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- げっぷから考えられる病気
内科・消化器を専門としていますので「胃の痛み」「お腹の痛み」で相談に来られる方が多いのですが、胃腸の「痛み」以外に、意外と多くの方が悩まされている症状に「げっぷ」があります。 今年3月に健康情報テレホンサービスに「げっぷから考えられる病気」をテーマに書きましたのでブログにアップします。 げっぷとは げっぷは胃の中にたまった空気が上にあがり食道を通って口から出る現象です。正常な状態でも食べ物と一緒に飲み込まれた空気が胃の中には少量あります。胃酸の上への逆流を防止する食道と胃のつなぎ目にある筋肉の働きがゆるんだり、空気が胃の中に多量にたまると、げっぷとして上に上がってきます。そのためにげっぷは、健康な時にでも起きます。 げっぷが出ることは異常ではありませんが、げっぷが頻回起きるような時には色々な病気が隠れている事がありますので注意する必要があります。 げっぷの原因としては 逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニアなどの、食道と胃のつなぎ目にある逆流防止弁の働きが不十分なため、胃酸が食道へ逆流してしまう病気があります。胃酸が上に込みあがってくるため、げっぷの他に、胸焼け、胸の熱さなどの症状を伴うこともあります。 胃潰瘍、十二指腸潰瘍も、げっぷの原因となります。潰瘍の場合はげっぷの他に、食後のみぞおちの痛み、お腹が空いた時の痛み、食欲不振などを伴うこともあります。 精神的な原因でもげっぷの原因となることもあります。空気を無意識に飲み込んでしまっている呑気症(どんきしょう)です。精神的な不安や、ストレス、緊張から頻回につばを飲み込む時に空気も飲み込んでしまいます。 その他、慢性胃炎、胃がん、食道がん、胆のう、膵臓の病気などでもげっぷが出ることもあります。 げっぶの原因として、ストレス、不安など精神的な要因がある一方、食道がん、胃がんなど悪性の病気が隠れており、げっぷをきっかけに病気が発見されることがあります。たかがげっぷ、されどげっぷです。
- 「大腸がんリスク検査Cologic」微妙すぎる立ち位置|GTA-446長鎖脂肪酸に着目したリスク分類
「大腸がんリスク検査Cologic」という一部のドックなどで導入されている、マニアックな検査があります。(保険適応外で自費です) 当院は、現段階では導入していません。 なぜ、まだ導入していないかについて 「大腸がんリスク検査Cologic」 の立ち位置を中心に考えてみます。 GTA-446という長鎖脂肪酸の濃度を測定して、この値で大腸癌リスクを判断します。 GTA-446濃度が低くなると大腸がんに罹患している割合が高くなることが研究報告されています。 採血でGTA-446測定 高値 大腸がん低リスク 低値 大腸がん高リスク と判定します。 この、GTA-446という長鎖脂肪酸に着目したリスク分類、すばらしい発想だと思います。 難しいのは検査結果をどう評価するかです。 大腸がんリスク検査Cologicを受けて 「大腸がん高リスク」の判定結果の場合は、迷わず大腸内視鏡(大腸カメラ)検査受ける、 でいいでしょう。 逆に 「大腸がん低リスク」の判定結果の場合、判断苦慮します。 低リスク=大腸癌にならない、だとよいのですが、そうではありません。 低リスクといえども、ある年齢になれば、大腸内視鏡検査受ける必要あります。 なぜならば、大腸がんは、 タバコ、 アルコール、 お肉をよく食べる(特に牛肉)、 加工肉をよく食べる、 家族歴(近い血縁の人に大腸がんの方がいるかどうか) その他、いろいろな不確定要因が背景にあります。 誰もがなりうるんです。 仮に、大腸がんリスク検査を受け幸い「低リスク判定」でも、大腸内視鏡検査受けずに過ごすのは勇気が要りますよね。 と言うより内視鏡検査一度は受けたほうがいいです。 リスク検査を受け「低リスク判定」がでても、リスクが低いだけで、大腸癌にならないわけではないので、安心できない。 これが、大腸がんリスク検査Cologicを、現段階では導入していない理由です。 「大腸がんリスク検査Cologic」今後データが蓄積され、どのような位置づけの検査となるか注目していきたいところです。
- 災害に備え1人ペットボトル水6本を備蓄がめやす
災害に備え1人ペットボトル水6本を備蓄 先日、突然の断水を経験しました。ほんの数時間でしたが、いやあ困りました。水の大切さを再認識。水について考えてみます。 ■1人ペットボトル水6本を備蓄 ■1人ペットボトル水6本を備蓄 結論 結論 災害に備えペットボトル1本1.5リットルとして、1人6本を目安として備蓄しましょう。 災害に備えペットボトル1本1.5リットルとして、1人6本を目安として備蓄しましょう。 1人1日水が3リットル必要です。災害の急場をしのぐために3日分必要として、1日ペットボトル2本x3日=6本。1人ペットボトル6本備蓄しておくと安心ですね。 ■人体水分量の出入り ■人体水分量の出入り 人体に必要な水分 人体に必要な水分 イン(体に入る水分)食事 800ml飲水 1200ml代謝水 300ml アウト(体から失う水分)尿 1200ml便 200ml不感蒸泄 900ml (皮膚から600ml 呼吸から300ml) 1日2300ml前後の水分出入りが、教科書に記載されているような、成人の標準的なバランスです。 尿量は飲水量によりかなり増減、1日尿量は1000ml~2000ml位の幅があります。また不感蒸泄も気温や活動量でかなり変動します。 災害や緊急時に必要となる、成人水分必要量は1000ml~1500mlとなります。1日1.5リットル必要。余裕をみておき3リットルあれば安心です。 分かりやすいようにペットボトル1本1.5リットルで考えてみます。 備蓄に必要な 飲料水 1人 3L(ペットボトルにして2本) ライフライン復旧や状況が落ち着くまで自力で最低3日間過ごす必要を想定して3L x 3日分 計9L 備蓄水 1人 9L (ペットボトルにして6本)を目安。 ■生活に使用する水の量 ■生活に使用する水の量 ここまでの話は飲料水に限った話です。