族内感染ですが、残り20%は家族外感染のルートです。保育園や施設内などでの感染との報告もあります。

家族内感染さらに詳しくみると、離乳食の段階での感染、同胞感染(兄弟姉妹の年齢が近ければ、こども同士の感染)のルートも疑われています。

■父母、祖父母の感染率を下げる環境づくり

お父さん、お母さん、場合によっては祖父母からの感染ルートが主な感染ルートである、こどもにおいて、2つの対策をとることができます。

・お父さん、お母さん、祖父母のピロリ菌感染率を低下させる。子育て世代のお父さんお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんのピロリ菌有無をチェック。陽性であればピロリ菌除菌です。

これで、祖父母、父母からこどもへの感染ルートを断つことができます。

・離乳食を、常識ではあるのですが、お父さんお母さんから赤ちゃんへ口移しを絶対にしないようにしましょう。口移しをすることで、虫歯菌のみならず、ピロリ菌も赤ちゃんへ移してしまいます。

若い世代のお父さん、お母さんには赤ちゃん口移しすることは少ないのですが、問題となるのはおじいさ、おばあさん世代でしょうか。

おじいさん、おばあさん世代より上は、赤ちゃんの離乳食を大人がいちど口のなかで噛んであげていた世代です。離乳食の口移しは昔話、今は口移しは「しない」のが正解です。

■ピロリ菌検査方法

ピロリ菌が胃にいるかどうかを調べる方法として、胃カメラで直接胃の粘膜の組織をとって培養する、培養方がもちろん正確な方法法です。

その他、血液(抗体検査)、便(便中ピロリ抗原)、呼気テスト(風船をふくらます検査)など、さまざまな方法があります。

当院では、胃カメラにて癌の検診を行い、ピロリ菌を培養法にて検査します。ピロリ菌除菌後の、効果判定は便(便抗原)検査で施行しております。

その他、患者さんの年齢、病状に応じて、培養法、血液検査、便検査、適切な検査を選択して施行しています。

どの方法が適した方法かは、患者さんの病状、年齢でかわります。具体的な方法は主治医の先生にご相談ください。

■まとめ
・こどものピロリ菌感染率は喜ばしいことに低下している
・こどものピロリ菌感染経路は家族内感染が多い

ピロリ菌と胃内常在細菌叢|ピロリ菌最新研究の潮流、キーワードはDysbiosis細菌叢の多様性低下

オーストラリアの病理学者Warren博士と内科医Marshall博士が発見した胃にすみつくばい菌、ヘリコバクター・ピロリがLancet医学誌に報告されたのが1983年です。

ヘリコバクター・ピロリ菌が慢性胃炎をひきおこし、胃がんの発生と密に関連することが明らかになりました。

胃内は強酸性のため雑菌がすめないと思われた常識を覆し、ヘリコバクター・ピロリ菌を発見したしたWarren博士とMarshall博士に2005年にノーベル生理学医学賞が授与されました。

胃において、ヘリコバクタ・ピロリ菌の発見とともに医学がしてきた30年でしたが、ここにきて新たな展開です。

■ヘリコバクター・ピロリ菌感染と胃がん

ヘリコバクター・ピロリ菌がいない胃は、慢性胃炎がなく、非常にきれいです。一方ピロリ菌がいる胃は、胃粘膜全体的に赤く、ただれ、慢性の炎症が続きます。

慢性胃炎が続くと、胃の粘膜は胃よりも腸に近い形にかわってきます。これが腸上皮化生で、腸上皮化生は胃がんの前がん状態ともいえます。

正常胃粘膜→慢性胃炎→腸上皮化生→胃がん

ヘリコバクター・ピロリ菌が慢性胃炎をひきおこし、腸上皮化生に至り、さらには胃がんの発生につながることは明らかです。

逆にヘリコバクター・ピロリ菌を除菌することで、慢性炎症が治まり、胃がんの発生がへります。

■ヘリコバクター・ピロリ菌による胃がん発生率は国によってことなる

日本を含む東南アジアはヘリコバクターピロリ感染率も高く、胃がんが多い傾向にあります。一方、アメリカやヨーロッパはヘリコバクターピロリ感染率が低く、胃がんは比較的まれな病気です。

