医療コラム

2022.01.05医療コラム

胃カメラ検診で胃がん死亡率が低下する?専門医が解説

ドックでバリウムと胃カメラがあれば、どちらを受けられるでしょうか?

是非、胃カメラを選んでください。胃カメラで胃癌による死亡率が下がることがわかっています。

 

胃がんの9割以上はピロリ菌が原因

胃がんの9割以上はピロリ菌が原因です。ピロリ菌をもっていれば、ピロリ菌除菌が胃がんの予防に効果的です。ピロリ菌除菌は胃薬と、抗生物質2種類、合わせて3種類の薬を1週間内服することで除去できます。

ピロリ菌検査、ピロリ菌除菌治療とともに大切なのが『胃がん検診』です。胃がんは早期で発見すれば内視鏡で治療できます。進行胃がんで見つかっても、手術、抗がん剤治療で治癒を期待できます。とにかく、早期発見、早期治療が胃がんです。

 

胃がん検診

胃がん検診として思い浮かべるのはバリウム検査でしょうか。バリウムをのんで胃を撮影する、胃透視検査です。最近では胃がん検診をバリウムでなく胃カメラで検査するドックや自治体も増えてきました。

胃カメラで行う検診の歴史はまだ浅く、効果を証明する論文が少なかったのですが、この数年胃カメラ検診効果を示す論文が次々と報告されています。

 

胃カメラ、バリウム検診による胃がん死亡低下効果

胃がんと診断される3年前までさかのぼり、胃カメラで検診を受けた人、バリウム検診を受けた人、受けていない人を比べています。

胃がん死亡率で全く受けたことがない人を1として、胃カメラ検診を受けた人 0.695 (95% CI: 0.489-0.986) 、バリウム検診を受けた人0.865 (95% CI : 0.631-1.185) でした。

(Citation: Hamashima C et al. A community-based, case-control study evaluating mortality reduction from gastric cancer by endoscopic screening in Japan.PLoS One. 2013 Nov 13;8(11))

バリウムでは胃がん死亡率抑制効果14%程度でしたが、胃カメラ検診効果は31%と、胃カメラで胃癌死亡率を2倍以上下げる果が得られています。

バリウム、胃カメラ検診ともにすばらしい検診ですが、ドックでどちらか一方を選べるとすれば胃カメラをおすすめいたします。

 

まとめ

・胃バリウム、胃カメラ検診ともに胃がん死亡率をさげる効果あり
・胃カメラはバリウムの倍以上有効、バリウムと胃カメラどちらを受けるか迷ったら胃カメラを選ぶ

 

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