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大腸憩室炎に抗菌薬を「投与しない」という選択枝はあるのか

大腸にポケット状に飛び出る憩室。

このポケット状にへっこんだところに細菌が付いて炎症を起こすのが大腸憩室炎です。

バイ菌が原因ですので、抗菌薬で治療するのが一般的です。

■憩室炎は繰り返す

憩室炎は抗生物質で治っても、たびたび繰り返すため、そのたびに抗生物質を投与することとなります。

一度憩室炎を起こした人の2割から4割がまた起こすともいわれています。

たびたび抗生物質を使っていると耐性菌が出現する懸念もあります。だからと言って、原因が細菌なので抗生物質を投与せざるをえないのがジレンマではあります。

■憩室炎に抗菌薬を投与しないとのきの予後

憩室炎を抗菌薬「投与」と抗生物質「投与しない」ランダムに振り分けた比較がオランダから報告されたので紹介いたします。

van Dijk ST et al. Long-Term Effects of Omitting Antibiotics in Uncomplicated Acute Diverticulitis. Am J Gastroenterol. 2018 Jul;113(7):1045-1052

対象は528例の、初発の憩室炎です。

CTで確定診断して、左側結腸の症例のみに限定しています。

治療後2年間フォローしています。

再発率は抗菌薬投与で14.9%、非投与で15.4%と有意差なし

合併症は抗菌薬投与で3.3%、非投与で4.8%と有意差なし

S状結腸切除が必要となったのは抗菌薬投与で5.0%、非投与で9.0%と有意差なし

統計データ上は、初発の憩室炎の2年間フォローでは、抗菌薬「投与」と抗菌薬「投与しない」治療で差がありませんでした。

■憩室炎に抗菌薬を投与しない選択枝はあるのか

統計学上は抗菌薬投与と非投与で合併症やS状結腸切除率に差はないと出ているのですが、

合併症は抗菌薬投与で3.3%、非投与で4.8%

S状結腸切除が必要となったのは抗菌薬投与で5.0%、非投与で9.0%

統計学的に有意差はないものの抗菌薬投与でいずれも低い率で、この報告をもって、抗菌薬投与不要とは言いがたい印象です。

現状では抗菌薬投与が妥当な治療でしょうか。

大腸がん予防|大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師の特徴

大腸癌の予防に、大腸カメラを受けポリープがあれば切除することが効果的です。

参考ブログ

●主治医は40歳未満の若手医師がいいのか。担当医師の年齢が入院死亡率に影響|高齢医師より若手医師の方が入院死亡率が低い

●入院患者さんの予後(死亡率、再入院率)が担当医師の性別で差|女性医師の方が男性医師よりも入院患者さんの予後がよい

■大腸癌予防には大腸ポリープ(腺腫)の切除

大腸は「腺腫」とよばれるポリープの状態を経て、大腸癌となります。

この前癌状態である「ポリープ(腺腫)」を内視鏡で切除することが、大腸癌予防につながります。

大腸腺腫を徹底的に切除してポリープがない状態(クリーンコロン)にすることが大腸カメラを受ける意義です。

■大腸腺腫検出率(ADR)が高いほどよい

大腸ポリープを的確に発見する内視鏡医の力量が高ければ高いほど、ポリープを徹底的に摘除してポリープがない状態(クリーンコロン)にすることができるのは自明の事実です。

中島クリニックでも大腸ポリープ(腺腫)を徹底的に摘除してポリープがない状態(クリーンコロン)を治療のゴールとしています。

■どのような医師が大腸腺腫検出率(ADR)が高いのか

どのような医師が大腸腺腫検出率(ADR)が高いのかを調べた報告を紹介いたします。

(Citation: Mehrotra A et al. Physician characteristics associated with higher adenoma detection rate. Gastrointest Endosc. 2018 Mar;87(3):778-786)