実際の生活では遙かに多量の水を生活用水として使っています。水道局発表のデータによると、1人1日約150-200Lも使っています。 ここまでの話は飲料水に限った話です。実際の生活では遙かに多量の水を生活用水として使っています。水道局発表のデータによると、1人1日約150-200Lも使っています。 多いのは、トイレ、次に入浴、その後、炊事、洗濯と続きます。文明が発達した現代の生活は水に依存しています。 多いのは、トイレ、次に入浴、その後、炊事、洗濯と続きます。文明が発達した現代の生活は水に依存しています。 これらの生活に必要な水は、入浴後の水をためて置くことで対処しましょう。 ■ローリングストック ■ローリングストック 断水したときの話の続きです。夕食時、突然水道水が茶色の錆びた色となりました。ちょっと濁っている程度ではなく、有馬温泉の金泉のような真っ茶色です。 さすがに無理してそのまま使う気にはならず、水道局に問い合わせました。上水管の取り替え工事中に誤って泥が混入してしまったとの事でした。水道局がすぐに対応してくださり水を持参いただきました。ホントありがたかったです。 一時断水させ、水道を引き込む前の所で泥水を放水することになりました。混入した泥水を放水後、無事水の色は透明にもどりました。 断水時間はたった2時間でしたが、水が使えない不便さは想像以上のものでした。水がないと手洗い、トイレ、食事、シャワー全てストップしてしまいます。 阪神淡路大震災の経験者の私は、水を常に備蓄するように心がけています。水だけでなくカップ麺などもある程度備蓄しています。 この時に備蓄の水を使うことにしたのですが、日付をみたら、はるか昔に有効期限が切れていました。あれれ。 備蓄したものの、必要な時には期限がきれてしまっている事態を避けるためにも、ローリングストックという方法を取り入れる必要がありますね。 ローリングストックとは、食べ物など、使いながらもある程度備蓄し続けていくことを指します。 例えば水であれば、備蓄用のペットボトル水を倉庫の置くにしまい込んでしまわず、キッチンに置いておきます。飲み水として時々使うようにします。ペットボトルの水が減ったら買い足す。これを繰り返します。 普段から、災害時に備えて水、電気、ガスなどライフライン確保のシミュレーションしておきましょう。 ■まとめ ■まとめ 1人飲料水として1日に3リットルの備蓄がめやす。1.5リットルのペットボトル2本分です。災害時急場をしのぐために3日分として、ペットボトル6本準備しておくと安心です。 1人飲料水として1日に3リットルの備蓄がめやす。1.5リットルのペットボトル2本分です。災害時急場をしのぐために3日分として、ペットボトル6本準備しておくと安心です。
- ゴルフは健康にいいのですか?|ドライバーショット、バターにご注意
ウオーキング、通勤、ショッピングどんな形でも歩くことが万病予防につながります。 座りっぱなしの生活はみんなが思っている以上に体に負担かかっていますよ、などと患者さんに話していたら、ではゴルフはどうですか?と聞かれます。 ゴルフと健康についてのお話です。 40才から64才、スポーツによる死亡原因1位はゴルフ、2位ランニング 40才から64才でのスポーツによる死亡原因1位はゴルフ、2位はランニングです。 死亡原因1位の人数としてはゴルフですが、全国内のゴフル人口が550万人といわれていますので、ゴルフ愛好家人数が多いため死亡数も結果と多くなっており、特にゴフルが危険なスポーツではありません。 2位のランニングについても同様です。ジョギング、マラソン含めランニング愛好家人数が多いため、結果としての死亡原因2位となっていますが、ジョギング、マラソンによる突然死が特に多いわけではありません。 ゴルフは中高年の健康維持に有効 座りっぱなしの生活を避ける。ウオーキング、テニス、通勤、ショッピング、どんな形でも動くことが病気予防につながります。 歩くことを習慣にする方法|モールウオーキング 運動強度を示す指標にMETs(メッツ)があります。 METsとはMetabolic Equivalents の略語です。1METsは安静坐位を1として、その何倍酸素を消費するかを示します。 米国スポーツ医学会で推奨されている健康増進の運動量が3-6METsです。自分でゴルフバックを持ってプレーしたときの運動負荷が5.1METs相当でゴルフは中高年の健康増進に有効との海外のデータがあります。 ゴルフコースは18ホールで6km前後でしょうか。カートに乗らずあるけば7-8kmはゆっくりと歩くことになります。カートにのっても数キロは歩きますので、高齢者にとっても適度な運動となります。 こちらも海外のデータですが、ゴルフコースを歩くことでコレステロール値の改善、心肺機能の改善が報告されています。ただし、週3回ゴルフコースを歩いた場合の話で、あまり現実的ではありませんが。 ゴルフ中どのような場面が突然死が多いのか ゴルフ中にどのような場面で突然死起きやすいのでしょうか。心拍数と血圧の急激な上下が起きる状況がリスキーな瞬間です。 心拍数と血圧の急激な上下が起きる状況が3つあります。 1つめは、ドライバーショットです。ゴフルでの最初の一打です。ボールを遠くに飛ばすために、おもいっきりゴルフクラブを振り回します。この瞬間が危険です。 2つめは、意外や意外、パターです。軽くボールを打つだけなのですが、息をこらえたり、緊張することで心拍数と血圧の急激な上下が起きてしまうのが原因です。 3つめは、他の誰かがナイスショットをして、場を盛り上げるためにはしゃいで走り回った瞬間です。場を盛りあげるために、声を出したり走り回るのが心拍数と血圧の急激な上下を起こしてしまうようです。 力を入れて打つドライバーショットはもちろんのこと、パッティングの時にもリスクが伴うのです。 絶対に外せない、息をこらえたり、緊張するのが、心拍数と血圧の急上昇を招き、心臓に負荷を与えていると考えられます。 ゴルフは中高年の健康増進に適したスポーツですが、余り根を詰めてしないのがポイントですね。特にパッティングは息をこらえず、気軽に打つのが健康のためですね。 ゴルフカートを使うより歩こう ゴルフ中の不整脈、特に心室性不整脈の発生頻度を、ゴルフカートを使う場合と、歩いた場合を比較した報告があります。 ゴルフカートを使う方が体が楽なので、不整脈が少ないのかと思えば、逆です。 ゴルフカートを使う場合の方が不整脈が多かったのです。 カートを使うと、休んでいるところから急に打つことになり、打球前後の心拍変化が大きくなります。 逆に歩いてプレーしていると、すでに歩いてウオームアップできているところから球を打つので、心拍変化が小さいのがよい方に働いているようです。 カートを使わず、ゴルフ。おすすめです。 まとめ ・ゴルフは中高年の健康増進に良好な運動量 ・ドライバーショット、パターは過度に緊張したり息をこらえたりしないようにしましょう
