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新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の危険因子|年齢、基礎疾患、性別

中国武漢で報告された新型コロナウイルス感染症は東南アジアに年年明けから広がっていましたが、ヨーロッパにも広がってしまっています。

世界保健機関WHOのテドロス事務局長は3月11日、新型コロナウイルス感染拡大について「パンデミックと呼べる状態」とアナウンスするに至っています。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は非常に感染力がつよく、予防接種や確立した治療法がない現在、日々の生活スタイルの見直し(手洗いの励行、閉鎖空間を極力さける)が重要な状況です。

とは言え、生活のために全く家からでないわけにもいかないわけです。買い物や仕事((可能な範囲でテレワーク化しながら)仕事はを続けていく必要があります。

新型コロナウイルスを怖がるわけでなく、危険因子(年齢、基礎疾患)を知りリスクファクターに準じた行動制限が現実的です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の危険因子を推定できる論文が中国から報告されています。

■武漢での1万例以上の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の報告

The epidemiological characteristics of an outbreak of 2019 novel coronavirus diseases (COVID-19) in China
Novel Coronavirus Pneumonia Emergency Response Epidemiology Team.
Zhonghua Liu Xing Bing Xue Za Zhi. 2020 Feb 17;41(2):145-151. doi: 10.3760/cma.j.issn.0254-6450.2020.02.003. [Epub ahead of print] Chinese.

論文が以下のサイトにアップされています。
http://rs.yiigle.com/yufabiao/1181998.htm
中国語ですが漢字の雰囲気から内容は推察できます。

英語版がないかと探したところCDCにありました。
リンク先から英語版を読むことができます。

英語版
http://weekly.chinacdc.cn/en/article/id/e53946e2-c6c4-41e9-9a9b-fea8db1a8f51

■危険因子:年齢

年齢 死亡率
10-19才 0.2%
20-29才 0.2%
30-39才 0.2%
40-49才 0.4%
50-59才 1.3%
60-69才 3.6%
70-79才 8.0%
80才- 14.8%

50才以下の死亡率が1.0%未満と低いのに対して50代で1%台となり60才以上から急激に上昇します。年齢がリスクファクターであるのは新型コロナウイルス感染症(COVID-19) に限ったことではなくインフルエンザでも同じですが、60代以上はリスクファクターが高まると認識してよいでしょう。

(Citation: The epidemiological characteristics of an outbreak of 2019 novel coronavirus diseases (COVID-19) in China.Novel Coronavirus Pneumonia Emergency Response Epidemiology Team.2020 Feb 17;41(2):145-151.)

■危険因子:基礎疾患(持病)

基礎疾患(持病) 死亡率
高血圧 6.0%
糖尿病 7.3%
冠動脈疾患(心血管疾患) 10.5%
慢性呼吸器疾患 6.3%
がん 5.6%
基礎疾患なし 0.9%

糖尿病、呼吸器疾患の基礎疾患があると感染症のリスクが高くなるのはインフルエンザ等他の疾患と同じですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) に特徴てきなのは高血圧での死亡率が6.0%と高いことです。

■危険因子:性別

性別 死亡率
男性 2.8%
女性 1.7%

男性が女性に比べて倍近い死亡率でありデータをみる限り男性であることがリスクファクターのようです。

しかし、単純に男性がリスクファクターと解釈してよいとも言い切れません。中国の男性喫煙率が極めて高く、女性の喫煙率が極めて低い特徴があります。

男性の喫煙率が50%を超える52.9%、女性の喫煙率は限りなくゼロに近く2.4%ともいわれています。新型コロナウイルス感染症のリスクファクターが「喫煙」ということも分かってきています。

男性の喫煙率が高く、その結果死亡率た高い数値となった可能性があります。
単純に性別がリスクファクターと解釈できないのではないかと私は考えています。

■まとめ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクファクターは年齢、基礎疾患(持病)で大きくことなることが中国からの報告で分かってきました。

リスクファクター
・年齢(60才以上)
・高血圧
・糖尿病
・冠動脈疾患
・慢性呼吸器疾患
・がん

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は非常に感染力がつよく、予防接種や確立した治療法がない現在、リスクファクターを考慮して(高い人はより厳重な留意)して日々の生活スタイルの見直し(手洗いの励行、閉鎖空間を極力さける)が大切です。

ダイヤモンド・プリンセス号乗客のCOVID-19症例の経過

ダイヤモンド・プリンセス号乗客のCOVID-19症例が豊島病院から報告されています。
日本でのCOVID-19治療の経過を知ることができます。

PDFリンク
酸素投与が必要となったCoronavirus Disease 2019(COVID-19) 4症例の経過報告
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19casereport_200225.pdf

