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  • 16時間ダイエットは意味ない!?真相を医師が解説!!

    おはようございます。中島クリニック院長 中島敏雄です。夏にむかって話題になるのが「ダイエット」です。はやりの16時間ダイエット。 16時間ダイエットが効くかどうかを科学的に検討した研究論文があります。 今日は研究結果を紹介します。 16時間ダイエットには効果があるのか 結論:16時間ダイエットは効果ありません 効果はありません。16時間食べないだけではダメなんです。カロリー制限もしないとやせません。非常に言いづらいのですが16時間空腹にたえることに何の意味もありません。 断食ダイエットとは、一日24時間のうち食事をする時間帯を短くする食事法です。簡単に取り組めるため人気です。 2022年4月世界で最も権威のある医学雑誌 The New England Journal of Medicine (NEJM) に研究結果が報告されました。 ダイエットする人を2つのグループにわけます。1つはカロリー制限だけ、もう1つのグループはカロリー制限してさらに16時間ダイエットです。 2つのグループとも体重減ったのですが、体重減少効果の差はありませんでした。 16時間に意味があるわけでなく、カロリー制限に意味があるのです。 ダイエットで大事なのは空腹に耐えることではなく、カロリー制限です。ダイエットに取り組まれる方、参考にしていただければ幸いです。 解説動画はこちら 16時間ダイエット意味ある? 中島クリニックのインスタグラム 医療情報、健康情報を発信中です。是非一度ご覧ください♪ https://www.instagram.com/nakajima_cl/ 今日も素敵な一日でありますように。

  • 16時間断食は本当に効果がある?医学博士が語る、科学的根拠に基づく実践方法

    16時間断食とは何か 16時間断食とは、24時間のうち16時間を食事を摂らない時間として過ごし、残りの8時間のみで食事をとるという時間制限型のファスティングです。この方法は、食事時間を意識的に限定することで、胃腸を休ませ、体内の代謝リズムを整えることを目的としています。近年、断食時間に体内でオートファジーが活性化し、細胞内の老廃物の分解が促されることから、美容や健康面でのメリットが注目されるようになりました。 このオートファジーという機能は、空腹状態がある程度続くことで働きが強まり、体内の不要なたんぱく質や損傷した細胞成分を処理する役割を担います。こうした仕組みが明らかになるにつれ、単なるダイエット法としてではなく、内臓の機能回復や免疫力向上、腸内環境の改善といった目的でも16時間断食が取り入れられるようになってきました。 正しく理解したい「16時間断食」の位置づけ 近年、SNSやテレビなどで紹介されることの多い16時間断食は、確かに実践しやすいダイエット方法のひとつとして注目を集めていますが、実はそれ自体が体重減少や健康改善に特別な効果をもたらすという明確な科学的根拠は現時点では確認されていません。 特に医学的に重要なのは、「何を食べるか」「どれだけのカロリーを摂るか」といった栄養と摂取量の管理であり、食べない時間を延ばすことそのものが直接的に脂肪を減らしたり、健康を劇的に改善したりするという証拠は不十分です。 そのため、16時間断食を行う際は、それを「魔法の方法」と過信するのではなく、あくまで摂取カロリーを抑えるためのひとつの手段として冷静に位置づけることが大切です。体調に不安のある方や特別な配慮が必要な方は、自己判断で始めるのではなく、医師に相談のうえで取り入れるべきです。 以下に16時間ダイエットについての情報をまとめました。上記位置づけをしっかりと理解した上で取り入れるので、あれば以下の情報を参考に取り組んでみて下さい。 実際のスケジュールと断食中の過ごし方 16時間断食の基本的なやり方は、たとえば夕食を20時までに終えて、翌日の12時まで何も食べないというシンプルなものです。こうすることで自然に16時間の断食時間が確保されます。午前中は食事をとらずに、コーヒーや白湯、炭酸水などを飲んで過ごす方が多く、ブラックコーヒーのようなノンカロリーの飲み物であれば断食を妨げることなく摂取可能とされています。 この時間帯に空腹感を覚えることはありますが、体内では脂肪が分解され、エネルギーとして利用されるプロセスが進んでいます。最初は12時間程度から始め、徐々に14時間、16時間と伸ばしていく方法も効果的です。急激に断食時間を伸ばしてしまうと、ストレスやドカ食いの原因になる可能性もあるため、自分の生活リズムや仕事とのバランスを見ながら調整することが大切です。 断食中に口にできる飲み物や注意点 断食中の水分補給は非常に重要であり、水や白湯、無糖のお茶などが基本となります。特にブラックコーヒーは空腹感を抑える効果もあるため、実践者の間では支持されています。ただし、カフェインの摂取が多くなりすぎると、睡眠に悪影響を及ぼすことがあるため、摂取量やタイミングには配慮が必要です。 一方で、砂糖を含むジュースや清涼飲料水は血糖値を急上昇させ、断食の効果を損なうだけでなく、オートファジーの働きを止めてしまう可能性があります。また、アルコール類は肝臓への負担を大きくし、内臓の休息という断食の目的に反するため、控えた方がよいとされています。 食事の質とタイミング 断食後に最初に摂取する食べ物は、その後の吸収や血糖値の変動に大きな影響を及ぼします。空腹状態の胃にいきなり脂っこいものや糖質の高い食品を入れてしまうと、血糖値が急上昇し、インスリンの過剰分泌を招くことがあります。このため、断食明けの最初の食事には、ヨーグルトやスムージー、野菜スープなど消化の良いものが適しています。 その後、昼食や夕食ではタンパク質、脂質、炭水化物をバランスよく取り入れた食事を心がけることが、筋肉量を維持し、代謝を落とさないためには必要不可欠です。プロテインやナッツ類、野菜、海藻、良質な脂質を含む食材などを取り入れることで、腸内細菌の多様性も高まり、腸活の面でも良い影響が期待できます。 16時間ダイエットのメリット・デメリット 16時間断食によって期待されるメリットとしては、体重の減少だけでなく、体脂肪や内臓脂肪の減少、中性脂肪の低下、糖代謝の改善などがあります。また、腸内環境の改善により便通が整うことや、肌荒れが軽減し美肌につながるケースも少なくありません。さらに、消化器の負担が軽減されることで睡眠の質が向上し、体内時計のリズムも整ってくるという報告もあります。 一方で、断食によるストレスや低血糖症状、集中力の低下を感じる方もおり、無理をして継続しようとすると心身に悪影響を及ぼす可能性もあります。特に、妊娠中や授乳中の女性、持病のある方、薬を服用している方、40歳を過ぎて基礎代謝が落ち始めた方などは、専門医との相談のうえで実施することが望ましいです。 16時間ダイエット体験者の声と変化 実際に16時間断食を取り入れた人々からは、数字としての体重や体脂肪の減少に加えて、お腹の張りが軽減したことや便秘が改善されたという感想も多く寄せられています。中には「肌の調子が明らかに良くなった」「毎朝の目覚めがスッキリするようになった」と語る人もおり、生活全体の質が向上したと感じるケースもあります。 こうした変化は一時的なものではなく、継続することで定着しやすい傾向にあります。そのためには、過剰な制限に頼らず、日々の生活の中で自然に断食時間を組み込み、食べる時間と質に意識を向けていく姿勢が求められます。 まとめ「最強のダイエットは、自分に合った“継続できる習慣”である」 16時間断食は、ただ食事を制限するのではなく、体内の仕組みを活かしながら自律的に健康を整えていく方法です。成功のカギは、やり方を正しく理解し、自分に合ったスタイルで継続することにあります。断食は目的ではなく、あくまでも生活改善の手段のひとつであり、無理なく実践することで初めて、体質改善や美容、ダイエットといった成果につながっていくのです。 もし始め方に不安がある方や、体調との兼ね合いに悩まれている方は、ぜひ当院までご相談ください。内科的視点から最適なアドバイスをご提供いたします。あなたにとって“無理なく続けられる健康習慣”を一緒に見つけていきましょう。 医師からのアドバイスと注意点 目的は“体重を落とす”ことより“体質を改善する”ことと捉えることが大切 断食は“習慣”として無理なく続けられるかが成功の分かれ道 急激な体重減少や体調変化がある場合はすぐに中止を 自分に合った方法で継続することが最強のダイエット 16時間断食は「魔法」ではなく、「仕組みと工夫次第で効果的な習慣」です 大切なのは「無理せず、自分のライフスタイルに合った方法で取り入れる」こと 体調に不安がある方は、医師に相談してから始めましょう よくある質問(Q&A) Q. 断食中にどうしても空腹感がつらいときは? → ナッツ類や素焼きのチーズを“少量”摂るのはOKです。ただし、カロリーオーバーに注意しましょう。 Q. 断食明けにおすすめの食べ物は? → ヨーグルトや温野菜、スープなど消化にやさしい食材を選びましょう。いきなり糖質や脂質の多い食事は控えるべきです。 Q. 断食って本当に健康にいいの? → 個人差がありますが、血糖値や中性脂肪の改善、便通や代謝の向上など、多くの報告があります。ただし、糖尿病や肝臓疾患などがある方は必ず医師にご相談を。

  • 大西先生着任

    おはようございます。中島クリニック院長 中島敏雄です。 10月から大西勝博先生が副院長として着任します。 大西先生は胃カメラや大腸カメラの専門医で、豊富な経験と高い技術を持つ信頼できる先生です。趣味はトライアスロンです。なんと、診療前に六甲山頂まで自転車で登ったり、甲山山頂までジョギングしたりしているタフな先生です。大西先生の魅力は、高い胃カメラ・大腸カメラの技術と、温かい人柄にあります。常に患者さんに寄り添い、優しさと温かさを持って接する姿勢は、多くの患者さんから厚い信頼を得ています。心優しいアスリートである大西先生は皆さまの健康を第一に考え力でサポートいたします。どうぞ安心して、どんなことでもお気軽にご相談ください。 エキスパートドクター紹介こちら↓↓↓ https://www.nakajima-clinic.com/staff/ 今日も素敵な一日でありますように。

