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イタリアで麻疹患者数増加、他山の石以て玉を攻むべし|麻しんワクチン接種率95%以上が目標

イタリアで若年者を中心に麻疹(はしか)が流行しているようです。

(引用:AFP BB NEWS)

日本でも、昨年8月海外(インドネシアのバリ島)で麻疹に感染して、国内へ持ち込んだニュースがありました。
幸い感染は拡大せず収束しました。

その時のブログ
「はしか」に関する誤解を解いておくよ|麻疹感染拡大の注意喚起も必要だが、ワクチンによる予防が基本中の基本

麻疹(はしか)輸出国から輸入国となった日本、ワクチン接種をどうするか

「麻しんワクチン」取り巻く状態、オイルショック時のトイレットペーパと同じ。落ち着いて取り組もう。

日本では、麻疹が国内に持ち込まれても、拡大せず収束。
逆に、イタリアでなぜ麻疹が流行しているのか。
この違いは、麻疹ワクチン接種率の差です。

90%以上の接種率に達しなければ麻疹のコントロールは困難であり、95%以上が目標接種率です。(WHO: WHO-UNICEF joint statement on strategies to reduce measles mortality worldwide. Weekly Epidemiol Record 27:224-228, 2002.)

記事によるとイタリアでは麻しんワクチン接種率は85.3%にまで低下しています。
90%を下回っています。

現在、日本の麻しんワクチン接種率は1期96.2%、
2期92.9%です。
2期の接種率が92.9%とやや低いものの、接種率90%以上は保てています。

(引用:厚生労働省 麻しん風しん予防接種の実施状況
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/hashika.html)

我が兵庫県は1期96.0% 2期93.0%と、全国平均とほぼ同じです。
今後1期は現在の接種率を維持、2期接種率をなんとか95%まで高める必要があります。

まとめ、

麻疹感染拡大抑制のために、世界保健機関 (WHO) が推奨している、麻しんワクチン接種率は95%です。

「麻しんワクチン」取り巻く状態、オイルショック時のトイレットペーパと同じ。落ち着いて取り組もう。

麻しんワクチンありますか、の電話がやまない状況です。
「先生、特別なルートでなんとか入手できないのでしょうか」と聞く方も。
残念ながら、特別なルートありません。ご了解ください。

麻疹ワクチンは製造され続けていますので、しばらくすればまた再流通します。
ちょうど、1970年代に起きたオイルショック時に、石油高騰からトイレットペーパーなくなると早合点して、トイレットペーパーが世の中からなくなったのと同じです。

一気に買いあされば、なくなりますが、冷静に考えたらトイレットペーパなくならないですよね。

麻疹ワクチンも同じです。
世の中からなくなりません。

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今ワクチンを急ぐ必要ある方は、空港関係者、や麻疹流行地で接触をもつ可能性がある方々でしょうか。MRワクチン(麻しん風しんワクチン)は流通制限を受けているので、そのような方には政府が優先的に回るように配慮してくれるはずです(たぶん)。

多くの方は、接種を急ぐ必要はありません。
ここで1点注意しておきたいのですが、急ぐ必要はないと言っているだけで、麻しんワクチンを接種する必要がないと言っているわけではないことを強調しておきます。
むしろ、麻疹ワクチンを受けておくことをすすめます。

今後も海外からの持ち込みによる麻疹流行は繰り返し起こりうります、それに備えておく必要があります。

麻疹(はしか)ウイルスの遺伝子型について

麻疹ウイルスは24の遺伝子型に分類されます。
国立感染症研究所から、今年日本で発生した、麻疹(はしか)41例の詳細が発表されました。

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(引用:NIID国立感染症研究所ホームページ)
表の右から2番目カラム、細かい分類である遺伝子型をみてみると、インドネシアからの持ち込みはD8だけだと思っていたら、H1もあるようです。

日本で昔流行していたD5型の感染報告はありません。と言うことは、やはり日本国内から麻疹は排除されている状況です。
感染ルート不明のケースも多々ありますが、ほとんどのケースは海外からの持ち込み、国内で広がったものと思われます。

その他、特徴的なのは、ワクチン接種歴のない若年者が目立つことでしょうか。

幼少期の定期接種であるMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)の2回接種の重要性を再認識させられます。

一生に一度は行ってみたいウユニ塩湖。高山病予防

ホームページのプロフィール「Certificate in Travel Health(国際渡航医学会ISTM認定医)」をみた方から相談をうけました。

中島クリニック院長プロフィール

誰に相談すればよいのかわからず、相談させてもらうのですが、「ウユニ塩湖」に行きますが、高山病の心配あるのでしょうか?