国により胃がん罹患率に多い少ないがあるのは、単にヘリコバクターピロリ感染率の多い少ないと思われていましたが、それだけではないのです。

もちろん、ヘリコバクターピロリ感染率が低ければ、胃がんも少ないので罹患率と胃がん発がん率は大いに関係あります。

ヘリコバクターピロリ感染している欧米人と東南アジア人を比べてみても、欧米人は発がんが少なく、東南アジア人は高率に胃がんがみつかります。

この差はヘリコバクターでも地域によって種類に差があり、その発がん性に違いがあると、説明されていました。

ヘリコバクターピロリ発見から30年余り、ここにきて新たな展開があります。

■キーワードはDysbiosis(細菌叢の多様性低下)

何百年もの間、胃の中は強酸のため、細菌がすめないと思われた常識を覆し、30年前に発見されたのがヘリコバクター・ピロリ菌です。

次世代シーケンサーによる16S rRNA メタゲノム解析でどのような細菌がいるかを調べることができるようになりました。

次世代シーケンサーによる16S rRNA メタゲノム解析を胃粘膜で行うと、おどろいたことに、胃にも常在細菌叢があることがわかったのです。

少し前までは胃は、ピロリ菌感染か未感染のどちからしかないと考えられていました。私も、そのように思っていました。

次世代シーケンサーで調べると、強酸下の胃内に多数の常在細菌が棲みついていることがわかりました。

(Citation: Noto J, Peek RM Jr. The gastric microbiome, its interaction with Helicobacter pylori, and its potential role in the progression to stomach cancer. PLoS Pathog. 2017 Oct 5;13(10))

30年前には無菌と思われた強酸下の胃にピロリ菌がいることで驚き、近年、ピロリ菌以外の菌が胃に棲みついていることを知りさらに驚いています。

胃の細菌叢にも多様性があります。実社会と同じで細菌の世界でも多様性が重要です。さまざまな細菌がひしめきあって、多様性を保っているので病気にならず安定しているのです。

この多様性が胃細菌叢にもあり、ピロリ菌に感染すると多様性が低下するのです。

Dysbiosis(多様性の低下)が、胃がんの発生とかかわっているという説が浮上しています。

正常胃粘膜→慢性胃炎→腸上皮化生→胃がん

この流れは正しいのですが、ピロリ菌に感染していても、胃がんになる人、ならない人がいます。

胃がんになるならないの違いが、Dysbiosis(多様性の低下)の違いによるのではないか、が最新研究の新たな潮流です。

今後研究が進展すれば、胃がんになりやすい人の細菌叢パターン、胃がんになりにく人の細菌叢パターンが明らかにできそうです。

ピロリ菌に感染すると胃内Haemophilus属、Campylobacter conicisusが減少する報告もあり、細菌叢の変化が同定されてきています。

胃がん患者でLactobacillus coleohominis、Lachonospiraceが増え、逆にPorphyromonas、Neisseria属が減ることも分かってきています。

さらに、胃がんを抑制する胃内細菌の存在が特定できれば、胃がん予防のプロバイオテクス(良性細菌)の開発につながる夢のある話です。

胃がんを完全に予防できる時代は遠くなさそうです。

■まとめ
・ヘリコバクター・ピロリ菌感による胃内常在細菌叢の多様性低下(Dysbiosis)が胃がんの発生母地となる

ピロリ菌除菌治療、アモキシシリン(サワシリン)1日2回と3回どちらが効くのか|アモキシシリン1回500mg3回と750mg2回の比較

ピロリ菌治療は3種類の薬を1日2回7日間服用が標準治療です。
1日用量を2回に分けて朝夕食後ではなく、3回に分けて朝昼夕食後にしたほうが良く効く気がしますよね。
実際にはその答えは、YesでもNoでもあるのです。
抗生物質の服用回数についてのお話です。

■抗生物質には最適な服用回数がある

抗生物質には最適な服用回数があります。
大きく分けると
・1日1回が有効な抗生物質
・何回かに分けて飲んだ方がよい抗生物質
となります。

ニューキノロン系に代表されるような抗生物質の最高血中濃度が高い方が効く抗生物質は、1回に飲む薬の量を増やして、1日1回だけ服用します。

1回に集中してのむことで、血中濃度が高まりよく効くのです。
ニューキノロン系以外にアミノグリコシド系の抗生剤も濃度依存です。

一方ペニシリン系に代表されるような抗生物質は、最高血中濃度よりも、長時間安定して一定以上の抗生物質濃度を保っことで効果を発揮します 。
1日1回服用だと血中濃度が直ぐに下がってしまうので2回、3回、場合によっては4回に分けて服用します。