  • 宿便とは?腸の中の写真で解説

    中島クリニック院長の中島です。宿便(しゅくべん)という言葉を聞いたことがありますか?実はこの言葉、多くの誤解を招いている言葉なんです。今回は、宿便について詳しくご説明します。 この記事の目次 宿便とは(しゅくべん)とは?その医学的な意味と誤解 宿便の正体は大半が便秘による腸内停滞便 宿便を訴える患者さんの大腸を実際に見てみた結果 宿便を訴える患者さんの大腸内視鏡検査の例 宿便を疑って大腸を見ても大体「空っぽ」 慢性便秘(≒宿便)の主な原因 食生活や運動習慣の乱れ 排便を我慢する習慣 ストレスや環境の変化 腸の病気によるもの 薬の副作用 慢性便秘(≒宿便)による症状と健康への影響 便通回数の減少 排便時の困難 腹部の不快感 肌荒れなどの美容面への影響 痔(じ)など肛門への負担 全身への影響(倦怠感・睡眠障害など) 慢性便秘(≒宿便)を予防する生活習慣(食事・運動など) 食物繊維をバランスよく摂る 十分な水分をこまめに補給する 規則正しい生活リズムと排便習慣 適度な運動を習慣にする 慢性便秘(≒宿便)を解消する医学的な方法 市販薬・処方薬の適切な使用 整腸剤・プロバイオティクスの活用 専門医による治療 宿便かな?と感じた時に受診すべきタイミング 生活習慣の改善や市販薬を試しても改善しない 血便や激しい腹痛を伴う場合 体重減少や貧血を伴う場合 便秘以外の全身症状がある場合 宿便と大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の関係 当院について 当院の胃カメラ検査(上部内視鏡検査) 当院の大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡) 鎮静剤の使用 炭酸ガス送気による負担軽減 高度な内視鏡技術と機器 女性医師による検査にも対応 検査後のフォロー 宿便とは(しゅくべん)とは?その医学的な意味と誤解 テレビやインターネットで「宿便が腸にこびりついている」「宿便を出せば痩せる」などと耳にしたことがあるかもしれません。しかし、結論から言えば宿便は医学的には正式な病名ではありません。辞書的には「便秘によって長期間腸内に留まった便」のことを指しますが、医学用語としての定義はなく、特に 「腸の壁にヘドロのような便がこびりついて蓄積する」 というイメージは誤りです。 私たちの腸は常に蠕動運動(ぜんどううんどう)という波のような動きをしており、内容物を少しずつ肛門の方向へ送り出しています。健康な人であれば、便が何週間も腸壁に貼り付いて残ることは基本的にありません。一部の広告で「お腹に5kgもの宿便が溜まっている」などと謳われることがありますが、これは全くのデマです。排便後も大腸には多少の便が残りますが、それは次回排出される正常なものであり、毒素の塊というわけではありません。 宿便の正体は大半が便秘による腸内停滞便 「宿便」という言葉が指す状態そのものが全て架空というわけではありません。長期間便秘が続いて腸内に古い便が停滞している状態は実際に起こり得ます。このような状態を医学的には「慢性便秘」や「糞便塞栓(ふんべんそくせん)」と呼び、重症の場合には放置すると腸閉塞(イレウス)や腸炎・潰瘍などの合併症を引き起こすことがあります。 つまり「宿便=腸にこびりついた何年もの便のヘドロ」という俗説は誤解です。実際に便がたまってることもありますが、本質は胃腸が細くなっていたり、便秘だったり、下痢型の過敏性腸症候群、便秘型の過敏性腸症候群、または混合型の過敏性腸症候群であることが原因なのです。 宿便を訴える患者さんの大腸を実際に見てみた結果 「お腹が張っていて時々便秘で時々下痢、宿便だと思います」とご相談にいらっしゃる患者さんは少なくありません。そんな時に私たちは「便がたまっていたり、腸の動きが悪い可能性があるので直接内視鏡で確認しましょう。」と実際に腸の中をカメラで見ていただくことを提案しています。 ここでは4名の宿便を訴える患者さんの大腸の写真を見てみましょう。果たして患者さんがおっしゃるように 「腸の壁にヘドロのような便がこびりついて蓄積する」 という宿便は見つかったのでしょうか。 宿便を訴える患者さん(仮称Aさん)の大腸 Aさんは50代の女性。おなかの張りに悩まされている患者さんで、宿便があるから調子が悪いんだと思うと訴えておられました。宿便が体調不良の原因だと考えるようになったのはメディアで「宿便」という言葉を見て気になって検索した際に、表示された内容と自分の症状がぴったり合ったからだそうです。これは宿便が原因に違いないと考えていたようですが、内視鏡カメラで大腸の中を撮影してみると結果は以下の通りでした。 (※ 実際の内視鏡検査では数十枚の画像を撮影しており、結果説明の際に患者さまにそれらをご覧いただいています。 ) 宿便を心配されていたAさんですが、大腸を内視鏡で確認した結果、こびりついた便は見つからず大腸は空っぽでした。 宿便を訴える患者さん(仮称Bさん)の大腸 Bさんは60代の男性。数か月前から「お腹が重い感じがする」「疲れやすい」といった不調が続いていました。インターネットで調べるうちに「便秘気味で宿便がたまっているのが原因かもしれない」と思うようになり、さまざまな健康食品を試しましたが、改善するどころか、かえって症状が悪化してしまいました。「宿便が腸の壁にこびりついている」といった不安を感じておりましたが、内視鏡カメラで大腸の中を撮影してみると結果は以下の通りでした。 (※ 実際の内視鏡検査では数十枚の画像を撮影しており、結果説明の際に患者さまにそれらをご覧いただいています。 ) Aさん同様宿便を心配されていたBさんですが、こびりついた便は見つからず腸が細いとかポリープがあるなどの問題も見つかりませんでした。 宿便を訴える患者さん(仮称Cさん)の大腸 Cさんは30代の女性。肌荒れや吹き出物が続くことに悩んでいました。体質のせいだと思っていたそうですが、SNSで「腸の汚れが肌に出る」といった投稿を見たのをきっかけに、「腸内に宿便がたまっているのでは」と心配されていました。便秘気味だったこともあり、腸内環境が悪いのではと感じていたので、大腸内視鏡検査を実施したところ、結果は以下の通りでした。 (※ 実際の内視鏡検査では数十枚の画像を撮影しており、結果説明の際に患者さまにそれらをご覧いただいています。 ) Cさんの腸内には宿便と思われるような残留物は見られませんでした。 宿便を訴える患者さん(仮称Dさん)の大腸 Dさんは40代の男性。最近になって慢性的な疲れや集中力の低下を感じるようになりました。体の不調について調べていく中で、「腸内にたまった宿便が全身の不調につながる」といったコラム記事を目にし、自身の症状にも当てはまると感じて強い不安を抱えていました。仕事中に少しぼんやりすることが増え、「もしかして宿便のせいでは?」と気になっていたそうで、内視鏡カメラで大腸の中を撮影してみると結果は以下の通りでした。 (※ 実際の内視鏡検査では数十枚の画像を撮影しており、結果説明の際に患者さまにそれらをご覧いただいています。 ) 宿便を心配されていたDさんですが、大腸内視鏡で確認したところ、腸内に便が貯留している様子は見られませんでした。 宿便を疑って大腸を見ても大体「空っぽ」 「腸の壁にヘドロのような便がこびりついて蓄積する」という宿便のイメージは強烈で、自分のお腹の中もそのようになっていると想像してしまい長年不安に苛まれる方は多くいらっしゃいます。実際に内視鏡で大腸の中を見てみると、そのようなこびりついた便はなく、空っぽで綺麗な状態であることがほとんどです。長年宿便がひどいという方には内視鏡検査による適切な治療を施すことで、長年の不快感が解消されます。 このように宿便のほとんどは勘違いですが、前述のように長期間便秘が続いて腸内に古い便が停滞している状態、「慢性便秘」は実際に起こり得ます。 慢性便秘(≒宿便)の主な原因 慢性便秘の原因の多くは、便秘を引き起こす生活習慣や体調の要因です。具体的には次のような原因が考えられます。 食生活や運動習慣の乱れ 食物繊維や水分の摂取不足、運動不足といった生活習慣の乱れは、腸の蠕動運動を低下させてしまいます。その結果、腸の内容物の移送が遅くなり、少しずつ便が大腸内に滞留して便秘(宿便)の状態を招きます。忙しい現代人は野菜や水分が不足しがちで運動も不足しやすいため、腸の動きが鈍くなり便秘になりやすくなります。 排便を我慢する習慣 「仕事中でトイレに行けない」「外出先では恥ずかしい」といった理由で便意を繰り返し我慢していると、直腸に便が溜まっても感じにくくなり、便が腸内にとどまり硬く乾燥してしまいます。便意を長期間我慢し続ける習慣があると、次第に自然な便意が起こりにくくなり、慢性的な便秘(宿便)の原因になります。 ストレスや環境の変化 精神的ストレスも腸の働きに大きく影響します。引っ越しや転職、受験など環境の変化による緊張が続くと、自律神経のバランスが乱れがちです。自律神経の乱れは腸の蠕動運動をコントロールする働きにも影響し、腸がうまく動かず便をスムーズに送り出せなくなることがあります。この状態が続くと便が硬くなって溜まりやすくなるだけでなく、残便感(出し切れていない感じ)や腹痛、腹部の張りを生じたり、場合によっては下痢を引き起こすこともあります(過敏性腸症候群では便秘と下痢を交互に繰り返すことがあります)。ストレスは腸内細菌のバランスにも影響し、悪玉菌が増えることで腸の動きがさらに悪くなるという指摘もあります。 腸の病気によるもの 大腸がんや腸の狭窄、癒着、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)があると、腸管自体が狭くなったり形が変形して便の通り道が障害され、便秘になることがあります。この場合、単なる宿便(機能的な便秘)ではなく器質的異常による便秘です。便が細くなる、強い腹痛や血便、嘔吐などの症状が見られることが多く、これらが出現した場合は早急に医師の診察を受ける必要があります。特に大腸がんは便秘だけでなく便に血が混じることが多いので注意が必要です。 薬の副作用 日常的に服用している薬の中には便秘を引き起こす副作用を持つものがあります。例えば強い鎮痛剤(opioid系)や抗コリン作用のある薬、抗うつ薬・抗不安薬の一部、高血圧の利尿剤などです。こうした薬剤は腸の動きを抑えたり水分吸収を増やしたりして便秘を招くことがあります。服用中の薬が原因で便秘になっている疑いがある場合は、自己判断で中止せず処方医や薬剤師に相談してください。 