レトロスペクティブコホート研究です。 201人の検査医師による104,618 症例で検討しています。

平均の大腸腺腫検出率(ADR)は33.2%でした。

ADRが高かったのは、女性医師、消化器専門医でした。 女性医師は男性医師に比べて4.2%高く、消化器専門医はそれ以外の医師より9.4%高い結果でした。

ちょっと意外だったのは、レジデント終了9年以内の医師は、27年から51年の医師よりもADRが6%も高いことでした。

消化器専門医が、それ以外の医師よりADRが約10%も高い結果は、スクリーニング検査では、トレーニングと経験がともに必要であることをこの報告が実証しています。

年齢の影響をスポーツと同じように扱ってよいのかどうかは異論あるところですが、内視鏡など経験と手技ともに要する検査では、ある年齢からは(この報告ではレジデント終了27年から51年の医師)パフォーマンスが落ちるという結果がでています。

■まとめ

大腸癌予防には、大腸腺腫を大腸カメラで切除することが大切です。

大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師の特徴検討した結果は、消化器専門医がその他の医師より10%もADRが高いという歴然とした差があることがわかりました。

大腸カメラ検査は、内視鏡専門施設でうけるのがおすすめです。

アルコールを愉しまれる方々へ残念なお知らせです。飲酒に適量はないとの報告|健康リスクはアルコール摂取量にしたがって上昇

百薬の長ともいわれるアルコール。一日の疲れを癒やすお酒。

私はお酒を毎日飲むわけではないですが、仕事が終わった後のアルコール最高ですね。

今までは、アルコールには安全域値(ここまでは飲んでもOKの量)があると言われていたのですが、最近の報告からはどうも安全域値はないようです。

■適度なアルコール量

1日1単位アルコールグラムにして10g、ビール1本、ワイン1杯程度なら肝臓で十分分解出来る量なので問題ない、むしろフレンチパラドッククスの言葉があるように、少量のアルコールは飲まないよりも健康によいとも言われていました。

しかし、Lancetの報告によると、少量のアルコールは百薬の長ではなく、飲んだ量に比例して健康に影響するようです。

アルコール好きの人へは、実に耳が痛い話です。

■ここまで飲んでもOKな、安全閾値とは

閾値という概念があります。これはこの量までは飲んでも大丈夫、それ以降は体に影響でますと線引きされる点のことです。

タバコをイメージしてみてください、タバコは安全域値がありません。

1本吸えば、1本分体に影響、20本吸えばさらに体に影響します。

アルコールは1合ぐらいまでなら適量、害はなし。2合3合となると体に影響するとの考えられてきました。表現をかえると、アルコールには閾値があると考えられていました。

しかし83報にもおよぶ前向き検討研究を解析したところ、どうもアルコールもタバコと同じく閾値が「ない」との報告です。

(Citation: Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599 912 current drinkers in 83 prospective studies. Lancet. 2018 Apr 14;391(10129):1513-1523.)

■少量のアルコールは心血管イベントを減らす、しかし

心筋梗塞のところで、グラフが直線的に右上がりになっているのではなく、V字型になっているのがわかります。

少量のアルコールは心血管イベント、特に心筋梗塞を減らすというのは事実のようです。

ところが、脳卒中はじめ、癌のリスク含め他の病気は、グラフが直線的に右上がりになっています。

飲めば飲むほど、リスクがあがることを示しています。いいかえると、少量飲んでも健康に影響するのです。

■長年アルコールを飲む影響

1-15年どれだけの年数アルコールを飲み続けているかで健康リスクを評価しています。

Lancet. 2018 Sep 22;392(10152):1015-1035. doi: 10.1016/S0140-6736(18)31310-2. Epub 2018 Aug 23. Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. GBD 2016 Alcohol Collaborators.