すごくざっくりとですが、まとめると
・ニューキノロン系やアミノグリコシド系は濃度依存、最高血中濃度が高い方が効くので服用回数を減らして1回の量を増やします。
・ペニシリン系は時間依存、最高血中濃度よりも安定した血中濃度が効果を発揮するので、服用回数を増やします。

■ピロリ菌除菌に用いる抗生物質は1日何回に分けて服用がよいのか

ピロリ菌除菌にはペニシリン系の抗生剤を使を使います。
ペニシリン系だけでなくエリスロマイシン系の抗生剤も併用しますが、ペニシリンにフォーカスをあててお話します。

ペニシリン系抗生剤は1日服用回数を多くした方が血中濃度がが安定して効果が高まります。
ペニシリン系抗生剤は通常1日3回から4回に分けて服用します。
例えば溶連菌で扁桃腺が腫れてペニシリン系抗生剤が必要な時は、1日3回場合によっては4回服用します。

でも、ピロリ菌除菌の時は1日2回です。

ペニシリンを1日4回に分けてピロリ菌除菌するのが理想ですが、1日4回に分けるとどうしても飲み忘れがでてきてしまいます。

理想を追い求め、胃酸抑える薬(PPI)を1日2回、クラリスロマイシンを1日2回、アモキシシリン(ペニシリン系)を1日4回服用、確かに除菌率少しはあがるでしょう。 しかし、1週間1日4回x7日、計28回のみ忘れなく服用はやや困難です。

そこで、アモキシシリンも他の薬と同じように1日2回服用として設定しているのです。

■ピロリ菌除菌、アモキシシリンを1日2回服用、3回服用の効果を比較

先週末行われた日本ヘリコバクターピロリ学会で興味深い報告がありました。 大分は遠くて参加できないので、抄録からのデータ紹介です。

(第24回日本ヘリコバクター学会学術集会抄録集)

ピロリ菌の1次除菌の時に アモキシシリンを1日2回に分けて服用、1日3回に分けて服用して除菌率を調べています。

飲む回数が2回、3回とことなりますが、1日の容量としては同じです。

アモキシシリン1日1500mgを
1回750mg2回と
1回500mg3回の比較です。

結果は予想通り、1日用量を3回に分けて飲んだ方が除菌率は高まるのです。

アモキシシリン服用回数での比較
1日2回での除菌率71.4%(180/252)
1日3回での除菌率81.5%(277/340)
(PPI+CAM+AMPC)

アモキシシリンだけ変則的に1日3回服用は有効です。

ただ、アモキシシリン以外の2剤は1日2回服用はなので、飲み間違えがおきたり、服薬コンプライアンス(正しく予定通り服用できるかどうか)が下がるのが難点ではあります。

きんちんと服用できる限り、アモキシシリンの3分割投与、効果は高いといえます。

■ボノプラザン(タケキャブ)使用除菌時のアモキシシリンを1日2回服用、3回服用の効果を比較

ペニシリン系の抗生物質(アモキシシリン)は同じ1日用量であれば2回より3回に分けて服用した方がよいのは上述したとおりです。この話には続きがあります。

胃酸分泌抑制剤を従来のPPIではなく、より強力に胃酸を抑え抗生物質の効きをよくするボノプラザン(タケキャブ)を用いた除菌でアモキシシリンの服用回数で除菌率を比較しています。

アモキシシリン服用回数での比較
1日2回での除菌率90.1%(471/523)
1日3回での除菌率92.2%(523/567)
(P-CAB+CAM+AMPC)

タケキャブを用いた除菌では、アモキシシリン服用回数が2回でも3回でも、ともに除菌率90%以上です。有意差(統計処理上での明らかな差)は2回と3回でありません。

タケキャブ(P-CAB)を用いた除菌において、アモキシシリン服用回数は気にする必要ないといえます。

除菌高率を高めるためにはアモキシシリンの2回ではなく3回の分割投与は有効なのですが、ボノプラザン(タケキャブ)のレジメンでは差がないのです。

ボノプラザンによる持続的かつ十分な酸分泌抑制下では、アモキシシリンが安定的に働くので3分割投与までする必要はないといえます。

西宮市中島クリニックでの1次除菌は、除菌率が高い、タケキャブ(ボノプラザン)を用いています。アモキシシリンも3分割ではなく、標準治療の2分割です。

■まとめ
・従来型のPPIを用いる除菌治療ではアモキシシリンの3分割投与が有効
・ボノプラザン(タケキャブ)を用いる治療ではアモキシシリンは2分割投与で十分効果がある