以上が主な原因です。このように、宿便(慢性的な便秘)は生活習慣の乱れやストレス、基礎疾患や薬の影響など様々な要因が重なって起こります。心当たりがある場合は原因に応じた対策が必要です。次の章で症状や影響を見てみましょう。 慢性便秘(≒宿便)による症状と健康への影響 慢性便秘が続くと現れる症状や、体への影響には次のようなものがあります。 便通回数の減少 通常、健康な人の排便回数は個人差がありますが、3日に1回以上はあるのが一般的とされています。宿便状態では週に2回以下しか排便がない、あるいは1週間以上出ないこともあります。排便間隔が長いほど便は固く大きくなり、ますます出にくくなります。 排便時の困難 便が硬く乾燥しているため、排便に強くいきむ必要があり、肛門や直腸に痛みを感じることがあります。うさぎの糞のようなコロコロした小さい便や、コンクリートのように硬い塊状の便が少量しか出ない、といった訴えもよくあります。また「まだ腸の中に残っている感じがする」という残便感が慢性便秘には付きまといがちです。 腹部の不快感 腸内に便が溜まるとガスも過剰に発生し、お腹が張って苦しくなります(腹部膨満感)。しつこい便秘では常に下腹が重く張った感じがして、人によっては鈍い腹痛や食欲不振を訴えることもあります。お腹が張るため食事量が減ったり、吐き気を催す場合もあります。 肌荒れなどの美容面への影響 世間では「宿便が溜まると肌に悪い」「ニキビや吹き出物の原因になる」といった話もよく聞かれます。医学的に明確な因果関係を示すエビデンスは十分ではありませんが、便秘が腸内環境の悪化を招き、その結果として肌トラブルが起こる可能性は指摘されています。便秘になると腸内でアンモニアなどの有害物質が通常より多く発生し、それらが腸から再吸収されて全身を巡り皮膚に達すると、肌荒れや吹き出物を引き起こすことが考えられています。実際、便秘を解消すると肌の調子が良くなったと感じる方も多く、腸内環境の改善が美肌につながるのは確かでしょう。ただし、「宿便を出せば劇的に美肌になる」「デトックスで若返る」などといった過剰な宣伝文句には科学的根拠がありませんので注意してください。 痔(じ)など肛門への負担 硬い便を無理に出そうと強くいきむ習慣が続くと、肛門の血管に圧がかかり痔核(いぼ痔)を発症・悪化させたり、肛門周辺の皮膚が切れて痛む裂肛(切れ痔)を引き起こすことがあります。慢性的な便秘は痔の大きな原因の一つです。痔になると排便時に出血したり激痛が走ったりするため、更に排便を避けて便秘が悪化するという悪循環に陥ることもあります。 全身への影響(倦怠感・睡眠障害など) 宿便状態が長く続くと、お腹が常に重苦しいせいで集中力の低下やイライラ感、頭痛、倦怠感など全身の不調を感じる人もいます。よく眠れない、熟睡感がないと訴える方もいます。近年の知見では、腸内環境の乱れは幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンや睡眠ホルモンのメラトニンの分泌に影響を与える可能性があります。人のセロトニンの約95%は腸で作られており、便秘などで腸内環境が悪化するとセロトニン分泌が低下し、それがメラトニンにも影響して睡眠の質が落ちると考えられています。つまり、便秘を解消し腸内環境が改善されると、精神面が安定したり睡眠が深くなるといった良い効果も期待できます。 このように、宿便=慢性便秘は単にお通じの問題にとどまらず、生活の質(QOL)や健康面、美容面にも様々な悪影響を及ぼします。ひどい便秘を放置しないで早めに対策することが大切です。 慢性便秘(≒宿便)を予防する生活習慣(食事・運動など) 慢性便秘を防ぐためには、日頃の生活習慣の見直しが重要です。以下のような対策を日常に取り入れることで予防につながります。 食物繊維をバランスよく摂る 食事の改善で最も重要なのは食物繊維の十分な摂取です。食物繊維には水に溶ける水溶性と、水に溶けずそのままカサを増やす不溶性の2種類があります。それぞれ便秘解消に役立ち、水溶性は便を適度に柔らかくし、不溶性は便の量を増やして腸を刺激します。ただし一方で、原因によっては不溶性食物繊維の摂りすぎが便秘を悪化させる場合もあるため注意が必要です。理想的には水溶性・不溶性をバランス良く取り入れることが大切です。 日常で食物繊維を増やすには、野菜類や果物、イモ類、穀類、豆類、海藻類、キノコ類など繊維質の多い食品を毎日の食事に取り入れましょう。例えば食事の最初にサラダや和え物を食べる、主食を白米から雑穀米や玄米に替える、間食に果物を選ぶ、といった工夫が効果的です。きのこや海藻は味噌汁の具にすると手軽に摂取できます。いきなり大量に摂るとお腹が張ることもあるので、少しずつ増やして腸を慣らすと良いでしょう。 十分な水分をこまめに補給する 便の約70〜80%は水分でできています。そのため、水分摂取量が不足すると便が固くなり出にくくなります。日頃から意識して水分を摂ることが便秘予防に有効です。ただし、一度に大量の水を飲んでも余分な水分は尿として排出されてしまうため、1日あたりコップ6〜8杯(約2リットル)を目安に少しずつこまめに水分補給するのが効果的です。十分な水分が体内にあれば、大腸で便から水分を過剰に吸収することが抑えられ、便に適度な水分が残ってスムーズな排便につながります。 水分補給の際には、利尿作用の強い飲み物(緑茶、紅茶、コーヒー、アルコールなど)ばかりを大量に飲むのは逆効果です。カフェインやアルコールはかえって脱水傾向を招き便秘を悪化させることがあります。日常的な水分補給には水や白湯、麦茶、ハーブティーなどノンカフェインの飲み物がおすすめです 。特に朝起きてすぐコップ一杯の水を飲むと胃腸が刺激されて動き出し、自然な便意を促す効果があります。 規則正しい生活リズムと排便習慣 毎日の生活リズムを整えることも腸の働きを正常化する上で大切です。朝昼晩の食事時間、就寝・起床時間をできるだけ規則正しくすることで自律神経が整いやすくなり、腸の動きも安定します。特に朝食をしっかり摂る習慣は重要です。食事をすると胃腸が反射的に動き出す「胃結腸反射」という作用があり、朝食後は腸の蠕動運動が最も活発になる時間帯です。このタイミングを逃さず、朝食後には少しでもトイレに座る時間を作りましょう。 「便意がなくても毎朝トイレに座る」ことを習慣にすると、次第に体がその時間に合わせて排便リズムを整えてくれる場合があります。便意を感じたら我慢せず早めにトイレに行くことも重要です。排便のゴールデンタイムである起床後〜朝食後の時間帯にトイレに行けるよう、朝は少し早めに起きるなど生活の工夫をしてみてください。 適度な運動を習慣にする 日常的に体を動かす習慣も腸の健康に欠かせません。適度な運動は全身の血行を促進し、腸の蠕動運動を活発化させます。特にお腹周りの筋肉を鍛えると排便時のいきむ力がつき、便を押し出しやすくなります。おすすめはウォーキングや軽いジョギング、水泳、自転車こぎなどの有酸素運動です。これらは全身運動でもあり腸への刺激にもなります。加えて、腹筋運動(クランチやプランクなど)も取り入れると腸の動きを支える筋力アップにつながります。 運動にはストレスを軽減する効果もあります。前述のようにストレスは便秘の大敵ですから、体を動かして気分転換することが腸内環境の改善にも寄与します。ハードな運動である必要はなく、1日20〜30分の軽い運動を継続するだけでも効果は十分です。エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩くなど日常生活の中で体を動かす機会を増やしましょう。 以上のような生活習慣の改善によって、多くの便秘(宿便)は予防・解消できます。特に食事と水分・運動は三本柱です。まずはできることから始めてみてください。 慢性便秘(≒宿便)を解消する医学的な方法 生活習慣の改善に加えて、医学的に推奨される便秘の解消法もいくつかあります。症状の程度に応じて、以下のような方法を組み合わせて行います。 市販薬・処方薬の適切な使用 生活習慣の改善だけでは便秘が解消しない場合、医師や薬剤師に相談の上で便秘薬(下剤)を使用することもあります。日本では酸化マグネシウム製剤(塩類下剤)が便秘治療によく使われます。酸化マグネシウムは腸内に水分を引き込んで便を柔らかくする作用があり、習慣性も少なく比較的安全に使えるため慢性便秘に広く処方されています。ただし、初めて使う場合や他に服用中の薬がある場合は、念のため医師・薬剤師に相談してから使用してください。また、酸化マグネシウムを数日服用しても効果がない時や、服用中に腹痛など便秘以外の症状が出た時は、早めに医療機関を受診しましょう。 下剤には酸化マグネシウム以外にも、便を膨らませる食物繊維系の薬剤(難消化性デキストリン等)、腸を刺激して動かす刺激性下剤(センナやビサコジルなど)、便を柔らかくする浸透圧性下剤(ラクツロース、ポリエチレングリコールなど)や座薬・浣腸といった種類があります。症状や体質に合わせて使い分けますが、自己判断で強い刺激性下剤を常用するのは避け、必ず医師の指導のもとで使用してください。「腸内洗浄サプリ」「デトックスドリンク」などと称する市販の健康食品も数多く出回っていますが、医学的な有効性が証明されたものはほとんどありません。それらに頼るより、医師が効果と安全性を確認した薬剤を正しく使う方が確実です。 整腸剤・プロバイオティクスの活用 腸内フローラのバランスを整えることで便通が改善するケースもあります。市販の乳酸菌製剤やビフィズス菌製剤(整腸剤)は、副作用も少なく慢性便秘の人に試されることがあります。ヨーグルトなどの発酵食品を積極的に摂ることも腸内の善玉菌を増やし、結果的にお通じの改善に役立つ可能性があります。即効性はありませんが、腸内環境を整えることは便秘解消の土台作りになります。 専門医による治療 便秘が重度で生活改善や一般的な下剤で効果が不十分な場合、消化器内科や便秘外来で専門的な治療を受けることも検討します。例えば、腸の動きを調整する新しいタイプの薬(大腸の水分分泌を促すルビプロストンや、腸管神経に作用するプルカプリドなど)が処方されることがあります。また、直腸に便が詰まって固まってしまっている(糞便塞栓)場合には、医療機関で浣腸(かんちょう)や手技による摘便が必要になることもあります。 大切なのは、自己流で強い下剤に頼りすぎないことと、症状に応じて適切なタイミングで医療機関を受診することです。次の章で、どんな場合に医師の診察を受けるべきかを説明します。 宿便かな?