■酸素投与開始時期

酸素投与開始時期がday7-day11となっております。
酸素投与開始時期の報告から、発症後1週間前後の慎重な経過観察の大切さが伝わります。

(Citaton: 日本感染症学会 http://www.kansensho.or.jp/)

■無症状SARS-CoV-2 PCR陽性の経過

症例2は無症状でPCR陽性、入院観察です。
day1 入院 全身状態良好
day3 38度発熱
day8 酸素投与
day9 カレトラ投与開始
day12 挿管、人工呼吸器管理 メチルプレドニゾロン投与開始
day13 呼吸器設定安定、加療中

発症から1週間前後に呼吸状態が急変、早期対応が重要なことがわかります。

 

(Citaton: 日本感染症学会 http://www.kansensho.or.jp/)

■まとめ

ダイヤモンド・プリンセス号乗客のCOVID-19症例報告から重症例は1週間前後に急激に呼吸状態が変化することがわかります。発症後1-2週間の経過観察がきわめて重要なことがわかります。

新型コロナウイルス(COVID-19)肺炎のCT像

中国武漢市で多数の肺炎患者を発生させている新型コロナウイルス、日本でも渡航歴ない方、濃厚接触歴のない方の発症が報告されています。

飛行機、新幹線など交通手段が高度に発達した現在、感染拡大予防の困難さが顕性化しています。

■新型コロナウイルス(COVID-19)肺炎のCT像

学会誌Radiologyに新型コロナウイルス(COVID-19)の症例報告がアップされています。特徴的なCT像を呈しております。

(Citation: Radiology. 2020 Feb ahead of print
Time Course of Lung Changes On Chest CT During Recovery From 2019 Novel Coronavirus (COVID-19) Pneumonia.)

(Citation: Radiology. Jan 31 2020 CT Imaging of the 2019 Novel Coronavirus (2019-nCoV) Pneumonia)

■胸膜直下から始まるすりガラス陰影

CT像は細菌性肺炎のように、片方の肺の区域が真っ白になる像とは異なります。

初期は胸膜直下から始まるすりガラス陰影を呈するのが特徴のようです。

CT showed multiple peripheral ground-glass opacities in both lungs (Figure, A) that did not spare the subpleural regions.

■まとめ

新型コロナウイルス(COVID-19)肺炎のCT像

・両側(とは限らないが)

・胸膜直下から広がる像

・すりガラス陰影(ground-glass opacities; GGO)

日本でも接触歴、渡航歴のない方から新型コロナウイルス(COVID-19)陽性者がでています。

上記をCTにて認めたときには、新型コロナウイルス(COVID-19)を鑑別疾患に入れるフェーズに入ったと考えておく必要がありそうです。

ラーメン店が多い地域ほど脳卒中が多かった。フレンチ、イタリアン、そば、うどん店、ファーストフードは相関なかった。

食習慣と寿命そして病気の関係は昔から検討されています。
これらを調べるためには個人個人の病気寿命を見ていては検討することができません。
そこで用いられるのは疫学調査と言って何百人何千人何万人という集団を見て病気や寿命と関係があるかどうかを調べます。

マクドナルドのお店との距離に比例して糖尿病だったか肥満の方が多いといった論文を昔アメリカから報告されたのを見たことがあります。

しかしこのような疫学調査は日本ではほとんど行われていないのが現状です。

ラーメンと脳卒中の関係を疫学的に調査した非常に興味深い論文がありました。

■なかなか興味深い疫学調査です

あくまでもイメージですが

ラーメン店が多い

ラーメンを食べる機会が多い

塩分摂取量が多い

高血圧が多い

結果、血管が詰まる病気、出血する病気などの病気が増える

こんな風が吹けば桶屋が的な話を想像するのですが、 実際にこれを検討するのは容易なことではありません。人間の体はこんな単純ではありませんし様々な要因が関わってきます。

人口に対するラーメン店イタリアンフレンチお蕎麦の数を集計してそれと重ね合わせることで地域ごとの脳卒中が多いか少ないかを検討しています。

(Citation: Matsuzono K et al. Ramen restaurant prevalence is associated with stroke mortality in Japan: an ecological study. Nutr J. 2019 Sep 4;18(1):53)