- 長引く咳、逆流性食道炎が原因かも|逆流性食道炎は胸焼け、呑酸、咳、声がれ、咽頭違和感、多彩な症状を呈する
■いまや10人に1人の国民病 逆流性食道炎とは文字通り、胃液が食道へ逆流してきて症状をだす病気です。 典型的な症状は、胸やけ、呑酸(胃液が上がってくる)です。 胃カメラで食道を検査すると、写真(青矢印)のようにキズついています。これが逆流性食道炎です。 ひどくなると、何カ所も食道にきずがついています。(青矢印) 逆流性食道炎は生活習慣の変化、特に食事の高カロリー高脂肪食により年々増えてきています。 人口の10%、じつに10人に1人が逆流性食道炎を患っています。 ■逆流性食道炎の症状 逆流性食道炎の典型的な症状は、胃酸があがってくる感じ(呑酸)と胸やけです。 文字通り、胃酸が上に逆流です。 典型的な症状以外に、食道つっかえ感、腹部膨満感、胸の痛み、背中の痛みなど症状は多岐にわたります。 さらには胃酸がのどまで上がってくることで、声がれ、のどの違和感、さらには咳、喘息まで引き起こすことがあります。 声がれするので耳鼻科に行ったら、のどは全く問題なく、逆流性食道炎が原因だった。 長引く咳で呼吸器科行ったら、胸のレントゲンは問題なく、逆流性食道炎が原因だった。 などのことも多々あります。 ■長引く咳と逆流性食道炎 食生活や生活スタイルの変化で、年々逆流性食道炎が増えてきています。 それに伴い、逆流性食道炎が原因の咳も増えてきています。 1990年代は、慢性咳嗽の3%の原因が逆流性食道炎でしたが、2000年に入ると慢性咳嗽の8%が逆流性食道炎が原因と急増してきています。 胸のレントゲンを撮っても、問題なし。胸の音を聞いても問題なし、血液を調べても問題なし。原因不明の長引く咳、逆流性食道炎が原因かもしれません。 ■咳嗽に関するガイドライン 日本呼吸器学会 日本呼吸器学会が提唱する咳嗽に関するガイドラインに咳治療のフローチャートが掲載されています。 フローチャート真ん中下に胃食道逆流による咳嗽の記載があります。 (Citation: 咳嗽に関するガイドライン 日本呼吸器学会) 胸やけ、呑酸に加え、胸痛、咽頭違和感などの症状があれば胃食道逆流を疑います。 ポイントとなるのは「食後悪化する咳」です。 ■逆流性食道炎が原因の長引く咳の治療法 逆流性食道炎の治療にはPPI(プロトンポンプ阻害薬)が有効です。 PPIにはタケプロン、オメプラール、ネキシウム、パリエット、タケキャブなどがあります。 8週間(2ヶ月間)のんで、長引く咳が改善するかどうか確認します。 ■まとめ 逆流性食道炎の症状は、典型的には胸やけ、呑酸です。それ以外にも、胸痛、のどの違和感、声がれなどの原因となることがあります。 長引く咳が逆流性食道炎から引き起こされていることがあります。咳の治療ではなく、逆流性食道炎の治療薬PPIが効果的です。
- 2024年10月からの外来担当医師
大西医師が副院長に着任しました。 2024 年 10 月からの外来担当医師が変更となります。 担当医師紹介こちら↓↓↓ 中島クリニック担当医師
- 逆流性食道炎は生活の質(QOL)をものすごく下げる|胃カメラによる正確な診断が大切
「晩ご飯食べた後、胸が痛くて救急車で病院行ったら、心臓は悪くないといわれました。 もらった薬飲んだら、嘘のように痛みなくなりました」 患者さんからの言葉です。救急車を呼ぶほどの事態、さぞかし痛くて、心配であったとお察しいたします。 診断は「逆流性食道炎」。 「PPI(プロトンポンプ阻害薬」で良くなられています。 逆流性食道炎、胃酸が上がってくるだけの病気と、軽く思われているかもしれませんが、激烈なこともあります。 逆流性食道炎とは 逆流性食道炎とは 逆流性食道炎とは文字通り、胃酸が食道へ上がってきて食道があれる、炎症を起こす病気です。 GERD(胃食道逆流症)ということばがありますが、正確にはGERDと逆流性食道炎は同じではないのですが、病気のイメージ的にはほぼ同じとして理解していいでしょう。 胃酸が食道にあがってきて、悪さ、症状を出す病気のイメージです。 写真の青矢印のように食道が傷つき、たべものがしみる感じや、痛みを感じます。 逆流性食道炎の多彩な症状 逆流性食道炎の多彩な症状 逆流性食道炎の典型的な症状は、文字通りの胃酸があがってくる感じ(呑酸)と胸焼けです。 胃と食道のつなぎめが胃酸にさらされることによる症状です。 呑酸(酸が食道にあがってくる感じ)、胸焼け以外に、多彩な症状を引き起こします。 声がかれるので耳鼻科にいって診てもらったら逆流性食道炎と言われた。 長引く咳で呼吸器科にいって診てもらったら逆流性食道炎と言われた。 冒頭の胸痛では、胸痛で循環器で診てもらったら、心臓は全く問題なく、逆流性食道炎でした。 むねが熱い、食道つっかえ感、腹部膨満感、咽喉頭違和感、嗄声、非心臓性胸痛、慢性咳嗽など、実に症状は多彩です。 気になる症状あれば、私もしかして逆流性食道炎でしょうか?とかかりつけの先生に相談してもいいかもしれません。 逆流性食道炎とQOL生活の質 逆流性食道炎とQOL生活の質 胃酸が上がってくる病気、命にかかわる病気ではありませんので、病気として重くとらえられていないことが多々あります。これは医者、患者さん側ともにです。 病気の辛さを数値化した報告があります。 Psychological General Well-being Index (PGWB)をもちいています。 PGWBは数値が高い方がよいインデックスです。 健康な成人男性の平均は103、健康な成人女性の平均は101です。 