と感じた時に受診すべきタイミング 「単なる便秘だから」と放置していると、思わぬ病気が潜んでいる可能性もあります。以下のような場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。 生活習慣の改善や市販薬を試しても改善しない 食事や運動に気をつけても便秘が何週間も続く、あるいは市販の便秘薬を適切に使用しても効果がない場合は、一度医師に相談しましょう。慢性的な便秘症には前述した新しい薬や専門的な治療が有効なことがあります。我慢せず専門家の判断を仰いでください。 血便や激しい腹痛を伴う場合 便に鮮血が付着する、黒いタール状の便が出る、腹痛が強く吐き気や嘔吐を伴う、といった症状がある場合は要注意のサインです。大腸がんや炎症性腸疾患など重大な疾患が隠れている可能性があります。特に便秘と下痢を繰り返す場合や、便が細くなった(鉛筆のように細い便しか出ない)場合も、大腸の腫瘍による通過障害が疑われます。これらの警戒すべき症状(アラームサイン)があるときは、迷わず消化器内科を受診してください。 体重減少や貧血を伴う場合 便秘が続く中で明らかな体重減少(食事量は変わらないのに痩せてきた)や原因不明の貧血を指摘された場合も受診が必要です。大腸ポリープ・大腸がんなどでは慢性的な少量出血や食欲低下により体重減少や貧血が起こることがあります。年齢が50歳以上で新たに便秘が出現した場合も、念のため大腸検査を検討すべきで。 便秘以外の全身症状がある場合 発熱を伴う、嘔吐が止まらない、腹部を押すと強い痛みがある等、便秘以外の症状が重なる場合も早急な診察を。腸閉塞や腹膜炎など緊急の治療が必要な病態かもしれません。 以上のような状況では、単なる宿便だと自己判断せず医師の診察を受けることが大切です。診察では問診や腹部の診察のほか、必要に応じて血液検査や画像検査、下で述べる大腸内視鏡検査などが行われます。特に50歳以上の方や大腸がんの家族歴がある方は、便秘の有無に関わらず定期的な検診を受けるようにしましょう。 宿便と大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の関係 慢性的な便秘が疑われる場合、医師が有用と判断すれば大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が行われることがあります。大腸内視鏡検査とは、小型カメラの付いた細長いスコープを肛門から挿入し、大腸の内部を直接観察する検査です。ポリープや炎症、がんなど腸内の異常を詳しく調べるための検査で、便秘の原因に器質的疾患(ポリープや狭窄など)が隠れていないか確認する目的で行われます。先ほど述べたようなアラームサイン(出血や体重減少など)がある便秘では、この検査が強く推奨されます。 一方、「検査は痛そうだし怖い…」と不安を感じる方も多いでしょう。しかし現在の大腸カメラは技術の進歩と医療者の工夫により、安全かつ苦痛の少ない検査となっています。検査前には下剤による十分な腸内洗浄を行います。この腸管洗浄液は飲むことで腸を隅々まで洗い流し、便や宿便をきれいに排出させる薬です。体内にはほとんど吸収されず、そのまま腸を通過して便と一緒に排泄されます。つまり、大腸カメラの前処置を行うことで腸内に溜まっていた宿便はほとんど排出されてしまいます。実際、「検査前の下剤を飲んだ後からお通じの調子が良くなった」と感じる患者さんもいます。 検査で、思わぬうれしい変化も 検査中はスコープ先端から水を噴出する洗浄機能も備わっており、残った便があればその場で洗い流すことが可能です。さらに、腸にゆっくり空気や二酸化炭素ガスを入れて膨らませながら観察するのですが、近年は吸収されやすい炭酸ガスを使うことで検査後の張り(お腹のガス膨満)を残さないよう工夫されています。また、検査中に腸が適度に伸展・整復されることで、検査後に便通が改善するケースも報告されています。例えばS状結腸(大腸の一部)がねじれ気味の形状をしていることが便秘の一因だった場合、大腸カメラで一度その腸をまっすぐ伸ばすことで以後の通りが良くなり、検査後「お通じが前よりスムーズになった」という方もいます。このように大腸内視鏡検査そのものが便秘解消に寄与する副次的な効果も期待できますが、あくまで主目的は大腸の検査・治療です。 大腸カメラでは、検査と同時にポリープの切除など早期治療も行える利点があります。大腸がんの予防・早期発見のためにも、便秘がちの方で40代以降の方は一度検査を受けてみる価値があります。検査前の不安や疑問があれば主治医に遠慮なく相談し、適切な検査を受けることで安心につなげましょう。 当院について 当院(中島クリニック)は、兵庫県西宮市にある内科・消化器内科のクリニックです。地域の「かかりつけ医」として一般内科診療から専門性の高い消化器疾患の診断・治療まで幅広く対応しています。院長の中島敏雄医師は慶應義塾大学医学部を卒業後、京都大学医学部附属病院消化器内科などで豊富な経験を積んだ消化器病専門医・消化器内視鏡専門医で。その専門性と実績は高く評価されており、医師同士の評価によって選出される「Best Doctors in Japan」にも選ばれています。 当院が何より重視しているのは、患者さんにとって安心で負担の少ない医療を提供することです。例えば、胃カメラ・大腸カメラといった内視鏡検査では**「痛くない、苦しくない検査」**を基本方針に掲げ、様々な工夫と対応で苦痛軽減に努めています。患者さんやご家族のお話にしっかり耳を傾け、病気に対する正しい知識を提供しつつコミュニケーションを大切にする診療姿勢も、当院の特徴です。スタッフ一同、患者さんが不安なく相談できる温かい雰囲気作りを心がけています。 当院は阪急今津線・甲東園駅から徒歩圏内に位置し、駐車場も完備しております。土曜午前も診療を行っており、お忙しい方でも受診しやすい体制です。胃腸の不調や検診のご相談、便秘のお悩みなどありましたら、どうぞお気軽にご来院ください。 当院の胃カメラ検査(上部内視鏡検査) 「胃カメラは苦しい」「オエッと吐き気がしてつらい」というイメージをお持ちではないでしょうか。当院では、そのような胃カメラ検査への不安や負担を極力軽減する取り組みを行っています。 まず、当院の胃内視鏡検査では経鼻内視鏡(鼻から挿入する胃カメラ)に対応しています。通常の口から入れるカメラに比べて経鼻内視鏡はスコープが細く、喉の奥を刺激しにくいため嘔吐反射(オエッとなる反応)が起こりにくく格段に楽に受けられます。経鼻ではなく口からの挿入を希望される場合でも、直径わずか数ミリ程度の細径スコープを用いるため、違和感が少なく済みます。 「意識下鎮静法」導入 また、鎮静剤(静脈麻酔)を用いた内視鏡検査にも対応しています。当院ではご希望に応じて鎮静剤を使用し、ぼんやり眠っているような状態で検査を受けることが可能です。鎮静下では意識が朦朧とし痛みや不快感を感じにくくなるため、「気付いたら検査が終わっていた」という方も多くいらっしゃいます。検査中の苦痛が怖いという方は、遠慮なくご相談ください。 最新技術と豊富な経験で、安心の検査体験を 内視鏡検査の技術面でも、当院は最新の電子スコープや画像処理システムを導入し、高精細な観察を行っています。特殊光(NBIなど)による粘膜観察や色素散布なども適宜行い、小さな病変も見逃さないよう努めています。検査自体は経験豊富な医師が担当し、挿入の際もできるだけ体に負担をかけない滑らかな操作を心がけています。過去に胃カメラでつらい思いをされた方も、ぜひ当院の「楽に受けられる胃カメラ」を体感してみてください。 検査後のケアと丁寧な結果説明 検査後はリカバリールームで十分休んでいただき、麻酔の効果が覚めたことを確認してからお帰りいただきます。検査内容や結果については、その場で画像をお見せしながら丁寧に説明いたします。不安な点や疑問にもお答えしますので、初めての方も安心して検査を受けていただけます。 当院の大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡) 当院では大腸カメラ(大腸内視鏡検査)においても、できるだけ苦痛の少ない、安全な検査提供に力を入れています。大腸カメラは長さがあるぶん胃カメラより大変そう…と敬遠されがちですが、当院では以下のような工夫で快適な検査を実現しています。 鎮静剤の使用 胃カメラ同様、大腸カメラでも鎮静剤による無痛内視鏡を行っています。点滴から鎮静薬を投与し、うとうと眠っている間に検査が終了します。検査中の痛みや違和感の記憶がほとんど残らないため、「検査中は全く意識がなく楽でした」とのお声を多数いただいています。高齢の方や鎮静剤に不安のある方には慎重に判断しますが、ご希望があれば原則として鎮静下で実施可能です。苦手意識の強い方ほど、鎮静剤の活用をお勧めします。 炭酸ガス送気による負担軽減 検査中は視野を確保するため大腸内にガスを注入して腸を膨らませます。当院では炭酸ガス(CO₂)を送気に使用しています。炭酸ガスは空気よりも体内への吸収が速く、検査後は速やかに体外へ排出されるため検査後のお腹の張りや不快感がほとんど残りません。従来の空気送気では検査後半日ほどお腹が張ることがありましたが、炭酸ガスならそうした心配が軽減されます。 高度な内視鏡技術と機器 挿入技術に優れた内視鏡専門医が検査を担当し、腸管のカーブに合わせて適切にカメラを操作します。できるだけ腸を伸ばさない「苦痛の少ない挿入法」を採用しており、ポリープ切除など処置時以外は大きな痛みなく検査可能です。スコープも大腸専用の細径で高性能なものを使用しており、4K相当の高解像度画像で微細な病変も見逃しません。また、必要に応じて色素や特殊光を用いた精密検査も行い、大腸癌の早期発見に努めています。 女性医師による検査にも対応 当院では、ご希望の方には女性医師が大腸カメラ検査を担当いたします 。大腸カメラはデリケートな検査ですので、「男性医師だと恥ずかしい」という女性の患者様もいらっしゃいます。当院には消化器内視鏡の専門知識を持つ女性医師がおりますので、女性の患者様で希望があれば予約時にお知らせください。女性スタッフと共に検査にあたりますので、リラックスして受けていただけると思います。 検査後のフォロー ポリープ切除などを行った場合は、消化器外科とも連携し適切にフォローアップします。異常がなかった場合も、今後の検査間隔や便秘の対策などについてアドバイスいたします。大腸カメラは苦しい検査というイメージを払拭し、「受けてよかった」と思っていただける検査を目指しています。