 

ピロリ菌3次除菌はグレースビット(シタフロキサシン)が有効|西宮市中島クリニックはタケキャブ、グレースビット、サワシリンを用いた3次除菌プロトコール

■ピロリ菌の除菌治療、1次除菌、2次除菌、3次除菌

ピロリ菌除菌治療は、胃酸を抑える薬と抗生物質を1週間服します。 ほとんどの方は1回目の治療(1次除菌)で消えます。1回目の治療で消えなければ抗生物質を変更して2回目の治療(2次除菌)を行います。 1次除菌は酸分泌を抑える薬PPI+抗生剤(アモキシシリン、クラリスロマイシン)の3剤を1週間服用です 2次除菌は酸分泌を抑える薬PPI+抗生剤(アモキシシリン、フラジール)の3剤を1週間服用です

上記1次除菌、2次除菌で100人中98-99人、ほとんどの方で消えます。抗生剤の耐性(抗生剤が効かなくなる)をもったピロリ菌の場合どうしても1次除菌、2次除菌で消えないことがあります。その場合3次除菌を考慮することになります。(注:1次除菌、2次除菌は保険診療ですが、3次除菌は保険適応外です)

■3次除菌のプロトコール

1回目、2回目の治療で消えない場合の治療どうするべきか。ピロリ菌はその名の通り「菌」です。「菌」なので抗生物質が治療の中心です。1回目、2回目で効かなければ、別の効く抗生物質を選択することになります。

3次除菌の抗生物質の候補として当初レボフロキサシン(クラビット)が用いられていましたが、シタフロキサシン(グレースビット)がピロリ菌によく効くことがわかりました。

当院でも以前から3次除菌はシタフロキサシン(グレースビット)を用いています。

・酸分泌抑制剤PPI ・抗生物質アモキシシリン(サワシリン) ・抗生物質シタフロキサシン(グレースビット)

上記3種類を1週間、朝夕、2回服用で70%以上の3次除菌成功率です。

■3次除菌除菌率レビュー

日本ヘリコバクター学会誌に3次除菌の成功率のレビューが掲載されていました。

3次除菌のキードラックはシタフロキサシン(グレースビット)です。ガチフロキサシン(ガチフロ)を用いている施設もありますが、主流はグレースビットを用いたプロトコールです。

3次除菌の成功率、幅があるものの70%から90.9%とグレースビットを用いたプロトコールで高い成功率です。

(浅岡他. 3次除菌治療の現状. 日本ヘリコバクター学会誌 Vol.20 N0.1 28-33)

内服日数は7日間の施設から14日間の施設まで幅がありますが、何れの施設も70%以上の良好な成功率です。内服期間7日間を14日間と長くしても除菌率がよくなるわけでもありません。内服期間よりも薬の選択、グレースビットを用いることが重要です。

■西宮市中島クリニックでの3次除菌除菌プロトコール

今後も3次除菌はシタフロキサシン(グレースビット)を用いて治療いたします。

以前は酸分泌抑制剤はPPIを用いていましたが、現在はより強力な酸分泌抑制効果があるP-CABボノプラザン(タケキャブ)をもちいています。

現在の中島クリニックでの3次除菌プロトコール
・酸分泌抑制P-CAB ボノプラザン(タケキャブ)
・抗生物質アモキシシリン(サワシリン)
・抗生物質シタフロキサシン(グレースビット)
上記3種類を7日間(1週間)服用です。

■まとめ
・ピロリ菌3次除菌はシタフロキサシン(グレースビット)を用いることで70%以上の高い治療効果がえられます。

400か800かそれが問題だ|ピロリ菌除菌クラリスロマイシン投与量、西宮市中島クリニックは800

■ピロリ菌除菌成功率比較、従来型胃酸分泌抑制薬(PPI)とボノプラザン(タケキャブ)

2015年2月認可、胃酸分泌を強力に抑えるボノプラザン(タケキャブ)の登場で、ピロリ菌除菌率が劇的に向上しました。

従来の胃酸分泌を抑える薬を使った治療での除菌率70%だったのが、タケキャブを使った治療で90%の方が消えるようになりました。

中島クリニックの治療データでも、従来型の胃酸を抑える薬を使った除菌成功率が69.8%だったのが、タケキャブの治療で92.5%です。

当院での標準的な一次除菌治療はもちろん、ボノプラザン(タケキャブ)+抗生剤2種類を用いた治療です。従来型の胃酸分泌を抑える薬(従来型PPI)と新しいタイプの胃酸分泌を抑える薬ボノプラザン(タケキャブ)どちらを用いるかに関して議論の余地はありません。ピロリ菌除菌に関して、ボノプラザン(タケキャブ)一拓です。

