大腸憩室炎・大腸憩室症

大腸憩室炎とは

大腸憩室炎とは大腸の壁が袋上に外に飛び出したものが大腸憩室です。
休憩の「憩」に教室の「室」とかいて、けいしつとよばれます。
大腸内の圧(腸内圧)が便やガスで上がることにより、大腸の一部分が外に押し出された状態です。
憩室の大きさは直径5mmから10mm程度です。
30才ぐらいから憩室がでてきます。

憩室ができる部位によって、左側型、右側型、両側型に分類されます。
憩室が多くできるのはS状結腸(左下腹部)と上行結腸(右側腹部)です。
昔は、日本人は右側に憩室が多く、欧米人は左側に多いと言われていました。
食べ物の高カロリー高脂肪食の欧米化の影響で、今では日本人も右側だけでなく、左側両方に憩室が増えています。年齢とともに憩室をもっている人の割合はふえてきます。
40才以下では20%前後ですが、80才以上では40~60%の人が憩室をもっています。

大腸憩室炎の症状

大腸憩室炎の症状大腸憩室は多くの場合は症状がなく、大腸カメラや腹部CTなどに偶然発見されることがほとんどです。
通常は無症状です。症状がでてくるときは、憩室の袋に便がたまりバイ菌がついて炎症を起こした時です。
憩室をもっている人の5%が憩室炎などの症状をおこすといわれています。
上行結腸(右側腹)に憩室炎がおきると右側腹部から右下腹部にかけての痛み、S状結腸(左側腹部)に憩室炎がおきれば左下腹部の痛みになります。
憩室炎を起こした部位に一致した痛みがでます。
痛みの他に、吐き気、発熱、嘔吐をともなうこともあります。
憩室炎がひどくなりバイ菌がお腹の中(腹腔内)にちらばると、腹膜炎を起こします。
腹膜炎を起こすと、激しい痛み、筋性防御(きんせいぼうぎょ)とよばれる腹筋が過度に緊張して硬くなる状態をひきおこします。
憩室から出血を起こすと突然の血便を来します。
何の予兆もなく突然の血便が始まったときには、憩室からの出血を鑑別(可能性のひとつ)として考えておく必要があります。

大腸憩室の検査

腹部CT検査、注腸検査や大腸カメラ(大腸内視鏡)で憩室があるかどうか確認できます。
CTでは腸管から外に突出する直径5mmから10mm程度の袋状の構造物が描出されます。
直径20mm位の憩室もあります。
注腸検査、大腸カメラでも腹部CT検査と同様に大腸から外に飛び出る袋として描出されます。

大腸憩室炎の検査

大腸憩室炎の検査問診や身体所見(診察)で大腸憩室炎が疑われる時には、腹部CT、腹部超音波検査などで大腸を調べます。
腹部CT、超音波で憩室炎を起こしている場所を中心とした、腸管の浮腫(むくみ)が描出されます。
憩室炎の程度を確認するために採血検査を行います。
採血では白血球数、白血球分画、CRP(炎症マーカー)を中心に確認します。
炎症が強い時には、白血球数とCRPが上昇します。白血球分画は好中球が増えるのが特徴です。
大腸内視鏡検査は憩室炎が治まった後に大腸がんや虚血性大腸炎などその他の病気でないことを確認するためにおこないます。

大腸憩室炎の検査

大腸憩室出血の検査

血便が症状の患者さんで問診や身体所見(診察)をもとに、緊急処置が必要かどうかを判断します。
緊急処置が必要な時には、出血している部位を調べるために造影腹部CTや大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行います。
大腸カメラで大腸を精密検査、出血部位がわかればクリップで止血処理をします。

大腸憩室炎の治療

大腸憩室炎は、休腸(腸管を休める)と抗菌薬の投与が中心となります。
腸管を休めるために、点滴補液、流動食とします。炎症の程度が強い時には絶食が必要となります。入院の上で点滴、絶食治療を行います。
大腸憩室炎に膿瘍(大腸のまわりに膿が溜まった状態)を伴う時には、当院ではチューブによるドレナージ(経皮的ドレナージ)や行います。
※手術が必要な場合は関連の病院を紹介いたします。

大腸憩室から出血の治療

血便が症状の患者さんで問診や身体所見(診察)から大腸憩室からの出血が疑われるときには、出血している部位を調べるために大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行います。
大腸カメラで出血部位がわかれば、クリップで憩室を縫縮、止血処理をします。

40才以下でも5人に1人は大腸憩室をもっています。
憩室にバイ菌がつく、大腸憩室炎はコモンディジーズ(日常的に高頻度で遭遇する疾患)です。
腹痛や腹満があれば、これぐらいは大丈夫と我慢せずに当院まで相談してください。
早期に診断して、抗菌薬と休腸(腸管を休める)による治療が有効です。

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