■クリニックのある西宮市、全国的にみるとラーメン店多くなかった

クリニックのある西宮市は、東西に走る国道2号線があります西宮市から神戸に向かう2号線沿線には両脇にラーメン店が鈴なりになっているエリアがあります。

ラーメンストリートとも言われています。

西宮市はラーメン店多いのかと思っていたのですが人口対比率を全国で見てみると、決しておおくなかったのですね。

■ラーメン店、フレンチ、イタリアン、そば、うどん店、ファーストフードと脳卒中の関係

グラフは横軸に人口当たりのラーメン屋フレンチイタリアンレストランなどの数をプロットしています。

縦軸には脳卒中などの人口当たりの疾病割合をプロットしています。

結果お店の数と疾病の数が創刊した言い換えるとグラフが右上上がりの線になったのは、ラーメン店の数だけでした。

フレンチ、 イタリアン、そばう、どん店、ファーストフードと病気の関連は見られませんでした。

ファーストフード店の数と脳卒中の数は関係ないものなんですね。まあ、あくまでも統計的な話なのですが。

■交絡因子

ただこの結果ラーメン店が多いと脳卒中が増えるという単純なものではありません。何らかの相関があった、言い換えると関係があったを示しているだけです。因果関係とは違うところに注意してください。

ラーメン店が多い、ラーメンを食べる機会が多い食生活を有する人は、「直接の原因は分からないが」、食生活の傾向や生活スタイルが脳卒中につながる傾向をもっているというということは言えそうです。

■まとめ

フレンチ、 イタリアン、そばう、どん店、ファーストフードの数と病気の関係を疫学的に示した非常に興味深い報告です。塩分の量なのか、油の摂りすぎなのか、それとも夜中にラーメンを食べる食習慣なのか直接の原因はわかりませんけれども 、食習慣が思っている以上に病気とかかわりがあることは言えそうです。

2019-2020年 中島クリニック年末年始診療案内|年末28日(土)まで通常診療、年始4日(土)から通常診療です

2019-2020年 中島クリニック年末年始の診療は下記となります

12月28日(土)通常通り診療(診療、胃カメラ検査施行)
12月29日(日)休診
12月30日(月)休診
12月31日(火)休診
1月1日(水)休診
1月2日(木)休診
1月3日(金)休診
1月4日(土)通常通り診療(診療、胃カメラ施行)

コーラ飲料で骨がとけるという都市伝説は本当か

コーラ骨粗しょう症

こどもの頃にコーラーを飲むと骨がとけると親に言われた方いるのではないでしょうか。コーラーの見た目、茶色い色、きつめの炭酸がそのような印象を与えているだけではないかと、こども心に思っていました。

単にコラーをこどもに飲ませないための方便と、コーラのませてもらえず思っていました。

この都市伝説めいたコーラと骨の関係を調べた論文があったので紹介いたします。

■骨粗しょう症(骨粗鬆症)とは

骨粗しょう症とは、骨量が減ってしまい骨折しやすくなる病気のことです。
年齢にともない誰もが骨量が減ってきます。ちょっとしりもちをついただけで高齢者が、圧迫骨折するのも骨粗しょう症が主な原因です。

骨密度の検査としては、CTを用いる方法、超音波検査を用いる方法、レントゲンを用いる方法などがあります。

当院ではレントゲンを用いる方法(手の骨をレントゲン撮影)で骨密度を測定しています。

若い頃の骨密度(若年性靱平均値)と比較

70%以上80%未満は骨粗しょう症疑いあり
70%未満を骨粗しょう症と診断します。

喫煙、アルコール過剰摂取、運動不足などが骨粗しょう症のリスクファクターです。閉経期以降女性ホルモンが減ると骨密度低下します。

禁煙、アルコールをひかえる、日々の運動が予防につながります。

■コーラと骨密度の関係

2500人余の生活習慣を詳細に検討したフラミンガム骨粗しょう症研究の結果が2006年に報告されました。
(Ciation: Tucker KL et al. Colas, but not other carbonated beverages, are associated with low bone mineral density in older women: The Framingham Osteoporosis Study. Am J Clin Nutr. 2006 Oct;84(4):936-42.)