100台が健康な大人の数値です。 軽度の心不全、更年期障害があると90台に低下。 狭心症のような不定期に痛みをともなう疾患があると80台へ低下。 生活困難をともなうような精神疾患を患うと60台へ著しく低下します。 逆流性食道炎を未治療では、80台にまで低下しています。更年期障害よりも低い数値となっています。逆流性食道炎不定期に起きる不快感、痛みがありQOL(生活の質)の低下目立ちます。 逆流性食道炎は、胃酸をおさえる薬が非常によく効きます。治療すると80台まで落ちていたPGWBは100台にまで回復します。 正確な診断、治療でQOL改善します。 (Citaton: Dimenas E et al. Quality of life in patients with upper gastrointestinal symptoms. An improved evaluation of treatment regimens? Scand J Gastroenterol. 1993 Aug;28(8):681-7.) 胃カメラによる正確な診断の後に治療 胃カメラによる正確な診断の後に治療 逆流性食道炎は典型的は呑酸、胸焼け、むねが熱い、食道つっかえ感、腹部膨満感、咽喉頭違和感、嗄声、胸痛、咳など多彩な症状をきたします。 症状から逆流性食道炎/GERD(胃食道逆流症)だろうと推察をすることはできます。 避けるべきは、症状から逆流性食道炎と思って薬だけを飲んでいたら、原因は違ったと言う経過です。 逆流性食道炎と思って薬だけを飲んでいたら、狭心症だった、肺の病気だった、食道がんだったなどの事態は絶対に避ける必要があります。 症状に応じて、適切な科、耳鼻科、呼吸器科、循環器科の受診です。 逆流性食道炎と思っていたら、食道がん、胃がんなどの、別の病気が原因であった事態をさけるため、一度は胃カメラによる、食道、胃、十二指腸のチェックです。 治療は生活習慣の改善(肥満予防、夜遅い食事など)、胃酸を抑える薬が中心です。 胃酸を抑えるPPI(プロトンポンプ阻害薬)には、オメプラール、タケプロン、パリエット、ネキシウム、タケキャブ多くの種類があります。自分に合う薬をかかりつけ医の先生と相談してみつけてください。 まとめ まとめ 逆流性食道炎は典型的は呑酸、胸焼け以外に、むねが熱い、食道つっかえ感、腹部膨満感、咽喉頭違和感、嗄声、非心臓性胸痛、慢性咳嗽など症状はさまざまです。 胃カメラで食道から胃を確認、正確な診断が大切です。
- ペットを飼うことで認知症リスクが下がる
おはようございます。中島クリニック院長 中島敏雄です。 年齢を重ねても、体も心も健やかに過ごしたいと誰もが願っていますよね。そんな中、最近発表された興味深い研究が注目を集めています。それは、ペットを飼うことと認知症リスクとの関係についての報告です。 日本の高齢者を対象に行われたこの研究では、イヌを飼っている方は、イヌを飼っていない方に比べて、将来の認知症発症リスクがなんと40%も低いという結果が示されました。 一方で、ネコを飼っているかどうかは、認知症リスクに特段の影響を与えなかったのです。 なぜイヌを飼うことが認知症予防につながるのでしょうか? その理由として、イヌの世話を通じた日常的な運動や、イヌを通じた社会的な交流が関与している可能性が考えられています。 散歩に出かけることで外に出る機会が増え、身体を動かすことが習慣化する。 また、他の飼い主とのコミュニケーションを通じて社会参加が促進されることが、脳への良い影響を与えます。 日常的な運動、社会的な交流が健やかに過ごすためのポイントですね! 今日も素敵な一日でありますように。 中島クリニック(内科、消化器内科、胃カメラ、大腸カメラ) https://www.nakajima-clinic.com/
- 肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は皮下注射と筋肉注射どちらがよいのか
■ワクチンの投与方法 ワクチンの投与方法にはさまざまななルートがあります。 ほとんどのワクチンは注射です。 注射は(麻しん風しんワクチン、肺炎球菌ワクチンなど多くのワクチン) その他、口から飲むもの(ポリオ生ワクチン) 鼻から吸入(新しいタイプのインフルエンザワクチン)するワクチンなどもあります。 注射するワクチンは ・皮下注射 ・筋肉注射 ・どちらの投与でもよいものがあります ■皮下注射と筋肉注射の違い 皮下注射するか筋肉注射するかは、ワクチンごとに決まっています。 海外では筋肉注射が主流で、 日本では皮下注射で投与されることが多いのが現状です。 ワクチンの効果としては、 皮下注射、筋肉注射で単純に比較はできないのですが、 筋肉注射>皮下注射の傾向があります。 日本で筋肉注射されることが少ないのには、理由があります。 その昔、昭和40年代前後、 解熱剤や抗生剤を筋肉注射することで、 時として起きる大腿四頭筋拘縮が社会問題となったことがありました。 私もこどもの頃、風邪で病院に行ったらお尻に注射された思い出があります。 当時子供だったので何を注射されたのか分かりませんが、 抗生物質の注射だったのだろうかと想像します。 解熱剤や抗生物質の筋肉注射による大腿四頭筋拘縮のネガティブなイメージをいまも引きずっており、筋肉注射は避けられる傾向があります。 強調しておきますが、大腿四頭筋拘縮はワクチンの筋肉注射で起きた副反応ではありません。 ■肺炎球菌ワクチンは皮下注射、筋肉注射どちらか効果が高いのか 65才以上の方を対象に公費助成で接種されている肺炎球菌ワクチン。 肺炎を起こす原因の1/3から1/4を占めるのが「肺炎球菌」とよばれるばい菌です。 この肺炎球菌感染を予防するのが「肺炎球菌ワクチン」です。 「肺炎球菌ワクチン」ニューモバックスは、皮下注射、筋肉注射療法が認可されています。 肺炎球菌ワクチンを皮下注射、筋肉注射どちらが効果が高いかを比較した報告がありあす。 肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は 皮下注射、筋肉注射効果を比較した結果、 効果は同等です。 副反応の割合も皮下注射と筋肉注射で同じでした。 