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便が細くなるのはなぜ?原因と病気の可能性を医師が解説

  • たかの
  • 9月9日
  • 読了時間: 11分
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「便が細くなった」「便の形が変わった」といった症状は、多くの患者さんが一度は経験されるものです。このコラムでは、便の形状変化についての正しい知識と、受診の目安についてご説明いたします。




「便が細い」とはどういう状態なのか


便が「細い」というのは、通常の太さよりも明らかに細くなった状態を指します。一般的に健康な便は、バナナのような太さと形状をしていることが理想とされています。それに比べて鉛筆のような細さ、あるいはリボン状になっているような場合は「細い便」と考えられます。

便の形状は、日々の食事内容や水分摂取量、ストレスなど様々な要因によって変化します。一時的に便が細くなることは珍しくありませんが、継続的に細い便が出る場合は、腸内の状態に何らかの変化が起きている可能性があります。



便の形状と腸の健康状態


便の形状は私たち医師にとって、腸の健康状態を把握する重要な手がかりとなります。臨床現場では、ブリストル便形状スケールという指標を用いて便の状態を評価することがあります。このスケールでは、便の硬さや形状を7段階に分類しています。

理想的な便は、バナナ状でなめらかな表面を持ち、排便時に苦痛を伴わないものです。これに対して、コロコロとした硬い便や水様の便は、それぞれ便秘や下痢の状態を示しています。

便が細長くなる場合は、このスケールの中では特殊なパターンとして捉えられます。排便の過程で何らかの障害があることを示唆していることがあるのです。



便が細くなる原因


便が細くなる原因はいくつか考えられます。生理的な要因から病的な要因まで幅広く存在します。


生理的な要因

  • 食事内容の変化: 食物繊維が不足すると便の水分量が減り、形状に影響を与えることがあります。

  • 水分摂取量の減少: 水分が足りないと、腸内で水分が過剰に吸収され、便が硬くなりやすくなります。

  • 運動不足: 適度な運動は腸の蠕動運動を促進します。運動不足は便の通過速度を遅らせ、形状に影響を与えることがあります。

  • ストレス: 精神的なストレスは自律神経のバランスを崩し、腸の動きに影響を及ぼすことがあります。


私たちの腸は日々の生活習慣の影響を非常に受けやすい器官です。便の形状は変わりやすいものであり、一時的な変化であれば大きな心配は必要ありません。


肛門の問題による影響

便が細くなる原因として見落とされがちなのが、肛門の問題です。特に裂肛(肛門の裂け目)がある場合、排便時の痛みを恐れて十分にいきめないことがあります。

本来、便は直腸で水分をとってしっかり固められ、適切な太さと硬さに調整されます。そして排便時には、適切にいきむことで便を完全に排出することができます。しかし、裂肛の痛みによっていきむことができないと、便が十分に押し出されず、結果として細い便となって排出されることがあるのです。

このように、便の形状は肛門の健康状態によっても大きく影響を受けます。肛門周囲の痛みがある場合は、それが便の形状に影響を与えている可能性も考慮する必要があります。


病的な要因

  • 腸内の狭窄: 大腸や直腸の一部が狭くなると、そこを通過する便の形状も細くなります。

  • 大腸ポリープ: 腸内に発生したポリープが便の通り道を狭めることがあります。

  • 大腸がん: 進行すると腸管を狭窄させ、便の形状に影響を与えることがあります。

  • 炎症性腸疾患: 腸の粘膜に炎症が起きると、腸管の形状や機能に影響を及ぼすことがあります。

  • 過敏性腸症候群: 腸の機能異常により、便の形状が変化することがあります。



便が細く、出にくい場合は注意


便が細くなると同時に排便が困難になった場合、腸内に物理的な障害物が存在する可能性を考える必要があります。このような症状が持続する場合は、以下の疾患を疑う必要があります。



大腸ポリープによる影響

大腸ポリープは腸の内壁から突出した組織で、多くは良性ですが、一部は時間の経過とともに悪性化することがあります。ポリープが大きくなると腸管を狭め、便の通過を妨げることで便が細くなる原因となることがあります。

通常、小さなポリープでは症状が現れにくいのですが、大きくなると便通の変化や血便などの症状を引き起こすことがあります。



大腸がんとの関連性

便が細くなることは、大腸がんの初期症状の一つとして知られています。大腸がんが発生すると、腫瘍が腸管を狭窄させ、そこを通過する便の形状に影響を与えるのです。

重要なのは、便の形状変化だけで大腸がんを診断することはできないということです。しかし、便が細くなる症状が持続する場合は、大腸がんの可能性も考慮して、適切な検査を受けることが重要です。


