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胃カメラ検査とバリウム検査の違いを消化器の専門家が解説

  • 執筆者の写真: HEIWA SOTOMURA
    HEIWA SOTOMURA
  • 9月18日
  • 読了時間: 12分

更新日:10月21日


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胃がん検診においては、バリウム検査(胃部X線検査)と胃カメラ検査(内視鏡検査)の2種類が代表的な方法とされています。どちらの検査でも胃の異常を確認できますが、その仕組みや得られる情報、検査時の負担などは異なります。

近年では、より精密な検査の重要性が叫ばれる一方で、検査の費用や習慣的な健康診断との関連もあり、バリウム検査を選択する方も依然多く存在します。それぞれの検査にはメリット・デメリットがあるため、自分に合った方法を知ることが大切です。

そこで、本記事では消化器の専門家の視点から、バリウム検査と胃カメラ検査の違いを分かりやすく解説します。検査を受ける際の準備や注意点もあわせて紹介しますので、胃がん検診の選択肢を考える際の参考にしてみてください。



バリウム検査と胃カメラ検査の違い


まずは両検査の仕組みや目的を比較し、どのような違いがあるのかを整理してみましょう。

バリウム検査は、バリウムという造影剤を飲んで胃の内壁をレントゲン撮影する方法です。胃の形状や大まかな病変の有無を把握することに適しており、健康診断などでは比較的手軽に受けられます。一方、胃カメラ検査は、内視鏡を直接胃の内側に挿入して観察するため、粘膜のわずかな変化や小さな病変まで確認しやすい特徴があります。

早期の胃がんの発見精度では、胃カメラ検査のほうが優れると言われています。しかし、バリウム検査は検査費用がおさえられていたり、短時間で済むなどの利点があり、スクリーニング検査として広く利用されています。どちらの検査を選ぶかは、個人の事情や医療機関の方針によっても異なるでしょう。

近年は、胃カメラにおいて鼻から挿入する経鼻内視鏡や鎮静剤を使用する方法も普及し、受検者の負担を軽減できるようになっています。いずれの検査も胃がん検診において大きな役割を果たしているため、それぞれの特徴を理解し、医師との相談のうえ適切な方法を選ぶことが大切です。


バリウム検査の目的・概要

バリウム検査は、検診や健康診断で広く採用されている胃のスクリーニング手段です。バリウムを飲んでレントゲン撮影を行うことで、胃の形状や大きな潰瘍、ポリープなどの有無を幅広く確認できます。胃がんの初期段階や軽微な粘膜変化を見逃す可能性はありますが、短時間かつ比較的安価で実施できる点が特徴です。

バリウム検査では、レントゲン透視中に体位を変えることで胃の隅々まで造影剤を行き渡らせます。検査担当者の指示に沿って動いていくことで、一定範囲以上の異常が検出されやすくなります。検査後に下剤を飲んでバリウムを排出する必要がある点にも注意が必要です。


胃カメラ検査(内視鏡検査)は、カメラの付いた細長い機器を口や鼻から挿入し、胃の内部を直接観察します。バリウム検査では確認しづらい粘膜のわずかな色の変化、平坦な病変や小さな潰瘍なども検出しやすい点が大きなメリットです。また、異常が見つかった際には、同時に組織を採取(生検)して詳しく調べることも可能です。

検査中の違和感や嘔吐反射などが懸念されることがありますが、近年は鎮静剤の使用や経鼻内視鏡などの選択肢も増え、比較的苦痛を軽減しながら受けられるようになりました。ただし、医師の技術や施設の設備によって検査品質が変わる場合もあり、費用がやや高くなることも考慮が必要です。



バリウム検査(胃部X線検査)の流れと検査前後の注意点


バリウム検査を安全かつ正確に行うために、検査前の準備や検査中の手順、検査後の注意点を知っておきましょう。

バリウム検査は、胃がん検診の中でも歴史が長く、健康診断のスタンダードとして続けられてきました。検査方法自体はシンプルですが、正しい手順や注意事項を守らないと画像が不鮮明になるなど、正確性に影響を及ぼす可能性があります。

特に、検査前日の食事制限や当日の体位変換の協力は、正確な診断のために非常に重要です。バリウムが胃全体に行き渡らない場合、病変を見逃すリスクが高まることがあるため、検査担当者の指示への協力を怠らないようにしましょう。

また、検査後のバリウム排出にも注意する必要があります。排出されずに体内に残ると、便秘や腹部膨満感を招く恐れがあるため、検査後は十分に水分を摂取し、薬剤も適切に服用してください。


検査前日の食事制限・準備

バリウム検査では、胃の中を空にして観察しやすくするために、前日の夜以降は食事を控えることが一般的です。水分補給は適度に行って構いませんが、喫煙や刺激物の摂取は避けるよう指示される場合があります。これらを守らないと、レントゲン画像が乱れる原因となり、異常を見落とすリスクが高まります。