  • 逆流性食道炎(胸焼け)になりやすい人の特徴と治療法

    食後に胸焼けがしたり、ゲップが多く出たり、喉に酸っぱいものや苦いものが上がってくるような感覚がある場合、それは「逆流性食道炎」かもしれません。この病気は胃酸が食道に逆流することで起こり、不快な症状を引き起こします。今回は逆流性食道炎になりやすい方の特徴や治療法、また症状が似た病気などについて、分かりやすく解説します。最近、胸焼けなどの症状が気になる方は、ぜひ参考にしてください。 胸焼けや胸の痛みを引き起こす逆流性食道炎とは 逆流性食道炎は、胃の内容物や胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症を引き起こす病気です。通常、胃酸が逆流することはあっても短時間で収まり、健康な状態では問題になりません。しかし、逆流が長時間続くと、酸に弱い食道の粘膜がダメージを受け、炎症や潰瘍を引き起こすことがあります。 胃液は非常に強い酸性(pH1~1.5)で、粘膜を刺激しますが、食道には酸から守る粘液が少ないため、胃酸の影響を受けやすいのです。この結果、粘膜がただれる、潰瘍ができるなどの症状が生じます。食道への負担が続くと、症状が悪化し、さらなる治療が必要になる場合があります。 逆流性食道炎の原因 逆流性食道炎の原因としては、胃酸分泌の過剰や胃酸が食道内に長時間留まること、胃酸の逆流を防ぐ機能の障害、食道粘膜の過敏性が関与しています。 胃酸分泌の過剰 ピロリ菌に感染している場合、胃酸の分泌が抑えられることがあります。しかし、除菌治療によってピロリ菌がいなくなると、胃酸の分泌が正常に戻る過程で増加することがあり、それが原因で逆流性食道炎を引き起こす場合があります。また、高脂肪食を摂取すると、胃酸の分泌が増えるため、注意しましょう。 胃酸が食道内に長時間留まる 食道の蠕動運動が低下することが影響しており、加齢や膠原病、アカラシアといった疾患などが原因です。また、唾液の分泌量が低下は、食道内の胃酸が中和されにくくなるため注意しましょう。唾液分泌の低下は、加齢や膠原病などが関係しています。 胃酸の逆流を防ぐ機能が障害される 食道と胃のつなぎ目には「下部食道括約筋」という筋肉があります。この筋肉は通常、食物が通過するとき以外は胃の入り口をしっかりと締め、胃の内容物が食道に逆流するのを防いでいますが、この筋肉が緩むと逆流が起こりやすくなります。 下部食道括約筋が緩む原因として、加齢による筋力の低下や、胃内圧の上昇(食べ過ぎや早食い)、腹圧の上昇(肥満や衣服の締め付け)などです。また、高脂肪食も筋肉の働きに影響を与え、逆流を招く要因となります。また、食道裂孔ヘルニアも要因の一つです。 胃の運動機能が低下することも影響し、加齢や胃の蠕動運動の低下、胃の内容物が排出されるのが遅れることが原因となることがあります。一部の薬剤、例えば狭心症治療薬や高血圧治療薬(亜硝酸薬、カルシウム拮抗薬など)も逆流を引き起こす可能性があります。 食道粘膜の過敏性 食道粘膜が過敏になると、通常の刺激でも症状が引き起こされやすくなります。ストレスなどがその原因として挙げられます。 逆流性食道炎になりやすい人の特徴 高齢者 ➝下部食道括約筋の低下、唾液の分泌減少、背中が丸くなる 食生活が乱れている ➝暴飲暴食、早食い、炭酸飲料、高脂肪食を多く摂る 生活習慣が不規則 ➝不眠、ストレス、便秘 持病のある方 ➝喘息・血圧・心臓など病気の薬の影響 嗜好品を多く摂る方 ➝アルコール、たばこ、コーヒー、緑茶 お腹を圧迫する方 ➝肥満、食べて過ぐ横になる、服やコルセットで締め付ける、妊婦 長時間前かがみの姿勢を取る方 ➝畑仕事をする、背中が曲がっている 逆流性食道炎になりやすい生活習慣 生活の中で、逆流性食道炎になりやすい行動を紹介します。 食べ過ぎや早食い 胃に大量の食べ物が入ると、胃が下方向に引き伸ばされるような形になります。この影響で、胃と食道の間にある下部食道括約筋が緩みやすくなり、胃酸や食べ物が食道へ逆流する可能性が高まります。 また、早食いは、よく噛まずに飲み込むことで食べ物と空気を一緒に飲み込む要因です。胃に空気がたまりやすくなり、ゲップが出る際に胃酸が逆流することがあります。 高脂肪食 脂肪分の多い食事を摂ると、消化の過程で「コレシストキニン」というホルモンが分泌されます。このホルモンは、胃酸を増やし、下部食道括約筋を緩める働きがあるため、胃酸が逆流しやすくなります。脂肪は他の栄養素に比べて消化に時間がかかるため、負担が大きく、結果として逆流性食道炎を引き起こしやすい環境を作ります。 嗜好品 アルコールやたばこは下部食道括約筋を緩めてしまいます。また、カフェインを含むコーヒーや緑茶は、胃酸の分泌を活発にするため注意しましょう。 便秘 便秘が続くと腹部の圧力が高まり、胃が腸から圧迫されることで食道への胃酸の逆流が起こりやすくなります。特に、慢性的な便秘でお腹が張った状態が続くと、若年層でも逆流性食道炎を発症しやすくなることが知られています。 お腹の圧迫 前かがみの姿勢や腹部を締め付ける服装、腹部に圧力がかかる仕事なども、胃酸が逆流しやすくなる原因です。お腹が圧迫されることで胃が押され、逆流を引き起こしやすい環境を作ってしまいます。 ストレス ストレスが過剰になると、自律神経のバランスが乱れ、それにより胃酸の分泌が過剰になったり、胃の粘膜を保護する粘液の分泌が減少したりします。このような変化は、胃の防御機能を弱め、トラブルを引き起こしやすくします。 逆流性食道炎の症状は日常生活にも影響がある 逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで引き起こされます。 胸焼け 呑酸(どんさん) げっぷ 胸の痛み むかつき感 慢性的な咳 胸焼けが代表的な症状ですが、それ以外にも、胃酸が喉や口まで逆流して苦味を感じる呑酸(どんさん)や、胸の痛み、むかつき感、慢性的な咳など、さまざまな症状として現れることがあります。症状は個人差があり、一度に複数現れる場合もあれば、毎回同じ症状が出るわけではありません。 食道が過敏になっている場合には、胃酸が逆流していなくても胸焼けを感じることがあるため、注意が必要です。この病気自体は命に関わるものではありませんが、日本人の15〜20%が罹患しているとされ、増加傾向にあります。症状によって食事を楽しめなくなったり、夜間の睡眠が妨げられるなど、日常生活の質(QOL)が大きく低下する場合があります。 放置すると不快な症状が続き、生活に支障をきたす可能性があるため、早めに対策しましょう。適切な治療や対処法を取り入れることで、より快適な日常生活を送ることが可能です。 逆流性食道炎の治療法 逆流性食道炎の治療は、再発しやすい病気であるため、薬物療法に加えて生活習慣の改善が重要です。重度の症状や薬物療法・生活習慣の改善で十分な効果が得られない場合には、手術を検討することもあります。 胃酸の分泌を抑える薬を中心に、食道粘膜保護のための薬、胃酸を中和する薬などを使用します。 胃酸分泌を抑える薬 H2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬) 胃酸を分泌する細胞にあるヒスタミンH2受容体に作用し、胃酸分泌の信号を遮断することで胃酸の分泌を抑制します。 PPI(プロトンポンプ阻害薬) 胃酸を出す仕組みであるプロトンポンプに直接働きかけ、その機能を抑えることで胃酸分泌を効果的に抑えます。 P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー) PPIと同じくプロトンポンプを抑制しますが、酸性環境に左右されず安定して作用します。 制酸薬/粘膜保護薬 胃酸を中和し、胃酸による食道や胃の粘膜への刺激を軽減します。 消化管運動機能改善薬 ガスモチンやナウゼリンといった薬があり、胃や腸の運動を改善する働きを持ち、消化機能を助けます。胃の蠕動運動を促進することで、食べ物が胃に滞留する時間を短くし、胃液や食物が食道に逆流しにくくなる効果があります。 維持療法 治療によって自覚症状が消え、食道粘膜の炎症が完全に改善した場合、治療は一旦終了します。しかし、逆流性食道炎は再発しやすいため、症状が再び現れる方が多くいます。その場合、胃酸分泌抑制薬を用いた維持療法を行い、再発を予防します。 逆流性食道炎の予防方法 逆流性食道炎の予防と症状緩和には、生活習慣の見直しが重要です。特に、食生活や体への負担を減らす工夫が効果的です。 食生活の見直し 脂肪分やタンパク質の摂り過ぎを避け、消化に優しい食事を心がけることが大切です。唐辛子などの香辛料、酸味の強い食品、甘いもの、消化に時間がかかる食品など、胃酸の分泌を増やしたり症状を悪化させる食べ物は控えてください。 食事の量は腹八分目を意識し、ゆっくり噛んで食べる習慣が大切です。また、夕食は寝る3〜4時間前までに済ませることで、胃酸の逆流を防ぐ効果が期待できます。食後すぐに横になることは避けましょう。 執行品を摂りすぎない タバコは逆流性食道炎を悪化させるため禁煙が推奨されます。アルコールも胃酸の分泌を促進し、下部食道括約筋を緩めて逆流を引き起こすため、できるだけ控えましょう。カフェインも胃酸分泌を活発にするため、コーヒーや緑茶の摂取を減らすことが望ましいです。 姿勢を意識する 猫背や前かがみの姿勢は、お腹を圧迫して胃酸の逆流を引き起こしやすくなるため、日常的に背筋を伸ばすよう心がけましょう。 就寝時には、上半身を少し高くして寝ることが逆流性食道炎の予防につながります。たとえば、背中にタオルを積み重ねるなどして、上半身に15度程度の傾斜をつけて寝ると、胃酸の逆流を防ぐ効果が期待できます。 お腹の圧迫を避ける ベルトや服装でお腹をきつく締め付けない、重いものを無理して持たないなど、腹圧を上げる行動を避けることが重要です。 運動をする 肥満は腹圧を上げる原因となるため、ウォーキングなど軽い運動を習慣化して体重を管理しましょう。 ストレスをためない 自律神経を整えるためには、自分に合った生活リズムをつくり、それを日常生活にルーチン化することが重要です。