■抗生剤投与量400と800比較(従来型PPIを用いた治療)

ピロリ菌除菌治療薬には抗生剤の容量で400と800の2つの規格があります。クラリスロマイシンの1日用量を400mgと800mgの2種類です。

どちらの方が除菌率が高いかに関して過去の研究から一定の見解に達しています。400mgより800mgと多い用量の方が効きそうなイメージありますが、実際には400mgをもちいても800mgでも除菌率に大差はありませんでした。400mgでも800mgどちらでもOK、効果が同じなら少ない400mg用量でいいんじゃない、という考えが主流です。

ただ、これは従来型PPIを用いた除菌治療での話です。 新しいタイプの胃酸分泌抑制剤ボノプラザン(タケキャブ)に関しては400が800かの結論はまだでていません。

■400と800比較(タケキャブを用いた除菌治療)

タケキャブを用いた除菌治療でクラリスロマイシン用量400mgと800mgどちらをもちいる方がよいか結論はまだでていません。

消化器内科を専門としているDrに聞いても400mg派、400と800どちらでもいい派が半々。800mg派は少ない印象です。

個人的には800mg派です。中島クリニックでのボノプラザン治療実績が100例になった時に400mgと800mg比較したデータがあります。400mg除菌成功率85.2%、800mg除菌成功率92.5%でした。統計処理上は有意差でませんでしたが、400mgより800mgの方が治療成績よかったのです。

■西宮市中島クリニックで除菌時クラリスロマイシン800mgを用いる理由

私が、ピロリ菌除菌率が従来型PPIから新しいタイプの酸分泌抑制剤タケキャブ(ボノプラザン)にかえることで除菌率が改善する理由を解析した論文が、2016年に日本ヘリコバクターピロリ学会誌に掲載されました。

その中でクラリスロマイシンの薬剤耐性の度合いが除菌の成否に重要な点であることを発見しました。クラリスロマイシン薬剤耐性をもっているピロリ菌でも軽度の耐性程度であれば治療できるのです。

これには2つの条件が必要で、十分量のクラリスロマイシンが胃に届く(用量を多くする)こととクラリスロマイシンが効きやすいように酸分泌をおさえる(酸性下では抗生剤効かない)ことです。

この西宮市中島クリニックでの研究成果からクラリスロマイシンの用量は800mgが400mgに比べ望ましいのではと仮説をたてていました。

理論に基づく仮説にとどまらず、実際に中島クリニックでの治療成績を計算すると、タケキャブ(ボノプラザン)を用いた治療成績で400mg除菌成功率85.2%、800mg除菌成功率92.5%です。400mgより800mgの方が良好です。

ただ400mgと800mgどちらがよいかコンセンサス(共通見解)は出ていないので、個人的な治療方針として800mgを中心に治療していました。

■第24回日本ヘリコバクタープログラム抄録集、演題:P-CABを用いた1次除菌では、高容量のCAM使用がより高い除菌率を示す

ボノプラザン(タケキャブ)を用いるピロリ菌除菌治療、クラリスロマイシン用量800mgの方がよいだろうと個人的には考えながらも、確信をもてずにいましたが、800mgで治療方針でよいと確信をもてるデータに出会いました。

先日第24回ヘリコバクター学会のプログラム抄録集が郵送されてきました。

この学会なぜかいつも地方都市での開催です。今回は大分県。以前長崎の時もあったような。東京であれば新幹線で日帰りで参加するのですが、大分となるとさすがに日帰りはむりです。

旅行であれば、おんせん県、行きたいのですが土曜日半日仕事していますので、今回も学会参加は見送りです。最後に行ったのは、だいぶ前の神戸開催が最後かも。

学会に行けないのでせめても最新情報をキャッチアップするため、抄録だけは毎回熟読しています。興味深い演題を見つけました。

ワークショップ3 除菌率の向上を目指して WS3-11「P-CABを用いた1次除菌では、高容量のCAM使用がより高い除菌率を示す」 東京慈恵会医科大学内科学講座消化器科・肝臓内科、平和台クリニック

