扁桃腺の腫れ、溶連菌検査
急性扁桃腺炎は、扁桃腺がウイルスや細菌に感染して炎症をおこし、のどの痛み、高熱、食欲不振などをともなう病気です。
ストレス、過労、睡眠不足など体力、免疫力が落ちたときにおきやすくなります。悪化すると扁桃腺の周囲に膿が散らばり入院や手術が必要となる扁桃周囲膿瘍をおこすことがあります。
急性扁桃腺炎の症状
のどの痛み、発熱、食欲不振、頭痛など風邪(かぜ症候群)と似た症状からはじまります。
38度を超すような高熱が続いたり、のどの痛みがひどくなり食べ物ものどを通りづらくなったり、首のリンパ節が腫れたりすることもあります。のどの奥を見ると、のどの両脇にある扁桃腺が赤く腫れているのが確認できます。溶連菌とよばれる細菌が原因の急性扁桃腺炎では、腫れた扁桃腺の表面に膿が付いているときもあります。
急性扁桃腺炎の原因
扁桃腺炎の原因にはウイルス性と細菌性があります。
扁桃腺炎をおこすウイルスにはライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、EBウイルスなどがあります。
扁桃腺炎を起こす細菌にはインフルエンザ菌、肺炎球菌や溶連菌(ようれん菌)があります。
原因がウイルス性の場合は安静、点滴などの治療が中心となりますが、細菌性の場合は適切な抗菌薬の投与が必要となります。治療方針がウイルス性と細菌性でおおきく異なるため、急性扁桃腺炎がウイルス性か細菌性であるのかの判断が重要となります。
細菌性の急性扁桃腺炎は溶連菌が原因菌であることが多いです。
こどもの場合、溶連菌による急性扁桃腺炎が原因で腎炎やリウマチ熱を合併することがありますので、抗菌薬による治療が重要です。
検査と診断
発熱、のどの痛み、首のリンパ節の腫れなどの症状を把握し、のどの両側にある扁桃腺の状態を確認します。
赤く腫れた扁桃腺が見えます。
細菌性の扁桃腺炎では白い膿(白苔)が扁桃腺に付着していることが多く、ウイルス性の扁桃腺炎では膿の付着が目立たない傾向があり、扁桃腺表面の状態から細菌が原因かウイルスが原因かある程度推測することができます。
血液検査で、白血球、好中球数、炎症の程度を反映するCRPなどを確認します。
扁桃腺炎が肝臓や腎臓に影響することがありますので、血液検査で肝機能(AST、ALT、rGTP)、腎機能(BUN、Cre)も併せて確認します。
溶連菌に扁桃腺が感染しているかどうかは、溶連菌迅速検査キットにて15分ほどで判定することができます。
適切な抗菌薬を投与するために、扁桃腺の細菌培養検査を行うことがあります。
西宮市の中島クリニックでは、診察、扁桃腺の観察、血液検査、溶連菌迅速検査キットの結果から総合的に判断、治療方針を決めています。
治療
急性扁桃腺炎の治療はウイルス性と細菌性で大きく治療方針がことなります。
ウイルス性の場合は単純ヘルペスによる扁桃腺炎以外には抗ウイルス薬が存在しないため、安静、補液を中心とする治療となります。
単純ヘルペスが原因の場合はゾビラックスやバルトレックスにて治療します。
扁桃腺の腫れを和らげるためにロキソニンやボルタレンなどの非ステロイド系抗炎症剤を用います。扁桃腺のはれがひどい時には短期間ステロイドの投与も考慮します。
細菌性の場合は抗菌薬の投与が治療の中心となります。
溶連菌が原因であればペニシリン系の抗菌薬が特効薬です。
ペニシリンアレルギーがある場合はリンコマイシン系の抗菌薬を用いて治療します。
同時に扁桃腺の腫れを和らげるためにロキソニンやボルタレンなどの非ステロイド系抗炎症剤を用います。
のどの腫れや扁桃炎を疑ったら、風邪と自己判断しない
扁桃腺が腫れた時に原因がウイルス性か細菌性の判断が大切となります。
大きく治療方針がことなるからです。こどもは、溶連菌(細菌性)による扁桃腺炎の合併症として急性腎炎があります。早期に診断、適切な抗菌薬による治療が必要です。
腫れた扁桃腺の表面に膿が付いている状態、血液検査、溶連菌迅速検査などから総合的に判断、的確な治療方針を決める必要があります。
高熱が続く、扁桃腺がはれて食事もとれない、首のリンパ節がはれている、このような症状があるときは風邪だろうと自己判断せず、当院までご相談下さい。