生活リズムは人それぞれ異なりますが、自分のペースに合わせた規則正しい食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけることで、ストレスの軽減につながります。自律神経が整えば、胃の働きだけでなく体全体の調子が良くなります。 ストレスの原因となる状況や物事(ストレッサー)から適切に距離を取り、日常生活の中に非日常を取り入れるなど、自分なりのストレス解消法を見つけることも効果的です。自分に合った方法で、楽しくリフレッシュできる時間を持つようにしましょう。 逆流性食道炎の症状だと思ったら違う病気が見つかった例 食道アカラシア 逆流性食道炎は「胸のやける感じ」「食べ物がつまる感じ」など症状から疑うことができます。しかし逆流性食道炎を疑わせる症状でありながら、全く別の病気が隠れていることがあるので注意する必要があります。 「胸のやける感じ」「食べ物がつまる感じ」があり相談こられた30代の男性の方です。症状から逆流性食道炎を疑い薬を処方しましたが全く改善しません。薬の用量を増やしても全く良くなりません。原因を特定するために胃カメラをすることになりました。内視鏡で確認すると食道に大きな問題はなさそうです。ポリープや腫瘍もありません。逆流性食道炎による食道のキズも全くありません。 一点気になったのは食道下部のわずかな食道粘膜の混濁です。ドックや健診で施行する胃カメラ検査であれば、病変として指摘しない程度の軽微な粘膜変化です。わずかな粘膜変化ではありましたが「食道アカラシア」を疑い大学病院と連携、さらに精密検査を行いました。 その後の精密検査で「食道アカラシア」がつまり感の原因であることが特定、治療につながりました。 逆流性食道炎と思われる症状の中に、食道アカラシアや好酸球性食道炎などその他の病気が隠れていることがあります。 逆流性食道炎と似た症状を引き起こす病気 慢性胃炎 胃・胃・十二指腸潰瘍 機能性ディスペプシア 食道裂孔ヘルニア 食道カンジタ症 好酸球性食道炎 狭心症 食道がん 逆流性食道炎と似た症状を起こす病気を紹介します。 慢性胃炎 慢性胃炎は、胃の粘膜にある胃酸を分泌する腺細胞が萎縮し、その修復が進まない状態が続く病気です。長期間にわたり、萎縮が進行し胃酸の分泌が減少することで起こります。この病気とヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染には強い関連があることがわかってきています。 種類は、出血やびらんを伴うタイプ、びらんのないタイプ、そして特殊型胃炎の3つです。ただし、一般的に「慢性胃炎」という場合は、びらんのない胃炎を指し、ピロリ菌感染が主な原因とされています。一方、特殊型胃炎は非常にまれなケースです。 慢性胃炎に特有の症状はなく、胃潰瘍や胃がんと同様の症状が見られることがあります。空腹時や夜間の胸焼け、食後のむかつきや胃もたれなどです。ただし、胃の萎縮の程度と症状の重さが必ずしも一致するわけではありません。 胃・十二指腸潰瘍 胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃酸が過剰に分泌されることで、胃や十二指腸の粘膜が傷つき、潰瘍ができる病気です。胃は通常、消化のために胃酸を分泌しつつ、粘膜を保護する粘液を出して自らを守っています。しかし、このバランスが崩れると、粘膜が溶け潰瘍が発生します。 代表的な症状は腹痛で、胃潰瘍では特に食後にみぞおち周辺で痛みを感じることがほとんどです。一方、十二指腸潰瘍では空腹時に痛みが現れ、食べると痛みが和らぐという特徴があります。 十二指腸は背中に近い位置にあるため、背中の痛みを訴える場合もあり、胸やけ、吐き気、すっぱいゲップなどの症状もよく見られます。症状を放置すると、吐血や黒い便(下血)といった重篤な状態に至ることがあるため、注意しましょう。 機能性ディスペプシア 機能性ディスペプシアは、胃の痛みや胃もたれといった不快な症状があるにもかかわらず、内視鏡検査などで異常が見つからない病気です。胃炎や逆流性食道炎のような明らかな病変がなくても症状が続く場合に、この病名が使われます。 この病気では、胃の粘膜に炎症があっても、それが症状と直接結びついていないことが多く、また炎症がない場合でも症状が現れることが特徴です。そのため、症状を説明できる明確な異常が確認できない場合、「機能性ディスペプシア」と診断されます。 食後の胃もたれや、少量の食事でもお腹がいっぱいになったように感じることが主な症状です。また、みぞおちの痛み、胸やけ、吐き気、げっぷなど、症状は多岐にわたります。 食道裂孔ヘルニア 食道裂孔ヘルニアは、胸とお腹を隔ている横隔膜の隙間「食道裂孔」を通じて、胃が胸側に飛び出してしまった状態です。このヘルニアが発生すると、胃酸が食道に逆流しやすくなり、それが原因で食道炎を引き起こします。その結果、「胃食道逆流症」や「逆流性食道炎」といった病気が発症し、関連する症状が現れることがあります。 胸やけや呑酸(酸っぱいものや苦いものが喉まで上がる感覚)が最も多い症状です。また、頻繁なゲップ、飲み込みづらさ、胸の痛みなどの不快な症状が現れることもあります。 食道カンジタ症 食道カンジダ症は、正式名称を「カンジダ性食道炎」といい、カンジダ菌が食道で増殖し、炎症を引き起こす病気です。カンジダ菌は健康な人の体にも存在する常在菌ですが、通常は他の菌とのバランスで増殖が抑えられています。このバランスが免疫力の低下や抗生物質の長期使用によって崩れると、カンジダ菌が増殖しやすくなり、炎症が発生します。 この病気になると、飲食時に痛みを感じたり、胸や背中に焼けるような感覚を覚えることがあります。また、胸のあたりに何か詰まったような違和感、吐き気、嘔吐、食欲不振、さらには体重減少といったものも食道カンジダ症の症状です。 好酸球性食道炎 アレルギー反応に関与する白血球の一種である「好酸球」が食道に集まり、慢性的な炎症を引き起こす病気です。この炎症によって、食道の動きが悪くなり、食べ物が通りにくい、胸やけがする、胸の痛みを感じるなどの症状が現れます。さらに、病気が進行すると食道が狭くなり、食べ物が詰まるといった重い症状を引き起こすこともあります。 好酸球性食道炎は、日本でまれな病気と考えられていました。最近では人間ドックや胃カメラの検査中に診断されるケースが増えています。好酸球が食道だけに集まる場合は「好酸球性食道炎」、胃や腸にも炎症が広がっている場合は「好酸球性胃腸炎」と呼ばれます。 発症の原因は、まだ完全にはわかっていません。喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を持つ人に多く見られることが特徴です。また、30〜50歳代の男性に発症しやすい傾向があることもわかっています。 狭心症 狭心症は、心臓に血液を供給する冠動脈が狭くなることで、心臓の筋肉(心筋)に十分な血液が届かなくなり、心筋が弱った状態です。これに対し、冠動脈が血栓で完全に詰まり、血流が途絶えて心筋が壊死してしまう状態が「心筋梗塞」になります。 狭心症の代表的な症状は、胸が締めつけられるような痛みや圧迫感です。この痛みは数分から10分程度続き、運動や興奮など心臓に負担がかかったときに起こりやすく、休むと回復するのが特徴です。また、胸の痛みに加えて、のどや奥歯、腕、背中、みぞおちなどが痛む「放散痛」という症状が現れることもあります。これにより、肩こりや胸焼けといった症状と勘違いする場合もあります。 さらに、軽い運動や安静時にも痛みが起こるようになったり、痛みの持続時間が長くなったりする場合は「不安定狭心症」のかもしれません。このタイプの狭心症は心筋梗塞に進行するリスクが高いため、特に注意が必要です。 食道がん 食道がんは、食道の内側を覆う粘膜から発生するがんです。食道の中央部分にできることが多く、複数箇所に同時に発生する場合もあります。 初期段階では症状がほとんどないため、気づかれにくいことが特徴です。しかし、がんが進行すると、飲み込む際に胸に違和感を覚える、飲食物がつかえる感覚、体重減少、胸や背中の痛み、咳や声がかすれるといった症状が現れることがあります。 進行がんでは、がんが食道の壁を越えて周囲の臓器や血管に広がることがあります。例えば、肺や気管支、大動脈などに影響を与え、痛みや咳、さらには声のかすれが生じることがあります。これらの症状は食道以外の病気とも重なるため、食道がんを見逃さないよう注意が必要です。 胸焼けの症状がある場合は胃内視鏡検査を受けよう 胸焼けや胸の痛みは、逆流性食道炎の症状かもしれません。症状が続く場合や強くなる場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けましょう。 内視鏡検査は、胸焼けの原因を詳しく調べられる方法です。たとえば、本当に胃酸が食道に逆流しているのか、どの程度の重さなのかを確認できます。 また、逆流性食道炎と似た症状を起こす病気として、狭心症や食道がんなどがあります。これらの病気が隠れていないかを確実に見極めるためには、内視鏡検査が欠かせません。 内視鏡検査では食道だけでなく、胃や十二指腸まで一緒に観察できるため、これらの部分に病気がないかもチェックできます。胸焼けが続く場合は、逆流性食道炎の診断だけではなく、食道がんや他の疾患の可能性を除外するためにも、内視鏡検査がおすすめです。 参考元 国立長寿医療研究センター 日本消化器内視鏡学会 逆流性食道炎になりやすい人の生活習慣 逆流性食道炎とは? 原因と症状を知って、正しく治療しよう | サワイ健康推進課 おくすりによる治療|逆流性食道炎の治療 好酸球性食道炎について | 国立成育医療研究センター 心臓を守りたい「狭心症のサイン」 - きょうの健康 - NHK 食道がんについて:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] 慢性胃炎 胃潰瘍(いかいよう)、十二指腸潰瘍 | いしわ内科皮フ科クリニック | 横浜市都筑区葛が谷 | 都筑ふれあいの丘駅前 | 内科、皮膚科、アレルギー科 胃の膨満感、胃痛で困ったら −機能性ディスペプシア 兵庫医科大学病院 食道にカビ!?カンジダ性食道炎とは? | わだ内科・胃と腸クリニック