慈恵医大からの8施設共同研究結果です。 1798例のピロリ菌除菌治療率を集積した結果です。クラリスロマイシン800mgでの除菌成功率97.2%、40mgでの成功率88.2%。

多施設での研究結果でも、タケキャブ(ボノプラザン)を用いたピロリ菌除菌では400mgよりも800mgの方がよい成績で、当院の結果と同じです。

2年間の心のもやもやを吹き飛ばしてくれる素晴らしい結果です。やはり私の仮説は間違いでなかったことが分かりました。今後も800mgを中心に治療づけていくことにします。

■まとめ
・ボノプラザン(タケキャブ)を用いた除菌治療はクラリスロマイシン800mgが400mgより治療成績良好でした
・中島クリニックの方針は今後もクラリスロマイシン用量800mgで治療です

ピロリ菌除菌後も内視鏡(胃カメラ)での定期フォローアップ|除菌後内視鏡所見、小陥凹(少しへこんだ)斑状発赤がポイント

ピロリ菌除菌で胃がん予防

ピロリ菌が胃がんの原因であり、
ピロリ菌を除菌することで胃がん予防につながります。

発がん予防効果も、年齢が若ければ若いほどあることも当然です。
70才で除菌するより50才、40才で除菌です。

1週間の飲み薬だけで(3種類の薬、胃薬1種類と抗菌薬2種類)で90%以上の方が除菌できる治療が確立されています。中島クリニックではピロリ菌除菌は1回の治療で93%治療成功しています。

除菌すると発がん率は約2/3へ減ります。
発がんは減るものの残念ながらゼロにはなりません。
そこで、除菌に積極的に取り組むことと、同時に大切なので、
除菌後胃カメラでの定期検診です。

ピロリ菌除菌後にみられる内視鏡(胃カメラ)所見

ピロリ菌を除菌すると、あれていた胃粘膜がどんどんきれいになってきます。

胃粘膜全体のはれぼったい感じ、
粘液がべたっとこびりついた感じがとれ、
スッキリとしてきます。

ピロリ菌をすると胃の粘膜に見られる、特徴的な所見として、赤い小さなへこみ(陥凹)があります。

境界明瞭で地図状に発赤が広がることもあり
mottled patchy erythema 、
reddish depressed lesions
ともよばれます。
日本語でしっくりくる表現ないのですが「斑状発赤」に分類されている所見です。日本語にするとすれば、小陥凹を伴う斑状発赤です。

これらの少しへこんだ(陥凹)境界明瞭な発赤があると内視鏡をする医師は、ピロリ菌除菌後の胃と判断します。

この斑状発赤は除菌後にみられる所見との認識です。

斑状発赤部からの発がん

ピロリ菌後にみられる斑状発赤をフォローしていくとかなりの高率で癌が見つかると、興味深い報告がありました。

(Citation: Kotachi T et al. Clinical Significance of Reddish Depressed Lesions Observed in the Gastric Mucosa after Helicobacter pylori Eradication. Digestion. 2018 Apr 19;98(1):48-55.)

報告では斑状発赤、reddish depressed lesionsは39%、除菌後胃の4割に見つかっています。さらに、この4割の患者さんの斑状発赤に注意して内視鏡フォロー、約9%に胃がんがみつかっています。

除菌後にみられる小さな陥凹を伴う発赤reddish depressed lesions、単に除菌後の所見として認識するのではなく、発がんのハイリスク所見との認識をもつ必要がありそうです。

まとめ

・ピロリ菌除菌にて胃がん発癌リスクは低下
・除菌後定期胃カメラフォローアップも大切

西宮市中島クリニック院長の論文が 西宮市医師会医学雑誌に掲載されました

中島クリニック院長の論文が
西宮市医師会医学雑誌にアクセプトされ掲載されました。

著者:中島敏雄
論文タイトル:当院におけるヘリコバクター・ピロリ一次除菌の治療成績
~抗菌薬感受性MIC値からの除菌成否予測~
西宮市医師会医学雑誌2018年第 23号 p29-32

最新のピロリ菌一次除菌治療法についての総説論文です。
中島クリニック院長が研究から見いだした、抗菌薬感受性MIC値からの除菌成否予測についても解説しています。

胃透視検査(胃バリウム検査)でピロリ菌感染を判断するAI(人口知能: artificial intelligence)