 

「ウユニ塩湖」と言えば、死ぬまでに一度は行きたい南米ボリビアの絶景です。
ボクも行きたいけど、行けそうにありません。日本からものすごく遠いのです。
いくつかのルートありますが、関西からだと、
関空(日本)→成田(日本)→ワシントン・ダレス国際空港(アメリカ→マイアミ国際空港(アメリカ)→ラパス(ボリビアの首都)→ウユニ
遠すぎます。

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(写真引用:フリー写真素材ぱくたそ)

「ウユニ塩湖」初めて聞いた方、「ウユニ塩湖 写真」で検索してみてください。塩湖の鏡面に写る美しい景色、行きたくなります。

ボリビアの首都である「ラパス」ここの標高が4080m。
富士山の頂上より高い場所にあります。
ここに、一気に飛行機で行くことになります。
そして、世界最大の塩の湖ウユニも標高4000mにあります。
高山病に備えておくことは大切です。

高山病は2400m(8000フィート)以上の高所への急な移動をした場合におこりうります。

緑内障の治療薬、ダイアモックスの内服が高山病の予防効果あります(保険適用外)。
お酒をひかえることも大切です。

 

一生に一度は行ってみたいウユニ塩湖の旅、楽しんできてください。

土産話をぜひ聞かせてください。

「発熱」「発疹」が出たときするべき、たった一つの大切なこと

麻疹対策の大原則はワクチンであることは
「はしか」に関する誤解を解いておくよ

で書いた通りです。
空気感染する極めて感染力の強いウイルスの対処は予防しかありません。

でも、海外からの持ち込み麻疹が散発的に発生してしまった、今、感染拡大防止に全力を尽くす必要があることは当然です。

もし「発熱」「発疹」が出た時にはどうしたらよいでしょうか。

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(写真 産経WEST)
最も避けるべきことは、事前連絡なく「即」病院に行くことです。
病院に行くな、と言っているわけではありませんので誤解なきようお願いします。

病院に行く前にするべき、たった一つの大切なことは、まず「電話」です。
医療機関へ電話して、どのようにすればよいか指示を受けてください。

万が一麻疹であったときの事を想定して行動する必要があります。

「発熱」「発疹」が出て、何の連絡もなく医療機関を受診すると、受付、問診票記入、診察まで待合室で待つ間に、多くの持病をもった患者さんと接触することになってしまいます。持病をもっている患者さんへの感染拡大を予防することも医療機関のつとめです。

そのための、電話での「事前」相談です。

電話で伝えることは

1. 年齢
2. 性別
3. 経過、いつから発熱して、いつから発疹がでたか
4. 過去1ヶ月以内に海外渡航をしたかどうか。渡航歴あれば、どこ、の国に、いつからいつまで滞在したか
5. 麻しんワクチンを受けているかどうか

その他、お盆前後に関空を使ったかどうか、千葉県幕張メッセでのジャスティン・ビーバーコンサート行ったかどうか、発疹の性状、などなどいろいろあるのですが、まずは上記1-5だけは最低限伝えて、どのような形で医療機関を受診するか指示をうけてください。

麻疹(はしか)輸出国から輸入国となった日本、ワクチン接種をどうするか

今日も多くの方から、MR(麻しん風しん混合)ワクチン接種希望の電話がありました。
ワクチン流通がストップしている事情を説明させていただき、申し訳ないのですが断わらせていただきました。

2016年9月2日現在、麻疹(はしか)発生の影響でMR(麻しん風しん混合)ワクチンは出荷制限がかかってしまっております。

今ワクチン接種できなくても、騒動が収束すれば流通します。
数ヶ月してワクチンが流通した時に、今感じている「麻疹をワクチンにより予防することの大切さ」を思い出して接種することをおすすめいたします。