ただ注射したところの発赤、腫脹(腫れ)に関しては皮下注射の方が筋肉注射より多い傾向があります。 (Cook IF et al. Comparative reactogenicity and immunogenicity of 23 valent pneumococcal vaccine administered by intramuscular or subcutaneous injection in elderly adults. Vaccine. 2007 Jun 15;25(25):4767-74) ■西宮市中島クリニックでは、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)皮下注射、筋肉注射どちらで接種しているか 中島クリニックでは、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を主に皮下注射しています。 理由は以下です。 局所の発赤、腫脹が少ないのは筋肉注射です。では筋肉注射がよいのかといえば、そう単純なことでもありません。 針を立てて注射(筋肉注射)することに抵抗感をもっている患者さん かなりの割合でいらっしゃいます。 肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は皮下注射、筋肉注射で効果は同じです。効果が同じであるので、患者さんに無用な精神的負担がかからないよう配慮、皮下注射としています。 接種部の腫脹や発赤など局所反応が皮下注するとやや多いのは確かですが自然に消失します。 参考記事 ●脾臓摘出後の注意|脾臓摘出後重症感染症OPSIに注意。肺炎球菌ワクチン接種が大切 ●小児用肺炎球菌ワクチン、成人用肺炎球菌ワクチン、髄膜炎菌ワクチン、インフルエンザ菌b型ワクチン、ワクチン名は似ていてややこしい ●肺炎治療、抗菌薬の選択|市中肺炎(CAP)と院内肺炎・医療介護関連肺炎(HAP・NHCAP)は治療方針がことなる ●肺炎の診断、つぎにするべきは重症度判定。日本呼吸器学会のA-DROPを参考に通院治療・入院必要を判断 ■まとめ・ワクチンの種類により投与方法(皮下注射、筋肉注射)が決まっている・肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は皮下注射、筋肉注射療法できる
- 食の欧米化で増加中の大腸憩室炎
「奥さま手帳」の取材をうけ大腸憩室炎についてお話しました。 「奥さま手帳」は関西を中心に健康情報を発信している情報誌で発行部数30万部 の人気雑誌です。 わかりやすく説明しています。 是非ご覧ください。 食物繊維を接種し、便秘にならない予防が大切 大腸憩室炎は昨今の食事の欧米化に伴って増えている疾患の1つです。高齢者なら約半数はあるといわれる大腸にできる風船状の(憩室)が炎症を起こすことで腹痛や出血といった症状を引き起こします。その原因や日常で気を付けることなどを西宮市の中島クリニックが詳しく解説いたします。 大腸にできる憩室とは何か教えてください 憩室とは、消化管の壁の一部が外側に向かって風船のように飛び出て袋状になった状態のことで、そのほとんどが大腸で発生すると言われております。大腸の中はじゃばら状の管になっており、便や水分、ガスなどが充満していますが、腸管内圧のバランスが崩れて内圧が高くなると外側に膨らみ飛び出してしまうのです。憩室を持っている人は40歳以下は20%前後、80歳以上なら40~60%と、50歳以上なら3~4人に1人はいると言われています。保有率は年齢とともに上昇していきますが、近年は20~30歳代の若い人にも増加傾向にあります。また、発生の頻度に男女差はないとされていますが、日本では一般的に男性の方が多いという報告もあります。憩室には生まれつきの先天性と後天性がありますが、ほとんどは後天性に出現したものだと言われています。食物繊維の不足や加齢に伴う大腸の衰え、また便秘が続くことで糞便を送り出すための大腸の蠕動運動が過剰になって腹圧が上昇することなどが要因と考えられており、その原因は近年の食生活の変化の影響が大きいとされています。 【憩室ができる主な原因】 食物繊維の摂取不足/高カロリー、高脂肪な食事/加齢に伴う大腸の衰え/便秘/体を動かさない生活習慣/肥満/喫煙/大腸の構造の変化/遺伝などの家族歴/老廃物の通り方 Q,憩室はどの場所に発生しますか? 憩室の大さは5~10mm程度とさまざまで上行結腸や盲腸がある右側腹部やS状結腸のある左下腹部に生じやすいと言われています。昔は日本人は右側に憩室が多く、欧米人は左側に多いとされてきましたが、高カロリー、高脂肪食といった食習慣の欧米化が原因で、日本人も欧米人と同様のS状結腸付近にできるケースが増えています。数は1つだけでなく、複数個できる場合がほとんど、100個を超えるような多発憩室症の人もまれではありません。憩室は一度できると自然消滅することはありません。基本的には症状がなく、憩室そのものは病気ではないので、放置していてもガン化することはありません。しかし、炎症を起こしたり、出血が見られた際は早急な治療が必要になります。30~40年前は大腸憩室炎の発生率は5%ほどでしたが、20年前から10~40%増加しています。 大腸憩室炎とはどのような病気ですか? 憩室は、健康診断などの大腸カメラや腹部CTなどで偶然発見されることが多く、通常は無症状のまま経過します。しかし憩室に糞便が溜まって閉塞したり、疲労などによって免疫力が低下することで、憩室内部で細菌が増殖すると炎症が生じます。この状態を 大腸憩室炎 と言います。炎症が軽い時は腹痛や腹部膨満感、歩くと腹部が響くような痛み、下痢や便秘などを生じ、炎症が進むと腹部に加えて発熱、嘔吐することも。さらに炎症がひどくなると、憩室の周囲に膿がたまる膿瘍(のうよう)ができたり、憩室にせん孔(穴)が生じて細菌が腹部に漏れ出し、腹膜炎などの深刻な病態を引き起こします。腹膜炎では、激しい痛みや筋性防御と呼ばれる腹筋が過度に緊張して硬くなる所見が見られることも。また、憩室からすると、痛みは感じないものの、突然の血便を発症することがあります。何の予兆もなく血便が始まった場合は、憩室からの出血の可能性も考えの1つとして覚えておきましょう。 