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今年のインフルエンザワクチン|平成29年度インフルエンザワクチン株 (2017/2018シーズン)

今シーズンのインフルエンザワクチン株が決まりました。
今年も
A型インフルエンザ株 2種
B型インフルエンザ株 2種
計4種類の4価ワクチンです。

3年前までは、
A型インフルエンザ株 2種
B型インフルエンザ株 1種
計3種類の3価ワクチンでしたが、一昨年から4価ワクチンに移行しています。

参考記事:https://www.nakajima-clinic.com/2015/06/265/

平成29年度インフルエンザワクチン株 (2017/2018シーズン)は

(Citation: 国立感染症研究所ホームページ)

A型株
・A/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
・A/Hong Kong(香港) /4801/2014(X-263)(H3N2)
B型株
・B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
・B/Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)

となっています。昨シーズンからの変更は、A型株のH1N1がシンガポール/GP1908/2015(IVR-180)のみです。

その他A型H3N2とB型2種は昨シーズンと同じです。

参考までに、毎年2月から3月頃にWHO(世界保健機関)から発表される推奨は

(Citatation: WHO recommendations on the composition of influenza virus vaccines
http://www.who.int/influenza/vaccines/virus/recommendations/2017_18_north/en/)

以下のA型2種、B型1種
・A/Michigan/45/2015 (H1N1)pdm09-like virus
・A/Hong Kong/4801/2014 (H3N2)-like virus
・B/Brisbane/60/2008-like virus

B型1種追加するときには
・B/Phuket/3073/2013-like virus
を推奨しています。

毎年ワクチン供給不足が話題となってしまうインフルエンザワクチンです。
化血研、デンカ生研、北里、阪大微研等合計で2528万本と十分量製造されます。
混乱なくスムーズにインフルエンザワクチン接種できる予定です。

中島クリニックは例年通り、電話でのインフルエンザワクチン予約は行わず、診察の時に一人一人接種するかどうか相談してから予約いたします。

B型肝炎ワクチン、2種類の違い| ヘプタバックスとビームゲン

昨年秋(2016年10月)からB型肝炎ワクチンが定期接種化されました。

参考記事
・なぜ必要なのか。B型肝炎ワクチン、ユニバーサルワクチネーション

・予防接種、ユニバーサルかセレクティブか、それが問題だ

・B型肝炎ワクチン、サクセスストーリー

B型肝炎の主な感染経路はお母さんから子どもへの、母子感染でした。

母子感染の予防のため、
お母さんがB型肝炎キャリアーの時、
出生と同時に赤ちゃんにB型肝炎ワクチンとガンマーグロブリンを接種しています。
1986年からはじまったB型肝炎母子感染防止事業で、
B型肝炎の母子感染は激減、
ほぼゼロとなっております。

しかし、
B型肝炎は、垂直感染である母子感染以外に、
父子感染、性感染としての精液体液を介した感染経路があります。
さらには、どこから感染したか不明な水平感染もあります。

感染力の強いB型肝炎にたいする、
最良の感染予防がワクチンです。

B型肝炎ワクチンには
ビームゲン
ヘプタバックス
2種類あります。

B型肝炎には、AからH、8種類のジェノタイプがあります。
同じB型肝炎ウイルスでも少しずつ形が違い、これがジェノタイプとよばれる分類です。

どのジェノタイプをもとにワクチンを作成したかの違いが、
ビームゲンとヘプタバックスの差です。

ビームゲンはジェノタイプC株をもとにつくられています。
ヘプタバックスはジェノタイプA株をもとにつくれています。

どちらのB型肝炎ワクチンでも普遍性があり、
どちらを受けても全てのタイプのB型肝炎に効果があります。

ビームゲン、ヘプタバックス
どちらのワクチンを選んでも、
同じ効果が得られます。

B型肝炎ワクチンは3回接種します。
大原則として、1回目をビームゲンを受けたら、2回目、3回目もビームゲン。
1回目ヘプタバックスを受けたら、その後もヘプタバックスです。

以下例外的な話です。

さまざまな状況でワクチン流通が滞ることがあります。
去年ビームゲンが欠品となり手に入らない時期がありました。

そのようなやむを得ない場合1回目と異なるので2回目、3回目受けても抗体価はちゃんとあがるのでしょうか?