以下、その理由です。

日本では2008年には1万人を超える麻疹患者が報告されていました。
定期接種(2回)の導入が功を奏し患者数が年々減少、
2012年には300例をしたまわり、
ついに、2015年にはWHO(世界保健機関)から、日本のはしか「排除状態」にあると認定を受けました。

2015年、麻疹輸出国と揶揄された汚名返上することができたのです。

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(写真)世界保健機関西太平洋地域事務局プレス資料PDFより
「はしか排除状態」というのは、国内由来の麻疹感染がなくなったということです。
裏を返せば、いまの騒動もそうですが、今後、日本国内で麻疹が発生するのは海外からの持ち込みです。

麻疹(はしか)輸出国から輸入国となった日本では、時折、「持ち込みによる麻疹発生」を繰り返すことになります。

この「散発的な発生」に備えておくことが、重要であり、緊急で今すぐ接種する必要があるわけではないのです。もちろん接種は早いにこしたことはありませんが。

数ヶ月してワクチンが流通した時に、今感じている「麻疹をワクチンにより予防することの大切さ」を思い出してワクチン接種することをおすすめします。

ワクチン接種が必要なのは、下記を「除く」全ての人です。
・麻疹に罹ったことがある人、
・麻しんワクチンを2回すでに受けている人

なぜ必要なのか。B型肝炎ワクチン、ユニバーサルワクチネーション

東南アジア、南アフリカなど世界では、B型肝炎キャリア率が10%を超す国が多数あります。

日本は0.8%まで現在下がってきており、キャリア率は低い方ですが、まだ撲滅には至っていません。

 

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どのようにしてB型肝炎が感染するのか、感染経路の話題を中心に、なぜユニバーサルワクチネーション(全員接種)が大切であるかお話いたします。

 

「ユニバーサルワクチネーション」って何と思った方はこの記事をどうぞ。

 

「予防接種、ユニバーサルかセレクティブか、それが問題だ」

「B型肝炎ワクチン、サクセスストーリー」

 

B型肝炎は、血液、精液などの体液を介して感染します。

 

母子感染、輸血(昔のB型肝炎をチェックしていなかった時代)、予防接種(昔の針を変えず接種していた時代)、針治療、入れ墨などです。あとは性感染です。

 

ボクが子供の頃はまだ、保健室に一列に並んで、同じ針で何人か続けて接種していました。30年ぐらいまえの話ですが。

今は注射の針、シリンジは使い捨てなので予防接種で感染することは絶対にありませんので、ご安心ください。

 

それぞれの感染経路を詳しく見ていきましょう。

 

母子感染→出生時にB型肝炎ワクチンとガンマグロブリンで予防できています。

予防接種→注射の針シリンジは使い捨てなので、この感染経路、今はありえません。

輸血→献血をB型肝炎抗原、抗体チェック、NATと言う精密な検査で調べているため、かぎりなくゼロに近い状況です。

性感染→大人になってからB型肝炎にかかっても、慢性化しません。例外の話は後ほど。

 

現在は、厳重に血液を介する、母子感染予防、輸血のチェックなどを行って、感染経路が断たれています。このように万全の対策をとっても、どこからもらったか不明のB型肝炎キャリアが約20-25%存在します。

これが、ワクチン接種の重要性を強調する1つめの理由です。

 

B型肝炎は大人になってからの感染では慢性化しませんので(例外の話は後ほど)、出来るだけ幼少期に全員がワクチン接種を済ませておくことが大切です。

 

B型肝炎は、大人になってからの感染は急性肝炎・劇症肝炎などを起こしますが、慢性化しないのが、すこし前までの常識でした。医学の教科書にもそう書いてありました。

しかし例外があることが明らかになってきました。

近年流行してきているジェノタイプA型とよばれるB型肝炎は、恐ろしいことに、大人になってからの感染でも慢性化することがあるのです。

これが、ワクチン接種の重要性を強調する2つめの理由です。

 

