便潜血検査で一回だけ陽性でも精密検査は必要か
- HEIWA SOTOMURA

- 7月20日
- 読了時間: 7分
便潜血検査とは、大腸がんをはじめとする疾患の早期発見のために広く用いられているスクリーニング検査です。便中に含まれる微量の血液をチェックすることで、大腸ポリープや痔などの異常を見つける手がかりになることがあります。申込みやすく身体的負担も少ないため、多くの40代以上の方が健康診断や人間ドックで受けています。
2日法で行った便潜血検査では、それぞれ別の日に採取した2つの便を調べるのが一般的です。そのため、2つのうち1回だけ陽性だった場合、どの程度深刻に考える必要があるのかと悩む方も少なくありません。痔などの一時的な要因もあれば、大腸がんやポリープが疑われるケースも考えられるため、適切な判断が求められます。
本記事では、便潜血検査で1回だけ陽性の場合に精密検査を受ける必要性や、大腸内視鏡検査の重要性について解説します。40代以降の方が定期検査でどのようにリスクを把握し、早期に対処するかも含めて紹介していきます。検査結果を正しく理解し、健康管理に役立てるための情報をぜひ参考にしてください。
便潜血検査について

便潜血検査の特徴や注意点を知ることで、より正確に活用できます。
便潜血検査は、大腸内に起きた微小な出血を便中から発見することを目的としています。目に見えないレベルの血液でも検出可能であり、大腸がんやポリープの早期発見に役立つスクリーニング検査です。日本では、40歳以上の方を対象に自治体の検診の一環として実施されることが多く、年に1回または2回の頻度で受ける方も増えています。
一方で、便潜血検査は便中の血液を検知するのみで、その血液の由来がどこなのかを確定できません。痔や肛門付近の炎症など良性の原因でも陽性反応を示すことがあるため、陽性=大腸がん確定ではない点を理解しておく必要があります。それでも、便潜血検査で陽性が出た場合、早期に医療機関で精密検査を受けるのが一般的な流れです。
正確な結果を得るためには、キットの取り扱いや採取方法をきちんと守ることも重要です。検査前に担当医や検査機関の案内をよく確認し、適切な手順で便を採取しましょう。検査結果の解釈に不安を感じたときは、早めに専門医へ相談することをおすすめします。
便潜血検査の精度
便潜血検査は、少量の血液を感知できる高感度なスクリーニングとして評価されています。特に、40代からリスクが上昇しはじめる大腸がんの発見に有用で、結果の判定が陽性であれば通常よりも早く精密検査を受ける必要があります。大腸がん以外の原因による微量出血にも反応しやすいため、陽性の背景を確かめることが大切です。
便潜血検査の精度と限界
便潜血検査は大腸がんの可能性を見極める上で非常に有用ですが、偽陽性と偽陰性が生じるケースもあります。つまり、大腸がんなどを発症していても検出されないことがあれば、がん以外の要因による出血で陽性になることもあるのです。40代以上の方は症状がなくても定期的に受診することで、見逃しのリスクを低減することができます。
便潜血検査で注意すること
採取の前後に飲食するものや生理中の女性の扱いなど、結果に影響を及ぼす注意点がいくつか存在します。特に、検査管理の手順を守ることは偽陽性や偽陰性を防ぐために重要です。また、便の採取方法を誤ると検査結果に誤差が出る可能性があるため、説明書に記載されている正しい方法を守りましょう。
「要精密検査が必要」と言われても…
便潜血検査で1回でも陽性になると、病院から「要精密検査」の指示を受けることがあります。痔が原因だろうと安易に自己判断で様子見をする方もいますが、念のため大腸内視鏡検査を受けて悪性疾患の有無を確認することが大切です。特に40代以降は大腸がんのリスクが高まりやすく、放置を続けると症状が進行してしまう可能性があるため早期対処を心掛けましょう。
便潜血検査陽性で考えられる疾患
便潜血検査が陽性の場合に想定される疾患は多岐にわたります。
陽性反応があったからといって、必ずしも大腸がんが見つかるとは限りません。大腸の状態だけでなく、肛門周辺の病気や炎症といった別の要因も考えられるため、総合的な判断が必要です。軽度の症状だと思って放置すると重大な疾患を見逃すリスクがあるので、念のため医師の診断を受けるのが賢明です。
大腸の病気
大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患など、さまざまな病気が候補に挙げられます。とくに大腸ポリープは良性の段階では自覚症状に乏しく、放置しているとがん化する可能性があります。便潜血検査で陽性が出た場合、ポリープの有無などを含めて専門医による詳しいチェックが重要です。
肛門の病気
便潜血検査の陽性を引き起こす原因として、痔や肛門裂傷も見逃せません。特にいぼ痔や切れ痔は出血しやすいため、検査で陽性反応が出ることがあります。しかし、痔があるからといって大腸がんなどを否定したわけではないため、医師の判断を仰ぐことが重要です。実際に大腸検査で異常がなければ安心できることも多いので、早めの受診を検討しましょう。
大腸がん以外でも便潜血検査は陽性になる
大腸がん以外の原因でも便潜血検査は陽性を示す場合があります。
便潜血検査陽性の背景には、炎症性腸疾患や痔以外にもさまざまな要因が考えられます。腸管内の一時的な炎症や胃や小腸からの出血が便に混入することも否定できません。大腸がんである可能性は決して高くありませんが、自己判断だけで安心してしまうと万一のリスクを見逃すおそれがあるため、専門医の精密検査を受けることで正しい診断を得るようにしましょう。
大腸内視鏡検査とは