これに対する答えが厚生科学審議会で議論すでにされ、結論がでています。

答えは、ワクチン種類が途中で替わっても抗体価十分にあがります。

(引用:第16回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会)

ヘプタバックスとビームゲンは互換性がある(interchangeable)ので、2回以降の接種ワクチンが変わっても大丈夫です。

研究ではさまざまな接種で抗体価があがるか確認しています。
・ビームゲン→ヘプタバックス→ビームゲン
・ヘプタバックス→ビームゲン→ビームゲン
・ヘプタバックス→ヘプタバックス→ビームゲン

いずれの順で接種しても抗体十分に抗体があがり効果があることが、研究で明らかにはなっています。

当院ではビームゲンを使っておりましたが、
現在はヘプタバックスを使っております。
効果に差がないのでどちらを使ってもよいのですが、流通が安定しているヘプタバックスを採用しています。

B型肝炎はウイルスは血液だけでなく、涙、唾液、尿からも検出されます。

母親からの垂直感染だけでなく、どこから感染したかわからない水平感染もあり、ワクチンで予防が大切です。

イタリアで麻疹患者数増加、他山の石以て玉を攻むべし|麻しんワクチン接種率95%以上が目標

イタリアで若年者を中心に麻疹(はしか)が流行しているようです。

(引用:AFP BB NEWS)

日本でも、昨年8月海外(インドネシアのバリ島)で麻疹に感染して、国内へ持ち込んだニュースがありました。
幸い感染は拡大せず収束しました。

その時のブログ
「はしか」に関する誤解を解いておくよ|麻疹感染拡大の注意喚起も必要だが、ワクチンによる予防が基本中の基本

麻疹(はしか)輸出国から輸入国となった日本、ワクチン接種をどうするか

「麻しんワクチン」取り巻く状態、オイルショック時のトイレットペーパと同じ。落ち着いて取り組もう。

日本では、麻疹が国内に持ち込まれても、拡大せず収束。
逆に、イタリアでなぜ麻疹が流行しているのか。
この違いは、麻疹ワクチン接種率の差です。

90%以上の接種率に達しなければ麻疹のコントロールは困難であり、95%以上が目標接種率です。(WHO: WHO-UNICEF joint statement on strategies to reduce measles mortality worldwide. Weekly Epidemiol Record 27:224-228, 2002.)

記事によるとイタリアでは麻しんワクチン接種率は85.3%にまで低下しています。
90%を下回っています。

現在、日本の麻しんワクチン接種率は1期96.2%、
2期92.9%です。
2期の接種率が92.9%とやや低いものの、接種率90%以上は保てています。

(引用:厚生労働省 麻しん風しん予防接種の実施状況
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/hashika.html)

我が兵庫県は1期96.0% 2期93.0%と、全国平均とほぼ同じです。
今後1期は現在の接種率を維持、2期接種率をなんとか95%まで高める必要があります。

まとめ、

麻疹感染拡大抑制のために、世界保健機関 (WHO) が推奨している、麻しんワクチン接種率は95%です。

インフルエンザ流行|肺炎などインフルエンザ合併症をおこしやすいハイリスクグループ

先週末から近隣でもインフルエンザが大流行しています。

インフルエンザがこわいのは「合併症」です。
もちろん高熱、咳、しんどいのですが、数日で治まります。
入院治療が必要となったり、時として命にかかわる肺炎や脳症などの「合併症」による重症化に注意する必要があります。

感染症対策の総合研究所である、アメリカ疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)は「合併症」をおこしやすいハイリスクグループ(危険性の高い人)
https://www.cdc.gov/flu/about/disease/high_risk.htm

・5才以下の子供、特に2才以下
・65才以上
・妊婦
・出産後2週間以内
・介護施設入所者
・アメリカ先住民/アラスカ先住民

としています。

ハイリスクの方、そうでない方もですが
インフルエンザ流行期には
・入念な手洗い
・人混みをさける
・十分な睡眠をはじめとする体調管理
など予防が大切ですね。

余談、アメリカ先住民/アラスカ先住民は民族的にインフルエンザ重症化率が高いそうです。

子供が「糖質制限」をすることの是非|6-12年間ケトン食療法(糖質制限)を続けた結果

過剰な糖質制限。考えさせられる論文があったので紹介いたします。

子供が「糖質制限」をしたらどうなるか。
を調査した報告です。
Groesbeck DK et al. Long-term use of the ketogenic diet in the treatment of epilepsy. Dev Med Child Neurol. 2006 Dec;48(12):978-81.