チェス、将棋や囲碁はコンピューターが勝てない分野と思われていたのがつい数年前。

■AI(人口知能: artificial intelligence)の進歩スピード

チェスの世界チャンピオンがコンピューターに敗れ
将棋もコンピューターが勝つ時代になり
最後の砦と思われていた囲碁でしたが、
人口知能AlphaGoが人類最強といわれている棋士、柯潔との三番勝負で3戦全勝と圧勝したのが、つい1年前です。

AI(人口知能: artificial intelligence)は驚くべきスピードで発達してきています。

2045年頃、いまから20年少しで、「シンギュラリティ」(技術的特異点)に達して、AIは人の知能を越すともいわれています。

パターン認識には異常な強さを発揮するAIですが、
0から1は生み出さないAIに全てができるわけではありません。
クリエイティブな仕事、チームを作るなど、
ヒトの能力が必要とされる分野は多々あり、
シンギュラリティは来ないのではないかと
私は希望的観測をもっています。

■医療とAI(人口知能: artificial intelligence)

各分野でAIが活用されるようになるのは当然のことです。
医療の分野も例外ではありません。

画像のパターン認識は、AI(人口知能: artificial intelligence)が得意とする分野です。

CTや病理検査など、画像診断の分野では
すでにAIがエキスパートドクター並の
診断を下している報告があります。

消化器の分野でも
がんセンターを中心として内視鏡診断における
AI活用が研究されています。

■胃カメラ大腸カメラとAI

将来的には、胃カメラ大腸カメラ時に、画像読影をアシストするAIは登場すると思われますが、胃カメラや大腸カメラは、撮影条件で画像に、かなりバラツキが出ます。
バラツキのある画像を、どのように判断するかが
クリアするべき最大のポイントです。

内視鏡検査の時は、
送気して、胃や大腸を膨らませて観察します。
これが基本なのですが、
癌を疑う病変があれば、逆に空気を抜いて、病変の形が変わるかどうか、堅さを判断したりもします。
病変の表面の状態、脱気したときの病変の堅さ含め
総合的に評価して、癌であるかどうか、さらにその深達度(どれぐらい深く病変が根をはっているか)を判断します。

撮影条件が一定で画像にばらつきがなければ、AIは活躍できますが、内視鏡写真は条件によりかなり印象がかわります。
検査担当医師の習熟度によっても撮影する写真が異なります。

そのバラツキを加味して画像判断するAIの登場が待たれるところです。

■胃透視(胃バリウム検査)画像のピロリ菌感染有無を判断するAI(人口知能: artificial intelligence)

胃カメラや大腸カメラの画像と対照的に、比較的各画像にバラツキが少ないのが胃透視検査(胃バリウム検査)です。

バリウム検査は、一定のパターンで画像を撮影します。
そのため術者による画像のバラツキが少ないのが特徴です。

これに着目して、バリウム検査でのAIの有効性を検討した結果が今年の2月に報告されました。

バリウム検査で、ピロリ菌の有無をAIが判断できるか
これを調べています。

(Citation: Togo R et al. Preliminary study of automatic gastric cancer risk classification from photofluorography. World J Gastrointest Oncol. 2018 Feb 15; 10(2): 62–70.)

2100症例、計16,800枚の画像を判断させています。

AI(人口知能: artificial intelligence)による
バリウム検査でのピロリ菌感染有無の判断
感度88.4%
特異度89.5%
の結果でした

論文にはAIがどこの部位を認識したかは書かれていませんが、私が勝手に想像するに、

ピロリ菌未感染では
胃前庭部粘膜の、細かく均一な微細な模様を呈します。
一方、ピロリ菌感染では
胃粘膜が、粗造に(あらく)なったり、不揃いになったり、顆粒状に目立ったりしてきます。
これらの差をAIが判断したのではないかと想像します。

あと、体部大彎のひだ(皺襞)は
未感染では、シュッと細く縦走しているのですが
ピロリ感染すると炎症で、太く、蛇行します。
これらの差も含め判断しているのかもしれません。

感度88.4%、特異度89.5%
感度、特異度とも90%近くあり、ピロリ菌の存在診断に関して、ほぼ実用レベルに達していると思われます。

画像診断におけるAIの進歩めざましく、
画像検査は、AIで診断支援するのが当然の時代になる日が近いですね。

■まとめ
・AI(人口知能: artificial intelligence)はパターン認識につよい
・AIの胃バリウム検査におけるピロリ菌感染有無の判断は感度88.4%、特異度89.5%とすばらしい