診断や治療方法を教えて下さい。 無症状の場合は、特に治療の必要はありませんが、炎症を起こして何等かの症状が出て大腸憩室炎が疑われる場合は、問診や採血検査、腹部CT検査、腹部超音波検査などで大腸内部を調べて原因を特定してきます。大腸憩室炎と診断されたら、軽傷であれば通院し、流動食などで腸管を休めながら経口抗菌薬の投与治療が中心となります。しかし、炎症の程度により腸管安静が必要な場合は、入院して絶食などの食事制限や点滴抗菌薬での治療を行います。さらに、大腸憩室炎に膿瘍を伴うほど悪化している重篤な状況では、チューブによるドレナージ(膜などを患者さんの体外に排出すること)や、症状が改善しない場合は大腸を切除する必要になることもあります。また、大腸憩室炎と似たような症状である大腸がんや急性虫垂炎(盲腸)、腎臓病、婦人科系疾患などの病気と選別せうるために大腸の内視鏡検査を行うこともあります。 日常生活で心掛けることを教えてください。 大腸憩室炎は一度発症すると再発率が高いため、発症予防と再発予防が大切になります。特に気を付けたいのが、便秘にならない生活習慣を目指すこと。日頃から食物繊維の多い食事を心掛け、水分補給をするなど便秘にならないように気を付けましょう。肥満は発症リスクを高めるため、適度な運動を習慣にすることもおすすめです。大腸憩室炎は、日常的に高頻度で遭遇する病気です。基本的には良性疾患のため、早期に治療を行えば恐れることはありません。しかし腹痛を放置しておくと重症化することもあるので「これぐらいの痛さなら大丈夫」と我慢せず、早めに専門医に相談しましょう。 知っておきましょう 大腸憩室と憩室炎について 憩室炎は上行結腸とS状結腸で起こりやすいと言われている。上行結腸で憩室炎が発症した場合は右脇腹から右下下腹部あたりに強い痛みを感じ、またS状結腸で発症した憩室炎では左脇腹から下腹部にかけて強い痛みを感じることが多い 覚えておきましょう 憩室ができるしくみ 日常的に食物繊維が少ない食事が多い ⇩ 便秘になる ⇩ 排便の腸のいきみ、または便を送り出すための腸の蠕動運動が過剰になることにより、腸内の圧力が高まる ⇩ 腸の壁のもろい部分に圧力がかかり、腸の外側へ風船上に飛び出す 覚えておきましょう 予防のための生活習慣 大腸憩室炎の発症には、欧米型の食事や肥満などの生活習慣が関係しているとされている。主な原因となる便秘を予防する生活スタイルを心掛けよう。 食物繊維の多い食習慣を目指す 野菜や果物を多く摂る 赤みの肉、精製された穀物、高脂肪乳製品などの摂りすぎに注意する 規則正しい食生活で便通を整える 肥満のならないよう、体を動かす生活スタイルを意識する 過労や精神的緊張を避ける
- 逆流性食道炎と胃食道逆流症
あなたの症状は「逆流性食道炎」それとも「胃食道逆流症」? 食事の高カロリー高脂肪食化にともなって、 胃酸のこみあげ、げっぷなど 逆流性食道炎 が 増えてきています。 食事の欧米化だけでなく、ピロリ菌感染率の低下、ライフスタイルの変化などさまざまな 環境要因からも 日本人の胃酸分泌がアップしてきています 。 食事をした後にげっぷ、胃酸があがってくる、朝起きたらムカムカする、これらは逆流性食道炎が原因かもしれません。 アメリカ人などに多い病気といわれていましたが、最近日本でも急増してきているのが逆 流性食道炎です。 逆流性食道炎と聞くと、「胃酸が上に逆流」して「食道が炎症をおこす病気」というイメ ージがわきます。 似た言葉に胃食道逆流症があります。 あまり聞きなれないことばですが、言葉から「胃のものが食道に逆流する病気」というイメージがわきます。 「逆流性食道炎」と「胃食道逆流症」医学的にはどっちでもよくありませんが 日常用語的にはどっちでもOKです。 似たようなこの2つの言葉、違いはあるのでしょうか。 逆流性食道炎と胃食道逆流症、学問的には、正確を期すとすれば違いますが 日常診療、日常会話においては、胃酸があがってくる、げっぷがでる、この病態 「逆流性食道炎」とよんでも 「胃食道逆流症」とよんでも 大差ありません。 フクロウ と みみずく の違い ぶり と はまち の違い 成人病 と 生活習慣病 の違いみたいなものですね。 (あくまでもイメージだけの話です) その例えは違うのではという声が聞こえてくるので 書くとすれば フクロウ科の耳にみえる羽をもったものがみみずく、ないものがフクロウ ぶりとはまちは同じで、成長魚で段階で呼び名が違う ということになるのですが、 あくまでも、似たようなものを想像するというイメージの話です。 逆流性食道炎とは 逆流性食道炎は、最後に「炎」がついているように何らかの炎症を起こしていることを指 します。 胃カメラ(上部消化管内視鏡)でも食道と胃のつなぎめを診たときに、キズができている 状態が逆流性食道炎です。 逆流性食道炎の程度を LA分類grade A LA分類grade B LA分類grade C LA分類grade D と分類します。軽いグレードAから重度のグレードDまで4段階です。 当初AからDの4段階で提唱されたLA分類ですが、グレードAよりさらに軽い色調変化だけ の状態があるので、 それをLA分類grade Mとよぶことになっています。 改定LA分類ですね。 胃カメラ(内視鏡)で食道と胃のつなぎめ、胃酸でさらされているところを診て、診断する病気が逆流性食道炎です。 しかし、言葉は時とともに変化するもので、 胃カメラ(内視鏡)で診断する逆流性食道炎を狭義とすれば、もうすこし広い病態を指す 広義も派生しています。 広義の逆流性食道炎は、胃酸が食道にあがってきてむねやけげっぷなど症状を呈する状態です。 日常会話で使う逆流性食道炎は広義のことが多いのではないでしょうか。 胃食道逆流症とは 胃食道逆流症はGastroesophageal reflux diseaseを略してGERDともよばれます。 GERDはカタカナで「ガード」とよんでいます。 特に呼び方に決まりないですけど。 胃食道逆流症(GERD)は、むねやけ、胃酸の逆流など症状をともなう病気です。 これだけ、聞くと逆流性食道炎と同じではないかと思われるのではないでしょうか。 その通りです、同じです。 ただし、「ほぼ」がつきます。 