先に結論書いておきます。
特殊な事情がある場合を除き、低身長や骨折など副作用があるので子供には「糖質制限」勧められないと言えるでしょう。

特殊な事情とは、てんかんの治療として、炭水化物を制限するケトン食療法を行う場合です。ケトン食療法は薬の効かないてんかんに有効な治療方で、この報告でも90%以上の改善効果が得られています。この場合は、てんかん治療の効果のメリットが食事制限のデメリットをうわまわると判断されれば取り組む価値あります。

ダイエットや糖尿病改善のため、炭水化物を一切食べない食事に取り組んでいる方、外来で結構お会いします。

確かに、糖尿病の患者さんが「糖質制限」をすると、糖尿病の治療効果を判定する指標であるHbA1c値は下がりますし、体重もへります。

糖質制限は、動脈硬化をすすめるという報告と、いや動脈硬化を抑えるという報告、両論あります。
長期予後(糖質を制限すれば寿命がのびるかどうか)に関しては結論がまだでていません。

6~12年間ケトン食療法(糖・炭水化物を減らし脂肪を増やした食事)りを続けた小児を調べたら、

コレステロール値、LDLコレステロール値、アポリポ蛋白A1などは上昇するようです。
これはいいとして。

注意するべきは、
低身長12/28人4=42.8%
腎臓結石7/28人=25%
骨折6/28人=21.4%
です。

ケトン食療法を続けると、低身長、腎臓結石、骨折などの副作用が一定率で起きることが分かったのです。

特殊な事情(てんかんの治療には有効)を除き、糖・炭水化物を減らし脂肪を増やした食事は子供にはすすめられない結果です。

大人がダイエット目的で糖質制限するのはよく聞く話なのですが、糖質制限するこどもがいるのかネットを検索すると
あまたの数検索にかかります。
糖質制限して「こどもの気性が穏やかになった」などの記載があることに驚きました。

小児の過剰な糖質制限には一定率の副作用がともなうので、やめましょう。

大人の場合は、ほどほどに、と言う感じでしょうか。

風邪の予防|誰でも簡単にできる、たった1つのこと

先週までは、お腹の風邪(ウイルス性胃腸炎)が流行しておりますした。
今週に入り、突然インフルエンザ含め高熱の風邪がはやってきております。
近隣、中学校では今週学年閉鎖となっています。

睡眠不足になると風邪を引きやすくなるのは誰でも、体感しているところではないでしょうか。

風邪の予防に簡単にできる、たった1つのこと
「十分な睡眠」です。
できれば7時間以上、
少なくとも6時間は確保したいところです。

こんな方法で睡眠の効果を調べた報告があります。
ピッツバーグのカーネギーメロン大学が中心となって行った研究です。

健康な男女153人が睡眠時間を腕時計型のactigraphで記録します。
 ライノウイルスrhinovirus(ごくありふれた風邪のウイルス)と接触します。
その後、風邪症状を呈したかどうかを、睡眠時間との関連を詳細に検討しています。

(Aric A et al. Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold. Sleep. 2015 Sep 1; 38(9): 1353–1359.)

予想通りの結果です。
睡眠時間6時間を切ると急に風邪ひきやすくなります。

5時間未満 odds ratio 4.5
5-6時間 odds ratio 4.24
6-7時間 odds ratio 1.66

odds ratioが高いほど、風邪をひきやすいことを示します。

睡眠は最低6時間はキープ、気温、湿度ともに下がり、風邪が流行する冬を乗り切りましょう。

インフルエンザ予防接種問診票をじっくり眺めてみた|この問診票はすばらしい

気温が下がり、インフルエンザがそろそろ流行してきています。
クリニック周辺では幸い全くインフルエンザ流行しておりませんが、近隣宝塚市や西宮市北部(名塩など)では大流行しております。

日常生活での対策としては
・十分な睡眠で体調を整えること
・手洗い
あと、
・予防接種
です。

インフルエンザ予防接種をするときには、問診票から、アレルギーや持病を確認、問題ないことを医師が確認してから接種となります。

この2種類の問診票を比べて違いわかりますでしょうか?

質問事項に大きな差はありません。
でも、この上下2つの問診票には大きな差があります。

実際に問診票に○をつけたものを比べてみましょう。


上の問診票は質問事項に問題なければ右に○が並ぶように作成されています。
下の問診票は回答欄に左に「はい」右に「いいえ」が並べてあります。そのため、○が左右の欄に散らばってしまいます。
どの項目に問題があるのか確認するのにてまどります。
上の問診票は解答欄の左に○があれば、すぐに分かります。

上の問診票は縦に視点を動かすだけで、チェック機構が働くことがおわかりいただけるかと思います。
下の問診票は、視点が、左右に飛ぶので、一個一個項目を確認する必要があります。

「はい」「いいえ」の左右並びを少し工夫するだけですが、大きな違いです。
医療のリスク管理は、このような小さなことの積み重ねです。

回答欄を一律、左に「はい」右に「いいえ」を記載している問診票作成しているところへ、来年以降問診票印刷時に「はい」「いいえ」の並びを工夫することができないか問い合わせてみたいと思います。

うちの子供は麻しん風しんワクチン2回受けているのでしょうか?

