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胃がんの画像|内視鏡画像の特徴と見分け方

  • 執筆者の写真: HEIWA SOTOMURA
    HEIWA SOTOMURA
  • 7月10日
  • 読了時間: 9分

更新日:8月25日

「胃がんの画像」を調べている皆さまへ


インターネットで「胃がんの画像」と検索する方の多くは、ご自身やご家族の体調に不安を感じていたり、最近受けた胃カメラ検査の結果に疑問を持っていたりすることが多いようです。特に、胃の不快感や胃痛、みぞおちの違和感、体重減少といった症状がある場合、「もしかして胃がんではないか」と不安になり、画像を調べることで何か手がかりを得ようとするケースが増えています。


また、医療機関で「要再検査」や「異常あり」と言われた際に、実際の内視鏡画像を検索して、自分の状態と比較したいという目的もあるようです。現代は情報が豊富な反面、自己判断が過剰になるリスクもあります。医療の専門知識がなければ、内視鏡画像を正しく読み取ることは極めて困難です。そのため、画像を参照する際は、必ず信頼できる医療機関や医師の説明と合わせて理解を深めることが大切です。



胃がんの診断は画像だけでできるのか


胃がんの診断において、内視鏡画像は極めて重要な役割を果たします。実際、胃カメラ(上部消化管内視鏡)による観察により、がんの疑いがある部位を視覚的に確認できるため、早期発見や治療方針の決定に大きく貢献しています。しかしながら、画像だけで確定診断を下すことはできません。


胃の粘膜には、がん以外にも潰瘍、びらん、ポリープ、炎症など多くの異常が見られます。中には、見た目だけでは悪性か良性かを判断しにくいケースも存在します。そのため、医師は内視鏡検査の際に、疑わしい部位の組織を採取し、病理検査(生検)を行うことで確定診断を下します。これは、画像による“視覚情報”と“細胞レベルの診断”を組み合わせる、精度の高い診断法です。


「画像だけで判断する」のは誤解を生みやすく、リスクのある行為です。不安な気持ちはよくわかりますが、必ず医療機関での正確な診断を受けるようにしましょう。

胃がんは内視鏡でどう見えるのか



正常な胃の画像と胃がんの画像の違い


胃カメラ検査では、食道から胃、十二指腸に至るまでの消化管の粘膜を直接観察できます。正常な胃の内視鏡画像は、光沢のある滑らかな粘膜に覆われており、淡いピンク色からやや黄味がかった色合いをしています。表面には規則的なヒダや血管の走行が見られ、全体として均一で清潔感のある印象です。


これに対し、胃がんの画像は非常に多様であり、形や色調、質感などに異常が認められます。たとえば、粘膜が赤くただれていたり、不整形な隆起や陥凹、びらんが見られることがあります。表面の滑らかさが失われてざらざらとした質感になっていたり、粘液や白苔(はくたい)と呼ばれる白っぽい沈着物が覆っていたりするケースもあります。



胃がんに特徴的な内視鏡所見とは


胃がんの画像にはいくつかの典型的なサインがあります。まず注目すべきは「発赤(ほっせき)」と呼ばれる局所的な赤みで、これは炎症や血流の増加を反映していることが多いです。また、表面に「びらん(浅い傷)」や「潰瘍(深い傷)」があると、粘膜が凹んでいたり、境界が不鮮明だったりするため、がんを疑う重要な手がかりとなります。


さらに、「白苔(はくたい)」と呼ばれる白い沈着物が見られる場合もあります。これは壊死組織や分泌物などが原因で、がんに伴う組織破壊の一端を示唆することがあります。ただし、これらの所見は必ずしもがんに特有のものではなく、胃炎や感染症、薬剤性変化などでも類似の画像が見られるため、慎重な鑑別が必要です。



部位によって異なる胃がんの画像所見


胃がんの見え方は、発生した部位によっても異なります。たとえば、胃の入り口付近である「噴門部(ふんもんぶ)」に発生するがんでは、食道との境界が曖昧になり、逆流性食道炎との鑑別が難しい場合があります。一方で、胃の中央に位置する「胃体部」では、ヒダの乱れや陥凹がよりはっきりと観察されることが多く、隆起型のがんが見つかることもあります。