男性1125人、女性1413人

炭酸飲料を男性は週4.3本、女性は2.0本
コーラ男性週2.5本、女性0.9本

炭酸飲料、コーラ、ノンカフェイン

炭酸飲料以外の影響を除外するために、身長、年齢、摂取カロリー、喫煙、アルコール、カルシウム、ビタミンDなどはマッチングさせてあります。

結果、男性はコーラと骨密度の関係ほぼなかったのですが、女性では摂取量に比例して骨密度が低下していました。

女性骨粗しょう症

カフェインは骨密度に影響するといわれていますが、カフェイン入りのコーラとカフェインレスのコーラと比べてその差はありませんでした。

週に3回以上コーラを飲む女性で有意に骨密度低下しています。

フラミンガム骨粗しょう症研究での女性平均年齢が58.2 ± 9.4 であったことを併せて判断すると、更年期以降においては、コーラを多く飲む生活習慣と骨密度低下の関係があるといえます。

疫学調査なのでコーラが骨密度低下の原因であると単純に結論づけることはできませんコーラをよく飲む生活習慣は骨粗しょう症のリスクになりうるということです。

■まとめ

年齢とともに低下する骨密度ですが、それらを悪化させる要因には、喫煙、アルコール過剰摂取、運動不足などがあります。閉経期以降女性ホルモンが減ることも骨密度低下を加速させます。

禁煙、アルコールをひかえる、カルシウム摂食をこころがける、日々の運動が予防につながります。

フラミンガム骨粗鬆研究の結果からは、これに更年期以降の女性に関してはコーラを週3回以上のむことがリスクファクターに加わります。

骨粗鬆予防には運動、バランスの取れた食事ですね。

胸部レントゲンのAI診断は人をついに越えるのか

人工知能(AI)は人越せないだろうと言われていた囲碁の世界で、人工知能のアルファーゴがプロ棋士を負かしたが2015年でした。わずか3年前の話です。

その後さらに人工知能は発達、医療の分野でも人工知能が実用化されつつあります。

特に人工知能が本領を発揮するのは画像診断の分野です。

多数の画像を読み込み、そこからのパターン認識です。

■2018年にはアメリカでAI(人工知能)による糖尿病性網膜症診断機器が実用化

2018年には眼底写真のAIによる診断機器がアメリカFDAにより認可されました。

参考記事

●骨折のAI診断|アメリカでは医療現場へのAI導入が加速

●アメリカでAI(人工知能)による糖尿病性網膜症診断機器が実用化|FDAが人工知能検査機器「IDx-DR」認可

糖尿病を患っていると、全身の血管がもろくなり出血することがあります。

特に出血が問題となるのは眼の血管です。眼の血管からの出血が続くと失明の原因ともなります。

早期発見早期治療が必要です。

当院でも糖尿病治療中の方は、眼科クリニックへ定期的に紹介受診していただき、眼底をチェックしてもらっています。

AI(人工知能)による糖尿病性網膜症診断機器がアメリカでは実用化されています。

日本に輸入され認可されるのも時間の問題です。

■胸部レントゲンの人工知能診断

胸のレントゲン、これを人工知能AI診断できないだろうか。

この分野の研究ものすごい勢いで進んでいます。

2018年11月に論文報告された結果があります。

(Citation: Rajpurkar P et al. Deep learning for chest radiograph diagnosis: A retrospective comparison of the CheXNeXt algorithm to practicing radiologists. PLoS Med. 2018 Nov 20;15(11))

画像診断を専門とする放射線科医師 vs 人工知能

ガチンコ勝負の結果は、14項目のうち11項目が引き分けでした。

2項目で放射線科医師が優位。その項目はヘルニアと心拡大の判断。

1項目は人工知能が優位。その項目は無気肺の判断です。

2018年の報告では、人と人工知能互角、やや人が優位のところまで人工知能追いついてきています。

そして2019年のJAMAに報告された論文では、人工知能が人を上回ってきている結果です。

(Citation: Hwang J et al. Development and Validation of a Deep Learning-Based Automated Detection Algorithm for Major Thoracic Diseases on Chest Radiographs. JAMA Netw Open. 2019 Mar 1;2(3))

ついに胸部レントゲンの診断において、人工知能は追いつきそして追い越すところまで来ています。

■人工知能と人の判断を相補しあえばよい

人工知能による胸部レントゲン読影は、人と遜色のないレベルにまで到達しています。

しかし、2018年の報告をみてわかるように、人がやや判断苦手な部分を人工知能が得意であったり、逆に人の判断の方が正確である部分もあります。

心電図計には人工知能ではありませんが、機械がリズム、形を読み取る機械診断が付いています。

ただ機械診断が常に正しい判断をするとは限らず、医師は必ず自分の目で判断を下します。

将来的には胸部レントゲンの読影は人工知能に取ってかわられるものではなく、人の診断を人工知能でダブルチェックする形になっていくのではないでしょうか。

■まとめ

胸部レントゲンの読影、人工知能は人に追いつき、追い越すところまで発達しています。

今後心電図の機械診断のように、胸部レントゲンにも機械診断がついてくる時代になりそうです。しかも、比較的近未来の話です。