「麻しんのワクチンありますか?」
の相談に次いで多いのが
「うちの子供は麻しん風しんワクチン2回受けているのでしょうか?」
です。
唐突に聞かれても
「母子手帳で確認してください」としか答えようがないのですが、
お母さんの質問を
「うちの子供は、麻しん風しんワクチンを2回受けている世代でしょうか」
と解釈して説明いたします。

昭和53年(1978年)に麻しんワクチンは定期接種として1回接種が組み込まれました。
昭和53年(1978年)以降に生まれた方は、1回は接種している世代です。
現在38才以下の世代です。

平成20年(2008年)から5年間の時限的追加措置として、幼少児に1回しか接種していない世代を対象に、中1もしくは高3で麻しん風しんワクチンの2回目が接種できる時期がありました。

期間は平成24年(2012年)年度末まで。正確には平成25年3月31日まで(2013年3月31日)までの期間です。

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(表に書かれている、麻しん風しん3期、4期は現在終了しています。現在は1期、2期のみです。ご注意ください)
つい3年前まで、中学生、高校生の人は2回受ける機会が制度としてあったのです。
つまり、22才以下の世代は麻しん風しんワクチンを2回受けているはずの世代です。

まとめると

39才より上 麻しんワクチン 1回も定期接種する機会がなかった世代
38才~23才 麻しんワクチン 1回接種世代
22才以下 麻しんワクチン 2回接種世代

例えば
お子さんが20才であれば、2回接種しているはずの世代
お子さんが30才であれば、1回しか接種していない世代です。

上記はあくまでも世代的な目安です。

「母子手帳で確認」一番大切です。

ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

「麻しんワクチン」取り巻く状態、オイルショック時のトイレットペーパと同じ。落ち着いて取り組もう。

麻しんワクチンありますか、の電話がやまない状況です。
「先生、特別なルートでなんとか入手できないのでしょうか」と聞く方も。
残念ながら、特別なルートありません。ご了解ください。

麻疹ワクチンは製造され続けていますので、しばらくすればまた再流通します。
ちょうど、1970年代に起きたオイルショック時に、石油高騰からトイレットペーパーなくなると早合点して、トイレットペーパーが世の中からなくなったのと同じです。

一気に買いあされば、なくなりますが、冷静に考えたらトイレットペーパなくならないですよね。

麻疹ワクチンも同じです。
世の中からなくなりません。

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今ワクチンを急ぐ必要ある方は、空港関係者、や麻疹流行地で接触をもつ可能性がある方々でしょうか。MRワクチン(麻しん風しんワクチン)は流通制限を受けているので、そのような方には政府が優先的に回るように配慮してくれるはずです(たぶん)。

多くの方は、接種を急ぐ必要はありません。
ここで1点注意しておきたいのですが、急ぐ必要はないと言っているだけで、麻しんワクチンを接種する必要がないと言っているわけではないことを強調しておきます。
むしろ、麻疹ワクチンを受けておくことをすすめます。

今後も海外からの持ち込みによる麻疹流行は繰り返し起こりうります、それに備えておく必要があります。

麻疹(はしか)ウイルスの遺伝子型について

麻疹ウイルスは24の遺伝子型に分類されます。
国立感染症研究所から、今年日本で発生した、麻疹(はしか)41例の詳細が発表されました。

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(引用:NIID国立感染症研究所ホームページ)
表の右から2番目カラム、細かい分類である遺伝子型をみてみると、インドネシアからの持ち込みはD8だけだと思っていたら、H1もあるようです。

日本で昔流行していたD5型の感染報告はありません。と言うことは、やはり日本国内から麻疹は排除されている状況です。
感染ルート不明のケースも多々ありますが、ほとんどのケースは海外からの持ち込み、国内で広がったものと思われます。

その他、特徴的なのは、ワクチン接種歴のない若年者が目立つことでしょうか。

幼少期の定期接種であるMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)の2回接種の重要性を再認識させられます。