胃食道逆流症と逆流性食道炎はほぼ同じです。 胃食道逆流症は、胃酸が食道にこみあがってくることで「胸やけ」と「胃酸のこみあげ( 呑酸)」などの症状がおきる状態のことを指します。 胃食道逆流症は、内視鏡によりキズがあるかどうかを診断するのではなく、症状から診断する状態なのです。 逆流性食道炎(狭義)胃カメラで食道と胃のつなぎめにキズがある状態 胃食道逆流症は、胸やけ、呑酸などの症状がある状態 の違いがあります。 胃カメラで診て食道と胃接合部にキズがある状態、逆流性食道炎は胸やけ、呑酸などをきたします。 症状からみると、逆流性食道炎と胃食道逆流症は同じ(正確にはほぼ同じ)です。 「逆流性食道炎」それとも「胃食道逆流症」どちらが正しいのか 逆流性食道炎が胃カメラの所見を基に診断 胃食道逆流症(GERD)が症状から診断 この2つどちらを使うのが正しいのでしょうか。 論文、研究においてはこの2つの用語正しく使い分ける必要があります。 しかし、日常会話、診察時の説明においては、どちらを使ってもよいでしょう。 ネットなどで検索して「私の症状はガードなのでしょうか?」 と聞かれたときには 「そうですね、おっしゃる通りガードで、薬と生活習慣の改善で治療しましょう」 とお話しします。 「胸やけは逆流性食道炎が原因でしょうか?」 と聞かれたときには 「そうですね、胃酸が逆流する逆流性食道炎が原因で、薬と生活習慣の改善で治療しまし ょう」 とお伝えします。 ことばとして、広く浸透しているのは 逆流性食道炎 ですので、 私は診察の時はわかりやすさを重んじて「逆流性食道炎」を多用しています。 「フクロウ」と「みみずく」、「ぶり」と「はまち」はまち、「成人病」と「生活習慣病」 逆流性食道炎と胃食道逆流症は、内視鏡診断か症状診断かの違いです。 ほぼ、言葉的には同じです。 冒頭のフクロウとみみずくはフクロウ科の同じ鳥 耳にみえるとがった羽があるのがみみずく、ないのがフクロウでしょうか。 ぶりとはまちは全く同じ。成長段階で呼び名がかわる、つばす→はまち→ぶりでしょうか。 クリニックのある関西ではつばすを使いますが、この呼び名は関西だけかもしれません。 成人病は、がん、心臓病、脳卒中など40歳ぐらいから増える病気の総称です。今はあまり 使わないことばですね。昭和の時代につかわれていたことばです。 生活習慣病は、食生活、運動習慣、睡眠、喫煙、アルコール習慣の改善で予防する余地が ある病気のことですね。 胃食道逆流症(ガード)の症状 典型的な症状は ・胸やけ・呑酸(どんさん) みぞおちから食道にかけて酸っぱいものがあがってくる感じ の2つです。 典型的な酸逆流の症状以外に ・慢性的な咳、治りにくい咳 ・胸のつまり感 ・のどの違和感 ・胸の痛み ・嗄声(こえがれ) など、心臓の病気ではないかと心配になるような、胸痛、胸のつまり感 耳鼻科的なのどのつまり感、声がれなどの症状のこともあります。 典型的な胸やけ、呑酸以外に、非典型的な症状がおこりうるのも胃食道逆流症の特徴です。 問診、胃カメラ(内視鏡)で食道、胃のチェックすることで、正確に症状の原因を特定す ることができます。 思い当たる症状があるかたは、かかりつけの先生にご相談ください。 まとめ 胸やけ、呑酸(酸っぱいものが込みあがってくる感じ)などの症状があれば、胃食道逆流 症(GERD)が疑われます。 胃食道逆流症? GERD? ガード? 聞きなれれないことばですね。 胃酸が込みあがることによる症状を胃食道逆流症(GERD、ガード)と呼びます。 逆流性食道炎と胃食道逆流症(GERD)はほぼ同じ状態を指すことばです。 胃食道逆流症、逆流性食道炎どちらの用語をつかってもよいでしょう。 食事をしたあと、空腹時に、胸やけ、酸っぱいもののこみ上げがあったら、胃食道逆流症 かもしれません。 食事が楽しめない、起きたときにむかむかして気分がすぐれないなど生活の質を低下をき たします。 生活習慣の改善、飲み薬で症状は改善しますので、思い当たるときはかかりつけの先生にご相談ください。
- 胃がんのステージ分類とそれぞれの治療法
胃がんは、世界的にも高い発症率を持つがんの一つです。発症率は70歳以上の高齢者に多く、男性よりも女性に多く見られます。胃がんは、早期発見が重要であり、ステージに合わせた適切な治療を受けることが大切です。今回は、胃がんのステージとそれに合った治療法を解説していきます。 ステージ分類 胃がん専門医の組織である日本胃癌学会は胃癌治療ガイドラインと名付けた治療基準を作成しています。ガイドラインではがんの進行状態をステージとして分類し、治療法選択の判断基準としています。このステージ分類は次の3つの要素から決定されます。 深達度 がんが胃壁のどの層まで達しているかをT1からT4の4つのレベルで表します。 T1a:粘膜層にとどまっているがん T1b:粘膜下層にとどまっているがん T2:固有筋層に入り込んでいる、浸潤しているがん T3:固有筋層を超えて漿膜下層まで浸潤しているがん T4a:漿膜を超えて胃の表面に出てきているがん T4b:胃の表面に出てきて、さらに他の臓器まで広がっているがん 早期胃がんであれば胃カメラ、進行胃がんであればCTで判定されるのが一般的です。 リンパ節転移 がんがどの範囲のリンパ節まで転移しているかを N0からN3までの4つのレベルで表します N0:領域リンパ節に転移を認めない N1:領域リンパ節に1,2個の転移を認める N2:領域リンパ節に3-6個の転移を認める N3:領域リンパ節に7個以上の転移を認める 主にCTスキャンなどで判定されます。 遠隔転移の有無 がんが胃以外の遠く離れた臓器に転移しているかどうかを表しています。 M0:遠隔転移を認めない M1:遠隔転移を認める 胃がんは高度に進行してくると腹膜播種といってお腹の中に散らばって転移をしたり、血流に乗って肝臓や肺などに転移をすることがあります。このように胃から離れたところに飛び火して増殖することを遠隔転移と言います。 遠隔転移の存在を強く疑う場合には事前にPET検査などを行います。ただ胃がんの場合は術前にこれを評価することが非常に難しく、いざ手術のためにお腹を切ったら実はすでに手をつけられないような状態であったということも少なくありません。