さらに、出口にあたる「幽門部(ゆうもんぶ)」にがんができると、通過障害を伴いやすく、胃の内容物が停滞している画像が得られることがあります。このように、発生部位によって観察される特徴が異なるため、内視鏡医は部位ごとの所見を熟知し、注意深く観察する必要があります。



胃がんの進行度と画像の違い


早期胃がんは、がん細胞が胃の粘膜層もしくは粘膜下層までにとどまっている状態を指します。内視鏡画像では、初見では非常にわかりづらい微細な粘膜の変化にとどまることも多く、熟練の技術が求められます。表面のわずかな陥凹や色調の不均一、微細な血管の異常走行、軽度の発赤などがヒントになります。見た目がほとんど正常に近いことも多く、拡大内視鏡や特殊光(NBIなど)を用いることで、微細な異常を強調して発見に導きます。


進行胃がん画像の特徴

進行胃がんになると、粘膜表面の変化はより明瞭になります。代表的な所見として、深い潰瘍形成、大きな隆起、不整形なびらん、出血を伴う病変などが挙げられます。胃壁が硬くなって動きにくくなる「硬化性病変」や、胃全体が肥厚しているように見える場合もあります。また、がんの一部が崩れて壊死を起こし、白苔状の物質や出血が見られることもあります。これらの画像所見は、早期のがんと比べて視覚的には認識しやすいですが、その分、治療の選択肢や予後には注意が必要です。



典型的な進行がん

こちらは典型的な進行がんの画像です。潰瘍形成していますが、潰瘍周囲の境界が不明瞭かつ不整形。潰瘍底(潰瘍の真ん中ほれているところ)に汚い白苔と粘液が付着しています。



早期胃がんに見えるが深く進行している胃がん

この2つの画像はIIc型早期胃がんのように見えますが、深達度(癌の深さ)が深く進行している進行がんです。細胞は未分化型で、癌の中でも進行が早く悪性度が高いタイプです。


良性の胃潰瘍に見える進行がん

こちらの画像は良性の胃潰瘍に見える胃がん(進行癌)です。1回目の細胞検査(生検)で良性の結果だったのですが、内視鏡所見から悪性の可能性が有ると判断し再度生検を行い悪性と診断された症例です。このように良性の胃潰瘍と胃がんの区別(医学用語で「鑑別」と云います)は難しいのです。


スキルス胃がんは内視鏡で見えるのか


「スキルス胃がん」と呼ばれるびまん性浸潤型の胃がんは、特に発見が難しいタイプとして知られています。粘膜表面に大きな異常が現れにくいため、画像上はごく軽微な発赤やわずかな腫れ程度にしか見えない場合があります。胃壁の内側深くにがん細胞が浸潤しており、胃全体が硬く厚くなることが特徴です。内視鏡医でも気づかず見逃すことがあるため、スキルス胃がんの可能性が疑われる場合には、超音波内視鏡(EUS)やCTなどの補助検査が併用されることもあります。



胃がんと間違えやすい画像所見


胃潰瘍や萎縮性胃炎との鑑別

胃潰瘍は、がんと同様に陥凹や出血、発赤を伴うことがあり、画像上での区別が難しいことがあります。特に、治癒傾向にある潰瘍は表面が平坦であり、がんとの境界が不明瞭なことも少なくありません。また、萎縮性胃炎は胃粘膜が菲薄化し、血管が透けて見えるようになることで知られていますが、場所によっては色調の変化や不整な粘膜形態を示し、がんと間違われることがあります。


ピロリ菌感染の影響と画像の変化

ヘリコバクター・ピロリ菌に長年感染していると、胃の粘膜に慢性的な炎症が生じ、萎縮や腸上皮化生といった変化が起こります。これらの所見は、胃がんの前段階とされており、画像上でも不規則な模様や赤み、粘液の分泌異常などが現れます。ピロリ菌が陰性になっても、炎症や粘膜の変化が残っている場合があるため、内視鏡医は過去の感染歴や既往歴にも注意を払って画像を評価します。


