サルモネラ菌による症状とは?食中毒の原因と予防策を医師が解説
- HEIWA SOTOMURA
- 6月1日
- 読了時間: 3分
更新日:8月26日

サルモネラ症とはどんな病気か
サルモネラ症は、サルモネラ属(Salmonella)という細菌によって引き起こされる感染症で、主に胃腸炎の形で発症します。代表的な症状には発熱、水様性下痢、腹痛、嘔吐などがあり、重篤な場合は敗血症に至ることもあります。小児や高齢者、免疫力の低下した人では特に注意が必要です。
主な原因菌とその特徴
腸チフス・パラチフスとの違い
サルモネラ属には多くの菌種が含まれ、その中でもチフス菌(腸チフス)やパラチフス菌は、腸チフスやパラチフスといった全身性感染症を引き起こします。これに対し、O157やO111などの腸管出血性大腸菌(EHEC)は、出血性の胃腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こす点が異なります。
健康保菌者の存在
サルモネラ症や腸チフスでは、健康保菌者と呼ばれる症状のない感染者が存在し、知らぬ間に菌を排出して周囲に感染を広げてしまうことがあります。
サルモネラ症の主な感染経路と原因食品
感染源となる食材
以下のような食品がサルモネラ症の原因食品として報告されています。
鶏肉・食肉などの生肉
十分に加熱されていない卵料理
生食された汚染野菜
サルモネラ属菌を保持する爬虫類やペット
調理環境での注意点
まな板や包丁などの調理器具は、肉類用と野菜用で分け、使用後はしっかり消毒することが重要です。
交差汚染の防止が不可欠で、汚染された手指や調理台を介して菌が広がる可能性があります。
症状と潜伏期間
サルモネラ症の潜伏期間は通常6時間~72時間(約48時間以内が多い)で、以下のような症状がみられます。
水様性下痢
嘔吐
発熱
腹痛
重症例では脱水症や菌血症を起こすこともあり、特に小児や高齢者では注意が必要です。
検査と診断の方法
検体による細菌検査
感染が疑われた場合、以下のような検体・方法で診断を行います。
糞便検体を用いた細菌検査(培養/PCR)
血清型の判定
血液検査(腸チフス・パラチフスの疑い時)
病原菌の検出・分離には、適切なタイミングでの採便が重要です。検査項目には、O157やサルモネラ属、赤痢菌なども含まれます。
治療と対応 抗菌薬の使用
抗菌薬の選択肢
重症例ではシプロフロキサシンなどの抗菌薬が使用されます。ただし、軽症例では抗菌薬がかえって排菌期間を延ばすこともあり、医師の指示に従うことが大切です。
保健所への届け出と衛生対応
感染が確認された場合、保健所への報告が必要となり、施設内感染のリスクを避けるための措置(排菌確認、衛生管理)が求められます。特に介護施設や保育施設では早期対応が不可欠です。
再発防止のための予防策
食中毒菌への基本的な対策
以下の対策を徹底することで、サルモネラ症だけでなく、他の食中毒菌(O157、黄色ブドウ球菌など)による感染も防ぐことができます。
食材の中心温度75℃以上の加熱
十分な手洗い
調理器具・調理台の消毒
爬虫類などのペットに触れた後の衛生管理
検査キットを活用した定期的な衛生モニタリング
当院での対応と相談受付
当院では、食中毒対策に関する検査のご案内や、患者さま・施設向けの衛生指導、陽性患者が確認された場合の対応サポートも行っております。気軽にお問い合わせください。また、症例報告や予防方法についても、必要に応じて丁寧にご説明いたします。
適切な予防と早期対応が鍵
サルモネラ症を含む細菌性胃腸炎のリスクは、日常の調理環境や衛生管理、食材の取り扱いに大きく左右されます。特にO157やサルモネラ、赤痢菌などの食中毒菌は、予防できる疾患です。疑わしい症状がある場合や検査・対応に不安がある方は、医療機関に相談のうえ、保健所とも連携した対応をおすすめします。