パートナーがB型肝炎キャリアであるかどうかは分からないものです。

ワクチンで抵抗力をつけておくことが大切です。

旅の常備薬。海外で薬を買うとき気をつけること

生活環境が日本と違う海外旅行で体調を崩すことがあります。万一の時に備え、常備したい薬と現地の市販薬を利用する時に知っておきたいことを紹介しましょう。
Q 常備した方がよい薬は?
A 風邪薬、痛み止め、胃腸薬の3種類です。旅行先によっては日焼け止めも重要です。
 風邪薬は、咳、鼻炎などの症状を止める飲み慣れた薬を6回分(2-3日分)ほど用意。
痛み止めは、頭痛、生理痛に効くアスピリン、アセトアミノフェン。薬局で買えるロキソニンはよく知られていますね。
ただし、痛み止めで喘息が出る体質(アスピリン喘息)の人は要注意です。
 胃薬は、消化剤、下痢止め等、市販薬でもよいので飲み慣れた薬を常備しましょう。
Q 海外の薬局で市販薬を買う時の心構えは?

A 薬の英語名(商品名等)を調べておき、服用時の容量に気をつけます。例えば痛み止めとして薬局で買える薬Tylenol(タイレノール)は、アセトアミノフェンとして1回300-400㎎をメドに5-6回分使用が目安です。
私の患者さんで、現地で処方されていた胃薬の投与量が日本人に使う4倍量だった人がいました。国によって薬の服用に対する考え方が異なり、日本人の身体に合わない場合もあります。
 日焼け対策は、人によっては海外の溶剤でかぶれなどのアレルギーがでることがあるので、日本で日焼け止めを購入していくことをおすすめします。
 WHO(世界保健機関)ホームページに、世界の季節毎の紫外線量の一覧表があります。
アフリカ(ケニア)、南米(アルゼンチン)に加え、オーストラリア、シンガポールなども意外と紫外線が強いです。
SPFを目安に選択を。紫外線防御指数UVB(中波長紫外線)の防止効果を表す数値が大きい方が防御力が強く、日常旅行ならSPF20前後、リゾート、海はSPF30-50で。
 PAは日本独自の規格でUVA(長波長紫外線)防御指数のこと。PA+(UVA防御効果あり)、PA++(UVA防御効果がかなりあり)、PA+++(UVA防御効果が非常にあり)という意味です。PA++以上をお勧めします。
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海外の薬局の店頭に並ぶ薬。

手前中央の緑の箱のExcedrin(エキセドリン)は、acetaminophen(アセトアミノフェン)、aspirin(アスピリン)、caffeine.(カフェイン)が入っている頭痛薬。
その右の赤い箱のTylenol(タイレノール)は、Acetaminophen(アセトアミノフェン)、Advil(アドビル)ibuprofen (イブプロフェン)が入っている痛み止め。

渡航先での下痢。その予防方法、そして対処法

海外への旅行や出張で、下痢を経験したことがある方は多いのではないでしょうか。
 
クリニックで相談を受けるのは、中国、インド帰りの下痢が多いような気がします。
開発途上国への渡航では60%以上の人が下痢を経験。さらには、ホンジュラスのように渡航者のほぼ全員が下痢を経験してしまうような国もあります。(Steffen R. Epidemiology of Traveler’s Diarrhea. Clinical Infectious Disease 2005)

旅行先での下痢についてのお話です。

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食事や生活環境が異なる海外で気をつけたいのが下痢。下痢の原因は水(硬水と軟水、汚染水)、食生活(高脂肪食。特にアメリカ、ヨーロッパ)、旅の疲れ、ストレス、感染症などです。事前に対処法を理解して、リスクを避けましょう。
 
Q 医療機関を受診するべき下痢の症状とタイミング
A 下痢に伴って、高熱、1日10回以上の下痢、血便、激しい腹痛がある時。特に便に血が混ざる時は、腸管出血性大腸炎や赤痢などの可能性があるので、すぐに医療機関へアクセスを。
 問診が重要視されるので、以下の内容を細かく記録しましょう
①旅行先
②旅行期間
③基礎疾患の有無(持病)
④下痢の回数
⑤発熱の有無
⑥血便の有無
⑦食事内容(街で食べたアイスクリームなども含む)
渡航先によっては、日本で非常に少ないランブル鞭毛虫(べんもうちゅう)、クリプトスポリジウム、サイクロスポーラ(メキシコ、ハイチ、パプアニューギニア)など原虫も考慮する必要があります。
 
