胆石とは
胆嚢または胆管内に形成される硬い結石です。胆石は胆汁中の化学物質が結晶化し、固まってできるものであり、主にコレステロールやビリルビンといった物質が関与しています。

胆石症とは
胆石症(たんせきしょう)は、胆嚢内や胆管内に結石が形成される状態を指します。胆石が存在し、胆嚢や胆管の通り道を塞いだり、炎症を引き起こしたりすることで症状が現れます。
胆嚢結石症(Gallstone Disease)
胆嚢内に結石が形成される状態です。胆嚢結石は、胆汁中のコレステロールやビリルビンの結晶化によって 形成します。胆嚢結石が大きくなったり、胆嚢の通り道を塞いだりすると、胆石症の症状が現れます。症状は右上腹部の痛み、腹部膨満感、吐気、背中や肩への放散痛などです。
胆管結石症(Choledocholithiasis)
胆管内に結石が形成される状態です。胆嚢結石が胆管に移動(落石)して胆管内で詰まることが主な原因です。胆管結石症は胆汁の流れを妨げ、黄疸(おうだん)、胆管炎、胆管破裂などの合併症を引き起こす可能性があります。
胆石ができる原因

胆石ができやすい人はFemale(女性)、Fatty(肥満)、Forty(50歳代)、Fair(白人)、Fertile(経産婦)の5つの英語から「5F」と言われています。
女性ホルモンの影響をうける女性の方が胆石できやすのですが、男性でも胆石ができます。胆石が形成される主な原因は、胆汁中の物質のバランスの乱れです。具体的な原因はまだ完全に解明されていませんが、以下の要素が胆石の形成に関与していると考えられています。
コレステロールの過剰
胆汁中のコレステロールが過剰になると、結晶化して胆嚢結石を形成することがあります。コレステロールは胆汁中の溶解度の限界を超えると結晶化し、結石となります。
胆汁の成分の変化
胆汁中の胆塩や胆汁酸、リン脂質などの成分の変化も胆石の形成に関与すると考えられています。これらの成分のバランスが乱れると、結晶化や結石形成のリスクが高まります。
胆嚢の動きの低下
胆嚢の動きが低下すると、胆汁の滞留が起こりやすくなります。胆汁が長時間胆嚢内に滞留すると、結晶化や結石形成のリスクが高まります。
遺伝的要因
遺伝的な要因も胆石の形成に関与しています。家族歴や遺伝的な素因があると、胆石の発症リスクが高まります。
生活習慣と食事
脂肪やコレステロールの多い食事、肥満、急激な体重減少、糖尿病などの生活習慣や健康状態も胆石のリスクを増加させる要因とされています。
これらの要因が複合的に影響し、胆石が形成されることがあります。ただし、すべての人が同じリスクを持つわけではなく、個人の生活環境、遺伝的素因、および他の健康上の要素も影響を与えます。
胆石症になりやすい人
胆石症になりやすい人には以下のような特徴があります
女性
女性は男性に比べて胆石症の発症リスクが高い傾向があります。特に妊娠や経口避妊薬の使用など、女性ホルモンの変動が関与する場合はリスクが高まります。
年齢
年齢が上がるほど胆石症の発症リスクが高まります。中年以降に多く見られ、特に40歳以上の人に多い傾向があります。
肥満
肥満は胆石症のリスクを増加させる要因です。肥満は胆汁の排出や胆嚢の動きを悪化させ、胆石の形成を促進させます。
急激な体重減少
急激な体重減少は胆石症のリスクを高めることがあります。急速な体重減少によって胆汁の成分やバランスが変化し、結晶化や結石形成が起こるリスクが高まります。
高脂血症
高脂血症(血液中のコレステロールや脂質の異常上昇)は胆石症の発症リスクを増加させる要因とされています。高脂血症はコレステロール結石の形成を促進する可能性があります。
胆嚢の機能障害
胆嚢の動きが低下したり、胆汁の排出が不十分な場合、胆石症のリスクが高まります。
遺伝的素因
家族歴がある場合、胆石症の発症リスクが高くなることがあります。遺伝的素因は胆汁の成分や代謝に関与しています。
糖尿病
糖尿病は胆石症のリスクを増加させる要因とされています。糖尿病は胆汁の組成や胆嚢の運動機能に影響を及ぼし、結石形成のリスクを高める可能性があります。
これらの要素が組み合わさることで、胆石症の発症リスクが高まる可能性があります。
ただし、これらの要素がすべて揃っているからといって必ずしも胆石症になるわけではありません。個人の生活習慣や健康状態、遺伝的な素因など、さまざまな要素が胆石症の発症に関与するため、患者さんの状況にもよります。
また、胆石症は一般的に特定のリスク要因がある場合により一般的に発症しやすいとされていますが、それ以外の人々にも発症する可能性があります。
そのため、胆石症の予防には、健康な生活習慣を維持し、バランスの取れた食事、適度な運動、体重管理などが重要です。
胆石症の発症リスクがある場合、定期的な健康チェックなどを当院で受ける様にしましょう。
胆石症の診断方法
胆石症の診断には、以下のような方法が一般的に使用されます