  • 胃カメラ検査の注意点7選!当日の飲み物など

    胃カメラ検査を始めて受けることになった時、不安になっていませんか? 検査前日はいつも通りに仕事できるのだろうか 前日の食事食べてはいけないものあるのだろうか 前日の食事は何時までいいのだろうか 検査当日の朝、水は飲んでいいのだろうか 検査終わった後は、何時から食事を食べていいのだろうか 担当先生に聞きたいこと、たくさんあると思います。そんな疑問質問にお答えします。 胃カメラ検査の気になる疑問 胃カメラ検査の前日はいつも通り仕事ができるのか はい、できます。いつも通りの生活で大丈夫です。 胃カメラ検査前日は夜遅い時間に晩御飯を食べないようにする必要がありますが、その他、生活上で留意することありません。 いつも通り朝起きて、朝食通勤仕事昼食仕事全く問題ありません。 胃カメラ検査前日の食事について 検査前日は、晩御飯を夜10時までに終わらせてください。胃カメラ検査前日、お昼まではいつも通り食事食べることができます。夜10時以降は何も食べないでください。 それまでは普通に夕食を取って頂いて構いません。 午後検査の方は朝7時までに朝食をすませ、それ以降は何も食べないでください。 もう1点、注意は「食事は夜10時まで」ですが、それ以降も水分はとっていただいて大丈夫です。 食事と違い水分は胃に長時間残りません。 検査に影響ありませんので夜10時以降も飲んでも大丈夫です。 むしろ、脱水を予防するために水分はのどの渇きに応じて十分にのんでください。 胃カメラ検査当日の朝の水分はどのくらい摂取可能か 検査当日の朝、水分はとってよいのでしょうか?検査当日の朝も、水分はとって大丈夫です。胃カメラ検査当日は、朝食事を食べないのは当然です。 朝食事をたべると胃の中に食べ物(食物残渣)残ってしまいますので。 検査当日の朝水分を飲んでも、検査に影響しません。仮に胃の中に水分が残っていても、内視鏡で取り除いて胃の中をすみずみまで観察することができますのでご安心ください。前日の夜10時以降と同じく、脱水にならないように、のどの渇きにおうじて水分は十分におとりください。 水以外で飲んでも大丈夫なものはあるのか 色のついていない飲料、例えばスポーツドリンクは検査当日朝飲んで大丈夫です。検査当日、水、色のついていないスポーツドリンクはOKです。色がついている飲料、例えばコーヒーやコーンポタージュなどはダメです。 そりゃそうですよね。 胃カメラ検査後の食事、アルコールは飲んでも大丈夫か 胃カメラ検査後の食事は観察のみで終わったとき(生検していないとき)は、制限ありません。好きなものを食べていただいて大丈夫です。 検査当日の夜アルコールもOKです。胃カメラ検査時に、ピロリ菌検査や生検など、小さな組織を取ったときは、検査当日の食事は脂っこいものを控えるようにしてください。 また、アルコールは検査当日夜飲まないでください。検査翌日からはアルコール解禁で、飲んでも大丈夫です。 胃カメラ検査後、車やバイクの運転はできるのか 胃カメラ検査当日は、車やバイクの運転はしないでください。胃カメラの時に鎮静剤を使用します。 眠気は30分ほどでとれますが、検査当日は、車、バイク、さらには自転車にのるのも安全のため避けてください。自転車、バイク、自動車でのご来院はお控えください。 胃カメラ当日の入浴、シャワーについて 胃カメラ検査当日、入浴、シャワーの制限はありません。いつも通りの生活できます。 胃カメラ検査を受けた翌日の注意点 胃カメラ検査を受けた、翌日生活上の注意はありません。いつも通り、通勤、仕事OKです。注意していただきたいのは、便の色です。特に胃カメラ検査の時にピロリ菌検査や生検(組織をとる検査)をしたときには、まれに出血することががあります。胃から出血すると便が「黒く」なります 万が一便が黒いことがあれば、至急医療機関に連絡を入れてください。 胃カメラを受けた時の注意点まとめ 胃カメラ検査をうける前にいろいろな心配なこと、主治医の先生に確認したいことがあると思います。今回は食事、生活上の注意を中心にまとめました。要するに胃カメラ検査前日夕食は夜10時まで水分摂取はOK、スポーツドリンクもOK検査当日の自転車、バイク、車の運転は避ける(鎮静剤使用するため)

  • 胃カメラ検査当日の飲み物について

    胃カメラ検査を受ける際には、胃の中を見やすいように空にしておかないといけません。そのため、前日の夜から食事に制限が設けられています。しかし、飲み物についてはどうしたら良いのでしょうか?この記事では、胃カメラ検査を受ける際に、前日から当日に摂取可能な飲み物について詳しく説明します。スムーズに検査を受けられるように、ぜひ参考にしてください。 胃カメラ検査前日に飲んでもいい飲み物 胃カメラ検査を受ける際には、前日の21時ごろから食事を控える必要があります。ただし、飲み物は食べ物とは異なり胃に長く留まらないため、基本的に制限はありません。夏場は脱水症状のリスクが高まるため、我慢せず喉が渇いたら水分を補給しましょう。 可能であるなら当日でなくても、ジュースやコーヒー、牛乳などの色のついた飲み物は控えてください。これらの飲み物は、胃の中を観察する際に邪魔になる可能性があります。また、コーヒーにはカフェインが含まれているため、眠れなかったり、脱水を引き起こしたりする可能性があります。 水やお茶、スポーツドリンクなどの透明な飲み物は、前日も当日も積極的に摂取して大丈夫です。飲みすぎには注意しましょう。 胃カメラ検査の前日はお酒を飲んでもいいのか 検査前日は、アルコールを摂るのは控えておきましょう。アルコールは胃の粘膜を傷つける可能性があり、検査時には胃を刺激してしまうかもしれません。アルコール摂取については、医療機関によって異なることがあるため、事前に確認しておくと安心です。もし、禁止されているのに前日にアルコールを飲んでしまった場合は、必ず医師に相談してください。場合によっては、検査を延期することになるかもしれません。 アルコールがお腹に与える影響 アルコールを飲んだ場合、胃や腸にさまざまな影響が出ます。アルコールは胃酸の分泌を増やすため、胃の壁を刺激してしまいます。また、アルコールは腸の動きを遅くするため、便秘や下痢といった症状が出ることもあります。アルコールの影響は、飲む量や種類によって異なります。特にアルコール度数の高いお酒は、消化器官に強い刺激を与え、炎症を引き起こすことがあるので注意してください。さらに、飲み過ぎた場合には、肝臓にも負担がかかります。 胃カメラ前日にアルコールを控えるべき理由 アルコールは消化器官の粘膜を充血させるため、検査時に炎症や出血があるように見える可能性があります。また、消化が悪くなるため、胃内に食べ物が残りやすくなることも検査時には良くありません。検査が正確なものでなくなることが、アルコールによるリスクです。また、アルコールの影響で腸の動きが遅くなった場合には、内視鏡がうまく進まないこともあります。この場合、検査に時間がかかったり、観察が十分にできないかもしれません。 胃カメラ検査当日に飲んでもいい飲み物 ジュースやコーヒー、抹茶や牛乳などは胃の中が着色して観察が不十分になる可能性があります。お水やお茶、スポーツドリンクなど透明な飲み物であれば、問題ありません。水分は検査 直前 まで可能です。脱水を起こさないようにしましょう。ただし、空腹だからといって過剰に摂りすぎないようにしてください。 胃カメラ検査後に飲んでもいい飲み物 胃カメラ検査を受けるとき、喉に麻酔をかけるので、検査が終わってから1時間は飲み物や食べ物を口にできません。その後は特に制限はありませんが、検査中に組織を採取した場合は、刺激の強い食べ物や飲み物を避ける必要があります。特に、検査当日はアルコールを控えることが大切です。翌日からは通常通り飲酒しても問題ありません。