なので、CTやPETなどではっきりした遠隔転移がなくても、強く疑う場合には審査腹腔鏡といってお腹にカメラを入れて評価をする、検査のための手術を行う場合もあります。 ステージの段階は4段階 ステージ1 ステージ2 ステージ3 ステージ4 と4つに分類されます。 ステージ1 ステージ1は胃がんの最も初期段階で粘膜の内部またはその下の粘膜下層に止まっている状態です。この状態は基本的に自覚症状がないため、患者の方はがんの発症に気が付かない場合が多いようです。また、深達度が粘膜や粘膜下層にとどまっている状態でもリンパ節に1,2個転移がある場合や、深達度が深くなり固有筋層または漿膜下層まで達した状態でリンパ節転移がない場合も同じステージ1に該当します。 定期的に内視鏡検査などを行い早期発見予防に努めましょう。 ステージ2 ステージ2は次のケースです。 がんが粘膜下層で止まっていても何箇所もリンパ節に転移がある場合です。またがんが固有筋層まで達しており、リンパ節に転移が6箇所以内の場合もあります。そして、がんが漿膜を超えて胃の表面まで出ていますが、リンパ節転移はない場合もあります。 ステージ2はある程度進行したがんですが手術によって治癒できる可能性は十分あります。 ステージ3 ステージ3は次の3つです。 がんは固有筋層までにとどまっていますが、リンパ節転移が7箇所以上ある場合です。また、胃の表面に出ており他の臓器まで広がっている場合には、リンパ節転移がなくてもステージ3に該当します。ステージ3の場合、手術だけの治療効果には限界があることも多いです。 ステージ4 がんは周囲の臓器に浸潤しており、リンパ節にも多数転移がある場合です。また胃壁の深達度には関係なく、肝臓や腹膜などの臓器にがんが遠隔転移してしまっている場合もステージ4となります。 この段階にならないように、がんの早期発見と予防を心がけましょう。 注意点 注意をしていただきたいのは、術前の診断はあくまで参考程度ということです。 実際は、がんを切除してみたら思いのほか早期なものであった、早期がんだと思っていたが実は超進行がんだった、ということもしばしばあります。最終的には切除したがんをホルマリン処置し顕微鏡で調べて診断がされます。術前診断というのは、治療方法を決めるための目安のようなもので、正確に進行度を表してるのは病理診断です。 リンパ 深さ・転移 N0 N1 N2 N3 遠隔転移 T1a,T1b 1 1 2 2 4 T2 1 2 2 3 4 T3 2 2 3 3 4 T4a 2 3 3 3 4 T4b 3 3 3 3 4 肝、肺、腹膜などに転移 4 4 4 4 4 治療法 がんの深さ、リンパ節転移の程度、遠隔転移の有無次第で、あとはガイドラインに沿って治療方針は自動的に決まります。 ステージ1においての治療法 早期胃がんに該当します。胃の粘膜層までであれば内視鏡的手術が可能で、粘膜下層に達しているときは外科手術が適応されます。 ステージ2,3においての治療法 外科手術が最も一般的であり、放射線療法、化学療法、免疫療法などが追加されるケースもあります。 ステージ4においての治療法 遠隔転移(肝臓や肺、腹膜など)に転移している場合は根治が難しいので、化学療法が治療の主軸になります。基本的に化学療法だけでステージ4のがんが根治するというのは難しいですが、化学療法が劇的に効いた場合には切除不能状態から切除可能状態になり、根治切除を行うコンバージョンサージェリーという手術が可能になります。 治療法についてのまとめ 胃がんの治療はがんが最も浅いところにとどまっている場合のみ内視鏡的手術の適用です。遠隔転移があれば基本的には化学療法、それ以外が手術ということになります。 しかし、これはあくまでざっくりとした指針なので、実際には患者様の年齢や体力なども検討されたうえで最終的には患者様自身で決めていきます。 手術について 手術方法や切除部位、注意点などを紹介します。 内視鏡的手術 内視鏡的手術は、内視鏡を口の中から胃の中に挿入し、その先端から特殊な電気メスでがんの部位をそぎ取ります。早期がんでリンパ節に転移している可能性が極めて低く、一括して切除できる範囲である場合に適応されます。手術後は人工的な胃潰瘍となるため、内服薬を飲むのが基本です。 外科手術 ・開腹手術 お腹を20センチほど切って手術を行います。傷跡が大きくなることはデメリットです。 ・腹腔鏡手術 お腹に5,6個程度穴を開け、そこから内視鏡や手術器具を挿入して行います。開腹手術に比べて体への負担が少なく、術後回復も早いです。視野が狭いため高い技術が求められます。 ・ロボット支援下手術 ダヴィンチと呼ばれる最先端の手術支援ロボットが、1990年代に米国で開発されました。手術者が3Dモニターを見ながらロボットアームを遠隔操作して行います。腹腔鏡手術に比べてさらに傷を小さく、作業を細やかにすることが可能です。 切除範囲 胃やその周りのリンパ節をどれくらい切除するか、がんの状態を見て決めていきます。 ・幽門側胃切除 胃の下部にできたがんを中心に胃の2/3を切除します。 ・胃全摘 胃を全て切除します。 この2種類を基本として他にも様々な切除方法があります。 手術後の注意点 ・ダンピング症候群 胃を切除したあとそのまま食べ物が腸に入り込むことで、悪心や動機、めまいなどが起こることです。少量をゆっくり食べるようにしましょう。 ・様々な合併症 逆流性食道炎などが起こる場合は薬を併用します。 手術後の治療 ・ステージ1:経過観察 比較的早期のがんが該当します。 ・ステージ3:術後補助化学療法 胃がんの切除後(手術で取りきれる範囲)に、再発防止のため化学療法を合わせて行うことです。手術では取りきれなかったがんを死滅させるため、抗がん剤であるTS-1を1年間内服することが有効とされています。 ・ステージ4:薬物療法、対症療法 手術だけでは難しい進行がんに対しては、点滴で様々な薬が投与されます。 最後に 胃がんは、自覚症状がなかなか現れないため発見が遅れることが多く、治療が難しくなるケースが多いです。しかし、早期発見と、ステージ毎に合わせた適切な治療法を選ぶことが非常に大切となります。患者様の状態に応じた最適な治療法が選ばれることで、生存率を高めることが可能です。