あわせて、当日は検査着に着替える場合も多いため、検査前後の手間や荷物を少なくする工夫があると便利です。金属製のアクセサリーなどは検査画像に影響する場合があるため、あらかじめ外しておくことが望ましいでしょう。


検査当日の服装やゲップを抑えるコツ

検査当日は、金属やボタンが少ない服装で行くとスムーズに受けられます。検査時にはバリウムを飲んで胃の中に造影剤を広げるため、ゲップを我慢できるかどうかが顕著に検査結果を左右する場合があるでしょう。

少しでもゲップを抑えるためには、飲むスピードをゆっくりにしたり、意識的に唾液を飲み込むなどが有効とされています。検査の際には、検査車や施設のスタッフから細かい指示がありますので、それらに落ち着いて従うことが大切です。


検査後のバリウム排出と下剤の飲み方

検査が終わると、バリウムを排出するために下剤を服用するよう指示されるのが一般的です。バリウムは消化管内で固まりやすく、放置すると便秘や腹痛の原因になることがあります。下剤の適切な服用と十分な水分摂取により、排出がスムーズになります。

まれに下剤の効きすぎによる腹痛や下痢などが起こる場合もありますが、多くの場合は一時的なものです。検査後の体調変化について疑問や不安があれば、医療スタッフに相談し、無理をしないように心がけてください。



バリウム検査のメリット・デメリット


バリウム検査にはスクリーニングとしての有用性がある一方で、いくつかの注意点があります。

胃がん検診で長く採用されてきたバリウム検査は、費用面や手軽さの面で優位性を持っています。一度に多くの受検者を同時に処理できるため、企業や自治体が行う集団検診でも広く用いられています。

しかし、バリウム検査では胃の粘膜を直接観察できないため、隠れた病変を見逃してしまう可能性も否定できません。また、バリウムの排出や放射線被ばくなど独特のデメリットも存在します。こうした特徴を理解し、必要に応じて胃カメラ検査との使い分けを検討することが重要です。

なお、バリウム検査でなんらかの異常が見つかった場合、精密検査として胃カメラ検査が追加で行われるケースも多いです。定期的なバリウム検査で早期発見を目指すと同時に、精査が必要なときは迷わず胃カメラに移行することが望ましいでしょう。


バリウム検査のメリット

バリウム検査の大きなメリットは、比較的短時間で検査が終了する点です。集団検診や企業検診など、多人数の受検に対応しやすいため、定期的なスクリーニング検査として役立ちます。

また、胃カメラ検査に比べると費用が安価な場合が多く、健康保険の負担や補助制度と合わせても比較的利用しやすい環境が整っています。検査への抵抗感も少ないため、初めての胃がん検診には受けやすい選択肢と言えるでしょう。


バリウム検査のデメリット

放射線被ばくやバリウムを排出する手間がかかる点は、受検者にとってのデメリットです。体質によっては便秘や腹部不快感などが長引くこともあります。また、バリウム検査では粘膜の表面を直接見ることができないため、早期の小さな病変を見逃すリスクも存在します。

結果として、バリウム検査だけで異常なしと判断されても、軽度の変化や初期病変が潜んでいる可能性はゼロではありません。症状が気になる場合やリスクが高いと考えられる方は、胃カメラ検査のほうが適切な検査となる場合があります。



胃カメラ検査のメリット・デメリット

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次に、胃カメラ検査の特徴や利点・難点を整理し、バリウム検査と比較してみましょう。

胃カメラ検査は、直接内視鏡を挿入して粘膜を観察するため、色や質感まで詳しくチェックできる精度の高さが最大の魅力です。病変が発見された場合には、その場で生検を行ったり、小さなポリープであれば切除が可能なケースもあります。

一方で、検査中の不快感や嘔吐反射といった苦痛を伴うことがあるため、検査後の倦怠感などで当日のスケジュールに影響が出る場合があります。最近は経鼻内視鏡や鎮静剤を使用することで、苦痛を軽減できる選択肢も増えてきましたが、施設によっては対応が異なる点に注意が必要です。

また、バリウム検査よりも費用が高めに設定されていることが多く、医療機関の設備や医師の経験によって検査の質に差が出る可能性もあります。これらを踏まえて、自分のリスクや胃の状態に合う最適な検査を医師と相談して選びましょう。


胃カメラ検査のメリット

胃カメラ検査の最大のメリットは、高精度かつ詳細な観察ができる点です。胃の粘膜を直接確認するため、バリウム検査では見落としがちな小さな病変や平坦な病変などもしっかりと捉えられます。特に早期胃がんの発見に優れており、病変をより正確に診断できます。

また、検査同時に生検を行い、病変組織を取り出して詳しく検査できるのも強みです。疑わしい箇所があれば、その場で細胞を採取し、病理検査につなげることで診断の確実性を高められます。