胃ポリープと胃がんの見分け方

胃ポリープは、胃の粘膜に隆起してできる良性腫瘍で、外見上はがんに似ているものもあります。特に、過形成性ポリープや腺腫性ポリープは、がんとの鑑別が難しい場合があります。表面の血管模様や境界の明瞭さ、周囲の粘膜との連続性を丁寧に観察することで、がんか否かの見極めが行われますが、最終的には組織検査によって確定診断されます。



胃がんの画像診断における限界と追加検査


拡大内視鏡・NBIなどの先端技術

従来の白色光観察に加え、近年ではNBI(Narrow Band Imaging)や拡大観察といった高度な技術が内視鏡診断に導入されています。これらの技術は、粘膜表層の毛細血管や表面構造を詳細に観察できるため、がんとの鑑別に非常に有用です。早期胃がんをより正確に見つける手段として、多くの専門施設で活用されています。


生検・病理検査の重要性

画像でがんが疑われた場合、その場で組織を採取して病理検査を行うことが基本です。この「生検」は、目で見える所見に加えて細胞レベルでの診断を可能にし、がんの有無やタイプ、悪性度などを判定します。内視鏡医の経験と観察力、そして病理医の診断能力が組み合わさることで、正確な診断が成立するのです。


CTや超音波など内視鏡以外の画像診断

内視鏡は消化管の内腔を観察するのに優れていますが、胃壁の外側やリンパ節、他臓器への転移状況までは把握できません。そのため、がんの広がりを正確に把握するには、CT(コンピュータ断層撮影)や腹部超音波検査、さらにはPET-CTなどの補助的な画像診断が必要となります。これらを組み合わせることで、治療方針の決定や手術の可否などが総合的に判断されます。



胃がん予防と定期的な検査の重要性


胃がんの発症原因とリスク要因

胃がんの主な原因として知られているのが、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染です。ピロリ菌は胃の粘膜に長期間定着し、慢性的な炎症を引き起こします。これが長年にわたると、萎縮性胃炎や腸上皮化生といった前がん状態を経て、胃がんが発生することがあります。そのほか、塩分の摂りすぎ、喫煙、過度の飲酒、野菜や果物の摂取不足なども胃がんのリスク要因とされています。家族歴や加齢も関係しており、特に50歳を超えるとリスクは高まるといわれています。


胃がん予防のための生活習慣と食事

予防のためには、まずピロリ菌の有無を検査し、陽性であれば適切な除菌治療を受けることが重要です。また、日頃の食生活も大切です。塩分の多い漬物や加工食品を控え、ビタミンCやβカロテンを多く含む緑黄色野菜を積極的に摂ることが推奨されています。喫煙を控え、アルコールも適量にとどめることで胃の粘膜を守ることができます。ストレスの軽減や十分な睡眠も、消化機能の正常化や免疫力の維持につながり、間接的な予防策となります。


胃カメラによる定期的なチェックのすすめ


胃がんは早期に発見できれば、内視鏡による切除で根治可能な場合もあります。自覚症状が現れにくいため、症状が出てからではすでに進行していることもあります。40歳を超えたら、定期的に胃カメラを受ける習慣を持つことが、自分自身を守る最善の方法です。特に、ピロリ菌陽性歴がある方、家族に胃がんの既往がある方、喫煙・飲酒の習慣がある方は、高リスク群に該当するため、年1回の内視鏡検査が推奨されます。


当院の胃カメラ検査の特徴


苦痛の少ない経鼻内視鏡検査

中島クリニックでは、患者さまにできる限り負担の少ない検査を提供するため、細径スコープによる経鼻内視鏡を導入しています。鼻からの挿入により、吐き気を抑えた検査が可能となり、検査中の会話もできるため安心して受けていただけます。


十分な説明と画像記録の提供

検査後には、撮影した内視鏡画像をお見せしながら、わかりやすく丁寧にご説明いたします。不安な点や不明な点はその場でおたずねいただけますので、初めての方でも安心してご来院いただけます。


 
 

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