ラジオ関西『みんなの健康相談』に院長が出演しました
- HEIWA SOTOMURA

- 2 時間前
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中島クリニック院長がラジオ関西「みんなの健康相談」に出演しました。
冬場に流行する「ノロウイルス感染」についてお話しました。
対談内容
どうやってノロウイルスに感染するのか
ノロウイルスの流行時期
治療はどうするのか
感染拡大防止のための取り組み
音声は↓からお聴きいただけます。
放送局:ラジオ関西 558KHz
放送日:11月22日(土)
放送時間:午前7時50分
ラジオ番組:みんなの健康相談
テーマ「ノロウイルス感染」
以下にラジオでお話した内容を文字起こししています。
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おはようございます。兵庫県西宮市中島クリニック院長の中島です。
今日は「ノロウイルス感染」についてお話しいたします。ノロウイルスは冬場にはやる胃腸炎のウイルスのひとつです。ノロウイルスに感染したときの症状は嘔吐、下痢、腹痛、発熱などです。いわゆる食中毒の症状です。特徴的なのはひどい下痢です。
ノロウイルス感染症とはどんな病気ですか?
ノロウイルスは、冬季を中心に流行する胃腸炎の原因ウイルスのひとつです。わずかな量のウイルスでも感染が成立するほど強力で、人から人へ、あるいは食べ物や水を介して広がります。感染すると、潜伏期間はおよそ 24~48 時間で、急に吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱が起こります。特に小児や高齢者では脱水症状を起こしやすく、注意が必要です 。通常は数日で自然に回復しますが、体力のない方では重症化することもあります。
どうやって感染するのですか?
感染経路は大きく 3 つあります。人から、食べ物から、空気中にまったウイルスから。
人から人へ
嘔吐物や便に含まれるウイルスが、手を介して口に入る「経口感染」。家庭や施設、学校などで広がりやすいのはこの経路です。
食べ物から
特に加熱不十分な貝。とくに二枚貝カキなどが有名です。調理者の手指から食材にウイルスが移り、そこから感染する場合もあります。
空気中にまったウイルスから
吐物が乾燥し、空気中に舞った微粒子を吸い込むことで感染することもあります。少量のウイルスでも発症するため、非常に感染力が強いのが特徴です。
いつ流行するのですか
ノロウイルスによる食中毒は一年を通してあります。多いのは冬の時期です。11 月くらいから発生件数は増加しはじめ、12〜翌年1月が発生のピークになります。
冬に流行する理由は2つあります。
一つはウイルスが低温・乾燥に強いからです。
ノロウイルスは、低温で乾燥した環境で長く生存できます。気温が低く空気が乾燥する冬の時期は、ノロウイルスにとって生存に最適な環境となります。このため、感染者の嘔吐物や排泄物から空気中に飛び散ったウイルスが、長時間にわたって感染力を保ち、広範囲に広がりやすくなるためです。
もう一つは二枚貝の旬と関連しているからです。カキなどの二枚貝は冬が旬であり、生食や加熱が不十分な状態で食べられる機会が増えます。これにより、食品を介した食中毒が起こりやすくなります。
治療はどうするのですか?
ノロウイルスに特効薬や特別な治療薬はありません。基本は 対症療法 です。
嘔吐や下痢で体の水分と電解質が失われるため、少しずつ水分や経口補水液を補給するこ
とが最も大切です。
食欲が出てきたら、消化にやさしいおかゆ、うどん、バナナなどから再開すると良いでしょう。高齢者や乳幼児で水分が取れない場合、点滴治療が必要になります。
通常は 2~3 日で症状が落ち着き、1 週間以内に回復することがほとんどです。
感染を広げないためにはどうすればよいですか?
ノロウイルスは感染力が非常に強いため、拡大予防が重要です。
手洗いの徹底:石けんと流水でしっかり洗い、特にトイレ後や調理前は念入りに。アルコール消毒は効きにくいため、多量の流水が基本です。
ノロウイルスは熱に弱いので加熱が有効です。ノロウイルスの汚染のおそれのある二枚貝は、中心部が 85℃~90℃で 90 秒以上の加熱をします。十分加熱することでノロウイルスによる食中毒が予防できます。
吐物・便の処理に留意する必要があります。使い捨て手袋・マスクを着用し、ペーパータオルで拭き取った後、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤を薄めたもの)でしっかり消毒します。
手洗い、加熱、消毒です。
ワクチンや予防薬はありますか?
現時点ではノロウイルスに対するワクチンや予防薬はありません。研究は進められていますが、ウイルスの種類が多様で変異もしやすく、実用化は難しいのが現状です。そのため 、
唯一の対策は「かからない・広げない」行動です。特に医療施設や介護施設など、重症化しやすい方が集まる場では、流行シーズンに備えた予防体制が重要です。
子どもや高齢者など抵抗力の弱い方はノロウイルス感染の原因となりうるカキなどの二枚貝を生で食べることは避けて十分に加熱して食べるようにしましょう。
ノロウイルス感染症のまとめ
ノロウイルスは「少量で感染する」「特効薬がない」点でやっかいなウイルスです。しかし、正しい知識をもって対策を実践することで、感染や拡大を防ぐことは可能です。
冬場の流行期には、手洗いの徹底、食品の十分な加熱、吐物処理の正しい対応を心がけましょう。
もし嘔吐、下痢など食中毒を疑うときは自己判断せずにかかりつけの先生や消化器専門の先生に相談するようにしましょう。