飲む年齢に比例して右肩上がりに健康リスクあがってしまっています。

■アルコール飲酒が寿命を縮めるのか

週100gのアルコール量以下では、ほぼ寿命影響なさそうです。逆に200g(ビール2本、ワイングラス2杯)以上からは影響出始めます。

週350gアルコール以上のむ人(毎日ビール5本、ワイングラスにして5杯以上は目に見えて影響でますので、さすがに控える必要あります。

■まとめ

今までは、安全閾値があると考えられていたアルコールですが、最近の研究で安全閾値が「ない」とのことが分かってきました。

アルコール好きの方には耳の痛い話ですが、アルコールは飲んだ量に比例して健康リスクとなります。

朗報としては、週100g以下のアルコール量、毎日ビール1本やワイングラス1本程度では、ほぼ影響なさそうです。 しかし、200g(ビール2本、ワイングラス2杯)以上からは目に見えて影響でますので、飲むとすれば適量に、です。

腕立て伏せが40回以上できると心血管病気リスクが低い|腕立て伏せ回数が健康チェックの項目となりうるのか

だれもで簡便に何回できるか数えることができる腕立て伏せ。

こんな単純な評価が、心血管疾患と逆相関があったというお話。

男性消防士のみに限定の結果なので、一般論としてとらえるのは拙速すぎますのでご了解を。

何十年ぶりに腕立て伏せしてみました。思い返せば真剣に腕立て伏せしたのは学生時代の体育の授業以来です。

ちなみに17回、実に平凡な回数でした。10回未満群ではなくてよかった。

■病気リスクと健康診断指標

健康の指標としては、単純であればあるほど良いのは当然です。

体脂肪率と心血管系疾患との相関がありますが、では健康診断として体脂肪率を測定するにはどうすればよいか。腹部CTで体脂肪率を算出するのが精密かつ正確ですが、健康診断で腹部CTを撮影するかといえば、非現実的ですよね。

腹部CTによる体脂肪率測定の代わりになる、簡便でよい指標ないかと探した結果が腹囲測定だったりします。

そんな経緯で特定健診では腹囲測定しています。

腹囲に関しては体格でかなりばらつきがあるので、腹部CTによる体脂肪率測定の代わりになるかどうかは、議論が残るところではありますが。

本題にもどると、腕立て伏せの回数と疾患リスクが逆相関するとすれば、健康診断の良い指標になるのではないかということです。

(Citation: Yang J et al. Association Between Push-up Exercise Capacity and Future Cardiovascular Events Among Active Adult Men. JAMA Netw Open. 2019 Feb 1;2(2))