大腸内を直接観察できる大腸内視鏡検査で原因を詳しく把握することが可能です。
便潜血検査が陽性だった場合に最も代表的な精密検査となるのが、大腸内視鏡検査です。カメラ付きの内視鏡を肛門から挿入し、大腸内部を直接観察することで病変の有無や状態を詳しく知ることができます。検査前には腸内をきれいにするための下剤を飲んだり、必要に応じて鎮静剤を使用するなど、受ける側の負担を減らす仕組みが整えられています。
大腸内視鏡検査の流れ
大腸内視鏡検査は、まず検査前日に食事制限を行い、当日に下剤などを用いて腸を洗浄します。検査中は鎮静剤を使用することで痛みや不快感を軽減でき、必要に応じて短時間の睡眠状態で検査を進めることも可能です。ポリープが見つかった場合には、その場で切除や検査のための組織採取が行われ、早期治療につなげる大きなメリットがあります。
大腸がん 早期発見
大腸がんは早期であれば治療の選択肢が多く、予後も非常に良好です。特に40代以降から発症率が上がるといわれており、普段から便潜血検査を利用して早期にリスクを把握することが大切です。少しでも異常を疑ったら、大腸内視鏡検査へすみやかに移行することで、症状が本格化する前に病変を見つけだすことが可能になります。
大腸内視鏡検査を受けた方がいい場合
便潜血検査で1回でも陽性となった場合はもちろん、家族や近親者に大腸がんの既往歴がある場合も検査を受けるタイミングを早めるべきです。慢性的な便秘や下痢、血便などの便通の異常に気づいたら、迷わず専門医のいる医療機関に相談しましょう。便潜血検査で複数回陽性の指摘があった場合は、大腸がんのリスクがいっそう高まる可能性もあるため、早めの検査が肝心です。
便潜血検査陰性の方へ
陰性でも絶対に安心できるわけではなく、定期的に検査を受ける重要性があります。
便潜血検査で陰性だった場合は大きな異常が見つからなかった可能性が高いですが、それでも見落としがゼロとは言い切れません。特に40代以降の方の場合、大腸がんのリスクは徐々に高まるため、定期的な健診や適切なタイミングでの大腸内視鏡検査を検討してください。自覚症状がない段階でこそ病気を見つけやすく、治療を受けやすいメリットがあるので、健診の継続を習慣化することが大切です。
便潜血陽性は1回でも精密検査を
1回だけの陽性でも真剣に対処し、必要に応じて早めに精密検査を受けるべきです。便潜血検査で一度だけ陽性と出た場合でも、油断せずに医師の判断を仰ぐことが大切です。痔など軽度の疾患での出血だろうと思い込んで放置すると、大腸がんやポリープなど重大な病気を見逃す危険があります。また、40代を迎えると大腸がんの発症率も増加する傾向があるため、早期発見・治療を心がける姿勢が何よりも重要です。定期的な検査や精密検査の受診を念頭に置き、健康状態をしっかりと把握するようにしましょう。