胃カメラ検査のデメリット

多くの方が懸念するのは、検査時の違和感や嘔吐反射でしょう。経口の場合は喉を通して内視鏡を挿入するため、苦痛を伴うことが少なくありません。鎮静剤を使用することで軽減は可能ですが、そのぶん検査後の休息が必要になる場合もあります。

費用に関しても、バリウム検査に比べて高額になる傾向があります。さらに検査内容や医師・医療機関の技術によって検査の質や体感が左右されやすいため、信頼できる医療機関を選ぶことが重要です。



バリウム検査を避けるべきケース・検査不適応例


バリウム検査を受けられない、または注意が必要な場合について解説します。

妊婦の方や、バリウムに対してアレルギー反応を起こす可能性のある方は、バリウム検査が不適切とされる場合があります。また、重度の便秘傾向や腸閉塞の可能性がある方も、バリウムが体内に留まりやすいため注意が必要です。

さらに、過去に胃や腸の手術を受けていて消化管の形状が変わっている場合、造影剤が行き渡りにくかったり、正確な診断が難しくなることもあります。検査の適応については、事前の問診や医師との相談によって総合的に判断してもらいましょう。



バリウム検査の実施年齢・受診の頻度


一般的なバリウム検査の開始年齢や、検査を受ける間隔の目安を確認しましょう。

胃がん検診の開始年齢は自治体や医療機関によって異なりますが、おおむね40歳前後からの受診が推奨されることが多いです。バリウム検査も、健康診断や人間ドックのメニューに含まれていることが一般的で、1年に1回または2年に1回の頻度で行われるケースが目立ちます。

ただし、胃がんのリスクが高いとされる方(胃がんの家族歴がある、多量飲酒や喫煙習慣がある、ピロリ菌感染など)は、より短いスパンでの検査や、より精密な胃カメラ検査の検討をしたほうが良い場合もあります。自らのリスク要因を把握し、医師と相談しながら受診頻度を決めるようにしましょう。


バリウム検査と胃カメラ検査のどちらを選ぶべきか

どちらの検査を選ぶか悩んだ場合に考慮すべきポイントを、費用や体質、精度などの面から解説します。

まず、どの程度正確な検査が必要かを考えると、より精密に診断ができるという点では胃カメラ検査が優れています。早期の胃がんを確実に見つけたい場合は、胃カメラのほうが向いていると言えるでしょう。一方、バリウム検査は費用が安く、短い時間で多くの受検者を診断できる強みがあります。

体質的に嘔吐反射が強い方や、過去にバリウム検査で便秘や腹痛がひどかった方なども選択の基準になります。医療機関によってはバリウム検査を中心に行っている場合と、胃カメラ検査を積極的に推奨している場合がありますので、事前に検査方法について質問しておくことが重要です。

自分の年齢や健康状態、経済的な状況、そしてどの程度の正確性を求めるかによって、最適な検査方法は異なります。医師の意見を聞きながら総合的に判断し、必要に応じて検査の種類を変えることも選択肢の一つです。



よくある質問(Q&A)


バリウム検査や胃カメラ検査に関して、受診者からよく寄せられる質問にまとめてお答えします。

Q1: バリウムを飲んだ後、吐いてしまったらどうすれば良いですか?

A1: もし吐いてしまった場合は、医療スタッフに相談して今後の対応を決める必要があります。検査が続行できないことが多いため、日を改めて胃カメラ検査を検討する場合もあります。


Q2: 胃カメラ検査は痛いと聞きますが、どうですか?

A2: 個人差はありますが、嘔吐反射が強い方はつらさを感じることが多いです。経鼻内視鏡や鎮静剤を使用する方法などもあるため、苦痛を最小限に抑えたい方は医師に相談してみてください。


Q3: どのくらいの頻度で検査を受ければいいですか?

A3: 一般的には年1回か2年に1回程度が推奨されることが多いです。ただし、リスク度合いが高い方はより短い間隔での検査や、精密検査を選択する場合があります。



まとめ・総括


最後に、バリウム検査と胃カメラ検査について押さえておきたいポイントを総括します。

胃がん検診として長く用いられてきたバリウム検査は、費用の安さやスムーズな運用が魅力ですが、放射線被ばくや排出の手間、粘膜を直接観察できないという弱点もあります。一方、胃カメラ検査は高精度な診断が可能で、早期の胃がん発見に大きく貢献しますが、検査時の苦痛や費用面がハードルとなりがちです。

どの検査を選ぶかは、受検者の体質やリスク、希望する検査精度、そして費用負担など多方面から考える必要があります。健康診断や検診の場であらかじめ用意された検査方法を選ぶことも一般的ですが、一部の自治体や医療機関では胃カメラ検査に切り替えられるオプションを用意している場合もあります。

最終的には、医師からのアドバイスを受けながら、ご自身の体調やライフスタイルに合った方法を選択してください。早期発見・早期治療が重要な胃がん検診において、それぞれの検査の仕組みを正しく理解することが大切です。


 
 

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