Q 予防法は?
A 最も重要なのは飲料水の選び方です。必ず、自分で封を切って開けるミネラルウオーターを確保し、お店で瓶に詰め替えられたような怪しい水は飲まないこと。
歯磨きで使う水にも配慮を。プール利用は塩素濃度が定時測定されているホテルや施設で。管理されていないプールは避けます。
  また、軟水と硬水があり、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量によって分類されます。ヨーロッパの飲料水はカルシウム、マグネシウム量が多い硬水が 多く、日本はミネラルが少ない軟水が主流。マグネシウムは便を軟らかくする働きがあるため、渡航先で不慣れた硬水を飲むと下痢をすることがあります。
硬水は、「痩せる水」として話題にもなりましたが、実際は痩せるのではなく、マグネシウムが多いので便通がよくなるだけです。
Q 対処法は?
A  ホテルで安静に。水分補給で治ることも多いので、スポーツドリンクを倍ぐらいに薄めて飲む、ミネラルウオーターに塩を入れて飲む、水に溶くと点滴と同様 の成分になる「ソリタT配合顆粒2号」を利用しても可。市販の下痢止めを使ってもよいですが、感染性下痢に使うと悪化することもあるので注意が必要です。

 個人的な見解として、抗生剤を予防的に持って行くことは考えもの。感染症が原因の下痢の場合、自己判断で抗生剤を適当に飲んでしまうと医療機関を受診した時に培養検査など必要な検査がスムーズに行えなくなるからです。

二日酔いに似た症状を早期発見。高山病対策

最近、旅行代理店のパンフレットなどでもよく見かける世界遺産ツアー。ひと昔前なら、旅の上級者向けだった秘境への旅も一般的に。標高が高い地域への旅も多く、気をつけてほしいのが「高山病」です。
 
Q どのような症状ですか?
A 2400m(8000フィート)以上の高所への急な移動をした場合に、頭痛、食欲不振、嘔気、嘔吐、疲労感、めまい、浮動感、睡眠困難などが起きます。
 二日酔いのような体調の悪さ、気分のすぐれなさです。早めに気づくことが肝心で「これくらにな、がんばれる」と思わないように。
 放っておくと高地性肺浮腫、高地性脳浮腫などの重篤な病気になり、意識、運動障害、安静時呼吸困難に陥るケースがあります。

 
Q 注意が必要な旅行地は?

A 例えば、空中都市で有名なペルーのマチュピチュ遺跡(標高2400m)。リマ(標高0m)に入った後、クスコ市街(標高3300m)を経由するルートが多く、標高差が大きいリマからクスコへの移動時の対策が重要。標高差が少ないウルバンバ(標高2860m)宿泊が組み込まれたツアー等を選ぶのもコツです。

チベットのラサ(標高3600m)、ポタラ宮(標高3700m)、古代遺跡バーミヤン(標高2500m)なども同様。

 意外と高山病にかかりにくいのが、歩いて動くことが少ない、鉄道での移動。例えば、人気のスイス高山鉄道(ユングフラウ鉄道)の終着駅「ユングフラウヨッホ」はヨーロッパで最も高地の駅(標高3454m)ですが、高山病になることが意外と少ないです。

標高2400m以上で登山する場合は1日300m以内の上昇でゆっくり登行を。

 
Q 高山病対策は?

A  登行の前日から、到着3日後までダイアモックス(アセタゾラミド)の内服で予防効果があります。緑内障治療で使われる薬ですが、トラベルクリニックで相 談を。保険適用外です。薬の構造にサルファー分子を持つのでサルファー剤アレルギーのある人は要注意。皮膚のしびれ感などの副作用を感じることもしばしば あります。

万能薬ではなく、内服しても高山病にかかることはあるので自分で早期発見することが大切。

 
Q 高山病になった場合は?

A 身体が慣れるまで、走らない、無理をしない、睡眠をとる、水をたくさん飲むなどして、お酒は控えます。そして高度上昇を中止。動作も軽作業レベルにとどめます。周囲の人に遠慮せず、添乗員や現地の医療機関へ相談、ダイアモックスを治療容量で服用して処置しましょう。