  • 鶏肉の生食は危険!カンピロバクター腸炎とギランバレー症候群

    「風邪ひいたぐらいで病院行ったことないのですが、お腹が痛くて、痛くて、我慢できず来ました」 ぐったりとして、発熱、腹痛、下痢で学生さんが来院。普段元気にすごしている若い方の、発熱、腹痛、下痢、まず確認するべきことは、過去数日以内に何か生もの食べていないかどうかです。 数日前にさかのぼり、何か火の通っていないものを食べてたか聞くと 「そういえば、焼き鳥屋で生の鶏モモを食べました」 とのこと。 典型的な、カンピロバクター腸炎を疑う経過です。 カンピロバクター食中毒 カンピロバクター食中毒の主な症状は、下痢、腹痛、および発熱です。38度を超える高熱もしばしばみられます。水みたいな下痢ですが、時として粘液や血便となることもあります。 潜伏期間は2-5日です。長くても潜伏期間は1週間ほどです。カンピロバクターに限らず、食中毒が疑わしいときには、1週間前までさかのぼって食事内容を確認します。火の通っていない牛肉、鶏肉、魚介類など疑わしい食材をチェックします。 鮮度がよければ鶏肉を生で食べでも大丈夫でしょうか? 鮮度がよくても、鶏肉は必ず加熱しましょう。カンピロバクターは食品の中で増えることはないことが確認されています。言い換えると、鮮度が良いからカンピロバクターが大丈夫だというわけではありません。 鶏肉のカンピロバクター汚染率は50%前後の報告もあるぐらいです。鶏肉は生でたべるものでは「ない」と知っておいてください。、カンピロバクターは十分な加熱調理で防げますので、とにかく鶏肉は火を通すことです。 カンピロバクターに汚染した食品は味や見た目がかわりますか? 味やにおいは変わりません。魚やお肉が腐るのとは全く異なります。カンピロバクターに汚染している食品は、味やにおい、見た目も変化しません。見た目では判断出来ませんので、とにかく鶏肉は十分な加熱調理です。 カンピロバクターの恐い合併症、ギランバレー症候群 発熱、腹痛、症状は激しいのですが、カンピロバクター腸炎は自然に治ることが多く、下痢で失う水分補給が治療の中心です。重症の場合はエリスロマイシン系抗生物質やニューキノロン系抗生物質を使うことがあります。敗血症や重症化しなければ、カンピロバクター腸炎はそれほど恐ろしい病気ではありません。しかし、恐ろしいのはカンピロバクター腸炎の合併症です。頻度は低いのですが、手足全身の力が入らなくなるギランバレー症候群を合併することがあります。 ギランバレー症候群とは ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré Syndrome、以下GBS)は、自己免疫反応によって末梢神経が障害される稀な疾患です。免疫系が誤って自己の末梢神経を攻撃することで発症します。これにより、神経の伝導が障害され、筋力低下や感覚異常が生じます。発症率は年間10万人あたり1〜2人とされ、男女比では男性にやや多く見られます。年齢層に関係なく発症する可能性がありますが、平均発症年齢は39歳と報告されています 。 ギランバレー症候群の原因 明確な原因は不明ですが、多くの場合、発症前に感染症が認められます。特に、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)による胃腸炎や、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルスなどのウイルス感染が関与しているとされています 。免疫系がこれらの病原体に反応する際、末梢神経の構成成分と類似した抗原に対しても抗体を産生し、結果として自己の神経を攻撃する「分子模倣」が発症のメカニズムと考えられています。 ギランバレー症候群の症状 初期症状は、手足のしびれや筋力低下から始まります。これらの症状は左右対称に現れ、数日から数週間で急速に進行します。重症例では、呼吸筋の麻痺により呼吸不全を起こすこともあります。また、自律神経系が障害されると、血圧の変動や不整脈などの症状が現れることがあります 。症状のピークに達した後、数週間から数ヶ月かけて徐々に回復するのが一般的です。ただし、回復の程度や期間は個人差があります。 ギランバレー症候群の治療法 免疫療法と支持療法が中心となります。免疫療法としては、血漿交換療法(プラズマフェレシス)や静脈内免疫グロブリン療法(IVIG)が有効とされています。これらの治療は、発症から早期に開始することで、症状の進行を抑え、回復を促進する効果があります。支持療法としては、呼吸管理やリハビリテーションが重要です。呼吸筋の麻痺がある場合は、人工呼吸器の使用が必要となることがあります。また、長期的なリハビリテーションにより、筋力の回復や日常生活への復帰を目指します。 カンピロバクター感染とギランバレー症候群の関係 アメリカではギランバレー症候群の40%がカンピロバクター感染が原因といわています。カンピロバクター腸炎の0.1%にギランバレー症候群が合併です。0.1%と聞くと低い印象をもたれるかもしれませんが1000人に1人です。結構高率です。 鶏のたたきは料理としてお店のメニューにある 先日クリニックの食事会で行った、とあるお店でのことです。コース料理の一品として鶏のたたきがでてきました。それを見たスタッフ一同私の顔をみて、何か言いたげな表情を浮かべながら誰一人として生の鶏には手をつけませんでした。 多くの患者さんがカンピロバクター腸炎で苦しんでいる姿を見て、私が都度、鶏を生で食べないように患者さんに繰り返し指導している効果が、患者さんだけでなく当院スタッフに十分にでているようです。(笑) とにかく、鶏は十分な加熱です。鶏のたたき、鶏レバーが美味しいのはわかりますが、おいしさの誘惑にまけず、加熱調理です。 まとめ カンピロバクター食中毒予防のために、鶏肉は十分に加熱しましょう。カンピロバクターの恐い合併症がギランバレー症候群です。

  • 人生100年時代をすこやかに過ごすコツ。社交的。

    おはようございます。中島クリニック院長 中島敏雄です。 母校の慶應義塾大学医学部には一風変わった研究センターがあります。「百寿総合研究センター」です。その名の通り100歳をこえて元気に過ごしている方の生活スタイルを細かく調査。健康長寿のメカニズムを明らかにする研究に取り組んでいます。百寿総合研究センターから、どのような生活や性格の方が100歳を過ぎて元気に過ごされているか報告がありました。ずばり性格は「開放的」「誠実」「外向的」。の3つの要素が高かったのです。社交的で誠実。そして好奇心旺盛。体だけでなく心も健やかであることも欠かせません。人口あたりの100歳以上の割合が高い県は1位島根県2位高知県3位鳥取県4位鹿児島県5位熊本県共通しているのは温暖で寒暖差が少ないことです。健康のためには気候の影響もあることがわかります。クリニックのある兵庫県は37位です。温暖なところで、好奇心旺盛に過ごす!「人生100年時代」に向けて、心身ともに健やかにすごしたいですね。 今日も素敵な一日でありますように。 中島クリニック(内科、消化器内科、胃カメラ、大腸カメラ) https://www.nakajima-clinic.com/

  • 肥満の減量目標。半年で体重3%のゆっくりペース。

    おはようございます。中島クリニック院長 中島敏雄です。 コロナの分類が2類から5類となります。世の中動き出しますね。思い返せば長い3年でした。外出機会が減って運動不足の日々でした。コロナ太りという言葉があります。運動不足だけでなく、食べ過ぎや飲み過ぎによる摂取カロリー過多、さまざまな要因が重なって体重が増えてしまった方多いのではないでしょうか。 【質問】 肥満の減量目標はどれぐらいがいいですか? 【答え】 体重の3%を半年かけて減らすペースを目標としましょう。急激な減量は脂肪ではなく筋肉を落とすことにつながります。不健康なやせ方です。ポイントはゆっくりと減らすことです。例えば80キロの方ではれば半年で2.5キロの減量、50キロの方は半年で1.5キロぐらいの目標です。食事は栄養バランスを整え、1日3回が基本です。食事の回数が少ない1回の食事量がふえてしまいます。もっとやせたい、落としたい。気持ちはわかりますが、無理する必要ありません。運動をしながらゆっくりと落とす方が、リバンドして太りにくくなります。体重コントールはゆっくりと。 今日も素敵な一日でありますように。 中島クリニック(内科、消化器内科、胃カメラ、大腸カメラ) https://www.nakajima-clinic.com/

  • 12の認知症危険因子9+3 

    おはようございます。中島クリニック院長 中島敏雄です。 今日は認知症の原因についてお話しします。 記憶力が低下したり日常生活が困難になったりする認知症。誰もが認知症になりたくない。原因を知ることが予防につんながります。 認知症には9つの危険因子があることがわかっています。2017年医学雑誌ランセットに報告がありました。喫煙、肥満、運動不足、教育不足、高血圧、聴覚障害、うつ病、糖尿病、社会との接点の少なさです。 糖尿病や高血圧の治療。社会とのつながりがポイントですね。 最近さらに3つの要素が加わりました。それは、過度のアルコール摂取、外傷性脳損傷、大気汚染です。大気汚染と言われてもどうも対処できないのですが、アルコールは減らすことができますね。 遺伝的な要因や加齢なども関係しています。これらのことをさけるだけで認知症を完全に防ぐことはできません。 少しでも認知症から自分や家族を守るために、日々の生活でできることから始めてみましょう。 今日も素敵な一日でありますように。 中島クリニック(内科、消化器内科、胃カメラ、大腸カメラ) https://www.nakajima-clinic.com/

  • 興味や可能性を広げていくことで健康で充実した人生になる

    先日書いた「人生100年時代をすこやかに過ごすコツ」好奇心旺盛に過ごす! https://www.nakajima-clinic.com/column/6445/ すごく反響があり、たくさんの方にお声かけいただきました。コラムお読みいただきありがとうございます。「私も新しいことにとりくむ勇気がでました」「体操に参加することにしました」何歳からでも新しいことを始めるに遅すぎるはありません。私は40歳で合気道をはじめ。時間はかかりましたが黒帯になりました。そして今50歳を過ぎてインスタでの健康情報発信にとりくんでいます。82歳の新米エンジニア・若宮正子をご存じでしょうか?若宮さんは60歳からパソコンをはじめ、81歳でプログラミングを学びはじめました。なんと82歳でiPhoneのアプリ『hinadan』を開発されました。82歳です!!!おそらく世界最高齢のプログラマーです。若宮さんは「年齢は関係ない。やりたいことがあれば、挑戦すればいい」と言います。彼女の姿勢は健康づくりにも通じます。自分の興味や可能性を広げていくことで、健康で充実した人生を送ることができるのではないでしょうか。何か新しいことに挑戦してみませんか! 今日も素敵な一日でありますように。 中島クリニック(内科、消化器内科、胃カメラ、大腸カメラ) https://www.nakajima-clinic.com/

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