便秘との関連性

便秘の症状として便が細くなることがありますが、通常の便秘と腸閉塞などの重篤な状態を区別することが重要です。通常の便秘では、便の回数減少や硬い便が主な症状ですが、腸閉塞の初期症状としては、便が細くなるだけでなく、腹痛や腹部膨満感なども伴うことがあります。

また、便秘と便が細くなる症状が長期間続く場合は、腸内の構造的な問題が隠れている可能性もあります。このような場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。



便の色やにおいもチェックポイント


便の形状だけでなく、色やにおいも健康状態を反映する重要な指標です。正常な便は茶色で、極端な悪臭はありません。便の色や臭いに以下のような変化がある場合は、体内で何らかの異変が起きている可能性があります。


気をつけるべき便の色の変化

  • 黒色便: 上部消化管からの出血を示すことがあります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍などが原因となることがあります。

  • 血便: 鮮血が混じる場合は、大腸や直腸からの出血が考えられます。痔や大腸ポリープ、大腸がんなどが原因となることがあります。

  • 白色便: 胆道閉塞により、便に胆汁色素が含まれないことを示す場合があります。

  • 粘液便: 腸の粘膜に炎症が起きている可能性があります。


便の色の変化は一時的なものであることも多いですが、継続する場合や他の症状を伴う場合は、医療機関での検査をお勧めします。



排便時の出血・腹痛もあるときは要注意


便が細くなる症状に加えて、排便時の出血や腹痛がある場合は、より注意が必要です。これらの症状は、単なる便秘や食生活の乱れだけでは説明できない病態を示唆していることがあります。


出血を伴う場合

排便時に出血がある場合、その色や量、出血のタイミングなどが診断の手がかりとなります。

  • 鮮血が便に付着する: 痔や肛門裂傷などの肛門疾患が考えられますが、直腸ポリープや直腸がんの可能性もあります。

  • 便に血液が混じる: 大腸の奥の方での出血を示唆し、大腸ポリープや大腸がんなどが原因となることがあります。

  • 黒色便: 消化管の上部での出血を示唆します。


腹痛を伴う場合

腹痛の性質や場所も重要な診断情報です。

  • 排便前に増強し排便後に軽減する痛み: 過敏性腸症候群などの機能性疾患が考えられます。

  • 持続的で進行する痛み: 腸閉塞や炎症性疾患などが考えられます。

  • 右下腹部の痛み: 虫垂炎などの可能性があります。

  • 左下腹部の痛み: S状結腸部の疾患が疑われます。



大腸ポリープの初期症状とは

大腸ポリープは初期段階では無症状であることが多いですが、サイズが大きくなるにつれて様々な症状を引き起こす可能性があります。ポリープに関連する症状には以下のようなものがあります。


大腸ポリープの一般的な症状

  • 便通の変化: 便の形状の変化(細くなる、リボン状になるなど)や便通のリズムの乱れ

  • 血便: 特に鮮血が混じる場合

  • 粘液便: 便に粘液が混じることがある

  • 腹部不快感: 腹部の膨満感や不快感を感じることがある

  • 貧血: 長期間にわたる少量の出血による貧血症状(倦怠感、動悸、息切れなど)


ポリープの多くは良性ですが、一部は時間の経過とともに悪性化(大腸がんになる)リスクがあります。そのため、症状がなくても定期的な検査が推奨されます。



大腸カメラで早期発見が可能


便の状態が変わったり、細くなったりするなどの変化があった場合、重篤な病気のサインである可能性があります。特に大腸がんの初期症状として現れることがあるため、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)による確認が重要です。

大腸カメラ検査は、大腸の内側を直接観察できる最も確実な検査方法です。この検査により、腸内のポリープや炎症、腫瘍などを視覚的に確認することができます。実際に、大腸カメラによって早期の大腸がんが発見されることは臨床現場で多く経験します。