■腕立て伏せの回数と心血管疾患リスク

腕立て伏せの回数と心血管疾患リスクが逆相関するという報告です。

腕立て伏せの回数が少ない、特に10回未満は心血管疾患が多かった。

腕立て伏せの回数が多い、特に40回以上は心血管疾患が有意に少ない結果でした。

■腕立て伏せできる回数がトレーニングで増えれば心血管イベント抑制につながるのか

Male firefighters(男性消防士)に限定して検討しているので、母集団としては非常に特殊です。

前向き研究ではなく2000年から10年間、1562人を評価した後ろ向きの検討です。

特殊な母集団、後ろ向き検討ですので、腕立て伏せできる回数がトレーニングで増えれば心血管イベント抑制につながるのかそれに関しての答えはありません。

特殊な母集団(男性消防士)から導きだされた結果ですので、腕立て伏せの回数40回以上という、40回以上の数値そのものには一般性はありません。

何もトレーニングしていない男性で腕立て伏せ40回以上できる人、ほぼいないでしょうから。

しかし、簡便に誰でも数えることができる腕立て伏せの回数のような単純な数値が、心血管イベントの差につながったとうことは実に興味深い点です。

■生活指導の項目としての腕立て伏せの可能性

逆流性食道炎や糖尿病は肥満の改善が生活指導で欠かせません。その際に分かりやすい数値目標として体重を目標にします。

それと同じように、分かりやすい体力や健康維持の指標として、腕立て伏せやスクワットなど、簡便に数値を目標として示すことができるので活用してもよいかもしれませんね。

講演「GERDの診断治療、睡眠と疾病関連」参加医師からいただいた感想

先日、西宮市精神科医会内科医会合同学術講演会で講演させていただいた時の感想をいただきました。

■講演内容

テーマは「GERDの診断治療、睡眠と疾病関連」

GERD(胃食道逆流症)は、医療者が想像する以上に患者さんはQOL低下しています。

日本人は睡眠を削って頑張ることを美徳とするところがあり、こんなに睡眠時間が少ないのです。

睡眠障害の一因としてGERDがあり、PPIが有効です。

GERDと睡眠を絡めての内容でした。

■参加医師からの感想

・睡眠に関する様々な興味深いデータについて触れられていてとても勉強になりました

・1時間では足りない、充実した内容でとても面白い講演内容でした

・消化器疾患が専門ということで、逆流性食道炎の治療と診断についての具体的な流れが勉強になりました

・Fスケールというものを初めて知りました。自身でも胸焼けを訴える患者さんに質問表をつかってみます

・患者さんに対してもですが、自分自身の睡眠を見直すきっかけになりました

一番うれしかったのは、最後のコメントです。自身の睡眠を見直すきっかけになったとのこと、励みになります。

■これから

胃カメラ大腸カメラにでの画像診断。潰瘍、がん、ポリープなどの診断治療とともに、睡眠やGERD(胃食道逆流症)などのQOLに関わる疾患の治療診断にもこらからもとりくんでいきます。

糖尿病HbA1cは季節変動する。一番血糖が上がるのは2月3月|寒い冬こそ健康のために家にこもらず出かけよう

病気には季節の影響をうけるものがあります。血圧値はその最たるものです。

暑い夏は、脱水傾向もあり血圧は冬に比べて低めになる傾向があります。一年中同じ量の薬を飲むわけでなく、夏に血圧の薬が減量出来る方もあります。

血圧値ほど知られていないのですが、糖尿病の治療指標であるHbA1cも季節により変動することが分かってきました。

■糖尿病の治療指標であるHbA1cには季節変動あり

東京女子医大病院からの報告が有名で2511人のHbA1cを月ごとに平均したら、非常にきれいなS字カーブを描いています。 (Sakura H et al. Seasonal fluctuations of glycated hemoglobin levels in Japanese diabetic patients. Diabetes Res Clin Pract. 2010 Apr;88(1):65-70)

1年の内でHbA1cが高くなるのは2月3月の寒い時期、良くなる(低下する)のは7月8月9月の暑い時期です。

HbA1cが高くなる冬と下がる夏を比べると、0.2%から0.3%程上下しています。

寒くなると、外出する機会が極端に減り糖尿病コントロールが悪くなる。如実に季節の影響を受けています。

お正月明け糖尿病が悪くなる方多く、

「いやあ今年はおもち食べ過ぎたので、血糖あがっちゃいました」という会話をすることが多いのですが、これよく考えてみると食事内容の影響だけではなさそうです。

普段と違う食生活の変化が糖尿病悪化の原因であれば、お正月明けだけでなく、お盆明けの8月9月の採血でもHbA1cが上がるはずです。お盆明けの8月9月は上がるどころか、逆に下がっています。

と考えると、夏と冬でことなるのは、寒さによる活動量の違いでしょうか。

■日本のみならず、海外でもHbA1cに季節変動あり

ポルトガルから糖尿病治療指標であるHbA1cの季節変動の報告がありました。

ポルトガル行ったことないのですが、いやポルトガルだけでなくヨーロッパ行ったことないので気候想像つかないのですが。

地球の歩き方によると、東京+5度ぐらいのイメージですね。

(Citation: https://www.arukikata.co.jp/weather/)

なんと季節変動は日本と同じ、2月が一番悪く(高く)、8月9月が良く(低く)なります。

(Citation: Pereira MT et al. Seasonal variation of haemoglobin A1c in a Portuguese adult population.Arch Endocrinol Metab. 2015 Jun;59(3):231-5.)