腎臓病をもっている時のピロリ菌治療について|透析治療中のピロリ菌治療

ピロリ菌をもっていれば
胃がんや胃潰瘍再発予防のために、
除菌治療が広くおこなわれています。

抗生物質2種類と胃酸をおさえる薬1種類
計3種類での治療が保険診療で認められています。
この治療で90%以上の人が1回の治療でピロリ菌消失します。

アレルギー、腎臓や肝臓の病気など合併症がなければ、
この標準的な治療をおこないます。

アレルギーや合併症をもっているときには、
薬の変更、
薬の減量
患者さん毎に、治療内容の調節が必要となります。
(保険診療外で自費となることもあります)

■腎臓の病気

慢性腎臓病(CKD)はあまり耳にしないことばです。
CKDとは慢性に経過する腎臓の病気を指すことばです。

1300万人以上が慢性腎臓病(CKD)と推定されており、
日本人20歳以上
8人に1人以上が慢性腎臓病(CKD)なのです。

健康診断のレアチニン(Cre)、推算糸球体濾過量(eGFR)の値が腎機能の指標となります。

■腎臓の病気をもっているときのピロリ菌除菌治療ガイドライン

標準的な治療の指標としてガイドラインが各疾患、治療毎に作成されています。
ピロリ菌治療もガイドラインあります。

ガイドラインで推奨されているところを引用します。。
(引用:Helicobacter pylori 感染の診断と治療のガイドライン2009改訂版)

「重篤な肝疾患、腎障害等の全身的な合併症を有する患者に対する除菌治療においては、除菌治療適応、薬剤使用量の配慮など、個々の症例に応じた慎重な対応が必要である。腎不全患者では、通常量の3 剤併用療法で高い除菌率が得られたという報告がある一方で、PPI-AC 療法(プロトンポンプ阻害薬+アモキシシリン+クラリスロマイシン)(AMPC=1.5g/日) よりもPPI-CM 療法(プロトンポンプ阻害薬+クラリスロマイシン+メトロニダゾール)のほうが除菌率に優れており、急性腎不全を来すリスクが低く安全性が高いという報告もある。

と記載されております。ガイドラインでは腎障害があるときには、アモキシシリンの減量が重要であることが強調されています。

■腎臓の病気をもっているときのピロリ菌治療

腎臓の病気をもっているときにピロリ菌治療
何が問題になるのでしょうか?

ピロリ菌治療でのんだ抗生物質は、腎臓から体の外に捨てられます(腎排泄)。
腎臓が弱っていると、
体に外に抗生物質を捨てる力が低いので体に抗生物質がたまってしまいます。

通常量をのむと、体の中での抗生物質濃度が高くなりすぎ
副反応を起こしやすくなってしまいます。
そのため、腎機能に応じて「減量」が必要となります。

除菌の時に使う胃酸を抑える薬(PPI)は
肝臓で代謝されて体の外に排泄(捨てる)されます。
腎臓に影響しません。
胃酸を抑える薬(PPI)の調節は必要ありません。

腎機能障害があるときの治療のポイント、
腎臓で排泄される抗生物質の減量です。

クレアチニン(Cre)、推算糸球体濾過量(eGFR)毎に、抗生物質の投与量、投与回数の指標があります。
これに準じて減量します。

■透析中のピロリ菌除菌治療、アモキシシリン、クラリスロマイシンの減量がポイント

アモキシシリンは腎機能Ccrが10ml/min以下の重度腎障害や血液透析中は、250mg1日1回が感染症の治療で投与される標準量です。

透析中の抗生剤投与量について
透析施設から投与量の報告があります。

抗生物質、とくにアモキシシリンの量をどのようにするかがポイントです。
アモキシシリンの投与量に一定の基準はなく

・アモキシシリンを750mg(通常量の1/2)で有効の報告
・アモキシシリン500mg(通常量の1/3)で有効の報告、
・アモキシシリン250mg(通常量の1/6)で有効の報告

アモキシシリンの投与量に250mgから750mgの幅がありあすが
いずれも良好な結果がえられています。

■まとめ
・腎機能障害があるときは、抗生物質の減量が必要です。アモキシシリンの減量もしくは、アモキシシリンを使わない除菌治療となります。
・透析をしているときのピロリ菌除菌治療は、アモキシシリン750mgから250mg(通常の1/2~1/6量)、クラリスロマイシン200mg(通常の1/2~1/4)、胃酸を抑えるPPIは通常量でおこないます。