大腸がんは早期発見・早期治療により非常に高い確率で完治が期待できる疾患です。そのため、便の形状に変化を感じたら、躊躇せずに医療機関を受診することをお勧めします。



内視鏡検査で発見される疾患


大腸内視鏡検査では、様々な疾患を発見することができます。ここでは主な疾患についてご説明します。


大腸ポリープ

大腸ポリープは腸内の粘膜から突出した組織で、多くは良性ですが、一部は時間の経過とともに悪性化することがあります。内視鏡検査で発見されたポリープは、その場で切除することが可能です。


大腸がん

大腸がんは日本人に多いがんの一つです。早期に発見された場合は、内視鏡的切除で治療できることもあります。進行した場合でも、手術や化学療法などの治療法があります。


炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患も内視鏡検査で診断することができます。これらの疾患では、腸の粘膜に特徴的な炎症や潰瘍が見られます。


憩室症

大腸の壁が部分的に外側に向かってポケット状に突出する疾患です。多くは無症状ですが、炎症を起こすと腹痛や発熱などの症状を引き起こすことがあります。




大腸カメラは痛い?恥ずかしい?よくある疑問に答えます


大腸カメラ検査に対しては、痛みや恥ずかしさなど様々な不安を持つ方が多いようです。ここでは、よくある疑問についてお答えします。


検査は痛いですか?

検査中に不快感や圧迫感を感じることはありますが、最近の検査技術の進歩により、以前よりも苦痛は軽減されています。また、必要に応じて鎮静剤を使用することで、ほとんど苦痛を感じずに検査を受けることも可能です。


恥ずかしくないですか?

プライバシーに配慮して検査を行いますので、ご安心ください。検査着の着用や検査室の環境設定など、患者さんの尊厳を守るための様々な工夫がされています。


検査の準備が大変と聞きましたが?

検査前には腸内を空にするための前処置が必要です。下剤を飲んで腸内をきれいにする必要がありますが、最近は飲みやすく効果的な前処置薬が開発されています。また、前処置の方法も医療機関によって異なりますので、事前に詳しい説明を受けることができます。


検査時間はどのくらいかかりますか?

実際の検査時間は約15〜30分程度ですが、前処置や回復時間を含めると半日ほどの時間を見ておくとよいでしょう。

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どのような症状があるときに受診すべき?

便が細くなる症状に加えて、以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。


早急に受診すべき症状

  • 持続的な便の形状変化: 2週間以上便の形状(特に細くなる)が変化し続ける場合

  • 血便: 便に血液が混じる、または便器に血液が付着する場合

  • 原因不明の腹痛: 特に排便と関連のない持続的な腹痛

  • 体重減少: 意図しない体重減少

  • 持続的な下痢や便秘: 通常の排便パターンからの明らかな変化

  • 貧血症状: 倦怠感、めまい、動悸などの症状

  • 発熱: 特に腹部症状を伴う原因不明の発熱


これらの症状は、単なる一過性の不調ではなく、何らかの病的な状態を示唆していることがあります。早めの受診で適切な診断と治療を受けることが大切です。




症状が軽くても一度ご相談ください


便の形状変化は、重篤な疾患の初期症状として現れることがあります。特に便が細くなる症状は、大腸がんの初期サインとして注意が必要です。

大腸がんは早期発見・早期治療が非常に重要な疾患です。症状が軽微であっても、気になることがあれば遠慮なく医療機関にご相談ください。当院では、患者さんの些細な変化も丁寧に診察し、必要に応じて適切な検査をご案内しています。

便の状態は日々変化するものですが、持続的な変化や他の症状を伴う場合は、専門医への相談をお勧めします。「様子を見よう」と思って放置することで、治療の機会を逃してしまうことがあります。早期発見・早期治療のために、ぜひ一度ご相談ください。



まとめ:便の変化からわかる腸の健康


便の形状や色、排便の状態は、腸の健康状態を反映する重要なサインです。特に便が細くなるという変化は、単なる一過性の症状ではなく、腸内の構造的な問題を示唆していることがあります。

便の形状は変わりやすいものですが、持続的な変化や他の症状を伴う場合は注意が必要です。大腸カメラ検査は、腸内の状態を直接確認できる最も確実な方法であり、早期発見・早期治療に大きく貢献します。

ご自身の健康を守るためにも、便の状態に変化を感じたら、お気軽に医療機関にご相談ください。当院では患者さん一人ひとりの症状に合わせた丁寧な診療を心がけています。些細なことでも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。

健康な腸は健康な体の基盤です。日々の食事や生活習慣に気を配りながら、定期的な健康チェックを心がけましょう。

 
 

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