国、気候が異なっても気温の影響を非常にうけるということですね。

■まとめ

お正月明けに糖尿病の患者さんのHbA1cが上がるのは年末年始の食生活の変化が原因と思っておりましたが、季節変動のグラフをじっくりと眺めてみると食生活の変化よりも運動量の変化を受けている印象です。

寒くなる冬は外出がおっくうになり、家で過ごす時間が増えてしまいます。寒い時期こそ運動ですね。

C型肝炎インターフェロンフリー治療(DAA)で肝がん、死亡リスク低下|1万例コホートで全死亡リスクが52%低下

1989年にアメリカのカイロン社によって発見されたC型肝炎ウイルス、インターフェロンを中心に治療が行われてきました。

2015年以降、直接ウイルスに作用してウイルスを消す治療が(インターフェロンフリー治療DAA)が使えるようになり、劇的な治療効果が得られています。

・ハーボニー(ソフォスブビル、レディパスビル)

・ヴィキラックス(オムビタスビル、パリタプレビル、リ・トナビル)

・エレルサ/グラジナ(エルバスビル/グラゾプレビル)

・マヴィレット(グレカプレビル、ピブレンタスビル)

などの内服薬です。

参考記事 ●マヴィレット配合錠(グレカプレビル、ピブレンタスビル)は優等生タイプ|C型肝炎治療は12週間からさらに短縮され8週間治療時代へ

●2015年以降のC型肝炎治療はインターフェロンフリー治療(DAA)が主流

●いよいよ最終コーナーにさしかかったC型肝炎治療

■慢性肝炎の経過

C型肝炎治療をするのは、肝炎を治すためです。さらには慢性肝炎が続いた結果起きてくる肝がんの予防です。

正常肝臓→慢性C型肝炎→肝硬変→肝がん

慢性C型肝炎の段階でウイルスが消して、肝硬変、肝がんを予防するのがインターフェロン治療や現在主流のインターフェロンフリー治療(DAA)です。

インターフェロン治療は、肝硬変への進展、肝細胞癌発症の予防につながることがさまざまな研究から分かっています。

■インターフェロンフリー治療(DAA)が肝細胞癌を増やす?

インターフェロン治療は、肝硬変への進展、肝細胞癌発症の予防につながることがさまざまな研究から分かっています。

C型肝炎ウイルスを消し去るインターフェロンフリー治療(DAA)も肝硬変への進展、肝細胞癌発症の予防につながることが予想されます。

ところが、その予想に反する報告が2016年スペインのバルセロナの研究グループから報告されました。肝細胞癌を根治治療した後に、インターフェロンフリー治療(DAA)でウイルスを消すと、肝細胞癌再発率が増える可能性を示す報告でした。

この報告は母集団が特殊であることと、症例数が限られていることから、DAA治療で肝がんが増えることがあるのかどうか、その後の研究結果を待つ必要がありました。

しかし、その後の多数の報告でDAA治療群で、治療していない群よりも、肝がん再発が減ることが分かってきました。

当初のスペインからの報告は杞憂に終わったのです。

■C型肝炎インターフェロンフリー治療(DAA)で肝がん、死亡リスクが低下する

2012年から2015年にフランスの32施設で治療された10166例のコホート研究の結果がLancetに報告されました。

待望のコホートの結果です。

結果

全死亡リスクは52%低下 (adjusted HR 0.48, 95% CI 0.33-0.70)

肝細胞癌リスクは34%低下 (adjusted HR0.66, 95% CI0.46-0.93)

(Citation: Carrat F et al. Clinical outcomes in patients with chronic hepatitis C after direct-acting antiviral treatment: a prospective cohort study. Lancet. 2019 Feb 11. pii: S0140-6736(18)32111-1)

C型肝炎インターフェロンフリー治療(DAA)で肝がん、死亡リスクが下がることが明らかとなりました

■まとめ

インターフェロン治療に比べ、格段に副作用が少なく、治療効果の高いインターフェロンフリー治療(DAA)です。

当院で施行したDAA治療、全員がSVR(ウイルスが消失している状態)となっております。

当初のスペインからのDAAで肝がん再発が増えるかもしれないとい話は杞憂におわり、コホート研究でC型肝炎インターフェロンフリー治療(DAA)で肝がん、死亡リスクが下がることが明らかとなりました。

ノロウイルスについて。3分で読めるまとめ

咳発熱のいわゆる風邪とともに、お腹のかぜ(ウイルス性胃腸炎)も西宮市で流行しています。

インフルエンザ流行の季節も、胃腸炎が流行の季節も、手洗いによる予防励行です。

「お腹のかぜ、ウイルス性胃腸炎ですね」と診察室でお伝えすると、ほぼ100%の確率で聞かれるのが「ノロ」でしょうか?です。答えの一助となるようにノロウイルスについて、2-3分程度で読めるようにまとめてみました。

私の学生時代には「ノーウオークウイルス」と習った食中毒の原因となるウイルスが今は「ノロウイルス」です。

病原菌やウイルス名の呼び名変わること時々ありますね。

偽膜性腸炎の原因菌として有名なクロストリジウム・ディフィシ(Clostridium difficile)はクロストリディオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)に改名されています(2016年)。マニアックな話ですが。

■ノロウイルスとは

1968年アメリカのノーウオーク町の小学校で集団発生した胃腸炎の患者さんから発見されたウイルスです。地名を冠してノーウオークウイルスと呼ばれていました。その後ノーウオークウイルスに似た小型球形ウイルスが次々と発見され、ノーウオークウイルス、ノーウオーク類似ウイルスなど呼び名が混在しておりましたが、2002年国際ウイルス分類委員会で、ノロウイルス属と分類されることになりました。

■ロウイルスによる症状

吐き気、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復しますが、子どもや持病をもっている方は重症化することがあります。発熱は軽度で、これらの症状が1-2日続いたあと軽快します。 潜伏期間(感染してから症状がでるまでの時間)は24-48時間と比較的短いのが特徴です。

■ノロウイルスはどこから感染するのですか

ノロウイルスは手に付着したウイルスや汚染した食品などから感染します。口から入ることで感染しますので、手洗いによる予防が大切です。 ノロウイルスに感染した方の嘔吐物、便には大量のウイルスが排出されますので扱いに留意する必要があります。 ノロウイルスは熱に比較的強く85℃以上で少なくとも1分以上加熱する必要があります。

■ノロウイルスが流行するのはいつですか

A年中発生するのですが、冬場に増える傾向があります。特に12月から1月が発生のピークです。毎年5000人以上のノロウイルスによる食中毒が発生しています。

■診断のためにどんな検査をするのですか

A臨床症状や周囲の感染状況などから総合的に判断してノロウイルスが原因と推定する臨床診断が中心となります。

便から検査をする「ノロウイルス抗原検査」は3歳未満、65歳以上の方、悪性腫瘍の診断が確定している方等を対象に健康保険が適用されています。医師が医学的に必要と認めた場合に行われ、診断の補助に用いられます。「ノロウイルス抗原検査」は15分程度で結果が分かる迅速キットもあります。結果が早くでるメリットがありますが、ノロウイルスに感染していても陽性にならない場合もあり、ノロウイルスに感染していないことを確かめることはできません。「ノロウイルス抗原検査」は診断補助の位置づけです。

食中毒や集団発生の原因究明のためにRT-PCR法、リアルタイムRT-PCR法などのウイルス遺伝子の有無を直接調べる検査は行政機関等で行われることがありますが、これらの遺伝子検査は保険診療では行えません。

■ノロウイルスの治療方法

ノロウイルスに効く抗ウイルス薬はありません。ノロウイルス胃腸炎の治療は対症療法となります。下痢、嘔吐にともなう脱水症状の改善のため、水分摂取、脱水がひどい場合には点滴治療が必要となることがあります。

Next Lecture Meeting in 西宮にて「消化器コモンディーズ10症例~診断治療のプロセス、病院紹介のタイミング~」講演いたします

Next Lecture Meeting in 西宮

2019年2月28日(水)
西宮市民会館にて18時から
「消化器コモンディーズ10症例~診断治療のプロセス、病院紹介のタイミング~」中島クリニック院長講演いたします。